向日葵の咲く頃に   作:『向日葵』

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ワレ、コウシン、オクレタ。マコトニ、モウシワケ、ナイ。ナラ、コウシンヲ、ハヤク、シロ?......(´<_` )。


向日葵の咲く頃にー九輪ー

拝啓幽香ちゃん。今日も大変お日柄よく、僕こと向日葵妖怪の日向は元気であります。......うん、元気だよ?ホントホント。もう元気すぎて幻想郷滅ぼしちゃうくらいだから。あ、ごめんやっぱ嘘。幻想郷滅ぼしたらどこぞのスキマに僕が滅ぼされちゃう。あれ?お手紙って、こんな感じでよかったっけ?

 

......とかまぁふざけてるけどね。今の僕、本当はとても元気がないんだ、幽香ちゃん。あぁいや、今僕のそばには幽香ちゃんいないけどね。ノリだ、ノリ。

ふむ。どれくらい元気がないかというと、釣りをしていた時、とても大きな引きをしてやっとの思いで引き上げたにも関わらず、引き上げたものがまさかの河童で落ち込んでしまうくらい元気がない。

 

あれ?よく思ったら意味がわからないな、この説明。まぁいいか。うん。いいのいいの。気にしたら負けだ。負け負け。

 

まぁ、とても簡潔に言うならば、欝である。そう、このままいけば僕は間違いなく欝になるだろう。それほどまでに元気がないのだ、今の僕は。

 

「はぁ......どうして僕が、人里なんかに」

 

そんな独り言をつぶやきながら、人里へ向かうための道を一歩一歩と歩いていく。そう。人里。今僕は、ある目的のために人里に向かっている最中なのだ。嫌々、ね。本気で嫌だからこそ、僕は今現在元気がないのだ。

 

あぁホント、なんたって僕が人里なんかに行かなきゃいけないのだろうか。......いや、理由はわかっている。他でもない僕自身が一番よくわかっている。

 

「まさか幽香ちゃんが高熱を出すだなんて......」

 

そう。今人里では、幽香ちゃんが熱を出して寝込んでいるのだ。道理で今日はいつまでたっても向日葵畑に顔を出さないわけだね。確かに僕は幽香ちゃんが来るのを楽しみにはしてたけど、来れない状態なら仕方がないさ。

 

......が、しかし。しかし、だ。

 

それでも僕は、仕方がない、とだけ思っていたのだ。今日来れないなら、幽香ちゃんが来ると思って今日も来てたエリーと話でもして時間を潰そう、と。そう思っていたのに......。

 

「クソぅ、あのスキマ......何が『幽香ちゃんがあなたに会いたがってたわよ?』だ。人里なんかには行きたくないけど、病人にそう言われちゃあねぇ......」

 

あぁもう。本当に甘くなったものだ、僕も。たった一人のただの人間に、それも熱を出しただけの幼い少女にここまで影響されるだなんて。

 

......まぁ、今更悔やんでも仕方ないさ。もう人里の近くまで来ちゃったわけだし。向日葵畑の世話も、帰るまではエリーに任せてあるし、大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 

『お、おい、あそこにいる妖怪......』

 

『あ、ああ。不気味な向日葵を咲かせてる妖怪だ。なんで人里なんかに?』

 

『おいおい。いくら妖怪は人里内で暴れてはダメという決まりがあっても、あの妖怪だ。いつ襲われるかわからんぞ?』

 

「.........」

 

......胸くそ悪い。

 

人里に来て最初に思うことが、それ。予想していたことだったが、それしかない。もうほんと、それしかでてこない。ただただ胸くそ悪い。今すぐこの場から出ていきたい。ていうか帰りたい。

 

まったく。ヒソヒソ話してるつもりだろうが、妖怪の五感の良さを舐めちゃいけない。耳だって良いんだから普通に聞こえているよ、このクソったれな人間ども。

 

「......はぁ。バカらし。とっとと幽香ちゃんのとこ行ってお見舞いして帰ろう」

 

そう心に決め、人里の人間たちからのヒソヒソ話を無視しながら、奥の方へと進んでいくが......ふと、団子屋が目に入った。

 

幽香ちゃん......団子買ってきたら、喜んでくれるかな。

 

ただの気まぐれ。そう思ってしまったから、僕は移動する。団子屋の中へと。あと、僕も何気に団子を食べたい気分だったのだ。

 

中に入ってわかったことだが、団子屋は案外賑わっているようであった。お客さんがいっぱいいるし。それに団子も美味しいのだろう。妖怪である僕が入ってきたにも関わらず、皆何事もないように団子を食べている。これは騒ぎなど起きず、期待ができそうだ。

 

「娘さん。団子を......そうだな、四串くらい頼めるかな?お持ち帰り用で頼むよ」

 

