前回ご飯作ってないやんけ。という事で今回こそは虹夏ちゃんとカレー作りますよ。
前回までのあらすじ
叔父さんネット投票の宣伝ポスターをもらいにSTARRYへ
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トイレで虹夏ちゃんと鉢合わせ
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叔父さんのおじさんは立派?
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気を取り直して虹夏ちゃんと晩御飯作ろうと伊地知家へ
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虹夏ちゃんに「cookstarで結束バンドの宣伝しないで」とお願いされる
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今ここ!
驚いた…まさかの逆パターンでお願いされるとは思わなかったよ。私が返答に困ってる間も虹夏ちゃんはトレードマークのドリトスがこちらに向くくらいに頭を下げたままだ。わざわざ二人きりの時にこれだけ真剣にお願いするくらいだからちゃんと考えてのことなんだろう。
「虹夏ちゃん顔を上げて?」
でも先ずは虹夏ちゃんがそう言うに至った経緯を聞こう。
「私はてっきり宣伝よろしくって言われるものと思ってたよ。どうして私のイソスタ…cookstarでの宣伝はしないでほしいんだい?」
「そっそれはね…最初は晋作さんのイソスタでも宣伝お願いしようかなって思ってたんだけど…お姉ちゃんに言われたの」
「星歌さんに?」
「うん、バンドの知り合いに票入れてくれるよう頼んでってお願いした時に『ファンでもない人に投票してもらってもバンドの為にならないぞ』ってね。最初はお姉ちゃんはケチだなーって思ったんだけど、冷静になって考えたらその通りだなって…もちろん次のライブ審査に進む為にも票はたくさん欲しいよ?でもそれは知り合いにお願いしたりフォロワーの多い人に拡散してもらったりじゃなくて、心から応援してくれてる人達からの票で勝ち取るべきものなんじゃないかな~って思ったんだ!」
「虹夏ちゃん…」
心から応援してくれてる人達からの票で…か。
「綺麗事言ってるのはわかってる…でもここで“そういう”手を使って勝ち進むのは何て言うか…うまく言えないけどなんか違うな~って気がするの!だからお願いします!!」
虹夏ちゃんはもう一度深々と頭を下げた。なるほど、結束バンドがこれから一人前のバンドとして活動していく為に必要な事なのだろう。私は目先の審査の事しか頭になかったけど、虹夏ちゃんはちゃんとその先の未来の事まで考えてるんだね。私の浅はかさよ…それに比べて虹夏ちゃんのこのしっかり加減は頭が下がるね。
「わかった、ネット審査の2週間の間SNSでの宣伝はしない。約束するよ」
「本当に!?ありがとう晋作さん!!…あっごめんねわがまま言っちゃって」
「ううん、虹夏ちゃんのその思いはとても素敵だと思うよ」
「うん、ありがとう…絶対30位以内に入ってネット審査通過してみせるから応援よろしくね!」
「うんもちろんだよ」
「…あっじゃあ指切り、指切りしよ!」
「えっ指切り?う、うん」
虹夏ちゃんは笑顔で小指を立てながら右手を差し出してきた。指切りなんて子供の時以来久しくやってないな…。つられて出した私の右手の小指を虹夏ちゃんが自分の小指に絡める。あっこれちょっと照れるな…。
「いくよー!ゆーびきーりげーんまーん…ほら晋作さんも一緒に!」
「あっはい」
「せーの」
「「ゆーびきーりげーんまーんウソついたらはーりせんぼんのーます、ゆーびきった」」
「えへへ、約束だよ?破ったらドラムスティックも千本飲んでもらうからね!」
「それは勘弁願いたいな…絶対守らないとだね」
「えへへ」
「ふふふ」
しばし虹夏ちゃんと2人で笑い合う。なんだか心がポカポカするな…親子の触れ合いってこんな感じなのかな?
