今回はあの旧作キャラが出てきます。しょうがないじゃないしょうがないじゃない!......このネタわかりますかね?
とりあえずいつもの通り、この小説を見ている間は(以下略)
「第一回チキチキ、幽香ちゃんに僕がぼっちじゃないことを証明するの会ー。ワーパチパチー。......ほら、エリーもやってよ。なんでそんなノリが悪いのさ」
「こんなことをするために私を呼んだと言うのなら、あなたの首を愛用の鎌で切り落とすわよ?」
じ、冗談だよ冗談、とちゃぶ台を挟んで目の前に座っている友人をなだめる。首を切り落とされるなんてごめんだからね。まだ僕は死にたくないんだ。
......さて、僕の目の前にいるのは、友人。そう、友人である。『僕の友人』である。ここだけは強調して言うが、『僕の友人』である。これで幽香ちゃんに証明してやる。僕はぼっちじゃないことを。
ドレスのような茶色の服。ちょっと癖のある巻き毛な髪型。それを覆うように被っている帽子。顔はとても整っており、幽香ちゃんのような美少女系というよりは、美人系の部類に入ると思う。
名を『エリー』。僕の数少ない友人の一人だ。
ちなみに彼女が先ほど言った鎌、というのは、エリーがいつも愛用している刃が曲がった特徴的な鎌のことだ。どこからは知らないが、出し入れができるらしく、今は持っていないがすぐに呼び出すことができるらしい。その鎌で僕の首をはねようとしてたのだ。おぉ、怖い怖い。
「......それで?なんで私を呼んだのよ」
「ごめん。割と本気でさっき言ったのが理由だったりする」
「......」
やめてやめて。いつの間にか手にした鎌を無言で首に突きつけないで。当たってる、当たってるから刃の部分が。しかも当てられている場所が頚動脈だから余計怖いです。......そのままズバッとか、いかないよね?
「......貴方の有り金半分で手を打ってあげるわ」
「いや待ってそれはおかしいとおもっ―――わかりました喜んで差し上げます。だから押し付けてる刃に力を入れないでちょっと食い込んでるから割とマジで」
エリーは、はぁ、と深くため息をつきながら、鎌の刃を僕の首から離す。何故そこでため息をつくのか僕にはわからない。そして何故僕の首から鎌の刃を離す時に残念そうな顔をしたのかも僕にはわからない。僕たち友人なんだよね?そうなんだよね?
僕は、血は出てないもののヒリヒリと痛む首を手でさすりながら、いつの間にか鎌を消した目の前の友人をジト目で見る。
「友人の有り金半分を脅して奪うとか、ありえないと僕的には思うんだけど?」
「友人をくだらない理由で呼びつけるとか、ありえないと私的には思うんだけど?」
どごかやねん。どこもありえないことあらへんがな。......いや、あまりにもおかしすぎるエリーの理由に、つい変な方言でツッコンでしまった。
だってさ、くだらない理由で呼び出しても、それでも仕方ないなって付き合ってくれるのが友人ってもんじゃないかな?なのにエリーさん半ギレじゃん?有り金半分よこせとか言ってますやん?絶対エリーの方がおかしいって。
「私の思う友人っていうのはね、持ちつ持たれつだと思うのよ。つまり、win-winな関係ってことね」
「僕、有り金半分エリーに奪われる。エリー、何も失わない。逆に僕の有り金半分が手に入る。......これのどこがwin-winな関係と?」
「私のような美人に貢げる、ということでwin-winな関係よ」
「いやどこがだ。全然win-winじゃないよ。不満しかないよ」
まったくケチな男ねぇ、と言われた。おかしい。有り金半分よこせと言われて不満だと言ったら、ケチだと言われる。なんだこの会話の応酬は。理不尽すぎる。
そして何故だろうか。僕は間違ってないはずなのに、女性にケチと言われた時のこの敗北感は。......解せぬ。
「......ふぅ。冗談よ、冗談。有り金半分っていうのはなしね。そもそもあなた、そんなにお金持ってなさそうだし」
「さっすがエリーの姉御。たまに見せるその優しさが身に染みるぜっ。飴と鞭の使いどころがわかってるそこに痺れる憧れるぅ」
「有り金全部にして張り倒すわよ?」
「心の底からごめんなさい」
ちょっと悪ふざけが過ぎた。せっかく有り金半分って話がなしになったんだ。エリーの逆鱗に触れて有り金全部持ってかれたらたまったもんじゃない。ここは穏便にすませよう。
「まったく、あなたはいつもいつも......まぁいいわ。今に始まったことじゃないし。それで話を最初に戻すけど、幽香ちゃんに、って言う理由で呼び出したのはわかったわ。で、その幽香ちゃんっていうのは誰?」
と、エリーに言われて思い出す。
あぁ、そう言えばそうだった。実は今日、幽香ちゃんに僕はぼっちじゃないことを証明するという目的の他に、エリーを幽香ちゃんの友人にさせるという目的もあったのだった。頚動脈に鎌の刃を当てられた恐怖で、ついつい忘れてしまっていたよ。
とりあえずエリーに、もうすぐ来るであろう幽香ちゃんのことを教えた。少女だということ。人間だということ。花が大好きだということ。僕の向日葵たちを褒めてくれたこと。なんか色々と残念なこと。からかうと面白いということ。いっつも顔を真っ赤にして可愛いこと。友達がいないということ。
それらを全て説明し終わった時、エリーから冷ややかな目を向けられた。......何故に?
