俺は料理さえできればいい 作:サイリウムぶん回し隊
というわけで主人公の妹登場です。
プロフィールを投げておきます。
片山
片山家の末っ子、消極的な性格で自分自身に自信が持てない。運動神経は抜群だが目立つのがかなり苦手。高咲 侑と同じスクールアイドルオタクである。得意なことは意外なことにバク転。好きな食べ物はいちごとオムライス。
余談なのですが行きたい場所があるんですけど家から車で3時間かかるんですよね。えっ?どこに行きたいかって?
映 画 館 で す
「久しぶり、兄さん。会いたかった、すごく会いたかった」
「俺もだと言いたいところだが妹よ・・・流石に公の場で抱きつかれるのは恥ずかしい」
駅に迎えに行ったら噴水広場前に妹の片山 美秋がそこにいた。駅に向かう途中スーパーで少し買い物をしてて予定時間より少し遅れてしまったから怒ってるんじゃないかと思っていたが全然そんなことはなかった。あの母と姉がいてまともに育ってくれたのは兄として嬉しい。
「ところで兄さん、どうして制服なんですか?」
「ちょっとニジガクに用事があってな。美秋も来るか?申請さえすれば虹学は割と簡単に入れるぞ」
「本当!?兄さんの通う学園見て見たかったの。ニジガクって女の子にはすごく人気が高いって聞いてたから」
普段は消極的なのにこんな感情豊かな妹を見るのは久しぶりだな。いやっ、そもそも会うのも久しぶりだから見るのは当たり前なんだけど・・・
「にしても美秋、少し背伸びだな」
「兄さんもね」
「お互い、成長期だからな。じゃあとっとと行くか」
元々、片山家はみんな身長高いしな。姉さんも身長は170cm以上あるし。美秋は今は背は低いがあと2年もすればまた身長は伸びるだろうしたくさん栄養つけてもっと成長してほしいな。できればもう少し姉さんや母さんみたいに自信を持ってもいいけどあの二人はあまりにも自信過剰なので自信を持つならほどほどにはしてほしい。もしも美秋まで母さんや姉さんみたいになったら手がつけられなくなる。
「それで兄さんは休みの日なのに学校に用事があるの?今じゃないのダメなの?」
「まあある意味今じゃないとダメだな。というより今日やるらしいし」
俺は密かに交渉してたことがあった。別に狙ったわけじゃないが交流が出来てから向こうの部は俺に貸しを一つ作っている。それを返してもらうために俺は今日わざわざ学園に赴いてるのだ。
「さてと着いたぞ虹ヶ咲学園だ」
俺が妹の親族だと伝えて入るための手続きを済ませる。俺はそこから部室に向かわずある場所に向かっていた。この学園は部活の力の入れ方が半端じゃない。流しそうめん同好会とかドマイナーな部活があるくらいには。
部活もいろんなものがまたあるがポピュラーな部活でも活動内容を見るとここまでやるのかというくらいの部活が存在する。中学校でも存在するくらい知名度の高い部ではあるがここまで力を入れてるのは虹ヶ咲学園くらいなのでは?と思ってしまった。
「さあ着いたぞ、ここだ」
「ここって・・・ビニールハウス?」
「そうっ、園芸部の持ってるビニールハウスだ」
虹ヶ咲学園の中でもかなりの人気を誇りそのメンバーの多さと規模の大きさで毎年、学園祭という名の収穫祭をやるくらいには活気に溢れてる場所だ。昔、野菜を美味しく食べられるレシピを教えて恩を売ったことがある。
「おっ、来たね。片山くんっ。去年はありがとね、後輩も喜んでたよ」
「それは何よりですよ。部長さん」
俺と同じライフデザイン学科にして園芸部の部長をやってる3年生の人だ。実家が農家をやってて両親やフラワーショップをやってる花や野菜、果物などの世話のエキスパートだ。ちなみに料理はあまり得意ではないらしい。園芸部員曰く部長の唯一の弱点らしい。
「それにしてもたくさん出来たっすね」
「今年は豊作だからね。園芸部は人数多いけどそれに対しての量も多くてね。とりあえず助っ人で今回は生徒会にも来てもらってるんだ」
「あっ・・・
「お、おうっ・・・」
最近はずっと名前で呼ばれてたからいきなり名字呼びされて逆にびっくりした。流石にこんな大勢の前だと生徒会長としての体裁を保つ必要があるもんな。
「あなたはこの前の・・・お久しぶりです。三船 栞子です」
「おおっ、この前の」
「先日のクッキーありがとうございました。生徒会のメンバーもすごく喜んでいました。よろしければ何かお礼をしたいのですが・・・」