「さ、気を取り直してご飯作ろっか!」
「うん、そうだね」
皮を剥いた玉ねぎの根の部分を切り落とし、水を張った鍋で30分くらい茹でる。別の鍋で鶏モモ肉を皮目がカリカリになるまで焼いて一度取り出す。鍋は洗わずにバターを溶かしてニンジン、ニンニク、大きめのくし形に切った玉ねぎを半分の量だけ入れて軽く炒めたら玉ねぎの茹で汁を入れてコトコト煮込む。
「ずいぶん大きな具だね」
「でしょ?家のカレーは大きめの具がゴロゴロ入ってるのが特徴なんだ~。その代わりにじっくり煮込んで柔らか~くしてるから見た目よりも食べやすいよ♪」
「へぇ、なるほど」
私とは違う作り方…しかしその家の個性が出てて良いね。
全体の具が柔らかくなってきたら固形コンソメ、ウスターソース、一口大に切った鶏モモ肉、残りの玉ねぎ、大きめにカットしたじゃが芋を加えて落し蓋をする。
「これであと弱火でゆっくり煮たらほぼ完成かな」
「すごいね。もう美味しそうな匂いがしてるよ」
2人で手分けして作ったので思いの外早く手が空いてしまった。しばらく一緒になって鍋を眺めていたが、虹夏ちゃんは「あ!そうだ!」と何かを思い付いた様子で席を外したかと思うと、小さな椅子2脚と練習用のドラムを持って戻ってきた。
「晋作さんよかったらここ座って!」
「あっうんありがとう」
「あたし料理中の待ち時間はこうして座ってこの練習用パッドで難しい箇所の練習してるんだ~見ててね!」
虹夏ちゃんは得意気に練習用ドラムを叩いてみせた。当たり前だがライブで聴くような迫力はない。それどころか消音性に優れているようで音自体はささやかなものだ。けれど素人の私でもわかるくらいに、今まで何十何百何千時間と練習を積み重ねてきたからこそ出せる軽やかでリズミカルな音は私と虹夏ちゃんのこの時間を楽しく有意義な時間にするには十分すぎる程の効果があった。
数十分後、煮込みが終わり後はルーを入れるだけになったところで二つの鍋に分けて粗熱をとる。
「今ルーを入れちゃうと焦げやすいからお家に持って帰って温めなおす時に入れてね」
と言って溶けやすいように刻んだカレールーを入れた小袋を私が持って帰る方の鍋の側に置いた。さすが虹夏ちゃん、準備がいいね。
「ありがとう虹夏ちゃん。今から食べるのが楽しみになってきたよ」
「そう言ってもらえると嬉しいな!あ、鍋返すの急がなくていいからね!」
「うん」
「ただいまー」
虹夏ちゃんから譲り受けたカレーの鍋を持って帰宅。ひとりちゃんはバイトとバンド練習してから帰ってくるから今のうちに副菜も用意していつでも晩御飯にできるようにしておかなくちゃだね。
「あっただいまです」
「おかえりひとりちゃん。お疲れ様、晩御飯すぐ食べられるけどどうする?」
「あっはい、いただきます」
「了解」
温めなおした鍋にカレールーを入れてよく溶かしたら
「完成」
本日の晩御飯
伊地知家特製チキンカレー
ひよこ豆とツナのゴマサラダ
キュウリとパプリカのピクルス
福神漬け
「では手を合わせてください」
「あっはい」
「「いただきます」」
今日はほとんどを虹夏ちゃんが作ったカレー。鶏と野菜の旨味がしっかり溶け出したチキンカレーはご飯との相性抜群だ。多めに炊いたけど足りるかな…。
「はむっんっ…んっ…あっ美味しいです。野菜もお肉もゴロゴロ入ってますね」
「大きな具が入ってるのが伊地知家のカレーの特徴なんだって。落し蓋して煮たから煮崩れしてなくて具も柔らかいよね」
「あっはい、にっ虹夏ちゃんも料理上手いですよね」
今さらだけどあの若さでここまでの料理スキルを身に付けているなんて末恐ろしいね。将来は最強のママさんドラマーとかになってそうだ。
その頃の伊地知家
本日の晩御飯
伊地知家特製チキンカレー
トマトとワカメのサラダ
大根の塩昆布和え
福神漬け
「じゃあおねーちゃんとリョウ、手を合わせてください!」
「おう」
「うぃ」
「「「いただきます」」」
「というかリョウはまた当然のように家に来たのな」
「虹夏のカレーを私が食べないなんてありえない」
「さっきの弄りのことまだ許してないんだけど?」