「かしこまりました!毎度です!」

 

団子屋の娘さんはそう笑顔で言うと、パタパタとどこかへ走っていった。おそらく注文を団子を作っている人に伝えに行ったのだろう。

 

......さて、と。団子が来るまで、適当な席にでも座って時間を潰そうかな。

 

「んー......お、空いてる席発見」

 

誰かが座る前にすかさずその椅子へとすわり込む僕。さてさて、ここにいる人間たちは本当に賑やかなことだ。賑やかなのはいいことだよ。まぁ、僕としてはうるさいくらいだけどね。

 

そうやって久しぶりに人間たちに対していい感情を抱いていた、その時だった。

 

『おい、聞いたか?妖怪と仲良くしてるって話のあのガキ、高熱出してぶっ倒れたらしいぜ。うちの息子が言ってやがった』

 

『お、知ってるぜそれ。なんでも、あの有名なガキのことだからな。その話も既に噂になってるくらいだ』

 

ピクッ、と。どうして反応してしまう僕の体。妖怪と仲良くしてるガキ、いや、十中八九幽香ちゃんだろう。高熱出してぶっ倒れた、ってとこも一緒だし。偶然とは考えにくい。しかし......有名?あの幽香ちゃんが?

 

話が気になった僕は、その男たちの話に耳を傾けることにした。

 

『だろうなぁ。はっはっは。妖怪だなんていう化け物のところに行ってるからだ。多方妖力にでもあてられたんだろうさ』

 

『しかもその妖怪ってのが、あの向日葵畑の主らしいぜ?』

 

『息子から聞いた話じゃあ、友達欲しさにその妖怪のとこらへ行ってるって言ってたなぁ』

 

「.........」

 

あぁ、やっぱり人里じゃあ友達いないんだね、幽香ちゃん。このぼっちめ。しょうがないなぁ、僕しか友達いないなんて......あ、いや、エリーもいたか。

 

しかし幽香ちゃん。友達の欲しさあまりに妖怪にまで手を出すとか、その話が本当だったら、最初に会ったのが僕で本当によかったね。これが下級の妖怪だったなら、君は話もできずに食われてたよ?

 

などと考えていると、向こうから、団子屋の娘さんがこちらに走ってくるのが見えた。手に団子を入れた袋を持っているので、僕が頼んだ団子が出来上がったのだろう。

 

「はい、お待たせしました!団子、四串になります!」

 

「ありがと、娘さん。これお代金」

 

またお越しくださいね!と元気いっぱいな娘さんに手を振り、僕は団子屋を後にした。

ちなみにお金だが、これはスキマからもらったものだ。これで何か買ってやりなさい、とのことらしい。あのスキマ、なんで僕と幽香ちゃんにはお節介するんだろうか。あれだろうか。歳が(この発言はスキマ送りにされました)

 

 

まあ、とにもかくにも.......あの人間たちが話してたのをネタにして、今日は幽香ちゃんを弄ろう。

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

「え?この手に持ってる団子?もちろんやらないよ。病人はこんなの食べちゃいけませんから」

 

「じゃあどうしてその場で食べずにここまで持ってきたのよ!!」

 

「それはもちろん、君の目の前で美味しそうに団子を食べることさ」

 

「最低ねあなた!?」

 

さてさてさて。ところ変わって、幽香ちゃんの家。いやぁしかし、幽香ちゃんの家がまさかこんなに遠いとこにあるとは。ここ、人里の一番奥らへんだよ?と思ってしまった僕を誰が責められようか。

 

とにもかくにも、団子。団子である。団子を頬張るのである。幽香ちゃんの目の前で、それはそれは美味しそうに。......というのは、まあ、流石に冗談だ。四串のうち二串は幽香ちゃんの分にって買ったんだし。

 

「まったく、最初から渡しなさいよ......けほっ」

 

「ほらほら、あんなに大声出すから病状が悪化するんだよ?幽香ちゃんにそういった常識はないの?」

 

「誰のせいだと思ってんの!?」

 

うがー、なんて怒ってる幽香ちゃんを無視して、残り一串となった団子を食べる。うむ。美味である。隣がうるさいが、これはなかなかの味だ。

 

「治ったら、覚えてなさいよ......!!」

 

そんな呟きが聞こえたが、僕は知りません。団子が美味しいということだけしか知りません。

 

 

 

「美味(ノ)`ω´(ヾ)」

 

「よしちょっとそこに正座なさいクソ妖怪」

 

 

 

とまあこんな感じで今日も、僕と幽香ちゃんは戯れていくのであったとさ。めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

.......余談だが翌日、僕は熱を出した。おそらく、いや、確実に幽香ちゃんに写されたのであろう。そんな僕を幽香ちゃんは団子を食べながら笑っていた。解せぬ。

 

 

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