「いいよそんなの。
「はいっ・・・そうですね」
「そういえばお二人は知り合いだったですか?学科が違うのにずいぶん付き合い長そうですが・・・」
「君と同じような出会いでそこから何かと縁がある。それだけの話だよ」
というより前置きが長いからそろそろ本題に行きたいんだが・・・というか・・・
「あっ、すまん美秋。退屈だったか?」
「いえっ・・・ただいろんな人がいて」
俺も人のことは言えないが妹も決してコミュ力が高いとは言えない。というより自由すぎる性格でハイスペックな母親と姉を見て育ってしまったために自分に自信がないというか萎縮してるというか・・・
兄としては美秋は自分に自信を持っていいくらいにはポテンシャルを秘めてるが肝心の美秋自身はやりたいこととかないらしいからな。なんでも良いから美秋にはやりたいことを見つけて欲しいんだが・・・
「ところで片山さん、そちらの方はお知り合いですか?ずいぶん
言葉に少しだけ棘があったのはなんだったのだろうか。いや距離が近いも何も・・・
「そりゃ妹だしな」
「妹!?」
菜々が驚くように悲鳴をあげたら部員たちはみんなバッと菜々の方を見た。少しだけせつ菜の方が出てたけど大丈夫か?というより妹に関しては話した・・・話したっけ?
「し、失礼しました。片山さんの妹ですね。虹ヶ咲学園へようこそ。私はこの学園の生徒会長、中川 菜々です。よろしければお名前を聞かせてもらえませんか?」
「あっはい・・・片山 美秋です」
「片山 美秋さんですね。兄妹だとややこしいので美秋さんって呼んでもいいですか?」
「はいっ・・・兄さん、
もっと言えばそいつ、この学園の生徒全員の名前と学年と学科まで把握してるから厳密に言えば美秋が想像してるよりずっとすごい人なんだけどな。
「というわけで今日はいちごの収穫をします。その場で食べてもいいし持って帰ってもいいよ。生徒会のみんなも、片山くんも参加ありがとね。練乳とかはそこに置いてるから。じゃあ話はこのくらいにして・・・」
そんなわけでいちごの収穫が始まった。いちご狩りとも言うが部員のメンバーが多いとは言えよくこのビニールハウスの育成をやったなと思う。これも部長の采配や部員たちの努力の賜物なのだろうけど・・・
「うんっ・・・すごく甘くて美味しい。今年の出来はかなり良いな」
「でしょー、色々大変だったんだから」
「美秋も美味しいか?」
「うんっ、すごく美味しいっ!」
「そうか、あんまり食べ過ぎんなよ」
そう言って俺はいちごの収穫して部長に声をかけてフェードアウトした。さてとせっかく美秋も来たし久しぶりに作るか。イチゴを使ったレシピはショートケーキやタルトとか色々あるが・・・けど俺がよく美秋に作っていたのはショートケーキでもなければタルトでもない。まあショートケーキもタルトも授業で習ったから作れるけどいちごが少なくてもお手軽に作れるスイーツを俺は一つ知ってる。
「まずはいちごを必要な数だけ水洗いして水気を拭き取ってからヘタを取る。ここで今朝買ってきたこしあんを用意する」
この大きさだと一つ30〜50gってところか。一つずつ包んで包みラップにかける。耐熱容器に白玉粉、砂糖を入れて混ぜる。水を少量ずつ加え、スプーンでよく溶かし混ぜ合わせる。
ラップをして電子レンジで2分加熱、一度レンジから取り出しスプーンでしっかり混ぜる。同じ作業をあと2回行い、その都度しっかり混ぜ半透明な求肥を作る。
「よしっ、こんなところか」
バットに片栗粉を敷き、求肥を入れ、片栗粉を軽くまぶしながら必要な数分用意する。あとは丸めておいたあんを包み、形を整える。久しぶりに作ったけどこれが俺の得意なスイーツ料理になる。完成したそれを持ってビニールハウスに戻った。
「ただいまー」
戻ってくると泣きそうになってる妹がいた。どうした、何かされたかと思うがそもそもそんなことをする奴はここにはいないからおそらく心細くなったのかもしれない。
「兄さん、良かった。全然戻ってこないから私、私・・・」
「悪かったって」
やっぱりか、コミュ障の美秋を一人で放置したのは失敗だったかな。
「それで兄さんはどこで何を・・・この甘い匂いもしかして・・・」
「そう言うことだ。いちごの収穫は実は本当はもう少し遅かったんだ。けど部長に無理言って少し早めてもらったんだ」
