えっちがしたいTS欠損強化人間少女はえっちができない   作:大利トーリ

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ウェルカムトゥようこそ拠点集落

 

 

 

 私達がこの場で「じつは帝国の者じゃないです」と自白した場合、その後の『シャウヤ』の方々の対応として考えられるパターンは、大きく2つに分類されるだろう。

 

 単純にして明快……ずばり『敵対』か、もしくは『無反応』か。より詳しく述べるとするならば、捕まるか捕まらないか。

 

 

 どうやら彼女ら『シャウヤ』一族は、帝国と『取引』を行っているらしい。私達の前に姿を表し、こうして拠点へと迎え入れたのも、要するに私達のことを『取引相手』あるいはその(つか)いであると判断したからだろう。

 もし私達が、本来の取引相手ではないということが露見すれば……それは彼女らを騙して拠点に侵入した不埒者ということにほかならない。

 

 私達が帝国とは何の関係もない……どころか敵対国家の所属とバレてしまった場合、いったいどんな処罰を受けてしまうのか。考えるだけでも恐ろしい。

 捕縛され、牢に入れられ、私達が何者なのか、どうしてこんなところまで辿り着いたのか、その他いろいろを尋問されるにちがいない。

 

 

 それに……敵国捕虜に対する尋問なんて、そんなのきっと身体に訊かれてしまうに違いない。苦痛にあえぐ姿を眺めて悦に(ひた)るつもりなんだ。

 定番の鞭打ちとか針とか、あと正座して石を乗せられるやつとかか。……痛覚をほぼ遮断できるとはいえ痛いのは嫌だし、皆が褒めてくれたこの身体がもっと壊されるのは、やっぱり嫌だ。

 

 となると……やはり正体が露見す(バレ)るわけにはいかない。身バレしたその日には牢に入れられ、人目につかないところで言うも(はばか)られるあんなことやこんなことを――

 

 

 

 ………………はっ!

 

 

 

 

――――ま、待ってファオ、なに考えてるの?

 

(えっちなことだよ)

 

――――それはなんとなくわかるけど、だから、その……まさかとは思うけど――

 

(大丈夫。大丈夫だから、大丈夫)

 

――――お、落ち着こう? 痛いされるかもしれないんだよ? 痛いはやだでしょ?

 

(だとしても! えっちできるかできないかの瀬戸際なんだ! やってみる価値は――)

 

――――むりだよぉ! えっちから離れよぉ!?

 

 

 

「ソウいえば…………ヤウ(アナタ)は所属は何処ネ? やっぱ()()()()()()()()カ?」

 

――――!!?(…………っ!!)

 

「…………アー……落ち着くヨ、別に(ワタシ)ヤウ(アナタ)を虐める無いネ。アエら(ワタシたち)『シャウヤ』はイロウアと取引するケド、一緒と違うヨ。ヤウ(アナタ)がイロウアのネゴシエイター違くても、アエら(ワタシたち)の『お客様』は変わらナイヨ」

 

「えっ…………えっ? じ、じゃあ……えっちは? えっちな拷問、は?」

 

――――ちょ、ちょっとファオ!? でてる! よくぼうが口から出ちゃってる!!

 

ヤウア(アナタたち)の言ウ『えっち』は……確か『性交渉』のことカ? ……ンー、匂いでワカるヨ、ヤウ(アナタ)はマダ『準備』できてナイネ。準備ナイ個と『性交渉』は無意味、あと取引相手候補と『性交渉』は普通にナイネ、相手に失礼ヨ」

 

「は、が………………」

 

――――せぇーーーーふ。

 

「…………大丈夫カ? ……じゃあ進むネ。もう少し我慢、着いたら詳しい話スルヨ」

 

 

 

 …………まぁ、えっちな尋問をしてくれないのは、ちょっとだけ残念ではあるが。というか最初から期待してなかったので、べつにぜんぜんショックじゃないが。

 

 どうやら私達の懸念は、全くもって見当違いだったようだ。私達がイードクア帝国のネゴシエイターじゃなくとも、彼女らは特にリアクションを取るつもりはないと。

 それどころか……こうして私達を自らの拠点へと通し、話をしようとしてくれているのだ。

 

 そのことは……正直、とてもありがたい。はっきりいって願ったり叶ったりだろう、未知のコミュニティである彼女ら『シャウヤ』と取引の可能性が見えてきたのだ。

 

 

 ただ……えっちチャンスが。えっち拷問……なぐさみものシチュエーション……うう。

 

 

――――やっぱショックなんじゃん、そんなに悲しまなくても……。

 

(だって! せっかくのえっちチャンスだったもん! 連邦国のひとにバレずにえっちできるチャンスだったんだもん!!)

 

――――『もん』じゃなくて……ほら、ぶつかるよ。暗いから気をつけなきゃ。

 

(わぁーーん!)

