ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。

今回は本筋から少し外れて原作コミック4巻巻頭カラーのSIDEROSのお話。無理やり叔父さんをねじ込んじゃったよ。だって大槻さん達にも食べさせたいじゃん?


プライドのない姪とSIDEROSとスフレパンケーキ

とある日の新宿FOLT

 

「むむむむ…」

私大槻ヨヨコは、最近こうしてスマホとにらめっこばかりしている。それというのも、つい先週から始めた私のオーチューブチャンネルが原因だ。後藤ひとりがやってるギターヒーローは登録者10万人いってるし、私だってそれくらいいけるはず!っと意気込んで始めてみたものの一週間経っても登録者数はあまり増えてない…。聞けば後藤ひとりは、流行りの曲を片っ端から弾いては動画にして上げているらしいけど、プライドというものがないのかしら?

 

「チャンネル登録者は増えたっすか?ヨヨコ先輩」

 

「ふっ増えたわよ?…50人くらい」

 

「そうっすか~ぼっちさんに追い付くのはまだまだ先になりそうっすね。ちなみにヨヨコ先輩、もしかしてっすけどSIDEROSの曲を弾いただけの動画ばっかり上げてるんじゃないっすよね?」

 

「え?そうだけど悪いの?」

 

「あ~そりゃチャンネル登録者増えないっすよ。オーチューブに1日でいくつの動画が上がってると思ってるんすか。大量の動画が飽和してる中で目立つにはもっと派手で刺激的な事しないと。ぼっちさんの場合は大分前から弾いてみた動画上げてたんで先見の明があったんすね」

 

「うっ…じっじゃあどうすればいいのよ?」

 

「思わず見たくなるような内容のものがいいっすね。例えば初めて◯◯をやってみたみたいな」

 

「あっそれなら今日はとっておきの企画を持ってきてるわよ!」

私は前から考えていた大バズり間違いなしのネタをカバンから取り出した。

「題して“初めてメントスコーラをやってみた”よ!」

 

「うっそだろおい…」

 

 

 

 

 

数日後STARRYにて

 

「っていうことが先日あったんすよ~」

 

「へ~なるほど。この無表情でメントスコーラやってる大槻さんの動画ってそういうことだったんだ~」

 

「それでも再生数伸びてませんね」

 

「この残念な感じ私は好きだけどね。プフフッ」

 

SIDEROSの長谷川さんが大槻さんのオーチューブチャンネルの事を話しに来てくれている。虹夏ちゃん、いつの間にそんなに仲良くなったんだろう…1号さん2号さんの時と同じくこれがコミュ力の違いか…。

 

「で、このままじゃヨヨコ先輩のチャンネルが不憫すぎるんでウチらも動画上げて盛り上げていこうとしてるとこなんすよ。手始めにウチはゲームの実況をやろうかと思ってて、幽々は霊視コーナーで、ふーちゃんはスイーツ作りの動画をやろうって話しになってるんす」

 

「へ~いいねぇ。一つのチャンネルで色んな企画が楽しめるんだね!人気出るんじゃない?」

 

「ですね!それぞれの得意なことを生かしたいいチャンネルになりそうだわ!」

 

「霊視コーナーは興味がある」

 

そんなにたくさんの企画を…手元のアップでギターを弾くことしかできない私のチャンネルとは大違いだ。人気が出たらあっという間に追い越されてしまうだろうな…。

 

「それで一つ相談があるんです」

 

「相談?何々?」

 

「ふーちゃんの企画の時にコラボしてほしい人がいるんすけど、結束バンドさんの方からお願いしていただけたらなと思いまして…」

 

「コラボしてほしい人?それってもしかして…」

 

「ぼっちさんのおじさんっす」

 

 

 

 

 

「ということがありまして」

 

「なるほど、つっきーさんオーチューブチャンネル始めたんだ。その企画の一つに私が呼ばれたと」

 

「あっはい。どっどうですか?出てもらえますか?」

 

「うん、いいよ。私でよければ喜んで」

 

「あっありがとうございます」

 

ふむ。快諾したとはいえ、数回しか会ったことのないSIDEROSの子達と動画撮影か…些か緊張するな。失礼のないようにしないとね。

 

 

動画撮影当日

 

私は集合場所である新宿のとあるキッチンスタジオに足を運んでいた。オーチューブの動画撮影なのに本格的だね。

 

「本日は動画出演ありがとうございますー。御一緒させていただく本城楓子ですー」

 

「撮影その他を担当する長谷川あくびっす。よろしくお願いします」

 

「試食係その一の内田幽々よ~」

 

「…」

 

「こちらこそよろしくお願いします。皆さんの動画拝見しました。どれも個性的で面白かったですよ」

今日一緒に撮影するのは確かつっきーさんの横でギターを弾いていた子だね。長い髪に物腰柔らかで落ち着いた雰囲気が特徴的だ。ちゃんと話すのは初めてだけど、私と一緒にどんな動画を撮るのかな?

