ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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2月だからね。これも食べさせたいよね!
そしてついにあの2人にも叔父さんの(料理の)魔の手が…


MV撮影の姪とガトーショコラ

恵方巻きの願掛けから数日後、ひとりちゃんへ『新曲ができた』とリョウさんから連絡がきた。

 

 

「3日3晩徹夜して作詞した甲斐がありました…へへ」

と、ひとりちゃんが嬉しそうに私に報告してくれた。実際作詞してる最中は前の時よりも悩んで頭を抱えていたのを知っているので、完成したと聞いて私も心底安堵した。

その後意気揚々とSTARRYへ向かい、今頃は新曲を試聴

している頃だろうか。どんな曲なのか私も楽しみだな。

 

 

ピロン

ロインだ。喜多さんから?

 

 

今から皆で新曲のMV撮影に行ってきます!制作風景を

アップするので公式トゥイッターも注目してて下さい!

 

 

MV?ああミュージックビデオか。オーチューブとかの動画サイトによく上がっているやつだね。その撮影か…。自分達で撮って編集するのかな?

 

喜多さんは宣言通り結束バンドの公式トゥイッターにMV撮影の模様を逐一上げてくれた。それによって分かったことは、お金がないのでスタジオ等を使わず外で撮影すること。ファン1号さん2号さんが協力してくれていること。近所の公園に向かっていることだった。公園はここからそう遠くない。この寒空の下での撮影はきっと大変だろう。何か温まる物を差し入れして上げたいな。2月だし時期的にちょうどいいアレを作ろうかな。

 

 

マフィンカップの内側にマーガリンを塗り粉をふっておく。チョコレートを湯煎で溶かして更にバターを入れて溶かす。卵白に砂糖を数回に分けて入れながらハンドミキサーで混ぜ合わせてメレンゲを作る。卵黄、砂糖、溶かしておいたチョコレート、ココアパウダー、薄力粉を練りすぎないように混ぜ合わせ、メレンゲを数回に分けながら入れて混ぜる。マフィンカップに生地を入れて180℃のオーブンで20分焼く。仕上げに粉砂糖を振りかけて「完成」

 

 

出掛ける前に荷物を確認。差し入れのお菓子、大きめの水筒、紙コップ、除菌ウェットティッシュ、使い捨てスプーン、回収用ゴミ袋。よし、準備万端いざ出発。

 

 

公園に着くとトゥイッターで言っていた通り結束バンドのみんなと1号さん2号さんがいて、ちょうど公園の遊具で遊んでいる結束バンドを撮っているところだった。何故かひとりちゃんは隅っこの方で体育座りしてたけど。

 

私は撮影が終わったであろうタイミングで声をかけた。

「こんにちはー」

 

「あれ?3号さん?」

 

「おじさん!?どうしてここに?」

 

「喜多さんがトゥイッターでこの公園でMVの撮影中って呟いてたのを見てね。様子を見に来たんだよ」

 

「3号さんも結束バンドガチ勢ですねー♪」

 

「でも例え3号さんでもMVの完成までは映像は見せられないですよ?」

 

「うん、大丈夫。その辺は弁えてるから」

 

「なら晋作オジサンは何故ここに?」

 

「あーそれはね」

私はみんなの前で持ってきた荷物を開けてみせた。

「この寒い中外での撮影大変だと思ってね…差し入れ持ってきました」「いただきます!」

 

「いや早っ!」

 

 

本日のおやつ

叔父さん特製ガトーショコラ

あったかロイヤルミルクティー(無糖)

 

「はいこれ、1号さん2号さんの分です」

 

「えっ私達もいいんですか!?」

 

「もちろん。そのために持ってきましたから」

 

「わぁ~♪3号さんパティシエだったんだ~♪」

 

「いえ、普通の調理師ですよ。さ、遠慮せずにどうぞ」

 

「ありがとうございます!いただきまーす♪」

全員にガトーショコラとミルクティーが行き渡り、各々食べ始める。間に合うようにわりと急いで作ったけどうまく出来ているだろうか…。特に1号さんと2号さんに食べてもらうのは初めてだから少し緊張するな。

 

「うま~♪外さっくりで中しっとり~。おじさん、今度これ教えて!」

 

「うんいいよ。やってみると案外簡単にできるし」

 

「んむっんっうまい。晋作オジサンはいつも私が今欲しいものを持ってきてくれる神オジサン」

 

「大袈裟だよリョウさん」

 

「叔父様、もしかしてですけどバレンタインの時期だからガトーショコラの差し入れしてくれたんですか?」

 

「あっわかってくれた?まあ所謂逆チョコってやつだね」

 

「叔父様の逆チョコ!素敵ね♪」

 

