IS 白き一角獣   作:どこぞの機械好き

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思ったよりも文字数が長くなりがちなんですよね。
これはいい傾向なのやら、悪い傾向なのやら……
それはともかく、どぞ。


第55話 伏兵

「どうした、さっきまでの勢いは?」

 

「ちっ、こいつは分が悪いか……退くぞ!」

 

「彼奴等は一体……とにかく場所を移動するぞ。動けるか?」

 

「その服、は……リリ、ベルの?」

 

「いや、俺はツィマッドから派遣された、ただのDAの訓練教官に過ぎないが、呼ぶときはそうだな……リキッドと呼んでくれ」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

 side キリト

 

 俺がISに乗れてしまったことで……学園祭が終わっても、俺は家に帰ることができずに学園祭を見に来ていた政府の人たちにドナドナされたその夜。

 

「えっと……よろしくお願いします。篠ノ之束さん」

 

「まぁまぁそんな固くならずに〜私は束って気軽に呼んでくれていいよ? よろしくね、きっくん!」

 

 場所はIS学園の生徒指導室でメカメカしいうさ耳をつけた篠ノ之束博士……本人の希望で束さんと呼ぶことにする。

 

「学園祭終わって、初めてやる仕事がまさかの男性操縦者のカウンセリングとはね……」

 

 そう喋る紫色の髪を持った束さんの後ろには緑色の髪をした人が録音機を持って、興味深そうにこちらを見ている人……

 

「わ、私はここの教師をしている山田真耶ですっ! どどっどうかお気になさらずっ」

 

 ……カチコチに固まって緊張している山田先生が束さんの後ろにいる構図だ。

 

「じゃあきっくんの自己紹介をお願いするよ! これまでのことを、大雑把に話してくれたらいいだけだし、無理して話す必要はないから……情報と垂らし合わせるだけだからね!」

 

 ゆっくりでいいよ〜と加えて言われたので、頭の中で話すべきことを整理し、ぽつりぽつりと話し始めることにする。

 

「……まず、今の年齢は16。流星の一つ下で──―」

 

 ──―

 

「──―GGOの死銃(デス・ガン)事件に遭遇。りゅーくんとしののんを中心に複数人で解決して、今に至ると……」

 

 おおよそ20分くらいにまとめて、俺のことを束さんに話した。

 こうやって今GGOの話をしている時、山田先生の顔が青くなったり赤くなったりでコロコロ変わっていたけど……

 

「あの……山田先生は、GGOとなにか関係が?」

 

「ああ〜やまぴーね、トップランカーだよ? ジョイ(ザ・ボス)とかシャラシャーシカ(オセロット)と渡り合えるくらいの実力を持ってるし、伊達に元日本代表候補じゃないってことだね! ……流石にりゅーくん相手は分が悪いみたいだけど」

 

「ご、ご謙遜を……」

 

 ISの教師をできるほどの手腕を持っているなら、彼女が俺の今まで見た中で……どれだけ屈強な胸部装甲を持っていてもそっちのほうがすごいと思える。

 

「なにか今の説明で、疑問を持ったこととかありませんでしたか?」

 

「んー……特にないよ。SAO帰還者(サバイバー)かつ攻略組と呼ばれるきっくんの経歴……りゅーくんやかんちゃんからたまに聞いていたこととあまり変わりないようだし。でも、強いて言うなら……」

 

 言うなら……? 

 

「……1年前は、ありがとう。りゅーくんを立ち直らせてくれて」

 

 そのこと、か……

 束さんが知っているという事実に、当時のSAOへの干渉をした人物を察しつつ、彼女の言葉に返事をする。

 

「それについては、もう大丈夫ですよ……というか俺も、ALOで色々助けて貰ったので……」

 

「あぁ〜! あの須郷とかいうやつが支配していたところね!」

 

「……須郷がどうなったかを、知ってるんですか?」

 

 まるで彼を見たかのような口ぶり。束さんは須郷についてなにか知っているのか? 

 病院で、どこかに逃げ出した後から行方不明になってるけど……

 

「聞きたい……あのゴミがどうなったか?」

 

 いきなり、態度が変わって……一気に束さんの周りの空気の温度がっ!? 

 まずい……地雷を踏んだか? 

