よってMAGES.ちゃんのお誕生日です。おめでとうございます。
「そういえばMAGES.、誕生日プレゼント何が欲しい?」
街を行く人々の装いが薄手になり始めた5月のある日、アイスコーヒーを半分ほど飲み干した5pb.が切り出す。
「ん?ああそうか、もうすぐ誕生日か」
既にクリームソーダを飲み干し、ストローで氷をかき回していた手をとめ、口を半開きにするMAGES.。
「もう、忘れてたの?」
「ふっ、狂気の魔術師たる者、年齢や誕生日などという宇宙の心理からすればちっぽけなものに振り回される程度の存在ではないのだ」
「じゃあ、プレゼント要らない?」
「……もらえるものはもらっておくのも、狂気の魔術師だ」
「……で、何が欲しいの?」
5pb.は呆れたように尋ねる。
「そうだな……」
顎に人差し指を当て、さんさんと輝く太陽の方を向き、考えるそぶりをしばらく。
「うーん、ドュクプェかな」
「えー?せっかくの誕生日なのに、そんないつも飲んでるやつで良いの?」
「いくらあっても困らないからな、それに今は取り立てて欲しいものが無い」
「ふぅん……」
「なんなら、1000本ほどくれてもいいぞ、フゥーハハハ!」
「へぇー……1000本かぁ……」
口角を軽く上げたことに、MAGES.は気付かず笑っていた。
◇ ◇ ◇
6月1日
「お届け物でーす」
「はーい……何か注文していたか……?」
ドアを開けると、小ぶりの段ボールを持った配達員が。胸ポケットからボールペンを取り出そうとするも、彼の言葉に遮られる。
「同じものがあと500箱あるので、サインは後でまとめて書いてもらっても……」
「は?500箱?」
「はい、500箱です」
「……もしもし、私だ。どうやら”機関”の連中は、思ったより卑劣な手を使ってくるようだ。それに住所が知られているのであれば、これは由々しき問題だ、一刻もはy……」
聞き間違いだと思ったが、伝票の依頼主を見て地面にスルスルとへたり込む。
「少々お待ちください」
そう言って配達員は、2人がかりで手早く段ボールの山を積み上げていった。
◇ ◇ ◇
「痛い……」
500回”MAGES.”と書いた右手が悲鳴を上げている。天井スレスレまで積まれた段ボールたちがこちらを見つめている。そして気付けば、窓の外は赤みを帯び始めている。
「2本づつしか入っていない……ホントに1000本か……」
箱を1つようやく開封し、1本を冷蔵庫に投入。
「やってくれたな5pb.ィ!」
いつもより指に力を入れ、プルタブを開けるMAGES.だった。
「……美味い」
〈あと999本〉