今回は色々兼ねているあのパーティーで叔父さんの料理が振る舞われます。長くなるので2部構成。
ひとりちゃんが完熟マンゴーマーク3に進化した翌日
ピロン
おっロインの通知か。ん?虹夏さんからだ。
おじさん、クリスマスパーティーの料理引き受けてくれてありがとう!実はその日お姉ちゃんの誕生日でもあるんだ!だからサプライズでお姉ちゃんをお祝いするとびきりのご馳走も用意したいと思ってて、おじさんに協力してほしいんだけどお願いできますか?
なんと、星歌さんの誕生日とな!それはバッチリお祝いしないと。虹夏さんは姉思いの優しい子だな。よし、返信。
もちろん、おじさんに任せなさい。皆で素敵な誕生日にしましょう!
よーし。忙しくなってきたぞ!
12月24日
「ただいまー」
「おっ邪魔しまーす!」
SICK HACKのワンマンライブ終了後、結束バンドの皆から承ったクリスマスパーティーの料理の為に一度帰宅した。隣にはライブ終わりなのに手伝うと言ってついてきてくれた虹夏さんがいる。
「悪いねー手伝ってもらっちゃって。でも虹夏さんも向こう(STARRY)に行かなくてよかったの?」
「パーティー会場の準備は3人でも出来るしね~。それにプレゼントの用意はしてるけどそれとは別にお姉ちゃんのための料理を作りたいって思ったから」
虹夏さんは本当に優しい子だね。
「そっか。よし、じゃあ色々仕込んでいこうか」
「は~い!あたしも頑張っちゃうよ!」
脂身の少なめなサーロインの塊に塩コショウ、ニンニク、オリーブオイルを塗り込み下味を付けておく。フライパンで表面に焼き目を付けたらジッパー付きポリバックに入れ、中の空気を抜いて密閉する。58℃に保ったお湯に入れ湯煎する。
「後は時間と温度をしっかり守れば出来上がるからね」
「おお~…こんな方法で作れちゃうんだ。あたしも何か作れますか?」
「ふむ、ならこれ用のソースを作ってもらおうかな。材料とレシピは教えるからやってみるかい?」
「うん!やってみる!」
すりおろした玉葱、りんごジュース、ニンニク、醤油を合わせて小鍋で火にかけ10分ほど煮詰める。
「せっかくだし本格的なやつも作ってみる?」
「うん!まかせて!」
バルサミコ酢、赤ワイン、ニンニク、醤油、みりんを合わせて小鍋で煮詰める。トロミが出てきたら火を止めバターを加えてよく混ぜる。
「おじさん味見してみて。どうかな?」
「うん、上出来だね。これなら星歌さんも喜ぶんじゃないかな」
「本当?よかった~」
「他の料理も準備万端だし残りはSTARRYで仕上げよう」
「了解~」
私達は意気揚々と両手いっぱいに準備を終えた料理を持ってSTARRYへと向かった。
「メリークリスマース!!」
「今日はSTARRYクリスマスパーティーに集まっていただきありがとうございます!」
「短い間ですが皆さん楽しんでいって下さーい♪」
「司会進行はあたし達伊地知と喜多が務めさせていただきます!」
STARRYクリスマスパーティーが始まり、虹夏さんと喜多さんが司会で繋いでいる間、私はコンロやオーブンを借りて各パーティーメニューを仕上げていく。
「えーそれと今回はクリスマスライブの打ち上げも兼ねてまーす!SIDEROSの皆さんも楽しんで下さい!」
「「「お邪魔してまーす!!」」」
新宿FOLTで結束バンドと同じくゲスト出演をしていた同年代のバンドSIDEROSの皆さん。素人の私でもその演奏は圧巻と言う他なかった。大槻さんのギター&ボーカルもすごかったな…。それに皆礼儀正しくて良い子達だ。
「あれ?ライブの打ち上げなのにメインの人がいないみたいですけど?」
「円滑に会を進行する為敢えてお呼びしてませーん」
「「「ありがとうございまーす!」」」
廣井さん…同じ新宿のバンドからもそんな扱いなんだね。
「さらに兼お姉ちゃんの誕生日会でーす!」
「いや色々兼ねすぎだろ…」
「え~店長さんは今年で…30歳なんですね!」
「これ以上誕生日の話題掘り下げなくていいから」
星歌さん30歳なのか…25歳位かと思ってた。でもこの手の話題は星歌さん嫌がりそうだし言わないでおこう。
「それと今日のパーティーメニューは全てこちらのぼっちちゃんの叔父さんが用意してくれました!」
「「「ありがとうございまーす!!」」」
「…なるほど、後藤ひとりのおじさんだったのね」
虹夏さんが私を皆に紹介してくれた。周りから注目されるのは少し苦手だけど、SIDEROSの皆に元気よくお礼を言ってもらえて嬉しい。頑張って作った甲斐があったね。