 

「イエ……キカナクテダイジョウブデス」

 

「……答えてもいいけど、あまりスッキリしない内容だし、そっちのほうがいいかもね! もうあのゴミを思い出したくもないよ!」

 

 とっさに否定すると、またさっきの調子に戻った束さん。

 須郷のことは……もう何があっても気にしないでおこう。それが見のためでもあると、心が叫んでいる。

 

「よいしょ……さて、本題に入ろうか」

 

 束さんが椅子に座り直して、改めてこちらに向き合った。

 さて、ここから何が始まるのか……と身構える。

 

「本題と言っても……どんなことを話すんですか?」

 

「話すことと言っても、きっくんがどのようにしてISに乗れることがわかったかを、教えてくれたらいいだけだよ。それこそさっきと同じみたいにね」

 

 それじゃあ、さっきのは予行練習みたいな感じだったのか……思わぬ思いやりに心の中で感謝しつつ、さっきと同じように、己がどのように動いて、何が起こったかを説明する。

 

「きっかけは、1年1組に展示してあったISだと思います」

 

「ほうほう……」

 

「ただ……ISをつけることができたら、空を自由に飛べるよなって思いながら触れると……」

 

 あのラファールという名前のISをつけて入れてた……これ以上でも、これ以下でもない。

 

「特に細工をしたわけでもないんだね? 純粋にその思いで触ると、ISに乗れる仮説が通るなら……世界中の男性が乗れるようになるし……」

 

 私と流星の子達に聞いても、そんな嫌がってたわけじゃなかったな……

 と続けて話しながら束さんはうーんと言いながら、椅子をくるくると回して考える人の姿勢を取っている。

 

「ISのコア人格と、会話を……!?」

 

 録音をしている山田先生から、驚きの声が上がる。

 今の発言の中に衝撃的なことが含まれていたようだけど、詳しいことはわからない。これからわかっていくのだろうか……

 

「とにかく……きっくんも男性操縦者の一員になったことだし、IS学園で少なくとも3年くらいいてもらうのは確実かな?」

 

「3年も……」

 

「各国の優柔不断な人たちが、きっくん達をどうするかって決めるのに必要なんだって。そんなに時間はいらないと思うけど……でもごめんね、勝手にきっくんの進路を決めるような根本的なものを作ったのは、私だから……」

 

 うさ耳が萎れて、目に見えて落ち込む束さん。

 ……一度、束さんのISの夢についてを流星から聞いたことがあるが、その時に聞いたことから彼女も苦労をしてきたことを知っている。

 

「これも、一つの運命だったかなって思ってるんです。人生何が待ってるか、わからないですし……」

 

 それこそ、流星の今までのこととかその周りにいるシャアやイーライ、ザ・ボスみたいに……

 別の世界から来た人がわんさかいるんだ。こんな事が起こっても、受け入れれる。

 

「運命ね……そう言ってもらえると、嬉しいよ。お詫びと言ってはあれなんだけど、きっくんのサポートをさせてもらいたいんだ」

 

「……具体的には、どういったものなんですか?」

 

「基本的にIS関連でできることは手伝わさせてもらうよ! ……それともう一つ。今のIS学園の知り合いってりゅーくんとかんちゃんだけだよね? しののんはもうすぐ来ることになってるけど……そこで、提案があるんだ」

 

「提案……?」

 

「お詫びと言っては何だけど、りゅーくんと同い年の明日菜さん……あーちゃんだっけ? ならあーちゃんの意向によったら、こっちに転入することもできるよ? それこそしののんと同じようにね」

 

 知らない所で博士に気に入られているアスナのあだ名はさておき……

 

「そんな簡単に決めていいんですか?」

 

 IS学園って普通何十倍もの入試をくぐり抜けてこないと、入れることがないところなのに……

 

「まだ世間に公表してないけど、あーちゃんもしののんと同じISの適性がA+。これはちーちゃんにぎりぎり届かないくらいで、世界でもまだ10人はいない……正直私がびっくりしてるよ」

 

「いつ測ったんです……?」

 

「彼女の了承は取ってる。その上学力も十分だから……後何人かのイエスを貰えるだけで、すぐにこっちに転入できるよ? 後お金とかの心配もいらないし」

 

 確かにそうしたいが……アスナのことも、考えないといけないな……

 

「……後で、彼女と相談してみます」

 

「人の体って持ち主が思っているより疲れている事が多いし、そうするといいよ……さて、これやることは終わったけど、この後はどうするの、やまぴー?」

 

「……ああはい。えっと……今日から、一時的に寮の空いている部屋で泊まってもらうことになってます」

 

 ここのの生徒がいるだろうし、迷惑かけないようにしないとな……

 

「まぁすぐに正式になるだろうけどね。途中、いっくんを見かけるかもしれないから、そのときはよろしく!」

 

「いっくん……織斑一夏くんになにか用事があるのですか?」

 

「いっくんとは仲良くしてほしい。それだけだよ? ……なんせ私のフィアンセだから」

 

「……ゑ?」

 

 世間では3人のはずだが……一夏くんのお嫁さん、4人目がいたのかっ……!? 

