ついに流星の……
side 一夏
「やっぱり流星は強いな……」
SEがゼロになって撃破された俺は、上を見上げてラウラに四方八方からビームを浴びせている流星を眺めている。
剣同士での打ち合いは最初は意表をついて拮抗していたものの、流星の攻撃速度についていくことができなくなってきて最終的に零落白夜で逆転しようとしたけど、剣を振る前に胴体を横一文字に切られて絶対防御が発動した。
「流星くんってやっぱり何か特訓でもしてるのかな?」
さっきラウラに撃破されたシャルルがこちらに寄ってきてなぜ彼があんな強さを持っているかと聞いてくる。
「あいつ自身は簡単なトレーニングだけって言ってるけど、絶対そんなことないよな……」
「絶対それだけじゃないよね……」
『ボーデヴィッヒのSEエンプティ! 試合終了!』
ラウラの乗ったシュヴァルツェア・レーゲンが、地上に仰向けになって倒れた。
「さ、あとはラウラを起こして観戦「グアアアァァァッ!?」なんだ!?」
突如、ラウラが悲鳴をあげたかと思うと、彼女の乗っているISから黒い液体が出てきて彼女を機体ごと覆った。
そしてその液体が形作った者は……
「千冬姉の、暮桜?」
千冬姉の使っていたIS『暮桜』と右手に持つ『雪片』だった。
そしてその形はゆっくりと起き上がっていく。
「あれは……VTS?」
同じく変化していく様を見ていたシャルルがあれを知っているような言い方をする。
「シャルル、何かあれを知ってるのか?」
「うん、正式名称は『ヴァルキリー・トレース・システム』と言って、第一回モンドグロッソの部門別優勝者の動きをトレースする機能なんだけど、搭乗者のことを考えない動きをするから研究や使用が禁止されてるはずなのに……」
「一夏! デュノア! 今すぐピットに戻れ!」
上から流星の乗った『アレックス』が降下してきて俺たちとラウラの間に立つ。
周りを見ると来賓や生徒が続々と出口に向かっているのが見えた。
そして、まだラウラを飲み込んだあれはその場で佇んでいる。いつ動き出すかもわからない。
「流星はどうするの?」
「俺はここで教員部隊が来るまで時間稼ぎをする。来てからも余裕があったらそのままあれを鎮めるとしよう」
「……無茶しないでね」
そう言ってシャルルはアリーナの側面にある扉に向かった。
だが、俺はここから動かない。なぜなら、
「……助けたいのか?」
「当たり前だ! 仲間を、失いたくない!」
「はぁ……まぁいい。これをその待機形態のISに繋げろ。SEを半分分けるからそれで一緒に助けるぞ」
そう言って流星はISの胴体部分にケーブルに繋いで手につけているガントレットと接続する。
すると、みるみるうちにSEが回復していき、白式が装着可能となる。
「あれは本物より3周りくらいでかい。その分、動きが鈍いだろうから、同時に中に突入して引きずり出すぞ」
「了解」
ISを纏った俺は流星と二手に分かれて暮桜もどきに突入した。
────―
『ラウラ!』
よくわからない空間の先にはラウラがうずくまっている。
流星の姿は見当たらない。外でなにかしているのだろうか……
『……織斑か。ここまで来て、私を笑いに来たのか?』
『そんなわけない! 助けに来たんだ! ここから脱出できたらきっと君を助けれる!』
ラウラに手を伸ばして手を取るように言う。
『私は人の手によって都合よく作られた者だっ! こんな私など生きる訳がない!』
そうか……ラウラも、同じなんだな。
『それは俺も一緒だ。生きる訳なんて無くったっていい! もし見つけたいなら、一緒にこれから探そうじゃないか……?』
『……織斑も、なのか。なら頼める、か?』
ラウラが涙ぐみながら伸ばしていた手を取りこちらにそのまま抱きつく。
そのままあたりを見回すと……
あれは……出口か?
ラウラの手を引いてその光の先に向かう。そこで見たものは……
──―
一人の年老いた男性がよろよろと長く続くトンネルのような道を歩んでいる。その表面は異常な程に発熱している。
『……何が起こっているんだ?』
言葉は響くが、相手に聞こえている様子はない。横にいるラウラが自分の考えを示す。
『人体の発熱……マイクロウェーブの類だろう。しかし、これほどの威力なら普通の者なら即死するはずだが……』
その彼が歩いていると、来ているスーツのようなものが時々爆ぜて、遂に地面に倒れた。だが、それでも彼は進むことを止めない。
すると俺達の横に別の風景が映し出される。
そこではアメリカの戦艦に群がる球体と巨大な二足のもの。そして重装備の部隊と次々に被弾しながらも抵抗する男女の姿や両手が潰れていて剣を口に加えて同じ部隊と戦っている体の一部が機械の男。
何が起こっているかわからないが、どれも絶望的な状況でそれを解決するために何かに向かって歩いているということだけがわかる。
『艦首の63、ミーズリー号……あれはずっとパールハーバーにいるはずだが、なぜ戦闘をしているんだ……? そしてあの軍隊と巨大なロボットのようなものは……』
ついにその空間を抜け出した老人はロボットが何か操作しているのを守りながら、大量にいる手を持った球体との戦闘を始める。だが、先程の影響からかよろけて取り付かれている。
万事休すかと思われたが、ロボットが間に合ったようで、取り付いていた球体は動きを止めて、横に出ている部隊や二足の化け物も倒れた。
その男は外に出て倒れるが、何者かに首に何か打たれてまた起き上がる。
それをしたものは……
『なっ、瓜二つの男だと!?』
そしてその漢たちは殴り合いを始めた……
そこで視界が暗転した。
────
『これは……流星の会社が作っているアニメ?』
『確かガンダムという名だったようだな』
