ひとりちゃん不在なのに以下略。寒い時期はやっぱり
おでんだよね!そう、おでんを食べるだけですよ。
それ以外の過度な期待は厳禁ですよ?
前回までのあらすじ
叔父さん、喜多さん(とひとりちゃん)とのカラオケデートのお誘いを華麗にスルー
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週末ぼっち飯のために買い物へ行くと同じく買い物へ来た虹夏ちゃんと遭遇
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虹夏ちゃんが叔父さんを晩御飯に誘う
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伊地知家到着。虹夏ちゃんと一緒にレッツクッキング。
最高のおでん作ろうぜ!←今ココ!
「じゃあ時間のかかる具材の下準備から始めようか」
「はーい♪」
大根を皮ごと厚めの輪切りにし、皮のすぐ内側にある節を剥き取る要領で皮を剥く。角を面取りして断面に十字に隠し包丁を入れ、米のとぎ汁で下茹でする。
コンニャクは網目状に切れ目を入れて食べやすい大きさに切り、臭みを取るために下茹でする。
じゃが芋も食べやすく切ったら面取りし、かために茹でる。
「こうしておくと味が染み込みやすくなるよ」
「へぇ~大根の皮ってこんなに厚く剥くんだね。あっゆで卵の殻はあたしが剥くよ!」
「うん、お願いしようかな」
厚揚げ、各種練り物とモチ巾着は表面に熱湯をかけて油抜きをする。タコ、牛スジは下茹でし、小さめに切ってから串に刺す。手羽先はフライパンで軽く焼いておく。
「おでんネタの準備はこんなものかな」
「いっぱいあるね~。今からでもどれを食べようか迷っちゃうね!」
「次はおでんの出汁だね」
鍋に水を入れ昆布を30分ほど浸しておく。中火にかけて沸騰直前に昆布を取り出す。次にたっぷりの鰹節を入れて5分ほど煮出してから濾す。薄口醤油、みりん、砂糖、塩を入れて味を付ける。
「出汁はこんな感じかな。虹夏さん味見してみてくれるかい?」
「は~い。ズズッ…うん、美味しい!でもちょっと濃いめかな?」
「これからたくさんの食材を煮て味を染み込ませていくからね。最初は少し濃いめにするとちょうどいいんだよ」
「なるほど、ならこれでOKだね!」
おでん出汁に大根、卵、コンニャク、厚揚げ、じゃが芋、手羽先を先に入れる。1時間ほど煮たら練り物、モチ巾着、タコ、牛スジを入れて10分くらい煮たら一度火を止める。
「これで1回完全に冷まして味を染み込ませるよ」
「あ~確か煮物は冷めるときに味が染みるんだっけ」
「そうそう、欲を言えば冷蔵庫に入れて一晩冷やすといいんだけどね。まあ今は寒いから常温でも十分味が入るよ」
「そっか。なんか楽しみになってきた!」
「虹夏さんが手伝ってくれたから思ってたより早く仕込みが終わっちゃったね」
「えへへ~お役に立てたようでよかったよ。お姉ちゃん達帰ってくるまでもう少し時間あるからそれまではだら~っとしてよ~」
「フフ…そうだね」
ほとんどの準備を終えた私達は、テーブルに向かい合って座り他愛ない会話で盛り上がった。お互いの普段の料理のこと、新曲MVのこと、未確認ライオットのデモ審査のこと等々…。話している時の虹夏さんは終始ニコニコしていて、露骨に上機嫌であることが伺えた。きっと星歌さんにおでんを振る舞うのが楽しみで仕方がないんだね!
ピロンピロン
そんな会話中にロインの通知音がきた。
「これは…喜多さんから?」
「あっ!あたしにも喜多ちゃんからロインきてる…」
送られてきたロインには満面の笑みで写っている喜多さんとジミヘンを抱いたふたりちゃんのツーショット写真と『ひとりちゃんの家ナウ!今日はお泊まりです♪』のメッセージが続いていた。
「喜多さん今ひとりちゃんの家にいるんだね。カラオケだけでは遊び足りなかったのかな」
「喜多ちゃん行動力の権化だからね~。これはあたし達も負けてられないね!」
虹夏さんはそう言って私の側に駆け寄って来たかと思うと、スマホで自分と私のツーショットを撮り始めた。
「はいおじさん笑って~」
「えっ」
「もっと寄って~」
「えっ」
「ヘイチーズゥ!」
「チッ…チーズ?」
「うーん、おじさん顔がぎこちないけど…まいっか!」
虹夏さんは慣れた手つきでスマホを操作し、今撮った写真とメッセージをロインに送った。
ピロン
あっ私にも送ってくれたみたいだ。どれどれ…
ぼっちちゃんの家でお泊まり楽しそうだね♪伊地知家はおじさんと作ったおでんが晩御飯だよ!