もう少し遅かったらもっと熟していたんだけど今のでも充分美味しいのは確かだからと言って部長は許可してくれた。全ては妹が来るタイミングに合わせるために。まあ野菜のレシピ教えた見返りの対価がデカすぎるからプラマイゼロにするためにたくさん用意したけど・・・
「てなわけで園芸部のみんなが育てたイチゴを使って一つ料理研究同好会の部長として一品作ってみた。いちご大福だ」
いちご大福、妹が大好きな食べ物の一つだ。美秋は果物の中では特にいちごが大好きで俺と美秋が食べられる最高のいちごのスイーツを突き詰めたのがこれだ。
「たくさん作ったからみんなで食べよう。もちろん生徒会のみんなもな」
「兄さん!」
「色々と悪かったな。父さんが単身赴任でいない今、あの家で美秋にはたくさん負担かけてる」
今の片山家で家事がまともにできるのは妹の美希だけだ。そんな妹のためにも俺は妹の大好物ないちご大福を用意した。ここにいる間は少しでも美秋の好きな食べ物を食べたり好きなことをさせてやりたいのが兄としての務めだろう。
「ありがとう、兄さん。本当に・・・優しくて甘い味。昔兄さんと食べたいちご大福と変わらない」
「本当に美味しいですね。片山さんの想いがしっかり詰まっています」
「はいっ・・・本当にそう思います」
この味の
「美秋さん・・・でしたね。良いですね素敵なお兄さんがいて」
「えっと・・・はいっ。兄さんは表には出しませんが良くも悪くも料理してる兄さんは正直です。料理以外には興味を持たない人ですが兄さんの料理はどんな人も笑顔にする魔法の料理だと私はずっと思ってます」
「その考え、とても素敵だと思いますよ。美希さん」
「生徒会長さん・・・」
「それに
「・・・・」
「どうかしましたか?」
「いえっ・・・少し嬉しくて。そのままの本質をさらけ出せる人と出会えたことに。基本的に兄さんは人前だと猫を被りますので」
「さっきから何の話ししてるんだ?」
いつもは他人とほとんど話さない美秋がちゃんと話してるのは少し珍しいと思ってしまってつい割って入った。
「内緒です。・・・実は私、兄さんのことを少し心配してました。母さんは反対してましたがでも今日の兄さんを見て私は兄さんが虹ヶ咲学園に行ってよかったと思います」
「夏樹くん、お母さんに反対されてたんですか?ニジガク行くのを」
「まあな」
至極くだらない理由で反対されてたけどな。一人暮らし本当にできるのか、その性格で友達できるのか色々酷いこと言われたけどそもそも行ってほしくない理由がお前がいなくなったら誰が家事やるんだよだしな。
そこは母親であるお前がやれと言いたいがこの人は仕事はすごくできる。というより仕事以外のことが致命的だ、だから妹に料理や洗濯、掃除を一通り教えたんだ。そもそもお前らは男である俺に洗濯丸投げするのもどうかと思うぞと言いたくなったが。まあ流石の母さんや姉さんも美秋相手に無茶振りはしないだろ。
「そういえば美秋は虹ヶ咲学園で興味のあることがあるか?」
「興味というか・・・うんっ虹ヶ咲学園に限定した話しじゃないですけど最近は友達に勧められてスクールアイドルに少し興味があって・・・」
「スクールアイドルに興味があるんですか!?」
「せ、生徒会長さん!?」
スクールアイドルというワードに反応した菜々が妹の肩を掴んでいた。やばい、見た目は菜々だけどせつ菜がもろ表に出ている。今周りには他の生徒がいるし少し抑えろ。
「あっ、すみませんつい」
「中川会長はスクールアイドルに興味があるんですか?」
「ええ、まあ少し・・・」
嘘である、正体隠して自身がスクールアイドルやってるくらいにはスクールアイドルガチ勢である。あれは誰がどう見ても少しというレベルじゃないがせつ菜の正体が会長なのをこの中では俺以外知らないので何も聞かなかったことにしておこう。
「なんというかすごく意外ですね。私は
「三船さん、このことはくれぐれもメンバーには内密に」
「別に隠す必要はないと思いますが・・・分かりました。それで美秋さんは誰が好きなんですか?」
「私、消極的な性格でスクールアイドルやってる人は自信に満ち溢れて個性が出てて。私と真逆な人・・・虹ヶ咲学園なら優木 せつ菜さんが好きです。とってもカッコよくてすごい歌声でパフォーマンスも凄くて」
