ツインスターレイル   作:ゲルゲルググ

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スターレイルにハマっているので初投稿です。


プロローグ

 何かを閉じ込める為に作られた飾り気の無い空間で、二人の女性がいた。

 一人は背が高く、しっかりした服の上にコートを羽織り、おでこ辺りにサングラスを乗せ、赤紫の長髪を後ろで結った美しい女性。もう一人は、青と赤紫のゴールをおでこ辺りに乗せ、銀髪を後ろで結った上にロールにした、女性にしては派手な格好をしている少女だ。

 

 女性の掌には煌々と輝く球体が握られていて、少女は空中に投影された画面を操作している。二人とも、何やら良からぬ事をしていた。

 

「媒体の準備が出来た。でも……」

「どうしたの?」

「エリオは、あなたが此処で多くの変化をもたらす選択をすると言っていた」

「えぇ、そうね」

「それを踏まえた上で、これを見て欲しい」

 

 指をヒュッと振るって、少女はホログラムの画面に映っている一人の人物を女性へ見せる。

 

「………一人だけね。どうしたの銀狼?エリオの脚本に逆らいたくなったのかしら?」

「カフカ、私をからかわないで」

「じゃあコレはどう説明するつもり?」

 

 銀狼と呼ばれた少女は、ガム風船を膨らませながら少しの間思考し……風船を口の中へ戻してから、カフカと呼んだ女性の問いに答える。

 

「…おそらくエリオは、私が星核(万界の癌)を入れる媒体を二人用意すると知った筈」

「でも何故か、貴女は一人だけしか用意しなかった」

「何故かね。完全に無意識だった。私は真面目に言われた仕事をしただけ。問題なのは私じゃなくて、最初から一人だけとでも言いたげにしている媒体の方」

「ふぅん……」

「はぁ……いいでしょ別に。用意した媒体は、エリオの脚本通りなんだし」

「そうね……まぁいいわ、切り替えましょう。それで、どれくらい記憶が残っているの?彼女」

「少なくともあなたの事は覚えてる」

 

 光と共に何処からともなく生成された少女の背中に手を回し、カフカはもう片方の手に持っていた光る球体…星核を、少女の胸に無理矢理押し込んだ。

 

「お覚醒めの時間よ」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 みんな、輪廻転生って知ってるね?そうだね、小説とかによくあるジャンルの1つだ。だいたいトラックとかに引かれて、異世界とか……そういや、二次創作にもよく使われてるよね。

 というわけで、俺はその転生者だ。前世の事は断片的にしか知らない。名前も死因も忘れた。だからと言って今の名前を言えるって訳でもないのだが。

 

 そう、即ち記憶喪失という奴である。あるあるだね。覚えている事は中途半端なアニメ知識やその他と、自分が転生者と呼ぶ存在だって事だけ。だからまぁ、早く自分の事を思い出す為に劇的な変化が欲しいのだけどさ………

 

「―――」

 

 俺今、宇宙を漂ってるんだよね。

 

 

 

 なんで?(当然の疑問)

 

 いや本当になんでだよ!おかしいだろ?!なんで目が覚めたら宇宙なんだよ?!それに俺の体は何なの?!サイヤ人かなにかなの?!どうして俺は宇宙空間で思考出来てんの?!

 マジでなんなんだコレ。かれこれ体感20年くらい(実際には2ヶ月程経ってます)このまま漂ってるけどさ、マジで漂ってるだけ。息が苦しくなったりする事も無いし、景色が変わることもない。眠たくなる事もないからこの方ずっと眠ってない。つか、宇宙空間に生身は普通凍りつくんじゃなかったか?ポケモンBWの映画で見たから知ってるよ。

 

 とまあそんな訳で、声も出せないこの広大な宇宙をただ只管漂う、それが俺の転生者ライフです。虚しいな。

 

 あ〜そろそろ虚しさ極まって死にたくなって来たぞ。お、流れ星みっけ。お祈りしておこう。次転生するなら地上の生き物に………ん?なんかあの流れ星こっち来てね?来てるね?あこれ来てるわ。今回の死因は流れ星にぶつかるって言う割りと珍しい死に方するのか俺。まぁこの虚しいのが終わるならそれでも……あでも流石にちょっと怖―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「………知らない天井だ」

 

 あ、喋れた。すっげー虎杖悠仁みたいな声してる。初めて聞いたよ俺の声。

 つかここ何処だ?もしかして死ねたか?まぁあんな光り輝く流れ星とごっつんこしたんだ。死んでなきゃ可笑しいだろ、笑うぞ。後本当に死んだなら宇宙空間に居た時の声はどの道聞いてない事になるよな………ママエアロ。

 

「あ、気がついた?」

 

 ………知らない美少女だ。え?美少女?人間?ヒューマン?マジ?

