ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。

年が明けてもご飯を食べさせ続ける叔父さんです。
本日は山田リョウの誕生日。めでたいですね!
今回はそんな山田がやって来る話。



引きこもりベーシストと姪とクラブハウスサンド

新年になり、初のバイトということでひとりちゃんが家に戻って来る。遅めにもらった正月休み(ただのシフト通りの公休)を使って部屋の掃除やご飯の支度は万全だ。後はひとりちゃんを迎え入れるだけ

 

ピンポーン

 

あれ?思ってたよりも早いね。昼ご飯食べてから来るって聞いてたけどSTARRYに行くのが待ちきれなかったかな?私は数日前に会ったばかりにも拘わらず、また姪にご飯を食べさせてあげられる嬉しさを隠しきれないまま「はーい」という返事と共に玄関のドアを開けた。

 

「オジサンやっほー」

 

「あれ?リョウさん!?えーと、ひとりちゃんはまだ来てないよ?」

 

「うん知ってる。今日はオジサン(のご飯)目当てで来た」

 

「そっそうなの?」

 

「うん。あっさすがにこの時期は野草が見つからなかったから代わりにこれを」

 

「あっこれはどうも?」

リョウさんが渡してきたのは一枚のハガキ。郵便番号も住所も書かれていない。ど真ん中になかなか達筆な字で『オジサンへ』とだけ書いてある。裏を見るとこれまた達筆な字で『あけましておめでとう』の文字が。

「ああ、年賀状か!ありがとう。なんと言うかとてもリョウさんらしい年賀状だね」

 

「今年もよろしく。特にご飯関連で」

 

「あっはい」

新年からリョウさん節が止まらないね。

 

「早速だけどご飯…食べられる?」

 

「もちろんいいよ。簡単なのでよければだけど」

 

「やったぜ」コロンビア

 

ベーコンをカリッとするまでフライパンで焼く。醤油、味醂、生姜を合わせたものに漬け込んだ鶏モモ肉を焼き、薄めにスライスする。ゆで卵、トマト、キュウリを薄切りにしてレタスは水洗いしキッチンペーパーで水気を拭き取る。食パンをトーストしホワイトペッパーを入れクリーム状になるまで混ぜたバターを塗る。ベーコン、ゆで卵、トマト、キュウリ、レタスと鶏モモ肉、ゆで卵、トマト、キュウリ、レタスをそれぞれ食パンに挟み平皿で重しをして全体を馴染ませる。ピックを刺して半分に切って「完成」

 

本日の昼御飯

叔父さん特製クラブハウスサンド

コーンスープ

 

「では手を合わせて下さい」

 

「ん」

 

「「いただきます」」

 

リョウさんは余程お腹が空いていたのかクラブハウスサンドを勢いよくパクッと一齧り。トースト部分のカリッという小気味いい音を立て、その後モグモグと豪快に咀嚼。「んっうんっ…」と静かに頷きながら味を確かめる。

 

「ゴクン…うん、やっぱりオジサンのご飯は魔性の味」

 

「そうかい?おかわりも出来るから遠慮なく言ってね?」

 

「ありがとうオジサン」

 

そう言い終わるとリョウさんはまた黙々と食べ進める。

かわいい。…でもなんだろう。なんとなくいつものリョウさんと少し雰囲気が違うような…。気のせいかな?