私と虹夏さんのツーショット写真も添付されている。
うむ、恥ずかしい。
「あっお姉ちゃん達もうすぐ帰ってくるって!」
「そっか。なら晩御飯の準備進めていこうか」
「うん!」
おでん鍋を温め直している間にカセットコンロや食器を用意する。
「今日はこたつで食べるよ!冬はやっぱりこたつで鍋だよね!」
という号令に従い、こたつに晩御飯の準備を整えていく。そうこうしているうちに玄関が開く音がした。
「ただいま…あっすごくいい匂い…」
「お邪魔しますー。ほぉっこれは…お腹空きますねー」
「あぁ~もうこの匂いでおにころが進むれぇ~」
「お姉ちゃんおかえり~ご飯の準備できてるよ!」
星歌さん達の帰宅。星歌さんとは会ってすぐにお互いに「どうもどうも」と大人な挨拶合戦が繰り広げられ、廣井さんは既に何本かおにころをキメテいる様子で、PAさんは目が合うとニッコリと微笑んで会釈してくれた。
「皆さんおかえりなさい。ご飯すぐに食べられますよ」
星歌さん達をこたつのある部屋に促すと、3人は吸い込まれるようにこたつに入っていく。
「うう…寒かったぁ生き返るぅ~早くご飯食べよ~」
「自分家かよ…」
「STARRYからここまでだけでそんなに寒がる?」
「まだまだ寒いですからねー」
「では食べましょうか…あ」
と思ったけどよく見たらこのこたつは4人用。虹夏さん、星歌さん、PAさん、廣井さんが座るともう満席だ。どうしようかな。
「じゃあおじさん、ここ座って」
「えっ」
虹夏さんはこたつの残り一ヶ所に腰かけると、左側にスペースを空けてそこをポンポンと叩いてみせた。いやいや。
「えっでも…」
「遠慮しないでほら」ポンポン
「うっうん」
まあ現実的にどこかに座らないとだししょうがない。ふむ、虹夏さんが近い。手が当たってご飯の邪魔にならないようにしないとね。
「虹夏さん狭くないかな?」
「へーきへーき!あたし体ちっちゃいから!おじさんこそ食べづらくない?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
虹夏さんの優しさが心に染みるね。気を取り直して私は、カセットコンロの火でグツグツと音を立てている鍋の蓋を取った。辺りに美味しそうな匂いと湯気が立ち上る。
「完成」
本日の晩御飯
叔父さんと虹夏さん特製おでん
「おぉ…」
「うまそ~らね~」
「あたしとおじさんの力作だからね!じゃあ手を合わせてくださ~い!」
「あっ(セリフ取られちゃった…)はい」
「「「「「いただきます」」」」」
鍋の中でたくさんのネタが所狭しと詰め込まれたおでん。冬のド定番料理な上、味付けもオーソドックスに仕上がっているが果たして大人組の3人には気に入ってもらえるだろうか…。
「この大根味染み染みでウマ~♪これで飲まないなんてあり得ないれぇ~」
「すごく味が入ってると思ったらコンニャクにこんなに細かい切れ目が…さすがおじさまですねぇー」
「あつつ…うん、卵も中まで出汁が染みてるな。辛子ともよく合う」
「ゆで卵はあたしがやったんだ~。結構キレイにできてるでしょ?はむっ…ん~!モチ巾着のこのジュワッもちっがたまらない~♪」
ヨシヨシ。どうやら好評なようだ。
「味変で魚粉と味噌ダレがあるので遠慮なく使ってくださいね」
「静岡と愛知のおでんみたいですねー」
「うめぇ…もうおっちゃんずっとここにいて~私も毎日来るから~」
「ここは私と虹夏の家なんだが?てか来んな」
「あんまり粗相するなら追い出しますよ?」
「うえーんこの姉妹優しくない~」
冬の夜にこたつでおでん。ひとりちゃんのいない週末がこんな素敵な晩御飯になるとは思わなかった。家で1人で食べるよりも何倍も楽しくて美味しいな…。誘ってくれた虹夏さんに圧倒的感謝だ。
ごちそうさまでした
「片付けるのは私達がやるから、叔父さんと虹夏はゆっくりしててくれ」
「えっでも」
「いいから。うまいおでん作ってくれたお礼だよ。ほらお前らやるぞ」
「はーい。ちゃちゃっと片付けちゃいましょうー」
「え~…私もお客様なのに~」
「飯代払って今すぐ帰るか片付けて風呂入るか選べ」
「喜んで片付けさせてもらいます!」
「あはは…」
大人組3人の片付けが始まり、こたつに入っているのは私と虹夏さんだけになった。背中越しに食器を洗ったりカセットコンロをしまう音が聞こえる。そうだ、今日のお礼をちゃんと言わなきゃね。
「虹夏さん、今日は…えっ」
すぐ隣にいる虹夏さんの方を振り向くと、目の前にはドリトスと黄色いサイドテール。それがコテンとこちらに傾いた。
「すぅ…すぅ…」
私の肩に頭を預けて寝息を立てる虹夏さん。どうしよう、動けなくなってしまった。
「…」