「......ロリコン?」
「いや待ってそれは絶対に違う」
まずい。なんか変な誤解を招いたようだ。どうして僕がロリコンなどと言う変態紳士になるのだうか。納得がいかないよそんなの。これは早急に解かなくてはやばい。主に僕のこれからの社会的信用のために。
今も尚冷ややかな目を向けてくるエリーに、僕は必死に弁明する。
「聞いてくれエリー。僕は断じてロリコンなんかじゃないんだ」
「死ね」
「幽香ちゃんのことは妹的に思っていて、異性として見ているなんて微塵もないんだよ」
「死ね変態」
「そもそも僕は幽香ちゃんのような幼児体型より、グラマーな体型のお姉さん系が好みなのであって」
「死ね汚物」
「というわけで幽香ちゃんは守備範囲じゃないから、僕はロリコンなどという存在ではないんだ」
「この世から消えて」
「ねぇどうしてそんなこと言うの?ねぇなんで?そろそろ僕泣くよ?泣いちゃうよ?いいの?いい歳した妖怪がワンワン泣くんだよ?」
「やめてよね気持ち悪い」
「......」
無言で涙を流している僕を誰が責められようか。声をあげて泣いてないだけすごいものなんだよ。
......あれ?ってかこれ、エリーの中じゃあ僕がロリコンだっていうことになってない?もうそれで決定になってない?僕の必死の弁明もエリーの罵倒で一蹴されちゃったし。いや、これはまずい。なんとかしなくては。
僕は断じてロリコンなどではない。
「だから聞いてよエリー。僕は決して幽香ちゃんの幼児な体型に微塵も興味などなく、ましてや幽香ちゃんのあんなちっちゃい胸なんかに興味なんて」
「さっきから聞こえてんのよこのクソ日向がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
瞬間、後頭部にとんでもない衝撃が走る。まるでそう、飛び蹴りでもされたかのような衝撃だ。いや、実際に飛び蹴りされたのだろう。他でもない幽香ちゃんの手によって。いや、この場合足か。割とどうでもいい。
当然友人と話している途中に後頭部を飛び蹴りされるなんて予想もしていなかった僕は、衝撃を受け流すことなんてできるはずもなく、バキッという軽快な音と共に目の前のちゃぶ台に頭ごと衝突する。......地味に痛い。
「なんかアンタの家に知らない女の人がいるから部屋に入れず扉の前で隠れてたら、私がその場にいないことをいいことにアンタはぁっ......!!」
なるほど。道理でちょうど悪いタイミングでこの場に現れるわけだ。ずっと僕らの裏に隠れていたなんて。ロリコンじゃないことを証明することだけに集中していて、幽香ちゃんがこの家に来ていたことに気付けなかったよ。
「......あ〜、ゴホンッ。えっと、貴女がこの変態ロリコンが言っていた、幽香ちゃん?」
「そうよ。このクソったれなバカ妖怪にいっつも迷惑かけられてる、風見幽香よ」
「なんで君たちは初対面の筈なのに僕の悪口をシンクロして言うのかな?」
え?どこかで打ち合わせでもしてたの?