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

『キリトくん、大丈夫だった?』

 

「ナニカサレタわけじゃないし、篠ノ之博士と話をしただけだよ」

 

『そっか……体調には気をつけてね。それと、IS学園についてなんだけど……』

 

「アスナ、無理は言わない。今まで通り、ミトやアルゴと同じ学校(帰還者学校)のままでいいんだぞ?」

 

『ううん……キリトくんのそばにいたい。今の私から言えることはそれくらいかな……』

 

「……ありがとう」

 

 大好きだよ、キリトくん。という言葉を最後に聞き、通話を切る。

 

「彼女とのお話は終わった、桐ヶ谷くん?」

 

 携帯を閉じた途端に、壁にもたれかかっている簪に似た容姿で、青い髪を持つ女性から声がかかった。

 

「はい……おまたせしました、更識さん」

 

 彼女についていくことになっているのでアスナと話している間、待ってもらっていたのだ。

 

「それなりに砂糖ばらまいていたわよ。午前の帆坂さんによる、実質告白のあれほどじゃなかったけど……」

 

 周囲では、鼻を押さえていたり何かを口から出しかけている人がちらほらと、寮の扉の隙間から顔をのぞかせている。

 

「むぅ……」

 

「そんなムスッとしなくても……この後の説明が終わったら明日菜さんとはまた後で話せるし、そんな気を落とさなくていいわよ。それより、短い期間だと思うけど、よろしくね和人くん」

 

「はい……そしてここが、IS学園の寮室……おぉ」

 

 楯無さんの開けた木製扉の先には、どの家具も高級そうで、本当にここで泊まるのかという錯覚をしてしまう。

 自分の部屋と比較するのは言うまでもなく、アスナの部屋に匹敵するほどだな……机に至ってはディスプレイが内蔵されているものだ。

 噂通り……高級ホテルと言われても間違えてしまうほどに、きれいな部屋である。

 

「随分と税金かかってるでしょ?」

 

「ですね……ここで、楯無さんと……」

 

 一緒に寝ることになるのか……アスナがいるのに、他の女性と寝ることになるとは……

 

「……どうしたの、桐ヶ谷くん?」

 

 そう言いながら振り向いた楯無さんの声で、意識は現実に引き戻されて……そのまま彼女の顔に釘付けとなり、ドキッとしてしまう。

 

「……あ、お嫁さんが何人にもできるからって、私を狙おうとしないでよ? ……もう彼氏はいるから」

 

 こちらの表情から察したのか、楯無さんから牽制がかかってくる。

 何なんだ一体……結構

 

「あなたも流星の……」

 

「そういうこと!」

 

『御名答!』と書かれた扇子を広げる。

 ……元から用意していたのか? 

 

「簪からたまに聞いてましたよ。恋愛にはポンコツのお姉さんだって」

 

「ふぐっ!? ……地味にツッコミが痛い……」

 

 かなりのダメージを負ったようだ……ちょっとお返しができたので良しとするか。

 

「なんで楯無さんと一緒の部屋になったんだ?」

 

「こう見えて私、この学校の生徒最強がなっている生徒会長「流星が、楯無さんに負けた……?」か、彼はそれに興味ないだけだしっ!」

 

 もうおちょくらないでちょうだいっ! と言って拗ねる立てなしさん。

 揶揄れば揶揄るほど面白いなこの人……

 

「それで、なんで楯無さんと同じ部屋になったんですか?」

 

「色々おっかない奴らが、たまに和人くん達を狙ったりしちゃうからよ……それは嫌でしょ?」

 

 なんか捕まったら最悪ホルマリン漬けとかなんとか言ってたからな……それは御免被りたいので首肯する。

 

「でもここのセキュリティって、世界で指折りの強度があるんじゃ……?」

 

「そうとも限らないのがこの世の中なの。備えあればっていうものね! 最近―コ―スが誰かに集中──狙われ──ると聞くし……

 

「……なにか言いました?」

 

「い、いや別に……桐ヶ谷くんも、ちょっと訓練をしたらどうかなーって思って。流星は言わずもがな、一夏くんも暇があったらそういうこと頑張っているみたいわよ?」

 

 取り繕いつつ、新たな話題を持ち出してくる楯無さん。

 なにか裏事情があるんだろうけど、あまり詮索はしないほうがいいだろう。

 