「逆チョコ…バッバレンタインなんて陽キャ限定イベントに私が関わるだけでも奇跡的なのに、まっましてや叔父さんから逆チョコをもらってそれをバンドメンバーやファンに囲まれながら食べる。つまり今の私は完全なる陽キャ…わっ私明日死ぬのかな?」

 

「死なない死なない、ひとりちゃん落ち着いて。ほら、まずは一口どうぞ」

 

「あっはい。はむはむ…んっふぁあっおいひいれふ」

 

「ほぅ…ミルクティーあったかい…本当に美味しい。あの、前から思ってたんですけど3号さんって何者なんですか?」

 

「私も思ってた。結束バンド全員と親しげだし…特にひとりちゃんと」

 

おや?2号さん視線が少し怖い?

 

「あれ?おじさん言ってなかったの?」

 

「そうだね。そういえば言うタイミングがないまま今に至るね。特に支障もなかったし」

 

「叔父様はひとりちゃんの叔父なんですよ」

 

「そして今や晋作オジサンは結束バンド専属オジサン」

 

「なるほど…おじさんってそういう意味」

 

「まぁそういう訳です。でも今まで通りファン3号として接してもらえるとありがたいです」

 

「もちろん!同じバンドを愛する同志だもんね!」

 

「そっそうだね!最初はビックリしたけど3号さんは3号さんだよね」

 

「2人ともありがとう。MVもファンとして完成を楽しみにしてるよ」

 

この後みんなは持ってきた差し入れを全部食べてくれた。終始美味しい美味しいと笑顔で言ってくれたので作ってきた甲斐があったというものだ。MV撮影の進捗も順調らしいし、気分もリフレッシュできたみたいで何よりだと思う。逆チョコ作戦大成功かな?

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「じゃあ叔父さんは帰ります。残りの撮影も頑張ってね!ひとりちゃん気をつけて帰ってくるんだよ」

 

「あっはい」

 

「おじさん差し入れの逆チョコだけして帰っていったね」

 

「叔父様らしいですね♪」

 

「晋作オジサンのホワイトデーにも期待しとこう」

 

「いやなんで来月もリョウが貰う側なんだ」

 

「ちょっと待ってジカちゃん」

 

「えっどしたの?1号さん」

 

「ひとりちゃんって3号さんの家に住んでるの?」

 

「あっはい。平日とライブの前の日は叔父さんの家です」

 

「それって大丈夫なの!?」

 

「あー…これは」

 

「最初の方の虹夏を思い出すね」

 

「ですね!説明しておかないと」

 

この後結束バンド全員で叔父さんの安全性を懇切丁寧に説明し、1号さん2号さんに納得してもらいました。その頃結束バンドのおかげで誤解による社会的な死を免れたことなど夢にも思わない叔父さんは今夜の晩御飯のメニューを呑気に考えてましたとさ。

 




次回 50話突破記念の◯◯

↓人物紹介10
ファン1号2号
叔父さんに胃袋を掴まれちゃった系女子その13と14
叔父さんのことを3号さんと呼ぶ結束バンドの古参ファン。最推しのひとりちゃんの叔父ということを知っても変わらず結束バンドファン仲間として接してくれる美大生。ただ2号さんは少しだけ妬いている。

↓おまけ
もしもぼっち・ざ・ろっく!のキャラが◯◯だったら

もしも童話の主人公だったら

後藤ひとり×鶴の恩返し

配役
鶴→後藤ひとり
鶴を助けた人→叔父さん

「あっじゃっじゃあ部屋に籠るので、けっ決して覗かないで下さいね?」

「うんわかった。覗かないよ。必要な物があったら用意するから言ってね。あっ晩御飯は何時ごろがいいかな?」

「あっじゃあ19時頃で…」

「わかった。ご馳走用意するからね!」

「あっはい」
(あれぇ?なんか恩返しに来た筈なのに私がもてなされてるような…)

1年後
「あっあの、本当に1度も覗かなかったですね」

「うん。約束だからね!」

「じっ実は私はあの時助けていただいた鶴でして…」

「えっそうなの?」

「あっはい。なので恩返しのためにここへ来たんです…そっそれで部屋でずっとギター弾いてて」

「あーなんかジャンジャン音がすると思ってたらそういうことだったんだ」

「そっそれを動画サイトにあげてたら広告収入もらえるようになりましてへへへ…」

「そうなんだ…すごく頑張ったんだね。あっ今日は良い魚が釣れたんだけど晩御飯はいつもの時間でいい?」

「あっはい」
(あれぇ?これ恩返しになってないんじゃ…むしろさらに返すべき恩が貯まっていってるような…)

めでたしめでたし

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