インクの悪魔のヒーローアカデミア   作:ホム竜

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調子づいていたので少し早めに投稿。

実は割と好きな回です。
では今話もよろしくお願いします。


9話.本領発揮

一回戦目、Aチーム対Dチーム。

つまり出久のチームと勝己のチームである。

 

で、結果的に言ってしまえば出久チームの勝利となった。

勝己もなかなか頑張っていたと思うが、やはりあいつの自尊心やら不純なものが纏わりついているせいか、私怨での行動になってしまい、結果ヴィラン側の勝利条件を見過ごしてしまった。

本当なら序盤のほうで両方を捕らえ、勝っていたものを、だ。

 

また出久も、勝己の熱に充てられてしまい、ヒートアップ。

攪乱して自分だけ二階に上がることもできたと思うが、まぁそれは結果論なので黙っておく。

が、最後の攻防。

出久にとっては最善の作戦だったのかもしれないが、もしあの攻撃で他のヴィランが来ていたら出久はあの怪我でどうするつもりなのだろうか」

 

『……』

 

……ん?どうしたんだ、皆黙ったりして。

 

「自分で気づいてないのか?」

「ん?」

「八百万が講評言ってる時に横からぼそぼそ話し始めてたんだぞ?」

「…………んぇ?」

 

あー、……まじか。

え、はっず。

 

「黒墨ちゃん、顔が赤いわよ?」

「ちょ、見るんじゃねぇ!」

「やっぱり黒墨ってあの二人のこと見てるよなぁ」

 

これ以上そのことに触れるんじゃねぇ……、インクの波に溺れさすぞ貴様ら!!?

 

「んっん゛!」

『!?』

「まだ授業の最中だから、ね?」

『は、はい……』

 

 

 

 

で、はい。

場所を変えて第二試合。

組み合わせはBチーム対Iチーム、つまり俺と葉隠のペアの出番だ。

それに対して相手は腕がたくさん生えたやつと、コスチュームで左半身を包んだやつ。

あいつらがどんな風に個性を使ってくるかは個性把握テストの時に見てたから、どんな感じにくるかはいくつか思いつく。

それに、俺の個性は室内で使うと無類の強さを発揮する。

んで、俺たちはヴィラン側なため、先に建物の中に入っていた。

 

「私、本気出すね!」

「ん……ん?」

 

作戦を練っている最中、後ろから声が聞こえ、適当に返事をする。

が、俺はそこで違和感を覚える。

後ろでは靴と手袋を取る葉隠の姿が……。

 

「な、なぁ、葉隠」

「?どうかした?」

「お前のコスチュームってさ……それだけ?」

「うん!これ以外は着てないよ!」

「……つまり?」

「?ん~、全裸だね」

「お、おま、ばっ、ばかか!?」

 

こいつさぁ、ほんとに、ほんっとに!

羞恥心を持ってほしいよ、ほんとに。

 

「ば、ばかって、乙女に失礼だよ!」

「この際乙女でもなんでもいいんだよ!これが終わったらコスチューム作り直してこい!多分だが髪の毛一本送ってやればそれをもとに作り直してくれるはずだから」

「……なんで髪の毛?」

「それは――」

 

『ヴィランチームは準備はいいかい?』

 

壁際につけられたスピーカーからオールマイトの声が聞こえてくる。

もう作戦タイムは終了か。

正直作戦は完璧には考えられてないが、何とかするか。

まずは……。

 

「葉隠、せめて靴は履いておけ」

「え?わ、わかった」

 

『じゃあ、屋内対人戦闘訓練、開始!!』

 

瞬間、ビル全体が氷漬けになった。

 

「わ、わ!?」

「やっぱりこうくるか」

 

おそらく左半身を隠すようなコスチュームを着たあいつの個性だろう。

とりあえず咄嗟に持ち上げた葉隠を下ろす。

 

「あ、ありがとう」

「あぁ、急に悪いな。ここで葉隠が動けなくなるのは避けたかったんだ」

「う、うん……って、黒墨くん!足が……!」

「ん?……あぁ」

 