 

「んっんぐっ…ふぅ。大変美味でした」

クラブハウスサンドを食べ終わりコーンスープを飲み干したリョウさんは両手を合わせてごちそうさまの意を示した。

 

「はいお粗末様でした。完食してくれてありがとう」

 

「うん…」

 

少しの間の無言の時間。リョウさんなので静かなのは気にならない。ただやっぱりいつもと空気感が違う気がする。

 

「ねえオジサン…料理がうまく作れなかった事ってある?」

 

「えっ料理?…うん、あるよ」

 

「あるんだ…こんなに美味しかったのに」

 

「そうだね。今までたくさん失敗したよ。変なアレンジしたり、火を通しすぎたり、仕事でもよく怒られた…。何度食材を無駄にしたことか…」

 

「へえ…意外」

 

「でも何でそんな事聞くんだい?」

 

「…まあちょっとね」

 

ふむ、何か言いづらい理由があるみたいだね。無理に聞き出すのは野暮というものか。

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「オジサンゴチでした。…あの、1つお願いがあるんだけどいい?」

 

「うん、何かな?」

 

「今日ここに来たことはぼっち達には内緒にしてほしい」

 

「ひとりちゃん達に?」

 

「うん。…ダメ?」

 

「…」

きっとちゃんとした理由があるんだよね?それにリョウさんのこの表情、とても真剣で考えなしに言ってるようには見えない。信じよう。

「わかった。じゃあ今日の事は2人だけの秘密だね」

 

「…ありがとうオジサン」

 

私の返答を聞くとリョウさんは満足そうに帰っていった。多分結束バンド関連で何か悩んでいるようだったみたい。

リョウさん、ひとりちゃん達に相談してないっぽいしこのままで解決できるのだろうか…?うーん、これ以上は叔父さんが口出しできることじゃないからなぁ。内緒にするって約束もあるし一先ず様子見かな。

 

 

 

「あっただいまです」

 

「ひとりちゃんおかえり。この後はバイト行くのかな?」

 

「あっはい。荷物置いたら行ってきます」

 

「そっか。頑張ってね」

 

 

ピロン

ひとりちゃんがバイトに行ってしばらく経った頃、スマホのロイン通話から着信がきた。珍しいこともあるもんだ。って喜多さんから!?益々珍しい。

 

「はいもしもし」

 

『叔父様ー!?』

 

「うわっビックリした」

 

『リョウ先輩知りませんか!?』

 

「えっリョウさん?」

ドキッとした。まさかもうバレた?いやいやいやそんな事はない筈だ。

「ごめん知らないや。リョウさんバイトに来てないのかい?」

 

『はい、学校にも来てないみたいで。やっぱり!これは恋!男がいるんだわー!』

 

「えっ男?」

 

『悪い男に引っ掛かったに違いないわ!叔父様以外の男がリョウ先輩を変えてしまったのよ~!こんなに女子がいるのに誰1人浮かれた話がないから安心してたけどそんな事なかった!女子高生だもの当然よね!ねっ!叔父様もそう思いますよね!?』

 

「えっあのちょっと喜多さん落ち着いて」

 

『バンドマンかしら…絶対そうよね同じベーシストかもしれないわ。しかも相当な実力を持った人で収入もすごくて先輩の浪費にも対応できるくらいのブツブツ…』

 

「喜多さーん?聞こえてる?」

 

『喜多ちゃんちょっと代わって!あっおじさんごめんね?最近バイトでリョウに会えないから喜多ちゃんちょっとおかしくなってて…こっちの話も聞いてくれなくてさ…』

 

「そっそうなんだ…」

リョウさん何も言ってなかったけど結束バンドが結構大変なことになってない?特に喜多さん。

 

『そんな訳だから!急に電話してごめんねおじさん。もしリョウから連絡あったら教えてね!』

 

「あっはい」

昼間のリョウさんの様子に違和感があったのはこういうことだったのか。リョウさんバイトも学校も行ってないっぽいし心配だな…。

 

 

ピロン

ん?ひとりちゃんからのロインだ。

 

 

今から皆でリョウ先輩の様子を見に家へ行ってみます

何かわかったら叔父さんにも連絡します

 

 

あれ、今から行くの?皆バイトじゃないの?何か別の心配事が生まれてしまったぞ。STARRYは大丈夫かな…。




次回 ウー◯ーイーツさせる姪と◯◯

山田リョウさん誕生日おめでとうございます。
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