そう思わざるおえないほど、彼女たちの僕に対する罵倒のシンクロ率は高いのだ。何故だろうか。理不尽すぎるような気がする。
このままじゃあいけないと思い、とりあえずちゃぶ台に突き刺さってしまった頭を引っこ抜く。何するんだという批難を込めた目線を向けようと幽香ちゃんの方を向くと、何故かこちらにとても冷めた目線を向けてくるエリーと幽香ちゃん。......何故エリーまで。
「いえ、実際に幽香ちゃんを見て、本当にあなたはロリコンなんだなと思っただけよ」
「だから僕は幽香ちゃんのような幼女体型になんて――「死ね」――痛い痛い痛い。痛いよ幽香ちゃん。傘で叩かないで」
なんだこのコンボは。エリーに対して弁明の言葉を発せば、後ろにいる幽香ちゃんから傘で叩かれる。だが、弁明の言葉を発さないと、エリーによって僕の社会的信用がなくなってしまう。僕はこの一日だけでどれだけの理不尽を目の当たりにするのだろうか。
「そもそもあなたに社会的信用なんてないでしょうが」
「そうよね。もともとないものね、このバカ妖怪には」
「僕は今猛烈に君たちが実は打ち合わせをしていたんじゃないのかと疑問に思っている」
いや絶対そうでしょ。絶対打ち合わせしていたでしょ。マジで泣くぞこんちくしょう。
僕は諦めたかのようにこれみよがしにため息をつくと、幽香ちゃんにエリーを呼んだ目的を説明することにした。そうでもしないと僕がこの二人によって精神的にフルボッコにされるからね。
「ええっと......説明が遅れたね。改めて、こちらにいる彼女は、僕の友人のエリー。今日は幽香ちゃんに、エリーを紹介しようかと思って呼んだのさ」
「......」
うんそのありえないものを見てしまったかのような顔をやめようか。僕はぼっちじゃないから。
「まぁ......このロリコン妖怪の友人なんて不本意だけれど、この際仕方ないわ。紹介に預かったエリーよ。よろしくね、幽香ちゃん」
「あ、ええと......は、はい。よ、よろしくお願いします?わ、私の名前は、風見幽香です!以後お見知りりゅ―――ッ!!」
あ、噛んだ。しかも盛大に。 そして幽香ちゃん、気付いてるかな。実は今ので二回自己紹介してるんだよね。僕に飛び蹴りした時に名乗ってるし。いや、割とどうでもいい。
顔を真っ赤にして顔を俯かせる幽香ちゃん。恥ずかしいのだろう。そりゃ、あんなに盛大に噛んだんだから、恥ずかしくて僕らの顔も見れないよね。
......エリーがこちらに近付いてきて、僕の耳元に小声で告げてきた。
「......なんかいじめたくなる娘よね、幽香ちゃんって。かなり可愛いじゃない。あなたの気持ちが少しわかったわ」
「でしょ?本当にいじめがいがある娘だよ、幽香ちゃんは」
恐ろしい娘だな幽香ちゃんは。この短期間でエリーに気に入られるなんて。こりゃ幽香ちゃんをぼっちとかもう言えなくなっちゃうな。
「ほら。大丈夫よ幽香ちゃん。私は気にしてないからさ。それよりもほら、私達だけでこのロリコンクソ妖怪のことで愚痴りあいましょ?」
「あ、は、はい。わ、わかりました、エリーさん」
「硬い硬い。気軽にエリーって呼んでよ」
「え?え、ええと、じゃあ......え、エリー?」
「か、可愛い......!」
......なんだろうか、この疎外感は。
例えるならそう。女が三人くらいいる組に、一人だけ男が混ざっていて本来はひゃっほうとか言っている筈なのだが、女は女だけで絆を固めていて男はガン無視されるという、そんな虚しさ。......いやなんか自分でもこの例えは上手くわからん。あとエリー。ロリコンクソ妖怪ってなんだよ。僕だって怒るんだぞこんにゃろう。
まぁとにかく、今回言えることとすれば......。
「ほら幽香ちゃん。一緒に外の向日葵畑で散歩しましょ?私ってさ、この向日葵畑に惹かれてやってきたのよね」
「あ、私と同じだ。私も、この向日葵畑に惹かれてやってきたのよ。そこで日向に出会ったの。まぁ、最初は日向があんな性格だとか思わなかったけれど......」
「あ、わかるわそれ。私も最初あいつに会った時は、物静かなやつだと思ったわ」
―――幽香ちゃんに友人が、一人できるってこと......かな。よかったね、幽香ちゃん。
はい。エリーが出てきました。旧作キャラですね。しょうがないじゃないしょうがないじゃない!で有名ですね。戦闘ではこの人――種族がわからない――なんとタイルを投げつけてくるという暴挙を成し遂げております。
感想等、心待ちにしております。