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今回は珍しく叔父さんの出番が少ない回。
ひとりちゃんの自己(事故)紹介後のお話。
そしてあのキャラも出てきちゃうらしいよ。
4月になった。
新学年。つまりはクラス替え。運良く喜多ちゃんと同じクラスになれたのはよかったけど、陰キャのトラウマ学校イベント第3位(日本陰キャ協会調べ)のこの鬼畜イベントを乗り切るために用意した自己紹介文も渾身の一発芸も全くと言っていいほど盛り上がらなかった…。なんでかな?やっぱり「名前の通りリアルぼっちなのだ!なはは☆」よりも「名前と同じでリアルのぼっちなんです~てへっ☆」の方が親しみが生まれてよかったかも。
「いやそういう次元の問題じゃないのよひとりちゃん」
「あっはい」
喜多ちゃんにまた私の思考を読まれてしまった…。放課後の現在、私と喜多ちゃんは教室に残って反省会の真っ最中。机越しに向かい合って座り、今日の良くなかった部分(ほぼ全て)を指摘してもらっているところ。いつもの笑顔で陽キャな喜多ちゃんじゃなくてひんやりとした視線に冷たい口調だ。こんなに怖い喜多ちゃんは初めて見る。
「ひとりちゃん、文化祭ライブの時もそうだったけど無理してウケようとか笑いを取ろうとか考えなくていいのよ?武田信玄の軍配とか意味わからなかったし…」
「うぐっ…」
そこそこ自信あったのに…。
「とにかく!ひとりちゃんのコミュニケーション能力を読みきれなかった私にも責任があるわ!これから私もフォローしていくから頑張りましょうね!」
「あっはい」
「はい、じゃあ反省会おしまい!」
「おっ喜多~終わったー?」
「ひっさっささささん!?」
私達の間に割って入ってきたのは、喜多ちゃんと何年も同じクラスだというささささん。しまった、喜多ちゃんと話すぎて接近に気づけなかった。もしかして喜多ちゃんを独占してたから私のことシメに来たの!?
「後藤に言いたいことあってさ~」
「ぴ!?」
やっぱりだ!陰キャごときが私の喜多ちゃんとつるんでんじゃねーぞコラー!とか言われるんだ…!!
「去年の文化祭のギターかっこよかったよ。あれが印象的だったから後藤の事覚えてたんだよね~」
「えっ?」
「それだけ伝えたかったんだ~そんじゃね~」
「さっささささん…」
あれ?いい人…?
「さっつーナイスだわ♪」
その後私は、クラスの別の人から誘われてクラスのグループチャットにも入れてもらえた。自己紹介であんな大失態をした私にこんなにあたたかい対応をしてくれるなんて…。もしかしたらこのクラスでは少しは楽しい思い出が作れるのかも…?
「さっひとりちゃん、気分を変えてお昼ご飯行きましょ!どこかで食べる?それともお弁当持ってきた?」
「あっ叔父さんがお弁当作ってくれました」
私はカバンから叔父さんが持たせてくれた大きな弁当箱を取り出してみせた。今日は始業式だけど、その後喜多ちゃんとご飯を食べてギター練習すると言ったら叔父さんが張り切って作ってくれた物だ。
「ずっ随分大きなお弁当箱ね…」
「あっメモ書きが挟まってる…」
『ひとりちゃんへ
喜多さんとお昼ご飯を食べると聞いたので、栃木県の名物
“なすべん“(那須の内弁当)を用意しました。良ければ喜多さんと2人で食べてね。もし誘い辛かったらこのメモを喜多さんに渡してね』
「だそうです」
「あは♪叔父様らしいわね。そういうことなら遠慮なくいただこうかしら!」
本日のお昼ご飯
叔父さん特製なすべん
~お品書き~
那須のお米のおにぎり
那須のニラチヂミ
那須のネギとコンニャクのピリ辛炒め
那須和牛の醤油だれ焼き
那須の茄子田楽
那須のアスパラベーコン巻き
那須の小松菜の山葵和え
那須のイチゴミルク寒天
「お品書きまで付いて本格的ね!」
「でっですね。あっでは…」
「そうね、手を合わせて♪」
「「いただきます」」
お弁当はいつも叔父さんが作ってくれるけど、こんなに大きなお弁当箱は初めて見る。もしかして今日のために新しく用意したのかな?色とりどりのおかずが所狭しと詰められていてどれから食べようか迷ってしまう。
「どのおかずも手が込んでるのがわかるわ!」パシャパシャ
「んっんっ…あっアスパラ美味しい…」
「このお肉も柔らかいわ~絶対良いお肉使ってるわね!」パシャシャシャ
「あっ叔父さんのメモ2枚目がありました」
『“なすべん”は9種類の那須の食材を使った料理を9つの器に分けて盛り付けたり、料理の配置が決まっていたりとルールがあるみたいです。また本来は持ち帰りできるお弁当ではなく、お店で食べるランチメニューだそうです。全てのルールを守れてはいませんが、那須から取り寄せた9つの食材は使ってるので“なすべん”風といった感じです』
「だそうです」
「相変わらずスゴいけど叔父様は何処へ向かおうとしているのかしら…それはそれとして映えるわね!」パシャシャシャシャ
喜多ちゃんが目にも止まらぬ早さであらゆる角度からお弁当を撮影してる…。たっ食べ進めていいのかな?