 

 ………(´;ω;`)ブワッ

 

「えぇ?!急に泣き出してどうしたの?!量すごっ?!あ〜えっと…姫子ー!ヨウおじちゃーん!」

 

 チクショウ…男な上に年甲斐も無く泣いてしまった。余りに恥ずかしい。でも仕方ねぇじゃん。かれこれ20年くらい(だいたい2ヶ月程です)一人ぼっちだったんだもん。そりゃ泣くわ。

 まぁ一旦落ち着こう落ち着いた。先ずはそれとな〜く、新しく転生した場所について聞かなければ。あと鏡とか無いかな?自分の姿を確認しておきたい。

 

 ってな事を考えてたら、赤い長髪のないすばでぃな女性と、眼鏡を掛けた整った顔の青年が扉を開けて入って来た。早いな?!

 

「大丈夫?気分はどうかしら?」

「ゆっくりでいい。何か違和感があれば教えてくれ」

 

 違和感……いや、そういうのは特に無い。強いて言えば、俺は自分の事を何一つ知らないという事だろうか。

 待てよ、この記憶喪失じみた事を使えば、俺が転生した世界についてとかわかるんじゃないか?そうと決まればだ。頭の中でセリフを練習して……ヨシ!

 

「お二人は付き合ってるんですか?」

「どうやらまだ混乱してるみたいね」

「その様だな」

 

 待って、待って違う待って。セリフ選択ミスったからちょっと待って。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、取り敢えず体が普通に動かせたので、姫子さんとヨウおじちゃん…もといヴェルトさんと列車のラウンジに移動。話をしてわかった事は、先ず俺は死んでなんかいなかった事。今俺がいる場所と、あの流れ星の正体は星穹列車と呼ばれる乗り物だったという事だ。

 

 というわけで、二人が話をしてくると奥の車両に向かったので、此処で適当に暇を潰している。つかラウンジとかあるのスゲェなこの列車。

 

「全く!オレがオマエに気づいて列車を止めてなければ、今頃タダではすまんかったんじゃぞ!」

 

 可愛いなこの黒米団子

 

「ごめんな、えっと……ハムさん」

「パムじゃ!」

「所で可愛いな。ぎゅってしていい?」

「な、なんじゃオマエェ?!えぇい止めろ!オレに近づくでない!」

 

 あぁ、逃げられてしまった。

 

「早速仲良くなってるね!元気そうでなにより!」

「あぁ、君は確か……」

「自己紹介がまだだったね。ウチは三月なのか!よろしくね!」

「よろしく。俺は……」

 

 ………そういや誰やねん俺。転生してから自分の名前なんて知らなかったし知ることも出来なかったな。どうしよ。

 

「…もしかしてアンタ、自分の名前が分からないの?」

 

 お、おぉ……なんか理解早いなこの娘。

 

「まぁ…そんな感じだ」

「うんうん…わかるよ〜。この列車に初めて乗った時のウチも同じ感じだったもん」

「へ〜……え?」

「実はウチもね、宇宙を漂ってたんだ。まぁアンタと違って、ウチは六相氷っていうおっきな氷の中にいたらしいんだけど」

 

 この娘も割と頭の可笑しい過去をお持ちであった。でも氷漬けにされてるだけまだ現実的だな。いや現実的か?氷漬けにされた人間は普通死んでね?つか六相氷って何。いやまぁ別に知らなくてもいいんだけど。

 

 あっそうだ(唐突)知らないといえば……

 

「えっと、三月さん……?」

「ウチの事はなのかでいいよ」

「お、おう……」

「それで、どうしたの?」

 

 なんか距離近くね?あーいけませんいけません、勘違いしてしまいます!

