ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。

ついにアニメの範囲を越えてしまいました。しかし叔父さんのご飯を食べさせるお話はまだまだ続きます。


マイニューギアりたい姪とだし巻き玉子

「あっただいまです」

 

「おっ邪魔しま~す!」

 

「はいおかえりひとりちゃん。いらっしゃい虹夏さん」

 

新しいギターをお迎えして心機一転のひとりちゃんは、

虹夏さんを連れて帰って来た。今日はオーチューブに上げるためにギターヒーローの動画を撮るそうだ。最近忙しくてなかなかできなかったみたいで、虹夏さんはギターヒーローの撮影の様子を見学に来たのだそう。

 

「あっじゃあ叔父さん、しっしばらく動画撮影してるので…」

 

「うん、わかった。叔父さん邪魔しないようにしてるね」

 

久しぶりの動画撮影うまくいくといいね。そして私はいつものように2人のためにご飯を作ろう。

 

 

 

「マイニューギアーッ!!」

 

「おぎゃあああああ!!」

 

ひとしきり晩御飯の仕込みが終わった頃、ひとりちゃんの部屋から謎の叫び声と悲鳴が聞こえてきた。どんな会話を経てそのやり取りになったのだろう…。叔父さん気になります。声が聞こえたってことは防音室からは出てるよね。おやつを出す名目で覗いてみようかな。

 

「2人とも、一段落ついたならおやつでもどう」

「山田ぁ!!」

 

何事!?

 

「あっおじさん、見てよこれリョウのアカウント!」

 

虹夏さんが見せてくれたスマホの画面には『世界のYAMADA』というアカウント名でmy new gear...とトゥイートされていて、一緒にギターの画像もある。これがリョウさんの投稿なのかな?

 

「高い楽器買ってmy new gearして速攻で売って…しかも次の投稿だとお金なくて山菜ご飯って…ブレブレか!!」

 

身内のこういうの引くわーと嘆く虹夏さんに経緯を聞くと、どうやらひとりちゃんはトゥイッターやイソスタをやらないのかという話題が出て、偶々目についたトゥイートがリョウさんのものだったみたい。

 

「ぼっちちゃんはリョウみたいになっちゃだめだよ?」

 

「あっそうですねはは…」

 

ひとりちゃんは目をそらして気のない返事をした。かと思えば歯を食いしばり何かを我慢している様子。からの急に体を仰け反らせてブリッジの体勢に。情緒不安定だね。

 

「だっ大丈夫?ひとりちゃん」

 

「あっ叔父さんか虹夏ちゃん手遅れになる前に私をこれ(鈍器)で…楽にさせてください」

 

「やだよ!!」

 

「ひとりちゃん落ち着きなさい」

そのトンカチどこから取り出したんだろう。危ないので没収。2人で落ち着かせた後、気を利かした虹夏さんがギターヒーローのトゥイッターアカウントを作ってくれたので後を任せることにした。

 

気を取り直して今日の晩御飯に出す一品の準備を始める。

卵焼き器に油を入れてゆっくり熱しておく。溶き卵、だし汁、塩、砂糖、醤油を合わせて一度濾す。

 

ここまで準備を進めたところでひとりちゃんが部屋から出てきた。

 

「あっ叔父さん、ちょっと行ってきます!」

 

「えっ、ちょっとってどこに?」

 

「あっ虹夏ちゃんすいません!適当に時間潰しててください!」

 

「ちょっとぼっちちゃん!?」

 

ひとりちゃんは止める間もなく出ていってしまった。いったい何をしにどこへ行ったのだろう?

 

「まあ、ちょっとって言ってたし晩御飯までには帰ってくるかな。ごめんね虹夏さん。好きに寛いでていいからね」

 

「あっ…うん」

 

 

 

 

ぼっちちゃんが出かけていったからおじさんと2人きり。おじさんと2人きり!?今まではなんやかんや側に誰か居たからなんか新鮮だな。いや、今さらおじさん相手に緊張や警戒することはないんだけど…この間の(誉められ&ナデナデ)事もあるしちょっと気恥ずかしい。おじさんはあたしが居ることなんて気にする素振りもなく料理を続けている。

むぅ…ちょっと悔しい。なのでちょっかいを出してやる。

 

「おじさん何作ってるの?」

 

「だし巻き玉子だよ。あ、星歌さんの分も作るからね」

 

「でっか!あたしが使ってる卵焼き器の倍…いや3倍位?」

 

「18cmくらいかな?銅製だからふわふわなのが焼けるんだ」

 

「へぇ~作るの見てていいですか?」

 

「うん、もちろんいいよ」

 

おじさんは慣れた手つきで卵焼き器を器用に動かしてる。

菜箸で卵を突っつきながら巻いていってあたしは隣でそれを見てる。…ああ、何かこの感じ好きだなぁ。家にお父さんやお母さんがいるのってこんな感覚なのかな。

 

「はい、一本完成」

 

「おお~」

 

「虹夏さんもやってみるかい?」

 

「うん、やってみようかな!」

おじさん指導のもと、だし巻き玉子作り開始。普段使ってるものよりもはるかに大きいけど手順は一緒だ。油を吸わせたキッチンペーパーで油を引いたら卵液を投入。ジュワーっと音を立てて卵が焼けて所々モコモコと膨らんできたら菜箸でつついて平にする。奥から手前に巻いて…

 

「大きいから重いでしょ。大丈夫?」

 

「確かに少し重いですね。でも大丈夫、あたしこう見えて結構力持ちなんですよ!」

フフンっと得意気に言ってみる。バンドもだけど家事とかバイトとかもしてると自然と筋力ついてくるんだよね。

おじさんはこんなゴリラみたいな女子嫌いかな…?

 

「すごいね。初めて使う卵焼き器でこんなにキレイに焼けるなんて。さすが普段から料理してるだけあるね」

 

「途中ちょっと巻くのミスっちゃったけど」

 

「それでも十分すごいよ。前も言ったと思うけど、きっといいお嫁さんになれるね」

 

「そっ…そうかな?…えへへ」

あっヤバい、すごく嬉しい。身体中がポカポカする…。親に誉めてもらえるのってこんな感じなのかな。おじさんはやっぱり優しいな…。

 

 

 

 

「ひとりちゃんまだ帰ってきてないけどいいのかい?」

 

「はい、早くお姉ちゃんにこのだし巻き玉子食べさせてあげたいし。今日はありがとうございました!」

 

虹夏さんは、お土産のだし巻き玉子(虹夏さん作)を持って笑顔で帰っていった。それからしばらくしてひとりちゃんが帰宅。何やらたくさんの荷物を持っていて、晩御飯の前にやりたいことがあると部屋に入っていった。それが先日手に入れた動画広告収入を使った強引なmy new gearだと知るのはもう少し後のことだ。




次回 お金の大切さを知った姪と◯◯

あれ、読み返したら今回ご飯食べてない。
…まあこんな回もあるよね。
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