ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。
今回やっと別のキャラが叔父さんの料理の(食べさせられるという意味で)餌食になります。


教える姪とパエリア

ピロン

ひとりちゃんからのロイン。もうすぐ帰るの連絡かな?って思って開いてみたら…

 

 

すいません昨日言っていた喜多さんに叔父さんの家でギターを教える流れになってしまって断りきれずすいません連れて来ても大丈夫ですか!

 

 

ふむ…ひとりちゃんが焦りつつ私に許可を得ようとしてるのはわかった。すぐさま返信。

 

 

喜多さんが家に来るんだね?大丈夫だよ。

準備しておくから連れておいで。

 

 

ピロン

返信が早い。どれどれ

 

 

ありがとうございますあと1つお願いがあるのてすが喜多さん絵に描いたような陽キャなので何かオシャレなご飯を振る舞いたいですお願いします!

 

 

ふむ…ひとりちゃんが焦りつつ喜多さんにおもてなしをしたいのはわかった。すぐ返信。

 

 

了解。叔父さんなりに頑張るよ。

 

 

さて、ひとりちゃんの大事な友達がお客様として来てくれるなら叔父さん張り切っちゃうぞ。

 

 

ピンポーン

 

インターホンが鳴り玄関を開ける。さて、絵に描いたような陽キャの喜多さんとはどんな子なのか。

 

 

「あっただいまです」

 

「おじゃまします!」

 

ひとりちゃんの声の後に続いて元気よく威勢のいい声が耳に入ってきた。

 

「おかえりひとりちゃん。そちらが喜多さん。かな?」

 

「はい、はじめまして喜多です!突然押し掛けちゃってごめんなさい」

 

すごくハキハキしゃべる子だ。あと笑顔が眩しいね。

「いらっしゃい、ゆっくりしていってね」

 

 

喜多さんを部屋に通すと、すかさずひとりちゃんが怒涛の如く謝罪してきた。

「あっ叔父さんすいませんすいません、こっ断ろうとはしたんですけど今日スタジオ空いてなくて…でっでも喜多さんに練習させてあげたくて…」

 

「大丈夫大丈夫落ち着いて。叔父さんもできる限りのおもてなしするから。安心して練習行っておいで」

 

「あっはっはい」

 

2人がひとりちゃんの部屋に入ったあと、頃合いを見計らってジュースとお菓子を出す。その際も

 

「ありがとうございます!」キターン

 

と爽やかな反応をしていただいた。絶対良い子だ。

 

 

 

よし、それじゃあ仕込んでいきますか。

フライパンにオリーブ油を引いて輪切りのイカ、みじん切りの玉葱、人参、ニンニク、セロリを炒める。潰したホールトマトを入れてさらに炒める。水分が飛んだら海老、タラ、ムール貝、塩、水、サフランを入れる。一煮立ちしたら魚介類を取り出して米を入れる。蓋はせず水分を飛ばしながら旨味を凝縮させていく。米が炊き上がってきたら魚介類を戻し、イタリアンパセリとレモンを添えて「完成」

 

 

本日の晩御飯

叔父さん特製パエリア

オクラとナスのアヒージョ

海藻サラダ

玉葱とパプリカのガスパチョ

 

ギターの練習中であろう2人を呼びに行くと、一段落して談笑している(ほぼ喜多さんが話している)ところだった。

「ご飯できたよ、喜多さんもよかったら食べていって」

 

「あっはい」

 

「いいんですか?ありがとうございます!」キターン

 

うーん、眩しい。

 

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」

 

「はーい」

 

「「「いただきます」」」

 

さてさて喜多さんのお口に合うかな。緊張の瞬間。

 

「すごい…すみません、写真撮っていいですか?」

 

「はい、どうぞ」

 

「キャー、これは映えるわ~!後藤さんは毎日こんなご馳走を食べさせてもらってるのね!」

 

「あっはい、おっ叔父さんは料理上手でいつも美味しいんです」

 

「素敵な叔父様なのね!」

 

叔父様…初めて呼ばれた。何だかむず痒いね。

 

「んー…あれ?この食器とアングルどこかで見たような」

 

「おや、喜多さんの家にもある食器なのかな?」

 

「いえ、私の家にはないんですけど…どこで見たのかしら…あっもしかして!」

 

喜多さんは撮影を止めてスマホをいじり出した。

 

「…やっぱり!叔父様!イソスタやってますよね?」

 

「えっ?うん。やってますよ」

 

「これ!叔父様のアカウントですよね!」

 

見せられたスマホ画面には、確かに私がイソスタにあげた料理の写真が写っていた。

 

「叔父様がcookstarさんだったんですね!」

 

「コックスター?」

 

「あっはい。そうですけど」

私は晩御飯を、ひとりちゃんに食べさせる前に撮影してイソスタにあげていた。そのアカウント名がcookstarなのだ。まさか知ってる人に会うとは思わなかった。

 

「やっぱり!私いつも見てます!この美味しそうな盛り付けと色合い、かと思えば男らしい無骨な大胆さも兼ね備えてる絶妙な料理の数々…!」

 

そんな壮大な思惑は微塵もなかったんだけど…

「ありがとう、嬉しいよ。とりあえず召し上がれ?」

 

「ごめんなさい冷めちゃいますよね!いただきます!」

 

「さっひとりちゃんも」

 

「あっはい」

 

2人は取り分けたパエリアをほぼ同時に口に運ぶ。声色の違う2つの「ん~♪」が同時に響く。良いハモリだね。

 

「魚介の旨味が染み染みで…とっても美味しいです!」

 

「あっ美味しいです。好きな味です」

 

「そっか。口に合ったようでよかったよ」

 

いつも見ているひとりちゃんのモグモグタイムに喜多さんが加わって随分と賑やかになったね。かわいい。

 

「はぁ~これがcookstarさんの味…まさか食べられる日がくるなんて…感激です!」

 

「そこまで言ってもらえて嬉しいよ。どんどん食べてね?ひとりちゃんも」

 

「あっはい」

 

この後2人は用意した料理をキレイに平らげてくれました。少し多かったかな?と思ったけど杞憂だったね。

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「今日はありがとうございました!ご飯美味しかったです!後藤さんも練習付き合ってくれてありがとう!」

 

「あっはい」

 

「またいつでも来てね。あっもう暗いから途中まで送るよ」

 

「あっじゃっじゃあ私も送ります」

 

「ありがとうございます!お願いします!」

 

 

喜多さんを送り、家への帰り道。

 

「あっ叔父さん、ありがとうございました。あっあと無茶ブリしちゃってすいません…」

 

「いいんだよ。叔父さんも楽しかったし。それに喜多さんすごく良い子だったから安心したよ」

 

「あっ安心ですか?」

 

「うん、ひとりちゃんがどんな子にギターを教えてるのか気になってたからね。良いメンバーに恵まれたんだね」

 

「あ…はい!」

 

「これでもうバイトに行きたくないって理由で変なことしなくなるかな?」

 

「あっあっそっそれはもう言わないで下さい…」

 

悪戯心でひとりちゃんを弄ってみたら、それはそれはかわいい反応をしてくれた。しかし、あまりやりすぎると変形したり蒸発したりするのでこれぐらいにしておこう。




次回 悩める姪と◯◯

↓人物紹介2

喜多郁代
叔父さんに胃袋を掴まれちゃった系女子その2。叔父さんのイソスタアカウントcookstarのファン。なので叔父さんの料理を食べられたことと同じくらい叔父さんに会えたことに感動。これ以降叔父さんの家でギターの練習、からの晩御飯の流れができたので度々登場するかも?
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