1話,中学
「神様、1人の息子を見捨てる私をお許しください...」
...おいおい、俺としての自我が生まれた瞬間でこれはハードモード過ぎやしませんか、神様よ。
なんで俺は
なんで
これはつまり...
......。
...あぁんのクソ野郎がぁぁぁ!!?
なんで意識覚醒した瞬間から人生ハードモードなんだよ、ふっざけんじゃねぇぞ!
...はぁ、1回落ち着こうか、クールになれ、cool...。
よし落ち着いた、とりあえず神に会う機会があったら1発ぶん殴ろう。
とりあえず自分の今の現状を確認してみよう。
えーっと、目が覚めたら、親が俺を段ボールの中に入れながら懺悔している。
そして今の俺は赤ん坊、うんダメだ、どうすることもできないな。
あー、これは、別れたすぐであれだが、すぐに神と顔を合わせることになりそうだ。
そうしたら神の顔を思いっきり殴ってやろう、そうしよう。
うぁ、やばい、意識がどんどん遠くなっていく...。
「...うん?お、こんな時期に捨て子とは珍しいな...っておい、眠んじゃねぇって...」
いやいや、赤ん坊に寝るなは...無理がある、って...。
★★★
「ん...う〜ん、...ふぅ、なんか随分懐かしいものを夢で見たな...」
俺は部屋に備え付けてあるベッドから起き上がり、大きく背伸びをしながら先ほど見ていた夢を思い返す。
13年と数ヶ月前のあの日、顔も名前も知らない俺の本当の親が俺を捨てた後、すぐにここ、
「さて、空さんの手伝いでもしてくるか」
現在時刻、午前の4時。
まだ外は薄暗く、この時間で活動している人間はかなり限られてくるだろう。
さぁ、そんな時間に俺が何をするかと言えば、空院長の朝のお手伝いである。
この白羽院は俺以外にも数多くの捨て子が暮らしている。
そしてもちろん、一緒に暮らすということは共同生活をするということで...。
俺はベッドから起き上がり、中学の制服を着て空さんがいるであろうキッチンに向かう。
「やぁ空さん、朝飯の手伝いに来たよ」
「おぉ、
キッチンに顔を出すと、すでに様々な食材を切ったり焼いたりと忙しなく動いてる空さんの姿があった。
全く、絶対1時間前には起きてたな?
はぁ、ほんとにいつ寝てるんだか...。
「全然大丈夫だよ、で?何をすればいいんだ?」
「あー、じゃあそれとそれと、あとそれを切ってくれないか?」
「オッケー」
明らかに普通の人だったらこなせない量の仕事量をこちらに寄越してくる空さん。
まぁ、空さん本人はこれの倍以上の量を同時にこなしているのだが。
この人、ほんとにいつか過労でぶっ倒れんじゃないかな。
と、こんなことを考えてる場合じゃない。
さっさと作業に取り掛からないとな。
★★★
「毎度ありがとさん、亜久。ほれ、小遣いだ」
「いつも言ってるけど、俺は小遣いが欲しくて手伝ってるわけじゃないからな?」
「わぁってるってんなもん。これは私からの気持ちってことだよ」
いつものごとく、小遣いを拒否する俺の手を掴み、千円札を押しつける空さん。
「にしてもお前は、気持ち悪いほどに大人びてやがるなぁ、いつも思うが」
「はは、そんなことないと思うけどな」
まぁ前年齢合わせると、余裕でおっさんって言われる年齢だからな、妥当って言っちゃえば妥当だと思う。
「で、今年で中3になったわけだが、どこに行くとかは決めてるのか?」
先ほどとは打って変わって、急に真面目な顔して真面目な話を始める空さんに、俺は若干戸惑いつつ、姿勢を正して空さんの顔を見る。
「いや、まだ特には。ここだ!って思うところがないんだよ」
「もうそろそろ決めとかないと色々とめんどくさいことになるからな、早めに決めとけよ?」
「あ、あぁ、わかったよ。じゃあ俺は6時ごろまで部屋にいるから、なんかあったら呼んでくれよ」
「...あいよ」
俺は無理やり話を切り、逃げるように部屋に戻る。
制服なのでベッドには寝転ばず、ゲーミングチェアに座り、背もたれにもたれ掛かる。
「はぁ、高校受験、か...」
ほんと、全く、憂鬱だよ。
★★★
「んじゃ、行ってきます、空さん」
「あぁ、気をつけていくんだよ、
「はぁーい!」「...うん」
玄関にて、俺は髪の毛が雲みたいにふわふわしている女の子、雲里と、一見なんの変哲もない様子の男の子、一点の手を繋ぎながら、空さんに見送られつつ、外に出る。
「亜久
「うぐっ...、いや、まだ決まってないけど、なんでかな?」
「先生が早く決めてくれたほうが安心できるのに~って嘆いてたから」
「ぐふぅ...」
普段から落ち着きを保ち、いろんな本を読んでいるせいか、難しい単語を織り交ぜて会話をしてくる一点の言葉が俺の胸に深々と突き刺さる。
俺は個性の特性上、
「お兄ちゃんなんで泣いてるのぉ?」
「弟分である僕に言い負かされたのが相当ショックだったみたいだね」
やめて一点、俺のライフはもうゼロだよ...。
★★★
一点と雲里を小学校に送り届けた後、俺も、
「はよ、
「おぉ、はよぉ」
廊下にてすれ違うクラスの奴らとあいさつを交わしながら教室に入り、自分の椅子に座る。
「あ、お、おはよ、あっくん」
「おう、はよ、出久」
前の席に座ってた俺の友人である緑のもじゃ髪――緑谷出久が振り返りながら挨拶をしてくるので、俺もそれに倣って返す。
