今回は叔父さんが後藤家へ行く話。
だってお正月だもの。
「「「あけましておめでとう!!」」」「ワンワン!」
「はい、あけましておめでとうございます」
一月一日。職業上普通に仕事だった私は夕方に帰宅。但し帰ったの兄さんの家。お正月ということで夕食に招待してもらったのだ。玄関を開けるとニコニコ笑顔の3人と1匹がお正月の挨拶で私を出迎えてくれた。こっちも思わず定型文で返してしまったよ。そのままのテンションでリビングに通される。
「新年早々元気だね後藤家は」
「なら晋作も元気ってことだな!」
「おじちゃんもげんきー!」
「ワンワン!」
「ふふふ♪」
「そうだね。叔父さんふたりちゃんの声で元気が出たよ。はい、そんな良い子のふたりちゃんにお年玉です」
「わーい!おじちゃんありがとう!」
「晋作、俺にはー?」
「私にもあるのかしらー?」
「ワンワンワン!」
「あとはひとりちゃんの分だけですよ。兄さんと美智代さんは自重しようね。ジミヘンは今度おやつ買ってくるよ」
なんと言うか毎日楽しそうだねこの家族は。幸せそうで何よりだよ。
「ひとりちゃんは部屋に籠ってるのかな?」
「ああ、ひとりなら喜多ちゃんと初詣に行ったぞ」
「喜多ちゃんが迎えに来たの!」
「へえ、喜多さんも新年から行動力すごいね」
「晩御飯までには帰るって言ってたからもうすぐ帰って来るんじゃないかしら」
美智代さんの言葉を聞き終えたくらいのタイミングで玄関の扉が開く音がした。噂をすればなんとやら。ひとりちゃんが帰ってきたみたいだね。
「おねーちゃんおかえりー!」
「た…ただいま…うう…おえ…」
「ひとりちゃん!?大丈夫かい!?」
玄関まで見に行くと、数字の6を散りばめたような顔で下半身がスライム状と化したひとりちゃんがプルプル震えながら立ち尽くしていた。
「あははははー♪おねーちゃん福笑いみたいー!」
「ワワワンワン!」
「ひとりちゃんしっかりして!いったい何があったの?」
「あっ叔父さん…あけまして…おめ…で…うっぐふっ」
「ひとりちゃーん!」
「あらあら大変!でも私にまかせて!こういう時のひとりちゃんは化粧水と片栗粉を使って体を復元するのよー♪」
数十分後、美智代さんの手慣れた蘇生術でひとりちゃんが復活。化粧水と片栗粉ってそんな使い方があったんだね。叔父さんビックリだ。今更だけどひとりちゃんの体はどういう構造をしてるのだろう…。
「あっ叔父さんごっご心配おかけしました。あっあとあけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう。元に戻れてよかったよ…喜多さんと初詣に行ってたんだよね?そんなに大変だったのかい?」
「あっはい。あっいや、喜多ちゃんとの初詣は楽しかったんですけど…その後喜多ちゃんのクラスメイトと鉢合わせして、なっなんか話が盛り上がって新年カラオケ大会しに行くことになって…うう…この辺りから記憶ががが」
「うん、もういいよ。無理して思い出さなくていいから。あっそうだ、はいこれお年玉」
「あっありがとうございます。えへへ」
ポチ袋を受け取りニコニコするひとりちゃん。今年初の
かわいいいただきました。
「おーい晩御飯できるぞー」
「あっごめん兄さん達に全部やらせて」
「いいから座ってろって。仕事で疲れてるだろ?」
「はーいお鍋ができましたよー♪」
ふむ、2人の優しさが心にしみるね。
本日の晩御飯
後藤家特製カニすき
「では皆の者!手を合わせよ!」
「はーい!」
「あっはい」
「はい」
「「「「「いただきます」」」」」