 

「いやぁ、ちょっと鏡とかどっかに無いかな…なんて」

「鏡?う〜ん、ラウンジには……あ、そうだ!」

 

 おもむろに懐をゴソゴソして……カメラ?可愛らしいデザインだな。

 

「ハイ!チーズ!」

「え?」

 

 なんか困惑している内に撮られたぞ。

 

「はい、コレがアンタだよ」

「あ、そういう……」

 

 まぁそういう使い方もあるっちゃあるよね。俺は無いけど。

 それはさておき、俺のご尊顔を拝見するとしよう。お〜、中々にイケメンだ。流石転生者と言ったところ。男にしてはちょっと長めな銀髪に、キリッとした黄色い瞳……パーフェクトだ、ウォルター。

 

 ……にしても、なんか顔可笑しいな?撮られる時の俺、ちょっと間抜けな面だったと思ったんだが。なんでこんな証明写真取るときの様な真顔の笑顔を――

 

『よぉ、乗れたみたいだな』

「ッ?!」

「うぇっ?!ちょっとなに?いきなりどうしたの?」

 

 背筋に悪寒が走り、俺は思わず三月の手を弾きながら勢いよく後退って、ソファに着地してしまう。

 それより今のは……画像が笑った…?宇宙に漂うとか六相氷だとか、そういうのを聞いた時点で、そういうファンタジーな世界だとは思っていた。だから写真が動くのは驚きはしたが……この恐怖心は別だ。さっきの悪寒はいったいなんだ?!

 

「どうした、三月」

「丹恒!あのね、彼の顔を写真で撮って見せたんだけど、そこから様子が可笑しくなって……」

 

 丹恒……三月、なのか…?そうだ、俺はどっかでこの人達の事を――

 

 ズキン

 

「ッッア゛ッ?!!!?」

「えぇ?!ちょっとちょっと?!」

「ッ!」

 

 頭がッ、痛ぇ!!なんだ、コレッ…!視界も……駄目だコレッは――死ぬ!!!!

 

『まぁゆっくりしていけ。渡すべき物は渡すべき時に渡してやる』

「三月!姫子さん達を!」

「わかった!」

 

 だ、れだ……?二人じゃ…無い………変な奴が…一人いる!

 

『変な奴とは酷いな。私はただの現象、流れの過程。人類の今にして、人類が意識し、はたまた無意識に乗り越えようとする変化そのもの。それが私、永■のバルダムだ』

 

 なにを……言って………

 

『まぁ語らいは後にしよう。今は記憶に体を慣らして、開拓の物語を楽しむがいい。じゃあの』

 

 待て――

 

 ズキン

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」

「どうなっている?!」

「丹恒!」

「姫子さん!ヴェルトさん!」

「なのかから話は聞いたが、コレは……」

 

 頭ッ…割れるッ!記憶がッ、流れ込む(・・・・)ッ!

 

 

 星神星核星穹列車開拓ナナシビト宇宙ステーションレギオン終末獣星核ハンターナヌーク■■■■■■■■■■■■■■そしてそしてそしてそして―――

 

 

 

「……星」

 

 息が荒い、汗も凄い。いや本当に汗凄いな、服がベタついて気持ちが悪いぞ。誰かクーラーつけてくれ。クラーラでも良いぞ(カウンター)

 つかなんで俺はまたベッドの上で知ってる天井を見てるんだ。よっこいしょっと。早急に姫子さん辺りに伝えなければ。俺も、宇宙ステーションに行かせてくれと。

 

 にしてもあのバルダムとかいう謎のイキリ野郎、俺の前世の記憶を、この崩壊スターレイルの記憶を持っていやがる。その上、それを一部だけ返して、なんのつもりなんだいったい。

 

 いや落ち着け俺。あいつの事は一旦ポイしよう。色々思い出したらやる事は1つ。そう、この世界の、輝くほどに美しい物語を全力で――

 

 

 

 

 ……あ、もう宇宙ステーションいるじゃん。よし、じゃあ出よう。ヨウおじちゃんは口説き落として強行突破だ。




星神の設定、余りにもオリジナル星神製造機過ぎて欲望を抑えられなかった。続くかはわかりません。駄文ですが、いつか更新されるので楽しみな人は楽しみにしておいて下さい。一応モチベが上がります。

それでは、サラダバー。 



ps 愉悦景元愉しい

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