インクの悪魔のヒーローアカデミア   作:ホム竜

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遅れてしまい申し訳ないです。
就活のほうが忙しくなっており、なかなか時間を見つけられず、ずるずるとこんなに遅れてしまいました。

あまり前置きで話すと飽きてくると思うので、さっそく本編どうぞ


11話.面倒くさい一日 ~後編~

「……」

「……」

 

俺は今、我が義妹である雲里のことを見ている。

一方雲里は気まずいのか、俺の顔を見ずに明後日の方向を見ている。

 

「……なんでここにいるんだ?」

 

いつまでも無言のままだと何も始まらないので、俺は雲里を問いただすことにした。

しばらく雲里はだんまりを決め込んでたが、だんだんと俺からの圧に耐えられなくなってきたのか、少しずつ口を開き始める。

 

「えっと、……お兄ちゃんの頑張ってるところを見たかったから」

「なるほどな…………。で、本音は?」

オールマイトに会いたかったから

「ばかやろう」

 

そんなことで学校に来るんじゃない、とため息交じりに呟く俺を華麗にスルーした雲里は、根津校長のほうを向き、オールマイトはどこにいるか聞き出そうとしている。

 

「ネズミさん、オールマイトはどこにいるの?」

「うーん、オールマイトはね、今日は学校には来てないのさ」

「ど、どうしてぇ……、っ!――もしかして病気!?」

「オールマイトはそう簡単には病気にはならないのさ。なんてったって彼はナンバーワンヒーロー、体調管理もお手の物さ…………多分

「へぇ、そうなんだぁ」

 

おい、聞こえてるぞ校長。まぁ確かにあの人どっか抜けてるところあるから、なんとなく言いたいことはわかるけれども。

 

「で、どうすればいいんですか?一度家に連れて帰ることもできますよ?俺の個性なら一瞬ですし」

「いや、それはだめだ」

 

答えたのは後ろにいた相澤先生だった。

 

「学校の敷地内ならまだしも、学外じゃ法律違反だ。それに一度家に帰るってのも非効率、合理的じゃない」

「ならどうするんです?」

「そこに君に提案があるのさ!」

 

と、ビシッと俺を指差す校長。

だけどね、根津校長、今あなた雲里に撫でられてる状況でかっこつけてもなんも決まってないからな?

まぁそれを指摘しないのも生徒の役目、か。*1

 

「君には今日、雲里ちゃんを連れながら学校を過ごしてほしいのさ」

「……何か理由が?」

「私がオールマイトみたいなヒーローになりたいから!!……あ、です!」

「――というわけで、彼女には学校見学という名目でいろんな施設を見て回ってほしいのさ」

「……いや、俺は別にそれでもいいんですけど、授業の邪魔とかになりませんか?こいつ、悪い意味で自由気ままなんで、そこらへんが心配なんですけど」

 

今回みたいに、自分の思い通りにならないと、自分の思い通りにするために勝手な行動とかするしな。

……てかどうやって雄英に入ったんだ?たしか雄英バリアーなるものがあったはずだが……、まぁこいつの個性じゃあってないようなものだが。

 

「……ま、まぁそこは長年ともに過ごしてきた君の技量に任せるのさ!」

丸投げじゃねぇか!?

 

このネズミが……!!

 

「まぁ監視として相澤くんもつけておくから、頑張って」

「………はぁ、やります、やりますよ」

 

まぁやる以外の選択肢がないからな、ただでさえ個性のことで隠し事、もとい弱みを握られてるんだ、逆らえない……。

 

とりあえず根津校長と雲里を引き離してから、応接室を出る。

 

「……なんかすみません、相澤先生」

「まぁ、学校見学のデモンストレーションができると考えたら合理的だ。が、次は気をつけろよ」

「どう気を付ければいいかわからないですけど、わかりました」

「ほんとだよ、まったくお兄ちゃんは」

「はっ倒されたいのか、愚妹……、てかお前どうやって学校には行ってきやがった?」

 

なんか煽ってきた雲里に怒りを覚えながらも、俺は聞きたかったことを聞いてみる。

 

「ん?亜久兄のカバンの中だよ?」

「は?」

「私の個性で入ってたの」

「あー……は?」

 

こいつほんと自由気まますぎんか?

 

 

★★★

 

 

「で、こいつがいるってわけだ」

「そういうわけです」

『…………』

 

現在は昼休み。

俺は一時限目の途中から愚妹と共に教室へと戻ってきたことにより、先生を除いた教室のみんなが好奇心やら訝しげにこちらを覗いているのがわかった。

で、一時限目が終わった瞬間、みんなから質問の嵐だ。

主に女子からの質問がすごく、質問に答えているうちにあっという間に休み時間が終わってしまい、結局この昼休みの時間まで質問を待ってもらったのだ。

 

「それにしても、飯田がいなかったらすべての休み時間が潰れるところだった……、助かったよ飯田」

「いや、人を助けるのはヒーローの卵として当然のことだ」

「そうかい」

 

いやほんと、飯田様々だよ、まじで。

 

「にしても、委員長は出久になったんだな」

「う、うん。でも、いざやるとなると務まるか不安だよ」

 

出久は運んできたかつ丼には手を付けず、実際不安そうな表情をしている。

 

「ツトマル」

「大丈夫さ」

「なるようになるだろ」

「大丈夫ですね」

 

麗日、飯田、俺、愚妹が、ほぼ同時といった感じに、不安を打ち破るように発言する。

が、愚妹、お前出久のことほとんど知らんやろ。

 

「緑谷くんの、ここぞという時の胆力や判断力は、()をけん引するに値する。だから君に投票したのだ」

 