毎日毎日学校と家事とバンドとバイト。きっととても忙しいに違いない。特に最近では未確認ライオットのためにバンド活動に一層力を入れているし…こんな小柄な女の子にこれ程のパワーがあるなんて驚きだ。
「あれは…虹夏のやつ電池切れか?」
「仲良しですねー。ちょっと妬いちゃいます」
「甘酸っぺ~な~私の時にもあんなおっちゃんがいればなぁ…今夜はやけ酒だぁ~」
「それ以上飲んだら風呂入れてやらねぇぞ」
それから暫く2人の静かで穏やかな時間が過ぎて…
「…ん…あ…やばっ寝ちゃってた…?あ」
「おはよう虹夏さん」
「ごっごめんおじさん!重かったよね!?」
「大丈夫大丈夫。だから落ち着いて」
「こたつで寝たら風邪引くぞー」
「おじさまを枕にするなんてロックですねー」
「お姉ちゃん達見てたなら起こしてよ~!」
うん、かわいい。
微笑ましい姉妹の戯れも見れたことだし私はここらで帰りましょうかね。
「虹夏さんも起きたことだし私は帰りますね」
「あっ待って待って、下まで送るよ!」
虹夏さんのマンションの下。STARRYのすぐ側で別れの挨拶をする。寒いから態々見送ってくれなくてもよかったのに…虹夏さんは律儀だね。
「今日はありがとう。虹夏さんのおかげでとても楽しかったし皆に食べてもらえて嬉しかったよ」
「あたしの方こそ一緒に料理できて楽しかった!……あのねおじさん、最後に一つだけお願いがあるんだけどいいかな?」
私から目をそらしモジモジしながら虹夏さんはそう言った。こんなお願いのされ方したら断れる人はいないね。
「うん、何かな?」
「虹夏“さん”はもうやめてほしいな…って」
「…うん」
「あたしもおじさんのこと今度から“晋作さん”って呼ぶから!」
「わかった。これからもよろしくね虹夏ちゃん」
「うん!またね晋作さん!」
伊地知虹夏の叔父さんの呼び方が変わりました。
おじさん→晋作さん
ほーらラブコメじゃなかったでしょ?
次回 ごとりちゃんと呼ばれる姪と◯◯
↓おまけ
もしもぼっち・ざ・ろっく!のキャラが◯◯だったら
もしも童話の主人公だったら
伊地知 虹夏×シンデレラ
配役
ニジデレラ→虹夏ちゃん
王子様→叔父さん
継母→星歌さん
義姉1→ヨヨコ
義姉2→リョウ
「このガラスのドリトスに合う娘はこの町にいないのか…ここが最後の家。ここに昨晩のあの子が居るといいのだが…」
「王子様!この私、義姉1こそがそのドリトスに合う娘ですわ!」
「おおそうか!では早速着けてみよう!」グサー
「痛っいたたたた!刺さってる刺さってる!!」
「ふむ…この子ではなかったか…これで98人目の間違いだな」
「被害者多くない!?血でてるし!」ドクドク
「次は私、義姉2がお相手いたす」
「おお!では今度こそ本人であることを祈っていざ!」グサー
「ギャー痛い。これは慰謝料案件だ」
「この子でもないか…やはり昨晩のあの美女は幻だったのか…」
「家の娘達に怪我させるのやめてくれませんかね」
「おお!ドリトスが頭に!あなたにこの2人以外の娘さんはいらっしゃいませんか?」
「いっ…いいいいいませんよ?」
「お母様嘘下手すぎだわ!」ドクドク
「プフッその歳でお母様ってプフフッ」ドクドク
「お前後で覚えてろよ?」
「居るんですね!?」
「はい!あたしです!」
「ちょっとニジデレラ!あんたには掃除と洗濯と料理を任せてたじゃない!」
「あっ全部終わってるよ~」
「あっそっそうなの?家事レベル高すぎない!?」
「虹夏。私は今日はお肉の気分」
「ニジデレラな?あと今日はもう煮魚作っちゃったよ」
「ニジデレラって言いにくいんだもん」
「コホン!あーニジデレラさん?あなたにもこのガラスのドリトスを着けてみてもよろしいですか?」
「はいどうぞ!」
「では失礼して…おお!あなたが昨晩のあの子だったのですね!」
「はい!そうです!」
「くっ悔しいけどピッタリだわ…というか浮いてるわドリトス」
「ドリトスのない虹…デレラはニジデレラにあらず」
「よかったなニジデレラ。王子様とお城で幸せに暮らせよ」
「え?何言ってんの?あたしお城には行かないよ?」
「え?ニッニジデレラ!?」
「なんでよ!玉の輿じゃない!」
「あたしが出ていったら誰がこの家の掃除と洗濯と料理するの!お姉…お母様自分で起きられないでしょ!お姉様(1)はあたし以外に友達いないしお姉様(2)はほっといたら金欠になって草食べ出すしあたしが面倒見ないと!」
「ニジデレラ…お前そこまで私達のことを…」
「ニッニジデレラ優しい…好き」
「べっ別にあんた以外にもとっ友達くらいいるし!一万人くらいいるし!でもあんたがどうしても一緒にいたいって言うなら一緒にいてやらなくもな…」ブツブツ
「という訳であたしはお城へは行けませんごめんなさい!」
「あっはい」
めでたしめでたし
つづく(続けてもいいよね?)