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叔父さんがご飯食べさせるだけの話にこんなに支持をいただいてモチベが爆上がりです。
ここ数日ひとりちゃんに元気がない…常にウンウン唸って何かを考え込んでる様子だ。晩御飯の時もノートとにらめっこしている。お行儀が悪いので注意しようかと思ったが、ノートに『作詞ノート』と書かれているのを見つけて大体を察した。バンドをする上で、自分達のオリジナル曲を作るということも大事な活動の1つだろう。私のご飯を上の空状態で食べられるのはいい気分ではないし少し悔しいけど、叔父さんは一応大人なので今どっちを優先させるべきかは弁えています。なので、今も目の前で頭を抱えている愛すべき姪の手助けをすることに微塵の躊躇もない。
「ひとりちゃん、最近頻りにノートに何か書いてるけど…作詞してるのかい?」
「あっはい…あっでっでも一行も書けてなくて」
相当行き詰まってるようだね。
「うう…ちょちょいのちょいなんて調子乗ったことも言ってしまって…いっ1週間経っても何も思い付かなくて…」
「ふむ…叔父さんは音楽的な知識も経験もないし、あったとしてもこれはひとりちゃんや結束バンドの問題だから下手なアドバイスはできないな…」
「あっうっですよね…」
「でも叔父さんはひとりちゃんを応援してるので、叔父さんなりにサポートはしようと思います」
「サッサポート…ですか?」
「うん。…ご飯を食べよう!」
私がひとりちゃんにできることはそれぐらいしかない。
片手間でも色んな味を食べることで良いアイデアが生まれるかもしれない。ということはメニューはアレがいいか…
「えっご飯?」
「今日はひとりちゃんがご飯中でも作詞に集中できるようなメニューにします」
食パンの耳を切り落とす。
トーストしたものとそのままのものを半々で用意する。
そのままのパンに薄切りの玉葱とツナマヨ、ハムとチーズ、キュウリとポテトサラダをそれぞれ挟む。
トーストしたパンに厚焼き玉子、ベーコンとレタスとトマト、千切りキャベツと照り焼きチキンをそれぞれ挟む。「完成」
本日の晩御飯
サンドイッチ盛り合わせ(ツナマヨ、ハムチーズ、ポテトサラダ、タマゴ、BLT、照り焼きチキン)
オニオンコンソメスープ
「では手を合わせてください」
「あっはい」
「「いただきます」」
「あっあのすいません、最近ずっと作詞考えながら食べてて行儀悪かったですよね…」
「いいんだよ。それくらい大事なんだよね?いついい歌詞が降りてくるかわからないから作詞に集中してていいよ」
「あっはい、あっありがとうございます」
ひとりちゃんはペンを片手にサンドイッチを1つ掴み、またノートとのにらめっこが始まった。しかしサンドイッチを一口齧った途端に目線はサンドイッチの方に向く。
「あっふごくおいひいれふ」
「そうかい?とある喫茶店にあるタマゴサンドを真似てみたんだけど上手くできたみたいだね」
「あっはいタマゴが、その、ジューシーです」
タマゴサンドを皮切りにひとりちゃんは食事に集中した。照り焼きチキンサンドをパクついて目を見開き、ツナマヨ、ハムチーズと次々にひとりちゃんの胃袋に消えていった。いい食べっぷりだね。かわいい。
一通りのサンドイッチを食べ終え、オニオンコンソメを啜りながらひとりちゃんはまた作詞ノートに目を落とす。
「あっそうだ!」
ひとりちゃんは何かを思い付いたようだ。
「うっ歌うのは喜多さんなので、陽キャになりきればなっ何か歌詞が思い浮かぶかもしれません」
「よっ陽キャになるのかい?」
「あっはい、いっいきます!」
ひとりちゃんは席を立ち、すぅーっと息を吸い込んだ。
「フゥー!ウェーイ!!バイブス上げてこー!おねーさんテキーラ追加ー!」
おおう…。これは…陽キャなのかな?叔父さん陽キャではないから正解かどうかわからないや。
「あっ、これはただのパリピですよね…」
「うーん、でもいつもと違う気分や感情で考えるのは新鮮かもしれないね」
「でっ、ですよね!まっまだ肝心の歌詞は何にも思い付きませんけど…」
と言ってそそくさと席に戻り、残りのスープを飲み干した。行き詰まっていたひとりちゃんだったが、作詞のヒント的なものは何かつかんだように見えた。
ごちそうさまでした
「あっあの、叔父さん」
「何だい?」
「もっもう1つ思い付いたことがあるんですけど、みっ、見てもらえますか?」
今度はナニが始まるんです?
「コホン…、今日渋谷行く人この指とーまれ!」
ん?
「ここは有名なイソスタ映えスポットよ!あと5分で花火が上がるから皆で写真撮ろ!!」
どうしたひとりちゃん。なりきり陽キャの別バージョンなのかな?とりあえずひとりちゃん的には渋谷で映える花火の写真を皆で撮るのが陽キャっていう認識なんだね。
「どっ、どうでしたか?喜多さんっぽかったですかね?」
あっ今の喜多さんになったつもりでの言動なんですね。
うーん正直一度しか会ってないから何とも言えない…。
そもそも私のようなおじさんの意見が参考になるとは到底思えないんだけど。聞かれた以上は何か答えないとだね。
「それが喜多さんっぽいかどうかはわからないけど、少なくとも明るくて友達たくさんいる子って感じはしたよ」
「そっ、そうですよね」
「でも私の意見だけを参考にするのは危険だから鵜呑みにしないでね?それでどうかな。歌詞は降りてきたかな?」
「あっ、それはまだです。けっけどもうすぐだと思います」
そう自信満々に言っていたひとりちゃんは、週末に実家でも同じような行動をしたらしく、自分の部屋に御札や塩を盛られ、霊媒師まで呼ばれそうになったと後から聞いた。何かをつかみかけたひとりちゃんだったけど、まだまだ苦難は続きそうだね。しかし今のうちにたくさん悩んで後々振り返った時に良い思い出になるといいね。
次回 貼りまくる姪と◯◯