単刀直入に言おう、俺は死んだ。
原因は不明、気が付いたら真っ白な空間でぽつんと1人だ。
何もすることがないからその場に座り、暫くぼーっとすることにした。
だけどそれも飽きてきて、そのばで屈伸をしたり、歩き回ったりする。
すると、
「――あ、あれ、あれれ…?なんでここに人間の魂が…」
突然頭上から声が聞こえる。
俺は上に顔を向けて、声がした方向を向く。
そこには、光の塊がふよふよと浮いていた。
――だ、誰ですか?
声を出そうとしたが、うまく声が出せず、思念でしか言いたいことを話せない。
「あー、言いたいことはこっちに聞こえてるから大丈夫だよ~」
――なんで声が出せない…。
「え、だって君、身体ないしね。声帯がないんだから声が出なくて当然さ」
――は、はぁ…。
どうやら今の俺には声帯、および身体がないみたいだ。
つまり今の俺は…どんな状態なんだ?
身体がないということは、つまり…、
「魂ってことだね」
――すーっ、ですよねぇ…。
これでドッキリという可能性は消えたなぁ…、ってことは俺マジで死んじゃったのかぁ……。
…………。
――……そういえばあなたの正体、まだ聞いていないですよ。
「ショック隠すのが下手だなぁ、佐藤 快斗くん」
――…なんて?
「あー、聞こえてないなら別にいいよ。それよりボクの正体だよね、ボクは、あー…、君たち人間が言うところの神、という立場にいるもの、なのかな?」
――なんで疑問形なんだし。
「あー、まぁそこのところは気にしないで。…さて、と、雑談はここまでにして、そろそろきになってきてたんじゃない?なんで君がこんなところにいるか」
……それは確かに考えていた。
なぜ死んだ身になった俺がこんなところにいるのか。
ほかの死んだ人もここに来るのか。
考えれば考えるほどわからないことが頭の中にはてなマークが溢れ出てくる。
「まぁ、今君が考えていること含めて話していこうか」
「まず、君の死因はなんなのか、ということについて」
あ、そういえば死因もわかってなかったな、これも教えてくれるのもうれしい。
「君の死因は、ずばり交通事故だね」
――……交通事故?
「そうそう、中々に悲惨だったよぉ?君が横断歩道歩いてるときに、猛スピードで突っ込んでくる2tトラック、だっけ?が君を跳ね飛ばして轢き逃げ。で、跳ね飛ばされた先で別の大型トラックにも轢かれて、最終的に元が人間なのかも怪しいぐらいにぐちゃぐちゃになっちゃってねぇ」
――いや惨すぎんだろ、何をどうやったら1回の事故で2回もトラックに轢かれなくちゃならんねん。
「1周回って運がいいのかな、多分」
――いや知らんわ。はぁ……、うん、死因はわかったよ、ありがとう。次はなんで俺がここにいるのか、説明が欲しいんだけど。
こいつに会話の主導権を握らせちゃだめだ、多分あのまま喋らせてたらどんどん話がずれていって取り返しのつかないことになってた可能性がある。
ここは少しづつ俺が会話を引っ張っていく感じで……。
「ひどいなぁ、君は。まぁいいんだけど」
――そのナチュラルに心の声に入ってくんのやめてくんね?
「今の君に心の声も肉声も何もないと思うけど」
――た、確かに。
「っと、なんで君がいるか、だったね。うんまぁ、ぶっちゃけるとボクのミスなんだよねぇ」
――は?
「本当は1回目の衝突で終わってて、君はほんっとうにギリギリで一命を取り留める……、はずだったんだけど、ちょっとボクのミスでトラックが2台、君のほうに向かう感じになっちゃったんだよね。で、その結果がオーバーキル」
――……殴っていいか?
「いやいや、もうすでに上の方たちにぼっこぼこにされてるから、それは無理な相談かなぁ」
――…で、お前のミスで俺がここにいるのはわかったよ。じゃあ俺はなんでこの場に残り続けているんだ?
