IS 白き一角獣   作:どこぞの機械好き

34 / 74
さて、どのようにしてデュノア社を助けるのか?


第23話 救済

 side 流星

 

 放課後、ラウラがセシリアと鈴を特訓すると言って引きずっていき、一夏と箒がそれについていった。

 

 それを横目に俺とデュノアは、早速寮に戻って国際電話の準備を進めている。横には、徹夜で作成した情報が詰まったハロ1号機がいる。シャアが渡したやつだな。

 

「アポは取れたが、繋がるか……?」

 

 今起動したPCは、ツィマッド本社のサーバを通じて防諜されないようにしている。されないとは思うが念には念をっていうやつだ。

 

「……最後に聞く。お前自身はどうしたい?」

 

「……生きたいっ!」

 

「解った。その願い、確かに聞き入れたぞ」

 

 これより、始めるのはデュノア社の救済劇だ。

 

 画面に昨日見た男性が映る。

 

「フランスではおはようございますかな? アルベートさん、そちらの姿が見えた。そっちはどうだ?」

 

『……こちらも君とシャルロットの姿が見えるよ。その様子だと昨日の動画は、見てくれたようだな?』

 

「見ましたけど……あんなこと言うなら面と向かって、言ったら良かったじゃないですか……」

 

『あの時、ああでもしてないと未練が残ってしまうと思ってね……いや、選択を間違えたようだ』

 

 画面の向こうで照れくさそうな仕草をする。

 横でもシャルロットがモジモジとしている。(『やはり親子だから仕草も似ているな』)

 

「早速ですが、今からとある情報をそっちのサーバに送ります。少なくとも14TBは空いててほしいが……」

 

『少し待ってくれ。うちのサーバの空き容量はどれくらいだ? …………そうか、わかった。こちらの空き容量は、21TBだからいけるぞ』

 

「分かりました。今から送るので受け入れ体制を整えてください」

 

 徹夜して完成させたデータが入ったハロをケーブルでPCに接続し、デュノア社のサーバに情報を転送する。

 

「……今転送中です。情報量がかなりあって時間があるのでそれまで少し話しませんか?」

 

『構わないよ……しかしこんな事をしてもいいのかい?』

 

「大丈夫ですよ。ただの一個人の技術提供ですから。そちらが極秘裏に開発したことにすればいい」

 

 仮に俺が提供したことが世間に知られても、一個人としてひらめいたことを伝えたら、デュノア社が実現できたといえばいいからな。そして、俺が別に構わないといえば誰も口出しできない。(『結構腹黒くないか?』)うっせい。

 

「提供……? なにかを渡しているの?」

 

「まぁ……そんなところだな」

 

『開発……なにかこんな会社を救ってくれるものでもくれたのかい?』

 

「ご謙遜を……あなたの会社は今まで軍需産業としても世界指折りの会社じゃないですか」

 

(『……ツィマッド社はどうなんだ?』)

 一応向こうのほうが歴史は長いからな。名前の歴史はともかく、うち元々工作機械のメーカーだったし。

 

「……おし、そっちにデータを送りました。見てください」

 

『確認しよう……これ、は!?』

 

 さ、驚いてくれたかい? 

 

 ────―

 

 side シャルロット

 

『確認しよう……これ、は!?』

 

 お父さんがカメラの下……向こうの画面を凝視して固まる。

 何を見たというのか。

 

「……何を送ったの?」

 

「うち……というより俺が開発した第3世代機『ストライクガンダム』と第3世代に相当する装備、ストライカーパックシステムの()()()だ」

 

 えっ……一人で考えたの!? 

 

()()()()()()()()()……概要を聞いても?』

 

「確かに、こっちで作ってるアニメまんまの形だけど……デュノア社の現行のISは大容量の拡張領域が売りですよね」

 

『確かにそうだが……』

 

「それの発展型ですよ。換装するのは武装だけじゃなく、推進機もまとめて組み替えるんです。状況に適応したものにね」

 

 でも、それだけでほんとに第3世代機と言えるのだろうか。

 

「……いま、こう思ってるでしょう。それだけで第3世代機なのか、と」

 

 あれっ心読まれちゃった!? 画面の向こうでもお父さんが驚いた表情をしている。

 

「そこで、このストライクガンダムに載っている特殊な装甲と新型兵器の出番だ」

 

『……まさか』

 

「そう、こいつはPS装甲とビームライフルを持っている」

 

 ビームってあの粒子を飛ばすあれ!? そして……ぴーえす装甲? 

 

「尾白くん、PS装甲って?」

 

「正式名称は、フェイズシフト装甲。電気を流すと実弾兵器による装甲の破損が殆どない代物だ」

 

「それってほとんどズルじゃないの!?」

 

「弱点もちゃんとあるからな。レギュにも引っかからないはずだ」

 

『あれはアニメ上の空想のものではなかったとは……しかし、ほんとに作れるのか?』

 

「必要な材料と鋳造方法、工作機械の切削手順も載せてるから生産ラインを整えればすぐに作ることができますよ」

 

『わかった。この話が終わったらすぐにこのことをEUに叩きつけるとしよう』

 

 これでEUから補助金が貰える。即ち、お父さんの会社は潰れることがなくなった。

 

「彼女の帰る場所を無くしたくなかったのでね。今回は貸し一つってことで」

 

『どうやら君にはとんでもない借りを作ってしまったようだな……本当にありがとう』

 

「確かイグニッション・プランの提出期限はあと2週間だったはずだから、ちゃんと補助金貰ってくださいね」

 

『わかった。今すぐ手を付け始めるとしよう。会見の準備をしてくれ。

 

 国際電話が終了し、パソコンの電源が落とされる。

 突然立ち上がる尾白くん。

 

「さて……もう一仕事だな」

 

 次は何をしようというのか。

 

 ────―

 

 学園長室……つまり学校で一番偉い人が使う部屋で、尾白くんが横に座り、前には織斑先生と、用務員のおじさん? が座っている。その横では生徒会長も立っている。

 

「轡木学園長、デュノア社の件はご存知ですよね」

 

 この人、学園長だったの!? 