「あっどうも、ひとりちゃんの叔父さんです。皆今日はお疲れ様、ライブ最高にカッコよかったですよ。いろんな
料理をたくさん作ったのでいっぱい食べていってね。あと星歌さん誕生日おめでとうございます」
「あっどうも…誕生日の掘り下げはいいので」
「そんな30歳を迎えたお姉ちゃんにおじさんから特別な料理があります!」
「いやだからもういいから」
「ちなみにあたしも手伝いました!おじさんお願いします!」
「はーい。お待たせしました」
「虹夏話聞け」
本日のメインディッシュ
叔父さん(と虹夏さん)特製ローストビーフ
「「「おお~!」」」
テーブルに置かれた一際目立つ肉の塊に歓声が上がる。
「グルメ番組でしか見ないようなお肉です!」
「一流ホテルのビュッフェみたいですね」
「処女の生き血じゃ補えないほどのパワーを感じるわ~」
1人独特な感想が聞こえた気がするけど喜んでもらえてるみたいだ。
「1人分ずつ切り分けるので言ってくださいね。先ずは星歌さんから、あっソースは玉葱ソースとバルサミコソースがあってどちらも虹夏さんが作ったんですよ。お肉も虹夏さんがずっと時間と温度を見ててくれたおかげで美味しいのができましたよ」
「えっそうなの?」
「そうだよ~温度管理結構大変だったんだ~。ソースはどっちも叔父さんのお墨付きなんだ!お姉ちゃん食べてみて!おじさんお願い」
「うん」
虹夏さんに促され、ローストビーフを切り分けて皿に盛り付け、虹夏さんがソースをかけて星歌さんに手渡した。
「ありがと…じゃあいただきます。あむ…んっ…うまっやわらかっ!…こんなうまい肉初めて食べたよ」
「本当!?よかった~!」
虹夏さんの今日一番の笑みが溢れた。よっぽど嬉しかったのだろう。本当に仲のいい姉妹だね。
「さあ、皆の分も切り分けるから遠慮なく言ってね」
私の呼び掛けで皆は次々と席を立ち、ローストビーフを受け取りに来てくれた。一番早く来たのはリョウさんだった
「オジサン早く厚め、厚めでヨロシク」
「はいはい、すぐ用意するからヨダレは拭こうね」
「まさかSTARRYに呼んでもらえてこんなご馳走まで食べられるなんて感激ですありがとうございます」
「おかわりも遠慮なくしてね」
「今度これの作り方教えてほしいですー」
「うん。いつでも聞いてね」
「屍肉を前に幽々のお友達も狂喜乱舞してますぅ~」
「お友達?バンドメンバーのことかな?」
「…どうも」
「つっきーさんも来てくれてありがとう。腕によりをかけて作ったからたくさん食べていってね」
「あっうん…ありがとう…ございます」
「叔父様…前にも増して節操なしですね!あっ映えるような盛り付け希望です♪」
「喜多さん?何の話かな?」
「あっ叔父さん、お願いします」
「はいはい、何枚くらい食べるかな?」
ローストビーフが全員に行き渡りそれぞれのタイミングで食べ始める。そこかしこで「ん~♪」とか「うま~♪」と耳が幸せになる感想が聞こえてくる。天国はここにあった
「皆の口に合ったようでよかった」
「あれ?おじさん食べてないじゃん」
「あっ叔父さんはいいよ。皆に食べてほしいし」
「ダメだよ!今日のパーティーの参加者はおじさんも含まれてるんだから。はい、あーん」
「えっにっ虹夏さん!?」
「あーん!」
「あっ…あーん…うん。おいしいね」
どうしようすごく恥ずかしい。
「えへへ♪」
「リア充は一番近くにいたのか。虹夏め…いつの間にあんな親密に」
「叔父さん…(あれ?お肉もう食べちゃった…でもおかわりしに行きづらい)」
「えっ伊地知虹夏と3号のおじさんってそうなの?」
「あれは多分違う。そしておかわり貰ってくる」
後半へ続く
↓おまけ
【消去法?】
「皆お疲れ様!このままSTARRYでクリスマスパーティー兼打ち上げ兼お姉ちゃんの誕生日会だけど、おじさんの家で料理を手伝う係とSIDEROSの皆とSTARRYに行ってパーティー会場の準備する係に分かれるよ!ちなみにあたしは料理手伝う方に行くね」
「じゃあ私もそっちに。味見役で」
「却下」
「えー」
「あっじゃっじゃあ私が叔父さんの方で…」
「ぼっちちゃん。大人数の方が苦手だからってこっちに逃げようとしてない?」
「ぐあっ!?(図星)」
「それなら私が行きますよ伊地知先輩!」
「そうだね。…いや待てやっぱりあたしだけでいいや」
「え?どうしてですか?」
「残されたSTARRY側の2人を想像してみて」
「あー…ですね。ひとりちゃん、リョウ先輩素敵なパーティーの飾り付け頑張りましょうね!」
次回 後編
呼んでないアイツがやってくる。