通算第2話の機体解説と登場人物を更新しました……よかったら見てネ。
「フキ先輩っ!」
「どうしたサクラ、そんなに慌てて?」
「ここここ、これっ! 尾白が白獅子だったってマジっすか!?」
「……はぁ? そんなわけ……は?」
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side 流星
俺がアレスの操縦者であることが世界中にバレた昨日は各国とのやり取りや、日本や菊岡から自衛隊のお誘いの電話が絶え間なかった。100回以上は電話にでたんじゃないか……?
その翌日。IS学園の全校生徒は今月半ばに催される文化祭についての話が為される全校集会に出席している。
「それでは、生徒会長から説明があります」
壇上に姿を現した、俺の横に座っている本音を凄まじくキリッとさせたような人……というか付き合っている人が上げた声が響くとともにさっきまでのざわめきがすうっと引き、それを待って舞台の袖から現れた一人の女生徒がマイクの前へと進み出る。
二年生であることを示すリボンを締めた制服に青い髪。
余裕綽々の笑みを浮かべた上級生の出現に、俺の前にいた生徒たちのほとんどは息を飲む。
「みんな、おはよう。今年は立てこみ続けていたから挨拶がまだだったけど、私の名前は更識楯無。このIS学園の生徒会長、つまりあなたたち生徒の長よ」
「楯無様ぁーっ!」
「いつもふつくしい……」
「ちくわ大明神」
「あぁ……神々しい……」
「誰今の!?」
……さすがは生徒会長、大人気だな。
なにやら名乗った直後に、色々聞こえてきたが……楯無はやたらめったら満足そうな顔をしているようだが気にしない。
とにかく……今は彼女が語るだろう今年の学園祭についての話を聞かねば。
……まあ、俺は既にだいたい聞かされていたりするんだがな。
「……みんな、悲しんでいると思うわ。今年はどういうわけだかIS学園で何がしかのイベントがある度に騒動が起きて、そのことごとくが中止に追い込まれている。クラス代表対抗戦も、学年別トーナメントも、一年生は臨海学校も途中から問題が起きちゃうし……ね?」
「「うっ」」
……どうしてそこで俺と一夏に目配せをするんだ。
悲しげに目を伏せて、まるで楯無が捨てられた子犬のような悲壮感を漂わせながら一つ一つ、俺達がIS学園に入学してからの思い出を数えるように中止されたイベントを上げる会長。
だが、だいたい俺たち絡みでなにかあったのは間違いじゃないんだから、否定はできない。
その言葉の節々でちらりちらりと視線を向けられる一夏は、俺と同じくか、それ以上にその全てに自分が関わっているという自覚があるからか無駄な罪悪感を感じているらしく、胸を抑えている。
いいセンスだ、会長。一夏をピンポイントで攻撃できる人はあんまりミたことがない……しかも、それがこの後の話に繋がるからなおのこと。
「だから、私達生徒会役員共は考えたわ。誰が悪いわけでもない、本当に誰かのせいってわけでもないこの不幸を払拭するための一大イベント。……それこそがっ!」
叫びと共に手慣れた所作で水平に振り抜かれた扇子の先に、特大の空間投影ディスプレイが展開。
ディスプレイ起動に伴う一瞬の閃光に眩んだ俺達の目が回復した時、そこに現れたのは。
「名付けて……『各部対抗織斑一夏争奪戦』!!」
『「「「っしゃぁぁああああ!!」」」』
投影されたのは達筆な文字と一夏の小学校入学の時の写真。〜女子の雄叫びを添えて〜
やっぱすげえなIS学園、というかIS学園の生徒……それも今の声の中で特にデカかったのは箒と鈴とラウラ。
体育館が人の声で文字通り震えたぞ?
……ちなみに一夏の写真には見切れてるが箒と束も、写ってたりする。
「いいかしら。……ルールは簡単。基本的にやることは例年通り、各部活動ごとに行う催し物に対して投票を行うだけ。ただし、景品はこれまでの特別助成金では……ないわ」
「……ごくり」
少しだけ前かがみになり、マイク越しにも声をひそめた楯無の演説手腕にあっさりと乗った生徒一同は生唾を飲んでその後の言葉に耳を澄ます。
今も空間投影ディスプレイで眩しすぎるイケメンっぷりを振りまいている幼少期の一夏の写真に、さきほど会長の言っていた言葉から推測される景品。
ひょっとするともしかして、現在超有望物件たるアレなのでは、という希望と欲望と愛しさと切なさと心強さが渦を巻き、その緊張が頂点に達する瞬間を正確に見切った会長はパーフェクトなタイミングで叫ぶのだ。
「織斑一夏を、一位となった部活に強制入部させましょう! 私にはできる! なぜなら私は、IS学園生徒会長だからよ!!」
「きゃあああああああっ!」
「さすが生徒会長!」
「私達にはできないことを平然とやってのけてる!」
「そこにシビれる!」
「アコガれるぅっ!!」
盛り上がりに盛り上がった生徒達の勢いはもはや止めることなど不可能な域に達し、完全に寝耳に水状態だった一夏は口を閉じることすら忘れたまま呆然と会長に視線を向け、ぱちりとウィンクを返されている。
まあ諦めろ、一夏。
会長がやろうと決めてしまった時点で、お前の未来は決まっていたのだよ。
「今回の学園祭は、そ・れ・だ・けじゃないわよ……?」
『……ゑ?』
「こう思った人はいないかしら……流星には何もイベントはないのか、と」
……これ以降はなにも伝えられてないんだが、俺もなにかあるんか?
