IS 白き一角獣   作:どこぞの機械好き

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さぁて……赤い彗星と、ロニィのオペがついに……


第46話 コンバート

 side 束

 

 いっくんからイチカニウムを搾り取った数時間後、ツィマッド社本社で神を冒涜する手引をしていた。

 神って言っても、ほんとにだめって言ったか怪しいけどね? 

 

「……そういえばここの世界だと、束がシャアの親になるのか」

 

「なんで私だけになるのさ?」

 

通算3番(in シャア)は、束が作ったんだろ? その時はまだ俺は関与してなかったし」

 

 りゅーくんの装着しているISに、ありとあらゆるケーブルをつなぎながら、駄弁っている。

 これから起こることを知っていないのでは? と、思えないほど落ち着いている。

 だって今からりゅーくんとの子どもが生まれるんだよ? 

 私でも、嬉しすぎて今すぐはっちゃけたいぐらいなんだよ? 

 

「な~に言ってるんだいりゅーくん? シャアくんも、りゅーくんが育てたに決まってるじゃない!」

 

 誰よりも長く、そのコアが入ったISを動かしてるからね! 

 

「だけど……元々人格として完成していたというか……」

 

「そこからも、成長してるからね……私が生みの親で、りゅーくんが育ての親だよ! あ、でも一緒に子作り(ISコア作り)してた時期もあったね!」

 

 育ての親というのも実際、ISの動作技術の基本を確立したのも、りゅーくんだしね! 

 りゅーくんが考えた二重瞬間加速(ダブルイグニッションブースト)を、ちーちゃんが愛用しているのはここだけの話! 

 

「言い方……そういえば、大体どれくらいの(ISコア)を一緒に作ったんだっけか?」

 

「りゅーくんが5歳の時から一緒に作ってたから……シャアくんの3番と40番から432番までがりゅーくんとの子だねっ!」

 

 それ以降は、いなくなっちゃってた(4年前の一件)から今一番新しい子までは、私だけで作っている。

 ……うん、多いね! これだけでサッカーチームだけじゃなくて応援団も作れちゃうよ! 

 

「子ども多いなおい……後言い方考えろ? 一夏に捉え方間違えられたら、俺刺されるぞ?」

 

「大丈夫だよ! いっくんのことだから、そんなことは絶対にないぜぃ! あと5年で……ね」

 

「まさか束、もしかしなくても……」

 

「もちろんそれは計画済みだよ? いつ、いっくんとの子どもを授かるのか」

 

 いっくんとは、男の子と女の子一人ずつがいいかなぁ……でも、姉妹もありかも……? 

 

「ゆとり持たせてやれよ……千冬がそれ聞いたらどうなる?」

 

 ……それだけは困るね! 

 これ以上ボロを出さない内に話を微妙にそらしてみる。

 

「かく言うりゅーくんも、今までそれくらい流星の子供いたんじゃないの〜?」

 

「……右手で足りるくらいしかいない」

 

 およ? 結構少なかったのね……

 少なくとも30は超えてると思ってたぜい。

 

「ちなみにお名前は?」

 

「それだけは絶対言わん。自白剤を使っても口は割らない」

 

 声色を強めて、強く否定する。

 ……あら、これだけは譲れないみたい。

 珍しいね……りゅーくんの前世達は、あっさり言ったのに。

 

「……でも、いつかは聞き出してみせるよ〜?」

 

「まぁ、頑張ってくれ……それよりもとっととコンバートを済ませよう、シャアとナナシが待ってる」

 

 彼の顔が横に向くと、ジャージをを着たそれぞれ高校生くらいの男女が横たわっていた。

 

「息子とロニィちゃんとりゅーくんとの子どもの顔も、早く見たいしね! ……準備完了!」

 

「……なーんか、情報増えてないか?」

 

 ある意味間違ってないから、いいんじゃない? ロニィちゃんが望んだことだし。

 ツッコむりゅーくんを背に、パソコンを置いた元へと歩いていく。

 少し離れた場所では、ロニィちゃんと閃光(せんこ)ちゃんがこちらを心配そうに見ていた。

 

「ナナシ……」

 

「流星、大丈夫か……?」

 

「大丈夫だよ、二人共。りゅーくんは……死なせないから」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

「パーメットスコア……8!」

 

 りゅーくんの装着している『アレス』。NT-Dを始めたその子についているサイコフレームと呼ばれるところに、パーメット粒子が流れ始める。

 いつも見ている青い光と混じって、別の光がそこに混じっている。

 本当は、この子には付いていない、別の専用の装甲があってるらしいけど……

 こっちのほうが色々と便利、ということらしい。

 

「副作用は大丈夫?」

 

「ちょっと吐き気とめまいがするくらいだ。問題ない」

 

「……その程度の副作用収まっているのも、おかしいらしいけどね……」

 

 本来なら、情報を処理しきれなくて脳みそが焼けるそうだ。そう、文字通り脳が頭の中で焼ける。

 今より遥かに少ない量のパーメット粒子で。

 

「だがしんどいのはここからだ。ここで止まる訳にはいかないだろ?」

 

 りゅーくんの脳にどっと情報が流れ始めたのか、彼のバイタル値が目に見えて異常値を示し始める。

 

「……ウプッ……コンバートを……はやく!」

 

「っ……コンパート、始めたよ!」

 

 今のうちにしゃーくんとナナシの情報をあっちの素体に……! 