 

「私~オーチューブでスイーツコーナーをするって決めてからずーっとぼっちさんのおじさんと何か作りたいって思ってたんですー」

 

「ふーちゃん今日をずっと楽しみにしてたんすよ」

 

「それは光栄ですね。ところで今日はこのキッチンスタジオで何を作るんですか?」

 

「そうですねーその辺りの打ち合わせしておきましょうかー」

 

先ずは本城さん達と企画の打ち合わせ。なんだかテレビタレントになった気分だ。呼んでもらえたからにはとにかく全力で料理しようそうしよう。

 

そして迎えた本番

 

「ふーかのスイーツコーナー♪今日はなんと、イソスタで映え飯テロ写真の投稿で話題の人気イソスタグラマーcookstarさんに来ていただきましたー」

 

「あっどうもはじめましてcookstarですよろしくお願いします」

さすがに本名で出演するわけにはいかないのでイソスタのアカウント名のcookstarを名乗ることにした。うーん、少し恥ずかしいかな。それと顔出しも避けたいので、ひとりちゃんからパリピサングラス(星形)を借りてきた。これを装備すれば何故か素顔がバレない優れもの。

 

「cookstarさんは普段はとっても美味しそうな晩御飯の写真を投稿してて、私もファンだったんですよー。ダメ元で呼んでみてよかったですー♪まさかゲストに来ていただけるなんて感激です!」

 

「ありがとうございます。今日は皆さんのご期待に添えるように頑張ります!」

 

「そんなcookstarさんと一緒に作っていく今日のスイーツはー“ふわふわスフレパンケーキ”でーす♪」

 

「はい。私は初めて作りますけど頑張っていきましょう」

 

「早速作っていきますよー。先ずは卵ですー。卵黄と卵白に分けて卵白は冷蔵庫でキンキンに冷やしておきますー」

 

「卵白だけ冷やすんですか?」

 

「後でメレンゲを作るんですけど冷えていた方がよく泡立つんですよー♪」

 

「なるほど」

 

「そして冷蔵庫でしっかり冷やしたものがこちらにー」

 

おお、料理番組みたいな準備の良さだね。

 

「cookstarさんはこれを泡立ててもらえますか?」

 

「はい喜んで」

こういう作業は大好きだ。私は張り切って卵白を泡立てはじめる。途中で本城さんが数回に分けてグラニュー糖を入れながらトークでこの間を埋めてくれた。うん、喋るの得意じゃないからすごく助かるね!

 

「私はこっちで卵黄と牛乳と振るっておいた薄力粉とベーキングパウダーを混ぜ合わせておきまーす♪」

 

なんという手際のよさ!普段から料理している証拠だね。

 

「メレンゲをこっちの生地に少しだけ入れて混ぜ合わせまーす」

 

「最初から全部は入れないんですね」

 

「いきなり全部入れちゃうとせっかく泡立てたメレンゲの泡が消えちゃうから分けて入れるんですー♪」

 

「なるほど。勉強になります」

いや本当に。よく考えられたレシピだね。

 

「残りのメレンゲを入れてゆーっくりとやさしく混ぜますーメレンゲの泡を少し残すのがポイントよー」

 

「いい感じにふんわりとした生地になりましたね」

 

「温めておいたホットプレートに油を引いて生地をこんもりと乗せていきまーす」

 

すごい。普通のパンケーキと違って生地がもっこもこだ。

 

「次に熱湯を少し入れて弱火で蒸し焼きにしまーす」

 

「ほう、蒸し焼きに」

 

「これを両面やるとふっくらしっとりでふわもこなパンケーキができますよー♪」

 

「おお、キレイな焼き目がついてて素晴らしい」

 

「cookstarさんもやってみましょうー」

 

「はい、お任せを」

本城さんのお手本に倣って私も生地をホットプレートに落とす。このまま頬張っても美味しそうだ。

 

「焼けたらお皿に盛り付けて仕上げに粉砂糖を振りまーす。バターとメープルシロップ。あとお好みのカットフルーツを添えれば…かんせーい♪」

 

「おお…素晴らしい」

 

「はい、一旦カメラ止めるっす。次は試食パートっすね。cookstarさんもいい動きしてましたよ」

 

「ありがとうございます。でもその名前で呼ばれると少し照れますね」

 

「次はヨヨコ先輩達の食べる姿が写るっすから用意してくださいね」

 

「は~い。幽々楽しみだわ~」

 

「わっわかってるわよ!」

 

ここで漸くつっきーさんの出番か。この動画を上げるのはつっきーさんのチャンネルみたいだし、食べる動画を撮って目立たせる方向でいくのかな?つっきーさんと内田さんの前に本城さんと私が作ったスフレパンケーキが置かれ、試食パートの撮影準備が整った。

