えっちがしたいTS欠損強化人間少女はえっちができない   作:大利トーリ

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姉妹想いのやさしい強化人間少女

 

 

 

 ……さてさて。

 

 私達は無事に、懸念のひとつであった『強行偵察の許可』を、総責任者であるハンダーン大佐から直々に頂くことができた。すぐその場で許可を出してくれるとは、さすが判断を下すのが早い。……いや、何が『さすが』なのかは知らないが。

 まあ、正確には『明日は自由時間にしていいよ』『ヨーベヤ大森林の環境を調べといてね』『非常時の電話には出てね』ではあるが……つまるところ、実質的な『許可』といえるだろう。

 

 よって、明日は急遽予定を変更。キャラバン周辺の警戒を正規軍の方々にお願いし、私達は『大森林深部のとある地点を調べ』に行く。……周辺環境どころじゃないが、まぁ誤差だ誤差。

 

 

 目的地の方位と距離は、だいたいだが【グリフュス】のストレージに記録できている。空からその調査地点へと赴き、あとは肉眼と自分の感覚を用いて、目標の『二足歩行生物』の痕跡を探す。宝探しみたいだな。

 

 しかしながら、その目的地周辺の環境とは、決してお気楽なものじゃない。陸路では色濃い植生と地形に阻まれ、あと【魔物(モンステロ)】はもちろんとして危険な野生生物も跋扈しており、一朝一夕ではとても到達できないであろう……ともすると生きて辿り着けないであろう、大森林の奥深く。

 とはいえ当たり前だが、空から行けばその限りではない。目的地までは障害物のない一直線、邪魔する【魔物(ヤツ)】が湧いたところで、私達であれば見敵必殺で悪即斬なのである。

 空を飛べて、自衛ができて、フットワークが軽く、そして可愛い。……なるほどなるほど、これは私達に調査しろと言わんばかりの相性の良さだな。

 

 

 ただ懸念すべき点としては……相手は(おそらく)未知の生命体である、という点だろう。見た目はヒトに近しいシルエットとはいえ、意思の疎通が図れるのかも定かではない。

 ハンダーン大佐には()()言ったが……こんな危険な場所で生活している以上、相応の戦力――あるいは【魔物(モンステロ)】を追い払える()()()――を秘めているはずだ。

 油断していては足を掬われる危険性だって、無いわけじゃない。

 

 

 ……なので。万全の態勢で明日の『休日』に取り組むため。

 今夜は、いや今夜こそ……バッチリしっかり休養を取っておくべき、なの、です、が。

 

 

 

 

「………………いっしょに、寝る?」

 

「……っ! …………は、ぃ」

 

 

(だよねぇ!! …………よしっ! いっちょやったるか!)

 

――――がんばれ、ファオおねえちゃん。

 

 

 昨晩に引き続き、悶々とした夜を過ごすことが確定したわけなのだが……まぁ、可愛い妹分のためだ。ここは妹想いの『おねえちゃん』である私が一肌脱ぐとしよう。

 それに私は、動作効率の向上を目的として調整が施された特務制御体……ようするに強化人間である。いざとなったら疲労や眠気を一時的に無視して『元気の前借り』をすることも出来るので、まぁなんとかなるだろう。

 まぁもっともその場合、あとでゆっくりグッスリする必要があるわけだけど……ちゃんと求めれば、この国は私に必要な『休み』を与えてくれる。そこんところは、あまり不安視していない。

 

 

 そんなわけで、今日も眠れぬ夜を過ごすことになったとしてもなんとかなるだろうと、諦めに近い覚悟を覚悟をキメていた私だったのだが。

 

 妹想い、いやむしろ姉妹想いだったのは……どうやら私だけじゃなかったらしい。

 

 

 

「……あの、ご主人さま」

 

「んん……? どうしたの、シス。おいで?」

 

「…………んんぅ……」

 

 

 名前(ナンバリング)からすると、アウラよりかは姉に当たるのだろうが……ともあれ彼女と同じく、シスは未だに情緒を形成している段階の幼子である。

 私が彼女たちの保護者を自称してから、まだそんなに日は経っていない。言動は多少自発的になってきたものの、この子たちはまだまだ庇護され、甘やかされて当たり前の存在なのだ。

 

 

 ……そう思っていた。事実として、そう扱っていたのだが。

 