 

 持っているパソコンの冷却ファンが唸りを上げ、演算の補助をしてもらっているこの会社のサーバーにも負荷がかかり始める。

 ヴェーダっていう束さんでもびっくりのスペックを持つものでも、使用領域が8割を超えてる……! 

 これも人間自体の神秘か、シャアくんとナナシちゃんの情報量が多いのか……

 それはわからないけど今、ツィマッド社全体でネットが繋がりにくくなっていることは確実だ。

 

「……シンギュラリティを超えてたら、これほどの情報とは……!」

 

 今のりゅーくんの頭の中には、とんでもない情報量が処理されてる……

 繋いでいるコードでさえも多くの熱を持ち始めて、煙が出始めている。

 

「束…………後何分だ?」

 

「コンバート完了まで、あと1分!」

 

 それまで耐え……? 

 

 りゅーくんのISが淡く青に光り始め、サイコフレームが白く、更に強く光を強める。

 こんな機能は、しらない……これは……一体!? 

 その次の瞬間に感じたのは、人生で初めての感覚だった。

 

(『……感謝する。束女史……いや、束()()』)

 

 頭の中に、直接声が聞こえる……!? 

 ……これは……シャア、くんの声? 

 

(『こうやって話すのは、いつぶりだろうな……10年前(原作開始前編)に話したきりだったか?』)

 

 ……ああ、私が研究がーとか言っていた時期だったね。

 あの時にりゅーくんとシャアくんが支えてくれていなかったら……

 

(『過去のことはもういい……それよりも、これについて束さんは知っているのか?』)

 

 これについて、シャアくんは知ってる……? 

 りゅーくんは、大丈夫なの? 

 

(『問題ない……この現象は、サイコフレームの共振が起きたようだな』)

 

 サイコフレームの共振……? あのアニメ(機動戦士ガンダムUC)でよく起こっている? 

 なんというか……神秘的だね。

 

(『今回は……あくまでも予測だが、パーメット粒子との作用で起きたようだ……もしかすればNTへの覚醒も……』)

 

 ……私が、NTに? 

 

(『もしかすれば、な……もうすぐ、現実で会うことができる──―』)

 

ピピッ!! 

 

 コンバート完了の合図である電子音と共に、意識が引き戻された。

 

 パーメット粒子が流入していた証拠である、サイコフレームの発光が終了し、りゅーくんのISが解除される。

 それは……ISの補助がなくなった、フラフラのりゅーくんを支えるものはなくなったことと同じ。

 

「りゅーくんっ!」

 

 手に持っていたパソコンを投げ出して、いま倒れゆく彼の下に駆け出す。

 

 ロニィちゃんと閃光ちゃんも後ろからついてくる。

 

 だけど、それを目の前のジャージを着る青年が支えた。

 彼は……いや、あの子は、さっきまではただの抜け殻だったはずの子。

 

「……今世では、流星と束さんが私の……妙な感じだな。親が同世代とは……」

 

「…………もう、動けるんだな」

 

「脳内トレーニングですでに準備万端だったからな。この素体も、よく馴染んでくれる」

 

「……さっきまでISコア、だったやつが……よく言う」

 

 あの子は……!! 

 

「シャアく〜ん!!」

 

 思わず2人に飛びついた。

 ……この時、涙が流れていたことを、隠すかもしれない。

 

「当たっている……何がとは言わんが……!」

 

「やわっ……!?」

 

 りゅーくん、息も絶え絶え……だけど、話せる力はあるみたいだね。

 ということは、結構調子が戻ってきたみたい。

 さっきまで、ひいひい言ってたのにこれほどの回復力とは……

 

「なんだかんだ言って、りゅーくんも束さん並の細胞を持ってるみたいだね!」

 

「認めたくなかったが……どうやらその可能性がありそうだな……」

 

 なんで不服なのさ……? 

 悪いことはないはずだけど……もしかして、嬉しくて恥ずかしがっているのかな! 

