IS 白き一角獣   作:どこぞの機械好き

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ここから話は加速を始める……!


第35話 生存……?

 side 千束

 

 今日は店の定休日。私達は太平洋の上で、釣りを楽しんでいる。

 

「いよっしゃぁ、13匹目!」

 

 水面近くまで上がってきた真っ赤な鯛を網ですくい、針を外していけすに放り込む。

 借り物の船の上から釣り糸を垂らしてもうそろそろ3時間が経過しようとしていた。

 

「魚群探知機ではここから北西に、3キロ離れた場所に魚群があります。どうしますかミカさん?」

 

 釣り竿を揚げて、モニターをずっと見ていたたきなが次のスポットに向かおうと進言する。

 

「わかった。そっちに進路を向けようか」

 

 エンジンの振動が身体に伝わり、船の後ろから泡が立ち始める。船が動き出した。

 

「本当は、流星と釣りたかったんだけどな〜……今頃臨海学校か」

 

「今頃同級生とキャッキャッしてるわよ」

 

「んなわけあるかっ!」

 

 ミズキは店とは大して変わらず、「釣ったばかりの魚の刺身も中々いけるわね〜!」などと言いながら私とたきなが釣った魚を捌いて持ってきた日本酒の肴にしている。

 

 もちろん、自分の分は取ってるけどね。

 

「にしても周りに全然船が見当たりませんね。釣り界隈では有名な場所って聞いてますけど……海上が時化てる訳でもないですし……」

 

 すると突然通信機器に音声が発生し、舵をとっている先生の横でクルミがマイクを手に持つ。

 

「どしたのクルミ?」

 

「通信だ……こちら第3彼岸丸だ。何かあったのか?」

 

『やっと繋がったか! こちらはIS学園の者だ。その海域は現在封鎖されている! 今すぐその海域から避難しろ!』

 

「IS学園から!? ミカさん、DAからなんか連絡来た?」

 

「いや、私の携帯は鳴ってないぞ?」

 

 DAも感知してない? それじゃあなんで……

 

「それはまた急だな……何故ここからどかないといけない?」

 

『それは機密事項だから話せない! その海域から今すぐ離れないと、貴方達の命が危ない!』

 

 次の瞬間、船が大きく揺れて立ってその話を聞いていた4人は尻もちをつく。

 

「な、何事!?」

 

 お酒を飲んで座っていたミズキも盛大にコケた。

 船が揺れた原因は何か。

 

「……何だ、あれは?」

 

 先生の視線の先、そこにあるのは一つの銀と大きな4つの赤。

 

「一機はISみたいだが……残りのあれはなんだ?」

 

 少なくとも攻撃してきたので味方ではない事は分かる。

 

 

 空中で次々に爆発や銃撃音が聞こえて、戦闘が始まっているのがわかる。

 

 すごいなぁ……中でも、巨大な真っ白な機械に乗る深緑のISがずば抜けてすごい。

 

「……ん? あれ誰だろたきな?」

 

「あれは……男性搭乗者っ!?」

 

 こちらを見て固まっていた白いISが、背後から襲ってきた光の球にぶつかって爆発し、纏っていた機械がどこかに消える。

 

 そして、空中から落下する彼を赤い機体に乗る人が受け止めて、陸地の方へと飛んでいった。

 

「今のは……流星じゃなかった」

 

 だいぶ不謹慎かもしれないが、今のが流星じゃなくてよかった……

 

「あれは……味方か?」

 

 4枚の殻のような羽を持ったISがこちらに接近する。

 

「……皆さんの船は私達が護衛します。陸地に向かって全速力で向かってください!」

 

「わかった!」

 

 先生がその青髪のこの呼びかけに反応して、速度のレバーを前に一杯に倒すと、エンジンが唸りだし、船がどんどんと増速していくのがわかる。

 

 あれ? あの青髪の子、どこかで見たことあるような……どこだっけ? 

 

「命令だ、撤退するぞ!」

 

「嫌だ! 置いていくのは嫌だああぁぁぁぁ!!」

 

 後ろでは、さっきの男性搭乗者にそっくりの女の子と、今尚戦っている白い機械を外した緑のISの所へ行こうとするロニィがいる……ロニィ!? この前来てた!? 

 

「ロニィちゃん!? なんでここにいるの!?」

 

 アルコールが抜けたミズキも驚愕している。

 

「何でかはともかく、この場から離れましょう! 船を速くするために魚は投棄します!」

 

 たきなの声で、呆気にとられていた私とミズキの意識が戻ってくる。

 魚、海に返しちゃうの!? でも仕方ないか……

 

 魚を海に放っているとゴツンという衝撃とともに、船が止まる。

 先生!? 

 

「なぁんで止、め……る……」

 

 眼の前にはさっきまで戦っていたあの巨大な赤と銀色のIS……

 

「アハハ……き、今日はいい天気ですね〜……」

 

 これ、もしかしなくても絶体絶命……? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこをどけええぇぇ──っ!!」

 

 船の背後から現れたISが船を止めていた5機を押して、船から離れていく。

 そのISに乗っている人の顔は一瞬見えた。それは……

 

「流星っ!?」

 

 みるみるうちに彼は遠のいていく。何をしようというのか。

 

「あいつ、もしかして……!」

 

「なにか知ってるの、クル──―」

 

 言葉を言い切る前に答え……爆発音と衝撃波が私達を襲う。

 

 大きな爆煙と共に、海に落ちる流星。

 その爆発のおかげか赤と銀の機体は、一部が黒焦げになって空中で完全に止まっている。

 

「何をしてるんですか、千束?」

 

 たきなの声気づいたときには、船を降りてもう海の中にいた。

 

「おい待て、千束!」

 

 クルミの声を聞かずにがむしゃらに、彼が落ちた場所へ泳いでいく。

 

 どうか、間に合って……! 