葉隠に指摘され、自分の足元を見ると、脹脛のところまで氷漬けにされてしまっている。

それを俺は、()()()()()()()()()

 

「ちょ!?」

「安心しろ、俺は痛みを感じないし、すぐに……ほら」

 

膝から下がなくなったところからインクがあふれ出し、すぐに足の形になり元通りになる。

ついでにコスチュームの部分も直しておく。

 

「するならするって言ってよ!もう!」

「悪い悪い」

 

俺は葉隠に謝りながら索敵を開始する。

実はここまで来る間にインクを張り付けておいたのだ。

これでインクから向こう側を覗くことできる!

と、思っていたのだが……、

 

「うーん、全滅かな?」

 

実際には全滅なのではないのだが、氷に覆われていてよく見えないし、音もくぐもってよく聞こえない。

 

「作戦変更かな」

「え、もう作戦を考えてたの!?」

 

少し声を震わせてながら驚く葉隠。

……はぁ。

 

「ほら」

「わっとと……、えーと、これは?」

「とりあえず胸に押し当てて」

 

こぶし大の大きさで固まったインクの塊を葉隠に渡し、指示をする。

 

「こ、こう?――わっ!?」

 

インクの塊は葉隠を覆うように膨らみ、服のようになっていく。

そして…、

 

「これで寒くないだろ」

「さ、寒くないんだけどさ、その……ぴっちりとしすぎじゃないかな?」

 

葉隠の体は寒さを守るようにインクが体を包んでいるが、体のラインがわかりやすく見えるようになってしまっていた。

 

「これ……恥ずかしいんだけど……」

「それは我慢してくれ……と、近づいてきたみたいだな」

 

耳を澄ませると、パキ、パキ……と表面の氷を砕きながら歩く足音が複数聞こえてくる。

 

「え、ど、どうしよう……!」

「おそらくあいつらがいるのは三階、なら……」

 

俺は壁に両手を当て、そして…、

 

「"cover(覆え)"」

 

俺のインクは氷を塗りつぶすが如く広がっていく。

そして、気が付けば、今いる建物の外と中が真っ黒になっていた。

ガラスにも覆われているため、外からの光もシャットアウトだ。

 

「な、なにも見えないし、地面もなんかドロッとしてて歩きづらいよぉ」

「そういうときのこいつだ」

 

続いて俺は背中に背負っていた映写機を両手で持つ。

 

「"wake up The Projectionist(目覚めろ、映写技師)"」

 

すると、映写機からインクがあふれ出し、首から下の体が作られていく。

肩にはフィルムリールが複数付き、黒い厚底ブーツを身に着ける。

そう、こいつは映写技師、英名はプロジェクショニスト。

原作では恐ろしいほどの耐久力と攻撃力を誇り、主人公を見つけると凄まじい速さで追いかけてくる、言わば中ボスと呼ばれる敵キャラだ。

 

「プロジェクショニスト、葉隠をお前の体に張り付かせ、敵を見つけ出せ。見つけた敵は痛めつけるだけでいい、絶対に殺すな」

 

そう命令すると、プロジェクトニストは液晶を一層輝かせ、葉隠を背中に張り付かせて下の階に降りていく。

その間、葉隠は茫然としていたのか、されるがままである。

 

「さて、こっちのほうもなんとかするか」

 

俺は座り、地面に手を置く。

 

「"get up Lost One(起きろ、迷い人)"」

 

そう唱えると、地面から人によく似たインクのヒューマノイドが複数体現れた。

 

「迷い人、これ(核兵器)を誰にも近づけさせるな」

 

迷い人は啓礼のポーズをし、それぞれの邪魔にならないように移動する。

 

「そんじゃまぁ、行きますか」

 

俺は壁に向かって歩いていき、壁の中に飲み込まれていった……わけではなく、壁にワープポイントを作り出し、葉隠がいるところにワープをするのだった。

 