 

「……束さん……そろそろ息が……」

 

「おっと失礼……」

 

 シャアくんが窒息しかけた……危ない危ない。

 

「え……? は? うっそ!? ……シャア・アズナブル!?」

 

 どうやら閃光ちゃんは彼をご存知のようで、何度も目を瞬いている。

 ここの世界にも、シャアくんが出てくるアニメはあるけど、前世がある()彼だからけーっこうびっくりしてるんだろうね。

 

「これが……体の感覚……」

 

 そしてもうひとりのジャージを着た女子高校生くらいの人? が……

 

「…………あんたが……『ナナシ』だな?」

 

「……間違いないです。この度、私の体をくれた事に深く感謝します、()()()()()

 

「「「……ん?」」」

 

 ちょっと聞き入れづらいとこを聞いた気がするなぁ〜? 

 この元AIが、私の義理の妹になるってこと? 

 

「私は、『尾白名無(みょうむ)』と名乗らせてもらいます」

 

「「「……ゑ?」」」

 

 ……さては、りゅーくんがそう言われたら断りにくいの知ってるな? 

 

「……今まで、『家族』はどういうものか知りたかった……」

 

 理由をぽつりぽつりと話し始める。

 AIが……完全に自我を持ってるね。シンギュラリティは伊達じゃないか……

 道理で話していて、違和感が少ないわけだよ……

 

「ロニィは私のことを『お姉ちゃん』と呼ぶ……けど、私も年上の、頼れる存在に恋い焦がれているの」

 

「……まぁ、構わないが」

 

 ほらね。りゅーくんは……優しすぎる。

 いつか、それが仇にならないといいけど……

 

「ありがとう……これからよろしくね、お義兄さん!」

 

「……よろしくな」

 

 りゅーくんの家族、どんどん増えていくね……予定も含めたらもう20人近くに到達するよ……? 

 

「……それで、見たところ名無ちゃんとシャアくんはもう大丈夫そうだね」

 

 今日のこのあとの予定も、問題なさそうだね。

 

「もう走ることも、できるぞ」

 

「はい……問題ありません。このあとの予定は?」

 

「早速だが……リコリコに行くか。もうあっちには話をつけてるし」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

 side シャア

 

「わぁ〜! シャアさんだ〜!」

 

 生まれた当日、私と名無は早速流星に率いられて喫茶リコリコを訪れている。

 入店すると、早速千束氏がお出迎えをしている。

 

「千束か……あの時(福音戦)の蘇生術は見事なものだったぞ」

 

「ここではやめてぇ!?」

 

 ……相変わらず、あのことは恥ずかしいようだな。

 ただ評価しようとしただけだが……

 

「話にあったAIは……この子が?」

 

「ああ……といっても、構成は人そのものだからな?」

 

「うん、私のオペレーター……いや、お姉ちゃんだよ!」

 

「……ロニィ」

 

 あちらでは店長と流星がロニィ氏と名無氏と話の輪を広げていて、

 

「やだ……ハンサムがハンサムを背負ってきた!」

 

「こいつは今んとこフリーだから、狙えるみたいだよ?」

 

「よっしゃ来たぁ!」

 

 閃光と話すミズキが獲物を見る目でこちらを見ている。

 私が……狙われているのか? 

 

「彼……コア人格だよな……!?」

 

「うん、実体もたせてみた」

 

「……キュウ」

 

「大丈夫ですかクルミ……?」

 

 クルミに至っては、カミングアウトした束さんの言動のオーバーヒートして、たきな氏に介護をされている。

 

 この場所は……

 

「……悪くないな、ここは」

 

 できれば……ここで働くのも……

 

「……ここで働きたいか?」

 

「また心を読んで……しかし、本当に、いいのか?」

 

「いいじゃないか。別に離れてても、ISコアの機能とか、意思疎通とかはできるんだろ?」

 

(『こういうふうに』)

 と次の言葉は、流星の声が直接聞こえてくる。

 

「こうやって、また人生があるんだ……やりたいことを、やってくれ」

 

 よし……決めたぞ。

 

「……ミカさん!」

 

「なんだい、シャアくん?」

 

「この私……

 

 

 

 シャア・アズナブルを、ここで雇ってもらえないだろうか!」

 

「シャアさんほんとに!? いいよね先生!」

 

 いきなりの千束からの猛プッシュにミカさんは……

 

「……よろしく頼もう」

 

「本日より、シャア・アズナブル……喫茶リコリコの店員に着任します!」

 

 心機一転、これからは色々なことを……

 

「……あ、キシリアから電話だ」

 

 ……先にそっちを済ませようか。

 




ふと書いてて……家族構成を見直してみました。

すると……

本人
義姉弟:一夏、千冬、名無、綿木
義姉妹(一夏の嫁):箒、束、鈴音、ラウラ
婚約予定:セシリア、シャルロット、ロニィ、簪、刀奈、本音、マドカ
一応身内?:シャア
計:19人

……あり?野球チーム作れちゃう?
しかも、これからも増えていくというね……

やっべぇ……こんな大家族にしたの、誰だよ……(お前が始めた物語だよ。)

敵として出るなら……どれ?

  • よう、首輪突き。
  • 世に平穏のあらんことを
  • 私こそが企業だ!
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