「そういや今日、駅近くで事件あったみたいだけど、なんかあった――」
「それがひったくり犯が追い詰められたらしくて、怪物化の個性を使って暴れてたんだ!そこにシンリンカムイが応戦してて、あ、周りの被害とかはデステゴロとバックドラフトが抑えててね!もうほんとにかっこよくて!それにシンリンカムイの必殺技、"
「それまたどうしてだ?」
普通の人なら途中で話を逸らすか、少し顔を顰めるレベルの情報量を一気に話すが、亜久は特に意に返さずに疑問に思ったことを聞く。
「脇からMt.レディが"キャニオンカノン"でヴィランを蹴り飛ばして解決しちゃったからね」
「あー、なるほど?」
「あー、でも見たかったなぁ、シンリンカムイの必殺技...」
「まぁまぁ、生きてればまた見れる機会もあるだろうし、そう落ち込むなよ」
俺のその言葉を聞くと、出久は一瞬ボケっとした表情をした後、すぐに目を輝かせ、「うん、そうだね!」と、頷いた。
そのあとも普通に雑談をしていると、朝のホームルームの時間になったので、出久は「また後で話そ!」と言いながら前を向いた。
教室の扉から担任が入ってくる。
その手には大量の紙の束を持っている。
「みんなおはよう!早速だが、お前らも三年ということで、本格的に将来を考える時期だ!」
先生のテンションがいつになく高い。
俺はチラリと先生の様子を見つつ、コッソリと個性を発動し、個性訓練をする。
「今から進路希望のプリント配るが、みんな!!」
先生は無駄に勢いをつけて教卓に両手を置きながら続きを話す。
「だいたいヒーロー科志望だよね」
その言葉を皮切りに、周りのやつらが思い思いに個性を発動していく。
指を伸ばしたり、モノを浮かせたり、手が岩になったりと様々だ。
「うんうん、みんな良い個性だ。でも校内で個性発動は原則発動禁止な!」
しかし、今このクラスにその話を聞く人間はいない。
「せんせえ!!」
すると、俺の斜め前あたりの席から、やや怒鳴り声に近い声が響く。
「『みんな』とか一緒くたにすんなよ!」
そちらのほうに目を向けると、足を机に乗せ、いかにも調子に乗ってますといった雰囲気が漂ってくる俺の出久に次ぐ友人、
「俺はこんな"没個性"共と仲良く底辺なんざ行かねーよ」
その言葉に没個性と罵られたクラスのみんなは一斉に勝己に反発するが、勝己は勝己でどんどん煽っていく。
どんどんヒートアップしていく中、先生がとある爆弾を落とした。
「あー確か爆豪は……、"雄英高"志望だったな」
その言葉にクラスの奴らは一瞬シンっ……と静まり返るが、徐々にざわざわと声を出し始める。
そっちに耳を傾けると、今年で偏差値が79になるらしい。
「そのざわざわがモブたる所以だ!」
勝己が勢いに乗って机の上に飛び乗ると、声高らかに言う。
「模試じゃA判定!俺は中学唯一の雄英圏内!あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローと成り!!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!」
せめてたくさんの人を助けたいとか言っとけよと思ったのは俺だけなのだろうか。
そんな心持ちじゃトップヒーローにはなれねぇよ、と俺は心の中で吐露する。
「あ」
勝己が声高らかに宣言し終え、ほかの生徒たちも盛り上がってるとき、先生の間の抜けた声が教室に広がる。
「そいやあ、緑谷も雄英志望だったな」
「……へぇ」
その言葉に出久はピクっと反応する。
そういえば雄英の名前が出てからずっと身を小さくしてたなと、俺は今更ながらに思う。
そして俺は感心して思わず言葉を漏らしていた。
全員が出久のほうを向き沈黙。
そして、俺、勝己を除く全員が噴き出した。
「はああ!?緑谷あ!?無理っしょ!!」
「勉強できるだけじゃヒーロー科は入れねぇんだぞー!」
と、出久をバカにするような声がクラス中から響き渡る。
(ちっ、好き勝手言いやがって…。)
俺はその様子を聞き、自分でもわかるぐらいにイライラしてる事がわかった。
しかし、出久はそれでも、みんなに押し負けないように言い返す。
「そっ……そんな規定もうないよ!ただ前例がないだけで…」
(よしそのまま言い返してやれ、出久!)
今の俺は例えるならば逆転勝ちを窺うボクサーのファンさながら。
俺もイライラと場の空気に当てられ、変なテンションになっていた。
だからだろう、いつの間にか勝己が出久の机の前に立っていたことに気づかなかった。
「こらデク!!」
勝己が個性”爆破”を使いながら、出久の机を叩く。
その衝撃で出久の机は真っ二つに折れ、出久も衝撃で後ろに吹き飛ぶ。
「どわ!?」
勝己がさらに出久を教室の端に追いやろうとする。
………はぁ、そろそろ止めとくか。
「”没個性”どころk――」
「そこまでだよ、勝己」
「あ゙ぁ!?」
俺は勝己の肩を、強く、強く掴んだ。
いかがでしたでしょうか。
少しずつですが、お気に入りが増えてきていて私は涙が止まりません。
こんな駄文だらけの作品にお気に入りやしおり、感想を頂けて、心臓バックバクです。
では、次の話でまたお会いしましょう。