とにかく、待たせに待たせた最新話、どうぞ!!
―――彼女の親、人里の過激派の連中に殺されたらしいんだ。
「……人里、ね」
「ん?日向、何か言った?」
「―――え?あぁ、いや。最近幽香ちゃんの胸がまた膨らんできたなぁ、とか思って―――あっ」
幽香ちゃんの言葉に、はっと我に返る。昨日こーりんに言われたことを考えていたら、自然とぼーっとなってしまっていたらしい。ついでに、自然といつもの癖でセクハラ発言をしてしまった。
だが、これも仕方がないのではないだろうか。いくら能力でもっこすに感情を譲渡したとはいえ、上げてない感情だってもちろんあるのだ。その一つが、欲情であってだね。
……つまり、僕に欲があるのは、仕方ないことなのだ。うん。変態なのも、仕方ないこと。だから悪いのは幽香ちゃんのでっかい二つのパイだ。なんでそんなに成長したの?昔の色んな意味でちっちゃかった幽香ちゃんはどこにいっちゃったの?
などと、幽香ちゃんに伝えるわけでもない独り言――後半はなんかよくわからないが――を心の中で思うが、もう遅い。セクハラ発言をしてしまったことに変わりはなく、また、その発言で幽香ちゃんが顔を真っ赤にしながら怒ってくるのも、今まで通り変わりはない。……と、思っていたのだが。
「……」
「あれ?おおーい、幽香ちゃん?」
しかし今回は今まで通りではなく、まさかの幽香ちゃんが顔を真っ赤にするだけで終わったのだ。これは予想外。予想外過ぎてびっくりだ。いつもの幽香ちゃんなら、間違いなく傘で叩いてくると思ったのに。
「そ、その……日向、は」
「うん?」
心なしか、顔を俯かせている幽香ちゃんから、いきなり呼びかけられた。
なんだろうか。もしかして、やっぱりお前を傘でぶち殺すとか、そういうつもりなのだろうか。上げてから落とす、最近の幽香ちゃんのドS癖に磨きがかかってきてるような気がするんだ。考えすぎだろうか?……まあ、とりあえず今は、幽香ちゃんの言葉を聞こう。
「日向は、その、そういったことに……やっぱり、興味ある、の?」
「うん、あるよ―――あっ」
しまった。またやらかしてしまった。先ほどセクハラ発言がどうのこうのと言っていたばかりではないか、僕は馬鹿なのだろうか。
やばい、これはもう傘叩き処刑から逃れることはできないだろう。さよなら、エリー、もっこす、こーりん……あとついでだけど紫。僕の骨は向日葵の栄養にでもしてやってくれ。
などと思いながら、来るべき衝撃に反射的に目を瞑っていたのだが……はて、いつまで経っても衝撃が来ない。具体的に言えば、傘の一撃が。
「……そ、そう。なら、いいわ」
「……あれ?幽香ちゃん?」
恐る恐る目を開けると、そこには、そううんうんと一人満足げに頷いている幽香ちゃんの姿が。
やばい、今日の幽香ちゃんはおかしい。これだけのセクハラ発言に対して、この反応。いつもなら傘の一発はお見舞いしてくるはずなのに。なのになぜ嬉しそうにしてるのか。……はっ、わかったぞ。
「そうか、幽香ちゃんはへんた―――おおう」
「日向。次余計なことを喋ったら、今度は本気で殺るわよ?」
よかった、いつもの幽香ちゃんだった。でもね、幽香ちゃん。今度は本気ってなに?君の降るその傘の一振りは、まるで死神の釜みたいなんだけど?それでも本気じゃないの?やだ、怖い。
僕の狼狽える様子も、どこ吹く風。はぁ、やれやれと幽香ちゃんはため息をつく。
「まったく、日向はどこまでいっても日向ね……じゃあ私、向日葵の世話行ってくるから」
「はーい。夜には帰ってきてね?危ないから」
「大丈夫よ、先にエリーが行ってるんだし、彼女と合流するから」
うん、それなら安心だ。エリーに任せておけば、万が一にも妖怪に襲われるなんてことはないだろう。彼女はそういう所で気配りのできるやつだ。どこかのスキマなんぞと違って。
―――さてさて、実は今日、幽香ちゃんはウチにお泊りするのだ。
なぜか?まあ、理由は簡単。そろそろ、幽香ちゃんとはっきりさせたいと思っているのだ。幽香ちゃんの家の事情や、人里でのこと。