 まったく、この幼子ときたら……私達が思っていた以上に『いい子』で、その情緒は思っていた以上に()()()()と成長してくれてたらしい。

 

 

「……シスは…………がまん、大丈夫、です。……ご主人さま、アウラと、いっしょ……お願い、します」

 

「えっ、…………えっ?」

 

「…………ベッド、わたしたち、三人……せまい、ので……ご主人さま、休めない、です」

 

「あっ、シス、は……いいの?」

 

「……シス、あの……わたし、は」

 

「……大丈夫、です。……きょうは、アウラが頑張りました。……わたしは、また今度。がんばって、役に立って……ごほうび、もらいます」

 

「…………シス……」

 

 

――――いいこだね、シス。……アウラのために、ちゃんと『がまん』してくれるって。

 

(……うん。シスの機体……機材も、はやくなんとかしたいね。……シスが、がんばれるように)

 

――――そうだね。わたしもいろいろと、がんばって考えないと。この電脳の活かしどころだよ。

 

(頼りにしてるからね、天才テアちゃん)

 

――――ふ、ふふーん。まっかせなさい。

 

 

 広いとはいえない寝台での川の字就寝は、(ご主人さま)がゆっくり休めないのではないかと……幼いながらも状況観察力を培いつつあるシスはそう判断を下し、健気にも身を引いてくれた。

 実際はそこまでギッチギチというほどではないのだが、しかし寝返りをうてなかったのは事実である。私の表情をよく見てくれてたらしい。

 

 確かに昨晩は、美少女ふたりに左右から密着サンドえっちされていたからこそ大変なことになっていたわけで……片側のみで済むというのなら、それなりに身体も伸ばせそうだ。昨晩よりかは眠れそうな気がする。

 ……いや、決してふたりと同衾するのが嫌だってわけじゃないんだけど、作戦行動(おしごと)中は……ね。一瞬の判断の遅れが命取りになったりもするし、ね?

 

 

 しかしながら……『役に立って』『ごほうび』ときたか。本当にシスはまじめというか、きちんとしている子だ。

 とはいえ【7Ax(セクエルスス)】の改造計画はというと……こちらは大勢で寄ってたかって派手にぶっ壊してしまったせいで、残念ながらもうしばらく掛かりそうなのだ。……つまりそれは、シスが頑張って活躍できる機会も、また当分先になってしまうもいうわけで。

 こんな健気で良い子を、長いこと『おあずけ』になんてできるわけがない。とりあえず今晩は身を引いてもらうにしても、明日はシスの番にしてあげるのはどうだ。1日おきのかわりばんこだったら、そこまで寂しくはないのでは。

 

 

――――小さな女の子を取っ替え引っ替え……幼い身体を日替わりで堪能するなんて……変態。

 

(ひ、ひとぎきのわるいことを! テアひどい、ファオは泣いちゃうぞ!!)

 

――――冗談だってば。ごめんだってば。……アウラもきっと『かわりばんこ』賛成してくれるよ。ふたりとも『いい子』だもん。

 

(…………うん)

 

 

 

 お互いにお互いを尊重しあい、理性でもって自制を効かせ、諍いの無いようにと努めてくれる。

 果たして私達の期待したとおり……可愛らしいふたりの妹分らは、自分たちだけできちんと『紳士協定』を結んでくれたようだ。……いや『淑女協定』かな?

 

 ともあれふたりの優しさと、日中のテアの睡眠補助のおかげもあって、今夜はちゃんと身体を休ませることができそうだ。

 伝えることは伝えたし、話し合うことも話し合った。あとは明日に備えるべく、早めに床につくとしよう。ふたりにもそう指示を出す。

 

 

 明日の『作戦』は何が起こるかわからず、また逐一経過を記憶する必要もある。テアの力ももちろん借りるが、私が直接対処する必要があるだろう。

 不安はもちろんあるが、それ以上に期待もある。こんな危険な環境で生存できているということは、私達の常識外の存在ということなのだ。

 もし友好的な接触ができたのなら、何らかのブレイクスルーが得られる可能性は高いだろう。

 

 

 

――――まー、行ってみなきゃわかんないでしょ?

 

(そりゃそうだ。……明日もがんばろ)

 

――――やいさほー。

 

 

 ほんの少しの不安と、めちゃくちゃ大きな期待と、そして確かな安らぎを胸に。

 

 私達はその晩……それはそれは、健やかな眠りを享受することができたのだった。

 

 

 

 

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