その質問をすると、自称神はその場でくるくると回りながら、「ふふふ、その質問を待っていた」と、なんとかほざいている。
「ふっふー、僕のミスがなければまだ生きていたであろう、君の人生を終わらせてしまったお詫びに、転生させてあげようかなと思ってね」
……転生?
転生ってあれか?今どきのラノベでよくあるやつ。
「そうそう、それのことであってるよ。君には転生してもらおうかと思ってるんだ、…あ、元の世界に転生させてくれぇってのは無しね」
――なんでだ?
「つまらな……じゃなかった、もうすでに君の世界では君は死んだことになっててお葬式もしてる。そこに死んだ君にそっくりさん、いや、もう1人の君自身が現れたとする。さて、周りはどんな反応をするでしょうか?」
いまこいつ、つまらないって言いかけやがったな?…ちっ、たく…。
――まぁ、みんな驚くだろうな。
「驚くどころか大混乱だよ、死んでからすぐ生き返るならまだ前例があるからいいけど、死んで火葬されて骨になって埋められて少し経ったぐらいの時期に
――うっ、そ、それは確かに。
「だから君はそことはまた別の世界に転生させることにした」
――…別の世界?
「そうだ。ふふ、聞いて驚け、お前を『ヒロアカ』の世界に転生させてやろう!」
――…ヒロアカって何?
「お前まじか、お前な、ヒロアカってのは――」
――…つまり、人間に"個性"っていう特異性を埋め込んだ地球ってことか。
「まぁ人間だけじゃないけど、大方そうだね」
――で、俺をその世界に転生させたとして、何をすればいいんだ?
「いや、特に何をすればいいとかはないかな。自由に生きてくれて構わないよ。ヒーローになるもよし、普通の会社員になるのも、もちろん、ヴィランになるのもね」
――ふぅん、で?転生だけさせるならここに呼ばなくてもいいはずなんだが。そこらへんはどういうことなんだ?
「それはねぇ、お詫びその2、強くて使い勝手のいい個性を宿らせてあげようかと思ってね、……あ、1つ謝らなくちゃいけないことがあったんだ」
――ん?なんだ、謝らなくちゃいけないことって。
「本当は君に自由に個性を選ばせてあげたいんだけど、あまりにも強い個性を与えちゃうと世界のバランスがおかしくなっちゃうからさ。個性はボクのほうで選ぶことになってるんだ、ごめんね?」
――いや、まぁ、ふざけた理由ならまだしも、まともな理由があるなら別にいいよ。
「あ、そう?よかったぁ。じゃあ早速だけど、君に渡す個性を選んだから発表するね?」
――随分と早いんだな。
「そりゃあ、ボク、神なんで」(ドヤァ)
――…あーはいはいそうね……ふっ。
「おいなんで鼻で笑ったし。……じゃあ発表します、君の個性は……」
――……。
「ジャン!"インク"です!」
――…インク?なんかこう、ずいぶん弱そうだな。
「おっと、ただのインクと侮ってもらっちゃあ困るよお兄さん!この個性、インクは、君が死ぬ前、最後にやってたゲーム、"Bendy and the Machine"*1をもとにボクが一から作り上げた個性だからね!」
――ほぉ、それは何というか、ぶっ壊れにならないか?
「……まぁ、何とかなるさ!」
こいつの顔は見えないが、きっと目をそらして冷や汗を垂らしてるんだろうなぁ。
「そんなことないやい!…はぁ、ま、これで君に伝えることも終わったし、転生の準備をするね」
――おう。……なぁ、自称神。
「ん?なにかな?」
――…もとはといえばお前のせいで死んだのかもしれないけどさ、なんだ、あー…、ありがとよ。
「ふふ、そう言ってもらえてくれてよかったよ、っと、準備完了だよ。」
――…おう。
すると、俺の足元に謎の幾何学模様が幾十にもあわさっていき、ついには光り輝き始める。
それと同時に俺の意識も少しずつ落ちようとしている。
「次は二度目の死で会おう、佐藤 快斗くん!」
――あぁ、また会おう。
俺は完全に意識を落とした。
早くて1ヶ月に1話、遅くて3ヶ月に1話のペースで進める予定です。
調子が良ければ1週間以内に書き終えるときもありますので、これからよろしくお願いします