本音と虚さんも把握してないらしくて、楯無の方を見て固まっている。
「もちろん、用意してるわよ。こっちは、来賓の投票で票が一番多かったら。その部活には……」
『……ゴクッ』
「特別顧問として今年度中ずっと派遣させるわ!」
『『キタァァァアアアアアアッ!!!』』
……もう体育館の強度が心配になってくるレベルで生徒たちの声がすごい。
今度は……主に俺と付き合ってる人の声が目立っていた。
「……どういうことだ楯無、俺生徒会辞めることになるのか?」
「いえ、これはあくまでも『派遣』……いつもどおり生徒会の仕事頑張ってね!」
「はぁ……」
「もちろん生徒会も本気で狙いに行くから、よろしく!」
……じゃあなんで俺を景品に出した?
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「誰得だよこんなの!?」
「超得に決まってるじゃない! 織斑くんと尾白くんに触れ合えるんだから!」
生徒大会の勢いは衰えず、HR。
クラス代表の一夏は教壇に立ってクラスメイトという名のJK軍団と議論が白熱していた。
主な議題は、学園祭の出し物として伝家の宝刀「織斑一夏の○○」シリーズ、あるいは「尾白流星の○○」シリーズをやるか否か。
クラス代表としての権限で一人健気に全てを却下しようとする一夏と、一つ却下されれば十の候補を出してやるわいとばかりの物量作戦で挑む女子連合との熾烈な争いが繰り広げられている。
ちなみに俺は一つに絞ってから聞くようにって伝えている。だからものすごく俺の候補も上がっていってる。
例としてこれまで提案されたものを挙げてみると、「織斑一夏とポッキーゲーム」「尾白流星の握手会」「織斑一夏と尾白流星のアリーナライブ」「織斑一夏と恋バナ」「尾白流星がご奉仕するZOY☆」などなど……おい何だ最後の。
俺がこんな事するのか?
別にできなくはないが……案が出るだけで、なかなか決まらない。なぜなら……
「なんか他の人に流星がしてると思うとなぁ……」
「「……」」
シャルがふとこぼした言葉でわかっていただけただろうか。主に俺もしくは一夏と付き合ってる人からの圧がやばい。
……ラウラとロニィに至っては黒いオーラがにじみ出てるもん。
「……ねえねえ尾白くん?」
「どうした相川さん?」
「尾白くんの白獅子とか、展示できないかな?」
とんでもなくタイムリーだな……それだけで人がホイホイ集まってくるのが目に見えてるし、集客の謳い文句としてはこの上ないものになるか。
「俺のISの展示……については、できなくはない」
「私が提案しといていうのもあれなんだけど、セキュリティとかは……」
「やばいときは勝手に動いてこっちに来るから大丈夫だ」
遠隔操作か、シャアに言ったら動かしてくれるしな。
「ISが自分で……? なんかもうわからないよ……」
……そういえばまだISの自我とかまだ学校だと概念段階だっだんだな。失敬。
「で、それだけだったらな……このクラスにIS一つってのは味気ないと思うんだが、どうする一夏?」
「うーん……VRはどうだ? それもシミュレーター型のやつとかは……」
……興味深いことを言うな?
「詳しく言ってみてくれ」
「例えば流星の会社のアニメを実体験できる! ……とか面白そうかな?」
「何それ面白そう!」
「ISの操縦とかも、できるようにしたらいいかも〜!」
一夏の妙案にどんどんと賛同の声が上がっていく。
多くの生徒がガヤガヤしてきたところで、まとめ役の一夏が声を上げた。
「時間も迫ってきてるから……今出たもので多数決をとるぞ?」
……まぁ結果は、ほとんどの生徒がVRシミュレーターとISの展示を選んだ。
一人、ラウラだけは「ご奉仕喫茶」というものを選んでいて……それが選ばれることはなく、頭を机に突っ伏して何かブツブツ言っている。
後で聞いてみるか……
クラスの出し物の方向性は決まった。だが……いくつか問題がある。
「一夏、もし仮にそれを採用するならVRの筐体がいる……それも複数台。それ、誰がやるんだ?」
仮にもし一個10万くらいだとして、客を回すには少なくとも20台くらい……予備も合わせるともっと必要になる。
「あー……やっぱりそういうのは……」
「まさか……俺の会社に頼もう! なんて思ってなかったか?」
「ぐはっ!?」
図星……だがまぁいいか。まぁ会社のアピールにもなるし、面白そうだし……一石二鳥どころか三鳥以上ある美味しい案だからな。
「……いいぞ」
「……マジで?」
「ハード面は提供しよう。ソフト面は……俺たちで作らないと、面白くないだろ!」
流石に全部カンパニーメイドだったら、学園祭で出す意味がない。
『おーっ!』
クラスの士気も上々、いいものができる予感がする……この感じ。
「流星、著作権とかは……」
「著作権は気にしなくていいぞロニィ。うちのアニメは好きに使ってくれ! 何なら会社のやつに言って新しいCGとかせびってもいい!」
その時は、作ってるやつに特別手当を出さんといけないがな。そんなことくらい別にいいだろう。
…………この光景が、記憶に残るからな。
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HR終了後……
「一夏の執事服姿見てみたかった……」
「……どんまいラウラ。一応服はあるから、今日の夜にでも見せてもらいな」
「おお、ありがたい……がなぜこんなものを持っている?」
これが企業パワーってやつですか……
※現実ではちゃんとサ○ライズが著作権を持っているので気をつけましょう。
敵として出るなら……どれ?
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よう、首輪突き。
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世に平穏のあらんことを
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私こそが企業だ!