美秋は最後にあんな人みたいに自分も自信がもてる人間になりたいと言った。これが第三者に向けて言った言葉なら微笑ましい話だったのだが当事者目の前にいるせいで菜々の頬がプルプル震えている。
このまま菜々の大好きが溢れたらみんなにバレてしまう。仕方ない・・・
「そういえば会長に部活の件で相談したいことがあったのを思い出した。少し席を外すから三船さん、妹のこと少し頼んで良いか?」
「はいっ、分かりました」
「美秋、すぐ戻るから少し三船さんと話をしててくれ」
俺は無理やり菜々を引っ張って外へ連れ出した。
「びっくりしました。いきなり目の前で私の良いところを言ってくれるものですから。ありがとうございます夏樹くん」
「・・・前々から思ってたんだがよくそれで隠せてきたな」
いつボロを出してもおかしくなかったぞ。スクールアイドルという単語でもやばかったのに美秋がせつ菜のことを話し始めたら我慢できずに美秋に抱きつこうとしたもんな。菜々の状態で・・・
「けど目の前で私のことあんなに褒めてくれたんですよ!嬉しいに決まってるじゃないですか!というより夏樹くんの妹さん・・・美秋さんはスクールアイドルが好きだったんですね」
「それは俺も全然知らなかった」
ここ一年くらいで好きになったのかそれとももっと前から好きだったのか分からないがどうやら美秋はスクールアイドルが好きで虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の中ではせつ菜が好きらしい。というかニジガクの生徒でもない美秋がどうしてせつ菜のことを・・・
「最近、動画の再生数は伸びてはいましたがまさか美秋さんも見ててくれたなんて・・・すごく嬉しいですね」
「動画・・・なるほど」
持ってるスマホで検索かけたらヒットした。確かに再生数はそこそこある。あと紹介動画もあるな。思えばスクールアイドルに関しては何も知らないもんな。目の前にいるスクールアイドルとは少なくとも一年近くいたけど・・・
「菜々・・・適当な理由をつけて連れ出してアレだが少しお願いしたいことがあるけどいいか?」
「お願いですか?」
俺はそのお願いを菜々に伝えた。どうせ妹は明日の昼には帰ってしまう。というより帰らないと一日、二日あればあの二人なら家をゴミ屋敷にしかねないと俺の美秋は思っている。そのレベルであの二人の生活レベルを信用していないのだ。次いつ来るか分からない以上妹には思い出を残しておいてほしい。
それから俺と菜々は戻ってから園芸部の手伝いをして夕方前に解散となった。
「楽しかったねいちご狩り・・・」
「そうだな」
「それじゃあそろそろ兄さんの家に行く?」
「その前にちょっと寄り道しないか?一つ学園で案内したいところがあるんだ」
「案内?」
そう言って俺は妹を連れて指定されたところに向かう。正確には場所ではなく会ってほしい人がいる。急だったから衣装とか何も準備してないけどそいつは快く受けてくれた。
そしてやってきたのはレコーディングブースだ。来るのは初めてだけどこんなところがあるんだな。本当にニジガクは変な意味でいろんな施設が充実している。俺が料理研究同好会で部員一人なのに冷蔵庫や調理器具が借りられたのも同じ理屈だ。
「とりあえず入ってみるか」
「う、うんっ・・・」
そう言って入ると中には会長が・・・中川 菜々がそこにいた。
「こんにちは、さっきぶりですね。美秋さんっ」
「は、はいっ。ここはレコーディングの部屋?会長はここで何を・・・」
「そうですね。私は今までたくさんのものを夏樹くんからもらってきました。だから私の大好きを・・・夏樹くんの妹である美秋さんに届けるために。これくらいのことしかできませんが改めて・・・・」
自己紹介をしますね。そう言って菜々は三つ編みを解いて髪を結び直した。そして妹がえっ?えっ?という反応をしていた。こんな動揺してる妹を見るのはある意味新鮮なのかもしれない。そう、俺はお願いしたんだ。せつ菜に・・・
「はじめまして片山 美秋さん。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の優木 せつ菜です。それでは聞いてください『CHASE!』」
はじめはかなり動揺していた美秋だったがせつ菜の雰囲気に飲まれて身体が自然と動いていた。改めてちゃんと聞いてみたけどやっぱりせつ菜の歌唱力というか・・・すごいな。並大抵の努力じゃ辿りつかない領域だ。