 

 ────────―

 

 side ロニィ

 

 船を海岸まで護送してきたマドカ、簪、私の3人は、ISの補給作業をしている。流星が止めてくれた福音とファンタズマは今でこそ止まっているらしいが、いつこちらに来るかわからないからだ。

 そして近くでは、織斑先生とあの喫茶店の黒人さん……ミカさんが話をしている。

 

 一夏は、旅館内で治療中とのことだ。

 

「どうして、あなた達と流星に面識があるのですか?」

 

「私達は、喫茶店を経営してまして……彼はよく週末に来てくれるんですよ。この間も、そこにいるロニィちゃんが彼と一緒に来てくれました」

 

「本当か、ロニィ?」

 

 間違いではないので、首を縦に振って二人にサインを送る。

 

「……そうか。それで今から──―」

 

 はぁ……なんであの時山田先生の指示に従わずに、マドカの静止を振り切らなかったんだろ……

 

(『ロニィ、まだ決まってないからそんな気を落とさなくても……』)

 

「──―それで、通信では5人いたと聞いてましたが……なぜ4人しかいないのですか?」

 

 ナナシ……流星は、あの爆発の真ん中にいたんだよ? もうこの世にはいない。

 

(『彼はビームで背中がズタズタになっても、ケロっとしてるじゃない。今回も大丈夫よ』)

 

「一人は海に入って流星さんの下へ行ってしまって──―」

 

 今回は海に落ちてそのままなんだよ? 心臓が止まったのに、なんで生きてるって言い切れるの? 

 

(『……それは』)

 

「──―との連絡は?」

 

 もうこんな世界なんか……

 

(『ロニィ、それだけはやめておきなさい』)

 

「──―を持っていなくて……どこにいるのかもわかりません。連れが、本当に申し訳ない」

 

 大人の話をとぎれとぎれに聞いていると、箒がこちらにやってくる。

 

「ロニィ……話がある」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

「どうしたの、みんな揃って?」

 

 ここで話せないようだと話して、織斑先生達が見えなくなる海岸沿いの岩の裏まで移動する。そこでは、一夏と流星を除く、専用機持ちの皆がいた。IS学園から急いでこっちに来たのか、楯無さんの姿も見える。

 

「ロニィ、私達は、福音とファンタズマを叩きに行くが……一緒に来るか?」

 

 まずは流星の敵を取ろう。世界を壊すのは、それからでもいい。

 

「……もちろん」

 

 これは、前奏(『ISに着信が入った、ロニィ。発信源は……流星のIS!? ほら、言ったでしょ!』)っ!? 

 

「……プライベートチャンネルで!? ──―流星!」

 

 すぐに待機形態の首輪に触れて、通話を始める。彼は生きてた……? 

 

『良かった〜起動してくれて! あなたロニィちゃんで間違いないよね!?』

 

 だが聞こえてきたのは、流星の声ではなく、少し前に聞いた……

 

「千束、さん? どうして流星のISを? 流星は、無事なんですか!」

 

 大きな声で話しているせいか、ISを装着したみんなが何だ何だとこちらに寄ってくる。

 

「……流星と話してるの?」

 

「生きてる……なら流星の救出をまずしよう!」

 

「流星の位置を聞いて!」

 

「ちょっと落ち着いて! ロニィちゃんが話せないでしょ!」

 

 矢継ぎ早にみんなが話しかけてくる。

 

『さっきまで心臓止まってやばかったけど、今は動いてる。流星は無事。だけどまだ目は覚ましてない』

 

 流星は千束がなんとかしてくれたか……よかった……にしても、

 

「……どうやって蘇生をしたの?」

 

『それは心臓マッサージと人口呼……やっぱし後で!』

 

「別にいいじゃん。私流星とそれ以上のことしたし」

 

「「「『ファッ!?』」」」

 

 周りと、どこか遠くにいる千束の空気が完全に凍りついた感じがする。

 

「いまロニィの口から……」

 

「最初にゴールインしたのは、まさかのキミだったか……」

 

「……ちくせう」

 

 結局誰かが一番最初になるんだし、それが私だっただけだよ。

 

「それで千束さん、今の位置はわかりますか?」

 

『ファーストだと思ってたのに……はっ! そ、それで、今私がいる場所何だけど、暗礁にいるよ! 位置は……シャアさん、ロニィの機体との距離は……ありがと。そこから北北東に13キロの位置にいます! 私達から東北東に3キロの場所にあの赤と白のよくわからないのもいます!』

 

「わかった! 今からそっちに行くから、流星を守ってね……!」

 

『あたぼうよ! この千束に任せなさい!』

 

 ここで通信を終了し、私のISを展開する。

 

「ロニィ、場所は分かったのか?」

 

「うん、北北東13キロにいるって……みんな、行こう!」

 

「「「はいっ!」」」

 

 さっきまでこの世界がどうこうとか言ってたけど、流星がいるならそんなことしなくてもいい。

 

 流星、待っててね。




第2ラウンドまであと少し……

敵として出るなら……どれ?

  • よう、首輪突き。
  • 世に平穏のあらんことを
  • 私こそが企業だ!
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