 

 

 

 私達が通された、彼女ら『シャウヤ』の拠点。……いや、こんな化け物じみた大木が林立している大森林のどこに『拠点』があるのかと(いぶか)ってたのだが……いや、ありましたね。

 とある一本の大木の根本、樹洞のような部分の入口から()()、螺旋状に組まれた木製の階段を降り続けること……しばし。

 

 突如として現れた、ちょっとしたホール程の地下空間……に驚いている私達をヨソに、更に進んでいくフィーデスさん。

 ホールの片隅の通路から更に奥へ、その道すがら私達の所属を問いただされる先のやり取り(および『えっち』の玉砕)があったのだが……いま私達が案内されようとしているのは、どうやら応接室のようなところであるらしい。

 

 

「…………サテ、着いたヨ。長々歩かせて済まなかタが……地上はインサクタ(【魔物】)ベスティア(野生猛獣)に危険は多いヨ、落ち着いて『商談』できないネ」

 

「す、ご…………地下、なのに……」

 

――――これは、すごい……びっくり。

 

 

 私達が『商談』のためにと通された小部屋……彼女らの体格に合わせたのだろうか、ヒトのものよりもやや小さめなテーブルと椅子が備えられた、地下施設の応接室。

 なにやら魔法的な照明がぼんやりと灯され、それによって照らし出された室内空間は、どうやら石造りであるらしい。

 床はきちっと水平を保ち、織物と思しきラグが敷かれ、窓際には低めのチェストと、調度品のようなものが飾られている。

 

 

 …………そう、窓際。

 

 大森林の深部に、こんな小洒落た部屋が存在するのも驚きだが……私(とテア)の度肝を抜いたのは、その応接室()()()()()()光景である。

 

 

 

「……ヤウア(アナタたち)は、アエら(ワタシたち)シャウヤと『ハジメマシテ』ネ。ようこそ、ココはシャウヤの『キャストラム』……ヤウア(アナタたち)の言うところの『首都』であり、或いはアエら(ワタシたち)皆の『家』にアタル拠点ヨ」

 

「すご、っ……すごい! おっき……ひろ! すごくひろ……えっと、えっと……すごい!!」

 

「喜んで貰えてヨカたヨ。……アエらシャウヤは、みな様々にマギア得意ネ。アルムス豊富な此の地、安全な地下に『キャストラム』を築き、皆それぞれ研究と趣味に打ち込む。(ワタシ)のようなネゴシエイターが『外』と取引を行い、シャウヤにナイモノを手に入れる仕事ヨ」

 

「な……なる、ほど…………」

 

 

 驚くことに……応接室の窓からは、この『キャストラム』の()()()を、地底に広がる大空間に築かれた都市を一望することができる。

 私達が通された応接室は、複層式の建物の、どうやら上層階であるらしい。正確な高さまではわからないが、どうやら三階か四階くらいだろうか。

 真正面の別の建物を見た限りだが……壁に埋まるように、あるいは壁をくり抜くようにして、石造の高層建築が築かれている。

 

 恐らくは、先程下ってきたルートが『キャストラム』の出入り口なのだろう。どうやら出入り口は拠点のあちこちにあるらしく、前世でよく見た地下鉄駅構内を彷彿とさせる。

 また……それらの出入り口に直結する建物に、こうして応接室が設けられ、そこでフィーデスさんのようなネゴシエイターと来訪者が商談を行う。

 この『キャストラム』の外壁にめり込むように建つ施設には、ココと同じように……例によって前世での例えになるが、空港の入国審査や、あるいは入国管理局みたいな感じの機能が備わっているのだろう。

 

 

 それはそうと、驚くべきはやはり地底都市『キャストラム』の街並みだ。

 さすがに馬車や、それに類する輸送手段が行き交うことはないのだろう。道はそれほど広くないながらもしっかりと固められ、魔力の(あか)りと思しき街灯がぼんやりとした彩りを放っている。

 石や土とおぼしき素材で築かれた様々な建物の間を、フィーデスさんのような人々が行き交っているのが見て取れ……まぁしかし当たり前なのだろうが『ヒトビト』ではなく、フィーデスさんと同様の種族である。

 

 耳のかわりに立派なツノをもち、太くて長くて雄々しい尻尾を備え、甲殻と鱗に覆われた長大な腕を持つ……我々ホモ・サピエンスとは似て非なる者。

 ヨーベヤ大森林の深部にてコミュニティを形成していた、連邦国がこれまで全く知らなかった者たちである。

 

 

 いやまあ……例によってこの世界の一般ヒト種が、果たして本当に『ホモ・サピエンス』なのかどうか、正しいところは不明なわけなのだが。

 しかも私と、あとシスやアウラときたら、ソレに更に色々と手が加えられているわけで、なおのことホモ・サピエンスからかけ離れたモノに成り果てている可能性も高いわけだが……話が脱線しすぎる気がするのでやめておこう。

 

 

 だいじなのは、大きく2点。ずばり『大森林の奥地にて謎の地底民族を見た!』ということと、その地底民族『シャウヤ』の民が、私達と取引……つまり交友関係を結んでくれそうだということ。

 まあ、どうやら既にうんちぷり帝国の者とは繋がりがあるらしく、後塵を拝してしまっているのは事実なのだが……しかしだからといって、交流を諦める理由にはならないだろう。

 

 

 

 

「さあさ、せっかく来て貰タからには、有意義なハナシの場を望むヨ。シャウヤが提供できるモノと、シャウヤがほしいモノ。詳しくハナシをさせてホシいネ」

 

「あっ、えっと、えっと……はいっ!」

 

 

 ニコニコ笑顔のフィーデスさんに誘われ、私達は応接室の椅子へと腰掛ける。幸いなことに今日はお休みを頂いているので、使える時間はたっぷりある。思う存分オハナシをさせてもらおうと思う。

 

 彼女の言葉が事実なのであれば……彼女達『シャウヤ』の擁する知識と技術は、あのうんちっち帝国でさえも欲するもの。

 つまり我々ヨツヤーエ連邦国にも存在しない、そして有用である可能性が高いものなのだ。

 

 

 軍部とか、連邦国の上層部にとっても、そして私達にとっても、決して悪い話ではないだろう。

 ハンダーン大佐にも、これはいいお土産話ができそうだ。ご褒美にえっちしてくれないかな。

 

 

 


 

 

 

――――おくさんいるでしょ、無理に決まってるよ。

 

(だよねぇ……)

 

 

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