 

★side 轟★

 

 

「どうなってやがる……!」

 

開始直後にビル全体を凍らせて、中にいるヴィラン側の人間と目標である核兵器の動きを封じたはずだ。

だが結果はどうだ、封じたと思ったら氷の上から黒色の液体が覆い隠し、あっという間に相手のフィールドとなってしまった。

 

「轟、周囲、――この階の音しか聞き取れない。ここからは慎重に動くほうがよさそうだ」

「いや、関係ねぇ。これの上からもう一回凍らせる」

「だがそれではさっきの二の舞……ん?」

「どうした」

 

意見が拮抗していたその時、障子が遠くのほうを見ている。

 

「いや、向こうのほうから妙な音が聞こえてな」

「妙な音?」

「何か大きなものがこちらに向かってきているような……、っ!?ここは一度離れるぞ、轟!」

「何があった!?」

 

俺は急に様子のおかしくなった今回の味方に状況を問おうとした。

瞬間……、

 

 

「GYUOOOOOOAAAAAAAAAAA!!!!」

 

 

暗闇の中に一筋の光が見える。

だが決して希望とかそんなものではない。

もっとこう、負の塊のような……そう。

 

絶望

 

「くっ……!」

 

俺は苦し紛れに個性を使う。

だが奴は意に介していないかのように、いや、実際に何も感じていないのだろう。

腕を振るうだけで氷の壁を破壊されてしまう。

そして気づいたら奴は俺の目の前に……。

 

左を使えば少しは怯ませることができるだろう。

だが俺は、母さん、右だけの力でプロになると決めたんだ。

あんなくそ親父の力なんか使わずに!!

 

奴はもう腕を振り上げている。

俺はそれに合わせて再度氷の壁を張ろうとする。

が、それはできずに終わった。

 

「待て、プロジェクショニスト」

 

後ろから声が聞こえる。

俺は思わず後ろを振り返る。

そこには、障子を地面に押さえつけるヴィラン側の姿があった。

 

「な!?」

「轟くん確保ー!」

「な!!?」

 

気が付けば俺の腕にはテープが巻かれていた。

テープの先を見れば、背景と同化して見づらいが、人の姿があった。

 

『ヴィランチーム、WIIIIN!!!』

 

 

★side 黒墨★

 

 

「黒墨くん、やったね!」

「あぁ、そうだな。プロジェクショニストも、おつかれ」

 

葉隠が体に付いたインクを払いながらこちらにやってくる。

プロジェクショニストもノソノソとこちらに歩いてくる。

 

「…黒墨」

「ん?おっと、悪い」

「いや、大丈夫だ」

 

俺は障子から離れ、手を差し出す。

 

「お前の個性、中々厄介だった。お前がいなかったら速攻勝負をつけてたと思う」

「嫌味にしか聞こえないな」

 

嫌味じゃないんだけどなぁ、と思いながらも手を握り返してきた障子を起こす。

 

「それにしてもさ!ビル全体を覆ったときはびっくりしたよ!」

「轟も同じようなことしただろ」

 

俺は至るところについているインクを回収しながら、葉隠の疑問に答えていく。

 

「じゃあ二回びっくりした!」

「じゃあってなんだ、じゃあって」

 

俺はビル全体のインクを回収し終わり、轟のほうに歩く。

 

「……なんだ」

「そんな目ぇすんなよ。……次戦うときはお前の全力と戦いたいな」

「っ、てめぇ!」

 

謎に激昂する轟を無視して、俺は言いたいことだけ言って、さっさと別のところにいる皆のところへ歩いていくことにした。




ってことで、主人公は轟チームと戦ってもらいました。
理由は特にないです。

障子くんの口調がわからなくて、自分でも少し違和感が……。
感想や誤字報告などで指摘してくださると幸いです。

ということで次話でまたお会いしましょう。
感想、お気に入り登録、評価をつけてくれるとモチベが上がるのでそちらもよろしくお願いします。
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