それだけせつ菜のスクールアイドルに対する大好きが爆発したのだろう。そして歌い終わったせつ菜に妹は盛大な拍手をしていた。
「どうでしたか美秋さん。ドキドキしましたか」
「はい・・・すごく」
「それなら良かったです。動画を見てくれてありがとうございました。私ももっと頑張りますから美秋さんもやりたいことを・・・大好きなことを見つけたらまっすぐ貫いてください」
「せつ菜ちゃん・・・ありがとう、嬉しいよぉ、せつ菜ちゃんの歌が生で聴けるなんて」
感動しすぎてボロッボロに妹は泣いていた。これで少しはサプライズになっただろう。
「私もこんなに感動してくれて嬉しいです、頑張ってきて良かったと思います。これからも応援してください」
「うんっ・・・うんっ!応援するっ、私、せつ菜ちゃんのこと応援するからっ」
めでたしめでたしってところかな。ちなみに妹はめちゃくちゃ口が硬いからせつ菜の正体云々に関しては心配はいらない。
「にしても二つ返事で引き受けてくれて良かったよ。ありがとなせつ菜」
「いえっ・・・大したことでは。それにしても良いですね美秋さんは、素敵なお兄さんに恵まれて・・・」
「だと良いけどな」
「美秋さんもですが夏樹くんももう少し自分に自信を持っても良いんですよ。基本料理以外は無頓着なのに妹さんのことはすごく気にかけてましたから」
「・・・一人暮らしする上で唯一気がかりだったからな」
美秋はどう思ってるか知らないが少なくとも俺は自分の母親と姉に関してはあまり好きだとは思ってない。かと言って嫌いかといえばそういうわけでもないが・・・
あの自由奔放な二人を妹に任せっきりだからな。だから美秋もやりたいことを見つけて欲しい。そして好きなことを全力でやって欲しい。それが俺の今の願いだ。
「さてとそろそろ帰るか。陽も落ちてきてるしな。今日の晩御飯は美秋の好きなオムライスだ。少し遅めにとろうな」
「オムライスですか、兄さんのオムライス楽しみです」
「じゃあ帰りますか。せつ菜、途中まで一緒に・・・」
「・・・むすっ」
「あのっ・・・せつ菜さん?」
「なんでもありません。帰りますよ」
少し機嫌が悪くなった気がするけどまあいいや。家に卵あったっけ?無かったら買い足さないととか考えていたら・・・
「あのっ・・・よかったらせつ菜ちゃんも一緒にどうですか!」
「美秋!?何を言って」
「いいんですかっ!」
「良いですよね兄さん!どうせなら私はせつ菜ちゃんともっとお話ししたいですし・・・ダメですか?」
ダメ・・・じゃないが確かに美秋は明日にはもう帰るしけどせつ菜を家にあげるのはちょっと抵抗あるというか・・・
「・・・分かったよ。今回だけだからな」
「ありがとうございますっ!そうとなればさっそく準備しないとですね」
「準備?」
オムライスを作る手伝いなら別に必要ないからせつ菜はできれば妹を相手することに専念してて欲しいんだが・・・
「あっ、もしもしお母さん。今日友達の家にお泊まりするのですが・・・はいっ、明日の朝には帰ります。明日も午後から生徒会の用事ありますし。ありがとうございます」
「おいせつ菜・・・何を」
「というわけで今晩はよろしくお願いします。夏樹くん」
「待てっ、せつ菜。晩御飯を食べていくのは構わないが泊まるなんて俺は許可した覚えは・・・」
「美秋さんっ、お願いします!」
「お兄ちゃん・・・おねがぁい」
くそっ、この妹どこでそんな交渉術を学んできたんだよ。けど美秋はよっぽどのことがないと甘えてこないしせつ菜がこんなに好きならうーんっ・・・・美秋を盾に使うなんて卑怯な・・・
「分かったよ・・・」
ったくあんまり女子を家にあげたくなかったんだがな。
「じゃあそういうことですので、後で夏樹くんの家の場所をメールで送ってください』
「はいはい」
そんなわけで妹の頼みとはいえせつ菜を・・・女の子を家に泊めることになった。ああ、胃が痛くなってきた。帰りにドラッグストアで胃薬買わなきゃ・・・
せつ菜「夏樹くんって、意外とシスコンですよね」
夏樹「ほっとけ」
というわけでゴールデンウィークの話に入りましたのでしばしお付き合いください。ジューンブライドのアンケートの結果はせつ菜があまりにも強すぎたのでせつ菜で話を書きます。今月の最後の仕事休みが30日なのでここで投稿します。よろしくお願いします。