 

 

本日のスイーツ

ふーかとcookstarさん特製スフレパンケーキ

 

 

「それではSIDEROSのリーダーヨヨコ先輩とベースの幽々ちゃんに試食してもらいましょー」

 

「お二人ともよろしくお願いします」

 

「手を合わせてー」

 

「は~い」

 

「うっあっはい」

 

「「いただきます」」

 

今回はほとんど本城さんが作ってくれたこのスフレパンケーキは、焼いている時に中身もふわふわトロトロなのがわかるくらい柔らかく仕上がっている。二人がナイフで一口サイズに切り分けてほぼ同時にパクリと口に入れた途端「んんっ…♡」という声が聞こえてきた。かわいい。

 

「ふわふわじゅわじゅわで美味しいわ~それに金欠で空腹だったから助かるわね~」

 

金欠…内田さんのことはよく知らないけど、なんだかリョウさんと似ている?

 

「んっ♪うま…!?ぐぐぐ…まっまあまあってところかしら?1ドームおじさんなかなかやるわね」

 

つっきーさんはつっきーさんでまた謎の単位を口にしているね。けど目はしっかりとシイタケ状態だ。

 

「二人の口に合ったようですねー♪cookstarさんとのコラボ大成功ですー」

 

「私も普段作らないような料理ができて楽しかったですよ。ありがとうございました」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「はいOKっす、これで撮影終了です。お疲れさまでしたー」

 

緊張したけどなんとかオーチューブ動画の撮影が終わった。若い子達に混じってこんなオシャレスイーツを作る動画を撮る日がくるなんて夢にも思わなかったな。

 

「さっおじさん、私達も食べましょ~♪」

 

「ぼっちさんのおじさんが作ったパンケーキもふーちゃんが作った方に負けず劣らず美味しそうっすね」

 

「おじさんが作ったのはヨヨコ先輩が食べた方だけど違いはあるのかしら~?」

 

そう言いながらつっきーさん以外の3人は私が焼いた方のスフレパンケーキを同時に食べ出した。

 

「ちょっ、あんた達これは私の分」

「!?」

「!?」

「!?」

一口頬張った瞬間3人はカッと目を見開いた。

「あれ?どうしました?」

 

「「「美味し~い♪」」」

 

 

 

後日、無事(?)撮影された動画はしっかりと投稿された。字幕や編集を駆使したかなりクオリティの高いものになっており、再生数も伸びている模様。長谷川さんが偶々カメラを止め忘れて偶然撮影されていた最後の3人の「美味しい」リアクションによって謎の飯テロおじさんcookstarの知名度が少しだけ上がったのはまた別のお話。




年内最後の投稿です。皆様良いお年を!

次回 ぶっ飛んだ義姉と姪と◯◯

まともに見えていたあの人が…?

↓おまけ

ふーかのスイーツコーナーを見た結束バンド

「伊地知先輩この動画見ましたか?」

「見た見た!まさかのSIDEROSと晋作さんのコラボ!撮るのは知ってたけど想像以上におもしろかったよ~」

「あれは一種の拷問に近い。これは晋作オジサンには同じものを振る舞ってもらわないと割に合わないね」

「あっ叔父さんこの日以来スイーツ作りにハマったみたいで、さっ最近は食後のデザートが出てくることも増えました。へへへ」

「ぼっち、今日家行っていい!?」

「おい」

「あはは…でもこの動画、最も再生された部分が作ってるところでも試食してるところでもなくて、撮影後の(つもりで)叔父様のパンケーキを食べた時のリアクションっていうところも叔父様らしいですよね♪」

「あ~それね。コメントが晋作さんの飯テロ力に関するもので埋め尽くされてるのがまたね…」

「晋作オジサンのおかげでチャンネル登録者も増えてる。SIDEROSに恩を売れた」

「あっ叔父さんのイソスタもフォロワー数が増えたと言ってました」

「SIDEROSにチャンネル登録者にフォロワー。叔父様の料理の魅力を知る人が増えちゃいましたね…」

「そうだねー…」

「虹夏と郁代、ライバルが増えておもしろくないって顔してる」

「そっそんなことないよ!?晋作さんのご飯実際美味しいし!それを周りから評価してもらえるのは晋作さんの料理好きな人の一人としては喜ばしいことだしね!ねっ?喜多ちゃん」

「そっそうですよ!おもしろくないなんてそんなことないです!叔父様とお近づきになりたい系のコメントとか全然気になりませんから!」

「あっそっそういえば叔父さんがまたSIDEROSとコラボしませんかって話が来てるって言ってましたけど」

「「それはちょっと待ってもらって!」」

「あっはい」

「それでぼっち今日家行っていい?」

つづく(良いお年を)
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