「カレー美味しいです。よっ!この料理上手」
「煽てるの下手か!…まあいいけど」
「んっんっ…うんうまい。やっぱり虹夏のカレーは格別だな」
「へへ~そうでしょ?」
今日は晋作さんと作ったチキンカレー。イソスタでの宣伝をしない約束するために呼んだけど指切りは少しやりすぎたかな…。気のせいだろうけど、晋作さんと絡めた小指がまだ少しじんわりあったかい…。えへへ♪
「ん?虹夏、自分の右手をじっと見つめてどうしたんだ?…まさか怪我でもしたのか!?」
「え?いや違う違う!なんでもないから安心して」
「んっそうか。何かあったらちゃんと言えよ?」
「うん!ありがと。…あのおねーちゃん、今日はありがとう」
「なんだよ、私は礼を言われるようなことしてないぞ?」
「おねーちゃん『ファンでもない人に投票してもらってもバンドの為にならない』って言ったじゃん?」
「あー言ったな」
「その言葉のおかげで大事なことに気付けたから…あたしちゃんと結束バンドのこと応援してくれる人から票をもらってネット審査通過してみせるから!」
「えっ!?あっそ、そうか。頑張れよ…他のバンドのヤツらにノルマチャラにする代わりに投票させたのは黙っとこ」
「ん?おねーちゃん何か言った?」
「なんでもない」
「虹夏おかわり」
「食べるの早っ!」
ごちそうさまでした
文字を小さくするやつ初めて使ったよ…
次回 ファンの葛藤と姪と◯◯
あの子とあの子と叔父さんが…?
↓おまけ
もしもぼっち・ざ・ろっく!のキャラが◯◯だったら
もしもぼっち・ざ・ろっく!がギャルゲーだったら2
「前回の反省を踏まえて攻略対象を増やしてみた」
「その話題まだ続いてたの?」
「虹夏は晋作オジサンに私のことも攻略してほしいらしいから」
「別にそこまでは言ってないけど!?」
「ギャルゲーはよく知らないけど仲良くなれる子がたくさんいた方が楽しいですよね!ね、ひとりちゃん!」
「えっあっはい」
「晋作オジサンも多種多様な女の子とイチャコラしたいでしょ?」
「その問いかけには同意しかねるかな…」
山田 良々
この街一番の病院を経営するお医者さん夫婦の一人娘。散財癖があり、いつも金欠。校庭の雑草を食べているところを見た主人公が自分のお弁当を食べさせた結果、心とお腹を満たすために常につきまとうようになる。ご飯を与えれば好感度が簡単に上がるらしい。
「次のおかずはお肉多めでよろしく」
大槻 ヨーコ
学園一の秀才。なんでも一番じゃないと気がすまないプライドの高い娘。ゴットゥーザ・ヒットゥーリをライバル視している上に友達になりたいとも思っているが、コミュ力が残念すぎてうまく接することができない。ヒットゥーリが慕っている主人公にも興味を持つ。
「そんなに一緒にご飯食べたいなら着いてってやらないこともないけど?」
長谷川エーケービー
口元にマスクがトレードマークの大槻ヨーコの後輩。目上の人には「っす」口調と丁寧語を駆使する。常識的な人で主人公のご飯が好き。
「ごちそうさまっす。次は2人きりでもいいっすよ?」
本城 フーカ
ゆるふわな雰囲気をしたお嬢様で大槻ヨーコの後輩。長谷川エーケービーと仲良し。学園の食堂で出された主人公の料理に一目惚れ。
「今度このスイーツをメニューに加えてほしいですー」
内田 ユー
ゴスロリファッションと長い黒髪が特徴のオカルトガール。何がとは言わないがゴットゥーザ・ヒットゥーリに負けず劣らずのデカさ。食べた人に憑いているものが浄化される主人公の料理が気になる。
「こんなに食べさせて私をどうする気かしらぁ~?」
「どう?攻略したくなった?」
「うーん特には…後半大分雑になってるしね」
「ていうかなんで無条件で主人公モテてるの?」
「無条件じゃないよ。皆主人公のご飯に惚れてるんだよ」
「それって女の子を攻略してることになるのかしら?」
「あっ私と内田さんが同じくらいデカイものって…」
「それは…なんだろうね。叔父さんにもわからないや」
「あとこれよく見たら皆ご飯の感想ばっかりだな」
つづく(需要あるって信じて続ける)