「訓練って、どんなことを……」

 

「CQCって言われてる技術を習得するの。気になるなら、私が実践してみようかしら?」

 

 この後、むちゃくちゃ転がされた。

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

 side たきな

 

 IS学園の学園祭から2日後の休日。連日のように、第3の男性操縦者のニュースがテレビで流れている。

 

 思い返してみれば出張店は大成功で純利益が7桁に迫るほど……ということはさておき。

 

「制服でロニィさんや簪さん達と回っていた流星、楽しそうでしたね」

 

「ん〜? たきなも、学校に通いたいの?」

 

 ふとこぼした独り言を、千束が聞いたようです。

 ですが、さっきの独り言は到底叶いそうにないですから……なぜならば。

 

「彼女や流星さんが安心して暮らせる社会にするのが、私達の使命なので……でも正直、羨ましかったです」

 

 一緒に学んで、ご飯を食べて、話をして……

 

「それもそうだね……特に流星と一緒にしたいんじゃない?」

 

「それは千束も同じでしょう!? 私、知ってますからね!」

 

「おおんっ!? いったなぁ〜?」

 

 どちらも顔を赤らめながら視線がぶつかり合って、火花が飛び散っている幻覚が見える。

 

「それよりも、はやく荷物を届けなくていいの?」

 

 ミズキが指差す方には、今日中にヤのつく人達がいる場所に届けないと行けないものが入った小包。

 中身が違法ではないことは確認済みです。

 

「……そうだね、この話の続きは帰ってきてからにしようか」

 

 千束がそれを持って、外に出ようとしたところを……

 

「待ってください!」

 

「んお? どうしたのたきな?」

 

 呼び止めていました。というのも……

 

「気がかりなことが……最近、サードのリコリスが何者かに襲われてる案件が複数発生しています」

 

「……リコリス襲われているのか?」

 

「詳しいことはミカさんに聴いてください、クルミ」

 

 私はあくまでも、この事があったことだけしか知らないので……それに、このこともミカさんから聞いた話ですし。

 

「それで、損害はどうだったんだミカ?」

 

「被害を受けたのは4人……そのうち、偶然襲われているところに出くわしたDAC(流星の部隊)の一人が救助に成功したそうだ。そのサードは現在ツィマッドのところで治療中らしい」

 

「……気になるな。ちょっとそれについて調べてみる」

 

 そう言うとクルミは、いつもの押し入れに入った。

 次出てくるのはいつになるのでしょうか……っとそれよりも、千束の話に戻らなくてはと思い出してさっきから準備を進めていた千束に話しかける。

 

「聞いてのとおりです千束。カモフラージュするとはいえ、いくらなんでも一人での行動は危険ですよ」

 

 次は何を反論してくるのかと思っていたら、取り出したのは黄色いポンチョ。

 これをつけていればリコリスの制服を隠せながら、銃を持てるのでかなり合理的だと納得する。

 

「でもそれ……千束のだけですよね」

 

「そんなこともあろうかとぉ〜こちら、じゃんっ!」

 

 今度は紺色のポンチョを見せびらかしてくる千束。

 

「これは……私の?」

 

「そーだよ! これなら大丈夫でしょ!」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

「大丈夫、たきな……?」

 

「ええ……こちらはなんとか」

 

 ……まさか、()()()()()()()()()()()()()()とは……

 肩で息をしつつ、今しがた横転させたバンから這い出てくる、緑色のくせ毛持ちの男に非殺傷弾入の拳銃の標準を合わせて二人でジリジリと寄っていく。

 

 最初に、スポーツカーで撥ね飛ばされそうになり、千束とともに轢かれたフリをして、千束とタイミングを合わせて反撃を初め、引き撃ちをしずつけた結果こうなりました。

 

 千束は携帯を落としてしまい、私のものは残っているとはいえ……この状況で連絡もできそうにありません。せめてインカムをカバンに入れとくべきでしたか……

 

「ポンチョ……すみません、落としてしまいました……」

 

「大丈夫だよ、生きてるだけでも……「千束っ!」えっ?」

 

 茂みの中にある黒光りが一瞬目に入り、とっさに千束を押し倒す。

 最後に感じたのは……

 

「……チッ。赤服リコリスに当たらなかったか」

 

 と話すスナイパーを持つ灰色髪の男と、自分の身体から出ている赤い液体だっ──―

 




学園祭終わってすぐシリアス突入なんじゃ。

敵として出るなら……どれ?

  • よう、首輪突き。
  • 世に平穏のあらんことを
  • 私こそが企業だ!
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