 

「知ってますよ。なんでも、デュノアさんを逃がすためと聞いてます」

 

 学校側はこのことをもう知っていたようだ。

 

「その様子だと、何かあったようだね流星くん」

 

「ええ、彼女を正式に女子生徒として再編入してもらいたくて」

 

「しかし、そのようなことをすれば彼女に危険が……」

 

 織斑先生がそのことに難をしめす。まだあの事を知らないのだろう。

 

「テレビをつけてもらえませんか?」

 

「構わないわよ」

 

 生徒会長が棚にあるリモコンを取ってスイッチを入れる。

 

『──―速報です。つい先程、デュノア社が会見を開きISの第3世代機の開発に成功したと発表しました。中継です』

 

 画面が切り替わり、数多くのカメラを向けられたお父さんとレポーターが映し出される。

 

『えー、こちらデュノア社の会見室です。20分前から始まったこの会見でアルベート・デュノア社長が、第3世代機の開発の目処が立ちイグニッション・プランに参加できるとの声明を発表しました。これまでデュノア社は──―』

 

 画面に釘付けになっている大人二人。横では尾白くんが計画通りといった顔をしている。

 

「これはつまり……」

 

「ええ、デュノア社は潰れない。つまり、彼女はもう男装しなくてもいいってことですよ」

 

「尾白、なにかしたな?」

 

「……それは想像におまかせします。ただやっちゃいけないことはやってませんよ?」

 

 とても含みのある回答をする、尾白くん。

 

「まったく……分かった。準備を進めておく。ただ、もうすぐトーナメントがあるからその後になるぞ。それまではデュノア、我慢してもらえないか?」

 

「わかりました。こちらこそ、ありがとうございます」

 

 あと数日で女子生徒として普通に学校に通える……! 

 

「尾白くんは昔からよくこんなこと解決してますな。ほんとに人に優しいですね」

 

「またまた……眼の前に助けれる人がいるから手を差し伸べてるだけですよ」

 

「やはり行動可能範囲が広いわね」

 

「そうですかね……?」

 

 ほんとにそうだと思う。

 

 ────―

 

 学校側とも話がついて、また寮に戻ってきた。時計はまだ6時を過ぎた場所を指している。

 

 尾白くんは珍しくもう風呂に入って寝間着を着てレトルトカレーを一緒に食べている。

 

「あの第3世代機ってほんとに尾白くんが考えたの?」

 

「……ん? そうだぞ? 元ネタはあったといえばあったが……昨日と今日で設計図を書いたのは確かだ。耐久値とかもうちのAIがシュミレートしてオッケー出てる」

 

 普通何年もかかるはずなんだけどね……

 

「いやなに、昔束と一緒にIS作ってたからこういうのは元から得意なんだよ」

 

「篠ノ之博士とISを!?」

 

 篠ノ之博士の単語がぽっと出ることもそうだが、昔からISを作ってたの!? 

 

「……ああ、これ知ってるやつあまりいなかったんだっけ。別に隠してる訳じゃないんだがなぁ……」

 

 そう言って残りのカレーをかきこんでいく。

 

 彼には謎が多すぎる。

 ISを作れるという篠ノ之博士に並ぶ頭脳。

 入学試験では体調不全にもかかわらず織斑先生と互角の戦いをできる。

 そして空白の4年間……4年のうち、2年はソードアートオンラインというVRMMOから多くの人を助け出したということが判明したが、未だに残りの2年の情報が一切ない。

 4年前といえば()()()()が思い浮かぶが、関連性もまるでわからない。

 

「デュノアはゆっくり食べといてくれよ」

 

「あっ……わかった」

 

 気がつくと、彼はもう歯を磨き終えていた。

 ボクもカレーをいそいそと食べる。

 

「そういや、もうすぐ学年別トーナメントあるが……一緒に出るか?」

 

「……いいの? ロニィちゃんや簪さんとは……」

 

「まだデュノアが女だってこと知ってるやつ少ないだろ? 転入する前にバレたら色々めんどくさいしな」

 

「……わかった、ありがと」

 

「すまん、徹夜で頭回しすぎたせいで眠い……もう寝……」

 

 言葉が続かずにベッドに倒れ込み、寝息を立て始める。徹夜で疲れているのだろう。

 というか、そこ私のベッド……

 

 どうしようかな……横、いいかな? 

 

 私もお風呂に入ったあと、同じベッドで寝ることにした。

 

 彼の内側に収まるように丸くなって横になる。

 彼の体温が温かい……って

 

「わっ!?」

 

 彼が腕を回し、後ろから抱きつかれる体勢となる。顔が、体中が暑くなるのがわかる。

 

 そういえば、こんなことしてもらったのお母さんぐらいだったかな……

 

 それでもまぶたが重くなってきて、今日を終えた。

 

 朝、起きた瞬間に目にしたものは、流星くんがジャンピング土下座する姿だった。




次回は学年別トーナメントが始まります。お楽しみに。

SAOも随時更新中なのでぜひ見てください。

敵として出るなら……どれ?

  • よう、首輪突き。
  • 世に平穏のあらんことを
  • 私こそが企業だ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。