「わわわ忘れ物~っと、あれ?喜多と後藤まだ居んの?」
「あっささささん」
「見ての通りひとりちゃんとお昼ご飯中よ」
「へ~、てか弁当めっちゃ豪華だな!喜多か後藤の手作りかー?」
「あっこれは…」
「フフフ…何を隠そうこのお弁当は、ひとりちゃんの叔父様が作ってくれた力作なのよ!」
「オジサマ?後藤の?」
「あっは「そうなのよ!聞いてくれるかしら!」キターン
喜多ちゃんはささささんに叔父さんの事を力説し始めた。そういえば喜多ちゃんは前から叔父さんのイソスタのファンだったみたいだし、料理すること自体にも興味を持ってくれて嬉しいって叔父さんも言ってたっけ。
「…という訳で叔父様はスゴいのよ!」キタキターン
「へ~、後藤のオジサマパナイなー」
「あっいえそんな、えへへへ」
あれっなんか陽キャ同士の会話に自然に混ざれてる…それに叔父さんが褒められると自分の事のように嬉しいな。
「つまり喜多のお気に入りかーそのオジサマも罪な男だな~」
「ちょっ違うからね!?確かに叔父様はいい人だし色々助けてもらったりして好感持ってるけど変な意味じゃないから!ね!そうよね?ひとりちゃん!」
「あっはははい。おっ叔父さんのご飯皆大好きです」
「叔父様のご飯を食べればさっつーも分かるわ!」
喜多ちゃんはおかずの1つを箸で摘まんでささささんに差し出した。
「えっマジ?もらっていいの?」
「あっはい、どっどうぞ」
「ちょうど腹減ってたんだよね~いただきま~す」
叔父さんの料理が喜多ちゃんの箸からささささんの口へ運ばれる。緊張の一瞬…口に合うかな…もし「こんな田舎くさい物食わせやがって」とか言って怒られたらどうしよう。
「んっ…んっ…ゴクン……後藤」
「あっははははい」
「めっ
……
ちゃ美味いなこれ!」
「でしょ?」
「ほっ…」
よかった…私が作ったわけじゃないけどなんかすごく嬉しい。私が美味しいって言った時の叔父さんもこんな気持ちだったのかな。
「後藤はいつもこんな美味い飯食べてるのかー」
「あっはい」
「そりゃそんなに育つよな~」
「えっ?」
「そうよねー…私も同じの食べてるはずなのにおかしいわよねー」
あれ?喜多ちゃんのテンションが反省会の時と同じくらいになってる?なんでかな…。
ごちそうさまでした
「あっただいまです」
「おかえりひとりちゃん」
「あっお弁当ありがとうございました。“なすべん”美味しかったです。きっ喜多ちゃんも喜んでました」
「本当?よかったー。張り切って作りすぎちゃったから心配してたんだ。喜多さんも誘えたんだね」
「あっはい。…あっあとさささっ…新しいクラスの人もお弁当美味しいって言ってくれました」
「新しい友達できたの?自己紹介うまくいったんだね」
「ぐっふぁ…」ドボボボボ
「えっひとりちゃんどうしたの!?なんで墨みたいなの吐いてるの!?ひとりちゃん!ひとりちゃーん!!」
次回 浮かれる虹夏ちゃんと姪と◯◯
↓人物紹介11
佐々木 次子
叔父さんに胃袋掴まれちゃった系女子その15
(ひとりちゃんだけに)ささささんと呼ばれるひとりちゃんと喜多さんのクラスメイト。この話以降喜多さんとの会話に度々オジサマが登場するようになり「喜多のやつ後藤のオジサマのこと気に入りすぎだろ~」と思っている。原作遵守なので叔父さんとの絡みは少ないけど叔父さん飯の虜にはなっている模様。
↓おまけ
もしもぼっち・ざ・ろっく!のキャラが◯◯だったら
もしも佐々木次子と中学から同じクラスなのがひとりちゃんだったら。
「後藤~今年も同じクラスじゃん」
「ひっささささん!?」
「腐れ縁だね~」
「あっすっすいませんすいませんわっ私ごときがささささんと同じクラスになんて」
「それなんか毎年言ってるよね~ウケる」
「いっ今からでも先生に掛け合って別のクラスになれないか交渉してきますね!」
「いや普通に無理だろうからやめときな~?」
「あっでももう5年も一緒だし、さっささささんにとって何か悪い力が働いているとしか思えないですし…」
「おっ?5年間一緒なのわかってくれてるんだ~嬉しい」
「へへへ…(ささささん優しそうだしバンドの話できるかも…)あっ好きなバンドとかあったりしますか?」
「ウチヒップホップしか聴かないんだよね~後藤がやってるようなバンドは聴かないわ~ごめん」
「(ですよね…来年頑張ろう)あっわっ私なんぞが何年もクラスメイトとして存在してて大変申し訳」
「あっもう先生来ちゃった。そんじゃ今年も一年間ヨロ~今度後藤のバンドの話聞かせてよ~」
「えっあっはい」
結論
陰キャに優しい陽キャギャルでしか摂取できない栄養素がある。
つづく(続けさせてくれてありがとうございます)