次に見ている場面は、巨大な塊が地球に落ちて甚大な被害が出ている場面だ。
『ラウラは見たことあるのか?』
『副官に進められて一通り見ている……にしても、それらよりかはいささかリアル過ぎないか?』
そう言われてよく見ると、アニメとは違い宙に漂う破片や液体があちらこちらにありあたかも現実かのようにも思えてくる。
『なぁラウラ、周りに緑の機械が多いんだけど、その中で白い機体が緑の持っているバズーカみたいなもの取り上げてそれを撃ってないか?』
よく見ると、落ちる塊に向けて筒を向けている緑の機体に対して次々と接近し、代わりに発射している白い機体が見られる。
『なにか肩代わりを……あの爆発は、核だと!?』
確かに先程の爆発は異常に大きかった。あの描写はは見たことがあるが、白い機体が全て奪っているものはなかったはずだ。
次々に変わっていく場面。それにはどこにも真っ白な機械が写っていた。
地球に落下していく隕石、周りの機械は虹色の光に弾かれたなか、白黒で赤い球体を持った機械の横にも、機械は変わっているが、同じ真っ白な機械が横にいる。
なにか必死に白黒の機械の中にいる者に話しているようだが、虹色の光が突然溢れ出し、地球を覆ってその隕石がどこかに導かれ始めると、その機械も先程の機械と同じように弾かれた。
その白い機械の中で男は泣いていた。
『逆襲のシャアの場面だが……やはりここにも白い機械がいて、内容が違う。どういうことだ……』
また場面が変わり、目の前に現れた機械は……
『あれは白獅子か!? どうしてここに……』
確かに白獅子と同じ形だが、サイズが違う。ISの10倍以上はあるだろう。
白獅子のような機械は、簪が乗っているISと非常に似ている緑色の機械を、黒とオレンジのこれまた白獅子と似た機械からの攻撃から守ったり、巨大な赤い機械を3機の白獅子もどきで戦っている。
そして、「機動戦士ガンダムUC」だったか……その名場面でもある巨大なレーザーを2機とシールドで防いで白と緑の機体がどこかに行きかけてしまうところを食い止めた……と突然、
「コロニーレーザー再チャージ! 確実にラプラスの箱を消すつもりだ!」
機械を収容できる船から通信が入る。
またアニメとは違う展開が訪れた。
だが、3機は間に合いそうにない……っ!?
『白獅子が!?』
『何だあの速度は……』
一機だけ間に合った白獅子が、レーザーを一身に受け止める。
そして白獅子は中にいる男と一体化し一つの生物となった。
その後もいろいろな景色が映った。
巨大な金属生命体に特攻するボロボロの2機。
どちらも同じ機械だが、片方は黒でもう片方は白の機体。
散っていった二人は後方にいる青年に思いを託した。
巨大な兵器を地球に向けて発射されようとしていた所、またしても白い機体……今回はその作品内では一般兵が使っている機械で目のハイライトがない彼はその兵器の砲門に突っ込み、それを破壊した。
砂と少しの構造物しか残っていない荒廃した世界、そこでは六脚を持って上に大量の機械を乗せた機械を身体を改造した男が駆る機械が高速で移動しながら破壊していた。
そして最後に見たものは、流星にそっくりな高校生が誰かに押されて列車に轢かれるものだった。
それが終わると俺とラウラがいたのはどこにでもあるような家、その家のソファーに座って後ろを向いている金髪の男性がいる……顔は解らない。
『……どうやら彼の過去を見てきたようだな』
『彼って……流星のことか?』
その問に男性は是とする。そんなことが……
『どうして彼の過去を見ることができたのだ?』
『君達は強化人間に近い存在だ。
訳がわからない。もしあれが本当なら流星は……
『ちょうど良かった。押し付けで申し訳ないのだが、彼の心の拠り所になってもらいたい。流星は全然喋らないからな……』
もしそうなら、全力で支えよう。家族なのだから。
『……分かりました。できる限り、サポートしてみせます。コア人格さん』
『ほう……どうやらNTとしての素質があるようだな
……彼を、頼んだ』
意識が引っ張られる感覚に陥り、この空間から俺とラウラは去った。
────―
「お―! だい──―!? い―か!」
光が差し込んで覚醒し、目を薄っすらと開けるとこちらを流星が覗いている。
「ん……大丈夫だ……ラウラは?」
「お前さんがちゃんと助け出したよ。横を見てみな」
そう言われて横を見ると、すやすやと寝ている。よかった……
「まったく……VTSに突っ込んで真っ暗でなんにもわからなくて、外に出たら突然あの液体が崩れて一夏とラウラが倒れた状態で、出てきたもんだからひやひやしたよ」
奥からは教員が続々とこちらに来ている。そんなに時間経っていなかったのか……
「なぁ、流星?」
「……なんだ?」
「あまり抱え込まないほうがいいぞ? 流星の昔のこと、流星のコア人格に教えてもらったんだ。だから、ちゃんと打ち明けてくれよ!」
過去を聞いたという話を聞いた流星は、
「あのこと教えたのかよシャア……」
orzっていた。
「まぁ……頼りにしてるぞ?」
「ああ!」
この瞬間、俺たちの仲はとても近づいたと思う。
流星の過去が一部の人にバレました。
これで流星の抱えるものがかなり減ったと思います。
敵として出るなら……どれ?
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よう、首輪突き。
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世に平穏のあらんことを
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私こそが企業だ!