―――彼女の親、人里の過激派の連中に殺されたらしいんだ。
イヤに引っかかる、こーりんのあの言葉。なんとなくだけど……いや、ほんとに、なんとなくなんだけど。
―――なんだか、とてつもなく、嫌な予感がするんだ。
❁❀✿✾
「へ?最近の人里での私?」
時間は経ち、今現在は夜。
家のリビングにて、幽香ちゃんに聞いたのは、最近の人里での幽香ちゃん。ちなみにエリーは料理担当なので、キッチンにいる。
「……別に、特に何も」
嘘だ。今幽香ちゃんは、嘘をついた。いや、素人目でもわかるほどの嘘のつき方だ。そもそも、目が右往左往しすぎ。不審な点しかないよ、幽香ちゃん。
「まあ、幽香ちゃんが話したくないんなら、いいんだ。でも、僕としてはやっぱり話して欲しいって気持ちも十分にある」
「うっ……」
僕がそう言うと、居心地悪そうに顔を顰める幽香ちゃん。
僕としても汚いと思う、このやり方は。こう言えば、妙に義理堅い幽香ちゃんのことだ。僕のために話してくれるだろう。でも、見て見ぬ振りはもうやめようって決めたんだ。君だってもう子供じゃないんだからね。
「……はぁ。誰に何言われたかは知らないけども!」
幽香ちゃんは頭をガリガリとかくと、愛用の日傘をの切っ先をこちらへと突きつけながら言う。
「―――この私が、人里の連中如きに何かされるとか思うのかしら?」
それは、とてもとても自信に満ち溢れた言葉。まるで、この私があんな低俗な連中にやられるとでも?とでも言っているかのようだ。
「でも、確かにそれは一理あるかもね。幽香ちゃん、妙に強いし」
「ふんっ、当たり前よ。私はあんな連中には負けないわ。それに、私だって馬鹿じゃないのよ。問題なんて起こすわけないじゃない」
うん、それもそうだ。幽香ちゃんは賢い。だからこそ、人里で問題など起こさない。自ら危険に身を晒すような真似は、彼女ならしないだろう。……まったく、幽香ちゃんも、ほんとに成長したものだ。
『私の名前は風見幽香。風見鶏の風見に、幽なる香りと書いて幽香よ!』
「……ふふ」
「な、なによ急に笑い出して……怖いわよ?」
別に、と一言だけ幽香ちゃんに告げ、昔を思い出す。ほんとに、あの時の小娘が、今目の前にいるこの子だなんて、ね。やはり、人間の成長とは早いものだ。
だから、大丈夫。昔の無鉄砲な頃の幽香ちゃんじゃなくて、今の幽香ちゃんなら、きっと大丈夫だ。親の死も、人里でのことも……彼女ならきっと、なんとかできる。もちろん、僕だって協力は惜しまない。
「さぁ、そうと決まれば幽香ちゃん。これから、どうやって友達を増やすかの会議でもしようか?」
「ふっ、いいわねそれ。いい加減私も、あなたに負けたままなのは嫌だったところよ……!」
こうしてまた、夜は更け、楽しい一日が過ぎていく。他愛もなく、それでいて、居心地のよい一日が。今も、そしてこれからも、この日々は続いてくれる。……僕は、そう信じていた。
―――だから、だからこそ。
どうしてこの時、僕は彼女のことを大丈夫の一言で括ってしまったのだろうと、後悔することになるんだ。
お久しぶりですね、向日葵です。
いや、実はですね。花妖怪の方なのですが、最新話やっと書き終わったんですけど、その一話前にあたる、一月に作成してたはずの話が、消えてたんです:(´ºωº`):。だから、いやこれ話明らかに飛ぶよね?ってなってしまいまして……書きだめなんて考えずに、すぐにでも更新するべきでしたね(´;ω;`)。当然、前の話など覚えてるわけもなく、バックアップにもなく、モチベーションがほんとにダダ下がりになってしまいました。
ーーーだってまた一から最新話を作り直さなきゃいけないから!!
なので、しばらくはこちらの向日葵の咲く頃にと、花妖怪は恋を知る、の方を更新していきます。ちなみに、向日葵の咲く頃に、はもうちょっとで終わる予定です!今まで書けずにすいません!
それでは、感想、評価、批評等心よりお待ちしております!