向日葵の咲く頃に   作:『向日葵』

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この物語を読んでいる間は、向日葵畑を思い浮かべてください。より一層先入観が持てます。
それでは、新作、どうぞ。


向日葵の咲く頃に

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

神秘的な雰囲気を纏った、翡翠色の髪がとても印象的な女の子。いつも日傘を持ち歩いており、その日傘をさしながら歩くその様は、まるでどこかの御令嬢とさえ思える。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

正確には、辺り一面に向日葵が咲く、僕の『向日葵畑』を見に来るだけなんだけれども。それでも彼女は、毎年必ず姿を現す。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

気付けば何時しか僕は、彼女が来てくれるのを心待ちにしていた。それほどまで彼女に影響されたのだ。おかしな話だよね。僕は『妖怪』で、彼女は『人間』なのに。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

年に一回きりの、向日葵が咲き乱れる季節、夏。その夏の間だけ僕は彼女に会える。逆に言ってしまえば、その間だけしか、僕は彼女に会えないのだ。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

一年越しに彼女を見る度に、彼女はどんどん成長している。それもそうだ。僕は妖怪。向日葵の妖怪。でも彼女は、ただの人間。下手に怪我をすれば死に繋がり、病気にかかれば死に至り、成長が早く、寿命で死にやすい。そんな、人間。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

そんな人間の彼女は、今年で幾つになるのだろうか。恐らく10くらいにはなっているはずだ。本人は否定してるけど、妖怪の僕からすれば、まだまだ子供だね。言ったら顔を真っ赤にして怒られたけれど。

 

向日葵の咲く頃に、彼女はいつも現れる。

 

何が楽しいのか、いつもいつも毎年現れてさ。向日葵を見ていって、僕と他愛もない話をして、時には泊まっていったりして......ホント、何が楽しいのか。妖怪の僕には理解できないよ。......まぁ、僕も楽しくなかったと言えば、嘘になっちゃうけどね。

 

向日葵の咲く頃に......彼女は、いつも現れる。

 

本当に物好きな人間だ。普通の人間なら、妖怪である僕がいるだけで、この畑には近付かないのにね。人里がそうじゃないか。なのに彼女は、いつも毎年現れる。本当に物好きだ。

 

向日葵の咲く頃に......彼女は。

 

まあ、そんな彼女に段々と影響されてる僕も、結構な物好きだと思うけどね。昔の僕なら、この畑に人間が近付いただけで殺してるのに。何でだろうか。彼女を殺す気には、どうしてもなれなかった。

 

向日葵の咲く頃に......。

 

そうして今年も、待ち遠しい夏が来た。いつもどおり向日葵達が元気に咲いている。それを見ているだけで、僕の心は満たされていく。だって僕は向日葵の妖怪だから。向日葵は自分の......って、あぁ、なんだ。やっぱり今年も来たんだね。いつもどおりだ。今年もおもてなしの準備をしないとね。

 

 

 

 

 

いらっしゃい。ようこそ、向日葵畑へ。歓迎するよ。

 

 

 

 

 

―――風見(かざみ)幽香(ゆうか)ちゃん。

 

 




一話目が少ないですが、序章なので、ごめんなさい。次回からは3000字くらいです。

この小説は、ゆうかりんが幼いです。幽香ちゃんです。そして、幽香ちゃんは人間になっております。そして弄られ役です。そんな幽香ちゃんが、どうしてあんなに強大な力を持っているのか......それがこの物語です。

感想等、お待ちしております。
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