新年初晩御飯はカニすき。兄さんがお正月用に奮発したらしい。鍋の中には立派なズワイ蟹とタラバ蟹が所狭しと敷き詰められている。これはきっとすごい出汁が出るね。
「かにー!おじちゃんとってー」
「はいはい、待っててね。はいどうぞ」
「うまーい!カニカマよりおいしー♪」
「うまい!ズワイとタラバどっちにしようか迷ったけど両方買って正解だったな!」
「せっかくのお正月だしたまにはいいわよねー♪」
フフフ、賑やかなことこの上ないね。人はカニを食べる時静かになるって話をよく聞くけど、後藤家には全然通用しないみたいだね。
「はむっ…、…っ、…んっんっ…♪」
おお…耳を澄ましてみると、鍋のグツグツ煮える音と別に僅かにひとりちゃんの咀嚼音が…。このASMRは即録音して起床時と仕事中と就寝時に聴いていたいね。変態的だから絶対口には出さないけど。
「晋作もドンドン食えよ?シメも用意してるからな!」
「うん、ありがとう。これは良いカニだね。シメはうどんか雑炊かな?」
「お、鋭いな!両方ともやるぞ!うどんもうまいし雑炊も最高の出汁で作るから楽しみだなー!…あれ?そういえば雑炊とおじやって何が違うんだ?」
「あーそれは、ご飯を1度水で洗ってから出汁に入れるのが雑炊で、そのまま入れて作るのがおじやだよ」
「えっ、違いそれだけ?」
「うんそれだけ。でも仕上がりは大分違うよ。雑炊はサラッとしてておじやは米の粘りでドロリとしてるかな」
「あっ叔父さん物知りですね」
「おじちゃんお料理博士ー!」
「さすが調理師さんねー♪」
「あっどうも。いや、偶々テレビでやってた雑学バラエティでやってたのを観て覚えてただけなんだけどね」
「いや勉強して知ってたやつじゃないんか~い!まあいいや、それじゃ雑炊は晋作にお願いしようかな!」
本当に賑やかであたたかい家族だね。しょうがないなぁ、そんな後藤家の皆に叔父さんが最高のシメ作っちゃうよ。
あっその前にうどんをいただきます。
鍋に残った出汁を一度ザルにあけ、汁だけを戻し火にかける。洗ったご飯とほぐしたカニの身を入れて5分程度煮る。溶き卵を回し入れ、あさつきを散らして「完成」
本日の鍋のシメ
叔父さん特製カニ雑炊
「はいできたよー」
「おいしそー!」
「じゅるり…」
「うーん、やっぱり手際と出来栄えが段違いだな!」
「はいふたりちゃん、熱いから気をつけてね」
「うん!」
「あつっあっはふっんぐっ…あっおいひいれふ」
「あ~ひとりちゃんも気をつけてね」
最後までカニ尽くしでカニをこれでもかと堪能できたいい鍋になったね。こんな素敵な食卓に呼んでもらえて感謝感激雨霰だね。
ごちそうさまでした
「ごちそうさま。今日はありがとう」
「本当に泊まっていかなくていいのかー? 」
「そうしたいのは山々だけど明日も仕事だからね」
「明日も?しゃっ社畜か!?」
「あらあら大変ねー」
「そういう職業だからしょうがない。まあもう慣れたし私は平気だよ」
「おじちゃんばいばーい!」
「ワンワン!」
「はいバイバーイ。ジミヘンもまたね」
「次は彼女か奥さんも一緒にねー♪」
「はははは。それはいつになるでしょうねぇ」
つい目をそらす私。そういう出会いなんてないからなぁ。まあそもそも仕事と趣味に全力で、ひとりちゃんをはじめとした料理を食べてくれる人がいるだけで満たされてるから現状で満足なんだけどね。
「あっあの、叔父さん」
「ん、何だい?」
「ごっご飯とかライブの応援とか…みっ未確認ライオットも頑張るので、今年もよろしくお願いします」
「うん、私の方こそよろしくお願いします。今年もひとりちゃんの食べっぷりを楽しみにしてるね」
次回 引きこもりベーシストと姪と◯◯
原作屈指のあの子が可愛く思えるようになる回。
の前と後の話。