俺はその委員長決めでどんなことをしたのか知らないが、隣にいる出久が少し驚いた顔をしているため、飯田が自分に入れたことは想定外だったのだろう。

 

そのあとも話していると、飯田の家の話になる。

どうやら飯田の家系は代々ヒーローをやっているらしい。

で、飯田の兄が有名なヒーローをやっているらしい。

俺はそこまでヒーローに詳しくないが故、聞いてもよくわからなかったが、出久の早口説明のおかげで大方理解することができた。

 

「人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う。上手の緑谷くんが就任するのが正しい!」

 

と、言ってのける飯田。

まぁどっちかというと俺は飯田のほうがすごいと思うけどな。

自分のことをよく理解していて、その人がどのような人間か自分なりに分析することができて、適材適所を選ぶことができる。

俺にはできないことだ。

 

「なんか初めて笑ったかもね、飯田くん」

「え!?そうだったのか!?笑うぞ俺は!!」

 

麗日の指摘で大層驚いている飯田を笑いながら、愚妹の口を拭いていた俺は、

 

 

ウゥーーーー――!!!

 

 

敷地内中に大きく響く警報により、意識を切り替えることになった。

 

【セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください。繰り返します、セキュリティ――】

 

と、警報とともに流れるアナウンス。

それに伴い、食堂にいた全生徒が外に向かおうと一斉に走り出す。

 

「すみません、セキュリティ3ってなんですか?」

「校舎内にだれか侵入してきたってことだよ!三年間でこんなの初めてだ!!君らも早く!!」

 

飯田は冷静に走って逃げようとする生徒を捕まえ、何が起こったのか説明を聞いているが、なるほど、侵入者か。

これは俺たちも早く逃げないと……って、ん?

 

「どうした、雲里」

「お兄ちゃん、これって……」

 

俺の袖を掴んだ雲里は、出口とは別の方を指さす。

そこには、職員室方向へ静かに向かおうとする黒い人型が三体。

あれは俺の見間違いじゃなければ……、

 

「……行ってもいいか?」

「いいけど、お兄ちゃんが行くなら私も行く」

「……っ、…………わかった、行こう」

 

正直連れて行きたくないが、雲里はこうなると絶対に自分のしたいことを押し進めようとする。

ならばここは一緒に連れていく方が早い。

 

俺は雲里を抱き上げ、急いで職員室方向へ走る。

 

職員室へ向かう途中、職員室へと向かっていた三人組を発見。

それは、俺が入学して教室を探すときに生み出したサーチャー*2だった。

 

俺はとりあえずサーチャーを先頭に配置し、再び職員室へ。

で、そこにいたのは、全身黒いもやもやに包まれたバーテンダーが着るような服を着たやつと、至るところに手をくっつけた青年だった。

 

どうやらあいつらは職員室に用があるようだが、明らかに学校の人には見えない。

となると、侵入者ってのはあいつらのことかな?

……って、あれ?雲里はどこだ?

 

「お兄さんたちは誰?」

 

ああああああああああ!!?

 

目を離したすきに愚妹は俺の腕から個性を使って抜け出し、推定ヴィランの前に立っていた。

 

「あ?なんだこのガキ」

死柄木 弔(しがらき とむら)、どうしますか?」

「……いくらガキでも目撃者だ、殺しておこう」

 

手だらけ青年はおもむろに右手を雲里に向け、近づけていく。

その右手はダメだ。

俺はとっさの判断でサーチャーを雲里の前に出現させる。

 

「あ?なんだ、お前こいつの保護者か?」

「だったらなんだよ」

「そうか、なら、お前も殺さないとな」

「雲里は俺の後ろにいろ!サーチャー、雲里を守れ!!"インクジェット!!"」

 

俺は即座に指示をしつつ、一気に前に出る。

 

「はっ、バカかよ!」

「バカはてめぇだよ!!"デビルキック"!!」

 

俺はインクジェットで方向を曲げつつ、奴の後頭部目掛けて、インクで固めた右足で蹴りを入れる。

 

「がっ!?」

 

青年は受け身を取ることもできずに、地面に叩きつけられる。

 

「くそ……ガキがぁ…!」

「っ、死柄木 弔!もう目的は達成しました、逃げましょう!」

「くそがぁ、覚えてろよガキども!次は粉々にしてやる…!!」

 

どうやら霧の男は珍しいワープ系の個性みたいだ、体を大きく広げ、まるでワープゲートみたいになって、死柄木 弔と呼ばれた青年を呑み込むように中側に入れる。

 

俺は1歩遅れて逃げようとしていることに気づいたが、時すでに遅し。

ワープゲートは消滅し、そこからまるで何も無かったかのように静けさを取り戻した。

 

「…お兄ちゃん」

 

雲里は不安そうに俺の袖を握る。

 

「大丈夫だ、雲里。とりあえずこのことは先生に話そう」

 

と、雲里の頭を撫でながら、俺は思わず心の中で吐露する。

 

(ほんとに面倒くさい一日だ)

 

と。

*1
は???

*2
6話.入学初日を参考




補足
雲里の個性について
個性:状態変化
・体を氷、水、水蒸気のいずれかにすることが出来る。ただし周りにその影響を与えることは現在は不可能。

今話もお読み頂きありがとうございます。
改めまして遅れてしまい申し訳ないです。就活や課題などで気力やる気ともに奪われてしまい、やや放置気味になっていました。
おそらくこのようなことがしばらく続きますが、それでも待っていただければ幸いです。

ということで次話も首を長くしてお待ちください。
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