俺は料理さえできればいい 作:サイリウムぶん回し隊
最近、生徒会長こと中川 菜々の様子がどことなくおかしい。以前はメールを飛ばせば来てくれてはいたのだが最近は生徒会の仕事も忙しくなってきたのか来られない日が続いている。そして最近はメールの返信ですら曖昧になっている。
いやっ、それだけじゃない。あの日、普通科の2人が来てスクールアイドルの話をしてからだ。おそらくそれが原因の可能性がある。以前のような明るさがないのだ。
まるで全てを諦めて投げ出そうてしている。自分自身を殺そうとしてるような・・・無論、中川がそれでいいなら止めるつもりはない。
「けど・・・・」
部の創設を諦めかけた俺を救ってくれたのは生徒会長である中川 菜々の存在だ。結局今も部の人数は増えてないけどあいつとの出会いと交流がこうして今日まで料理研究会を繋いでくれている。困ったら助ける、力になる。中川はそう俺に言った。約束してくれた。
こういうのは正直柄じゃないが貰ってばかりなのは男が廃る。今の中川と話すのは正直かなりやりにくい。いやっ、出会ったばかりの中川もあんなもんだったか。まあなんでもいいけど今日の料理のテーマは決まった。
中川を元気付けるそんな何かを作りたい。とはいえ中川の好きな食べ物など俺は知らない。基本的に何でもかんでも美味しいと言って食べてくれるが特に好きな食べ物というのがわからない。その辺が明確なら立てやすかったんだが・・・・生徒会に行って聞いてみる?いやダメだ、行ったら行ったで生徒会長とどのような関係かと聞かれるのがオチだ。俺はそういうのが1番嫌いだ。
「そういえば昔・・・・」
出会って間もない頃かな?いやっ、少し打ち解けてきた辺りだったかな?中川に聞いたことがある。
「中川って弁当の好きなおかずとかあるか?」
「そうですね・・・卵焼きとかでしょうか?とびきり甘い奴ですね」
「まあ定番だな」
「ちなみに片山さんはお弁当で好きな食べ物とかありますか?」
「うーんっ・・・・基本なんでも食べられるからな」
嫌いな食べ物など基本的にない。かと言ってこれといって好きな食べ物もない。強いて言えば甘いものは胃もたれするからあまり好きではないが。少量であれば大丈夫だけどショートケーキ一個が多分やっとでそれ以上は身体が受け付けてくれない。ケーキバイキングという単語を聞くだけで胸焼けしてしまう
閑話休題
中川は卵焼きが好きと言っていたことを思い出した。卵焼きで元気になってくれるかは知らないけど今日はとびっきり美味しいだし巻き卵を作ってみようか。とその前に用意したいものがあるので今日は解散します。
〜次の日の放課後〜
NATSUKI`s kitchenの時間がやって参りました。どうもいつかは部にしたいという思いでいっぱいの片山 夏樹だ。今日は生徒会長の中川を元気付けるためにだし巻き卵を作っていこうと思う。
「だし巻き卵の作る上で大事なポイントは全部で3つある」
まず一つ目は風味豊かなダシ。上質なダシでほぼ全てが決まると言っても過言ではない。二つ目は巻始めに芯を作ってやることだ。これが卵を巻く上でのポイントになる。だし巻き卵を焼くときは、最初から最後まで強めの中火が鉄則。火加減が弱いと、卵がふっくら焼き上がらない。卵液を流し入れたら、半熟状態ですぐに巻き始めること。これを巻き流しという。ライフデザイン学科はこんな専門知識の授業もやるぞ。なんてな
まずは土台であるダシ作りだけど・・・普通にダシ作ったら半日くらいかかるんだよね。あっ、うんっ。昨日用意したいものがあるって言ってたでしょ?家でダシを作ってきました。
出来立てをボトルに入れて持ってきたぜ。この最高のダシを使って今日は俺の得意料理の一つであるだし巻き卵を作っていこう。ダシの作り方は教えるのがめんど・・・大変なので割愛します。というわけでまずはメインの卵。
ボウルに卵を割り入れて菜箸でときほぐす。一般的には『卵液はこす』とかのやり方が主流だがだし巻き卵においては少し卵白の塊を残してもいいくらいだ。こさないほうが卵らしい味わいが残ってより美味しくなるから。
そしたら今度は別のボウルに昨日作ったダシとうす口しょうゆ、みりんで混ぜてそして片栗粉を入れて混ぜる。本来は浮き粉を使うんだけどないから片栗粉で代用する。これを加えることでふわっとした食感をプラスすることができる。
これがある程度混ざったらさっきかき混ぜた卵にちょっとずつ入れてかき混ぜる。そしていよいよサラダ油をしいたフライパンの出番だ。
火加減を強めの中火にして、卵液をおたまの半量ほど入れ、薄く広げて巻く卵焼き器が温まったら菜箸の先に卵液少々をつけて落とし、ジュッと音がして固まったら、火加減を強めの中火にする。卵液をおたまの半量ほど流し入れ、全体に広げる。ここから説明してもいいが正直芯を作ってしまえばあとは普通の卵焼きとそう工程に違いはない。
巻いただし巻き卵をまな板に移して冷めたら食べやすいサイズにカット。本来なら大根おろしとか添えればなおいいがあいにく大根がないのだ。さてと完成したのはいいが問題はどうやって中川と会うかだ。1番の問題だよな、この広い学園で中川を探すのは至難の業だ。そして生徒会室にいくのはいいが中川いる100%いる保証がない。電話したら来てくれるのだろうか・・・・そもそも今の中川が電話したところで出ない可能性が高い。律儀にすぐメールを返すあの中川が最近メールの返信すら返ってこないこともある。
「ったく・・・」
いつもの中川なら喜んできてくれると思うんだけど・・・・
「・・・・はぁ」
どうすればいいのか分からない。中川と話をしたいけど何を話せばいいのかあいつが今何に悩んでいて苦しんでいてどう声をかければいいか。その一歩をどうやって踏み出せばいいのか。
中川は言ってくれた。大事なのは諦めないこと、夢を捨てないこと。マンガやアニメのセリフかよとも思ったけど現にその言葉で俺は救われたと思ってる。どうすればいいか悩んできたその時に一つの放送が聞こえた。
『普通科2年、中川菜々さん。優木せつ菜さん。至急C棟屋上まで来てください』
中川が呼ばれた?それにこの声は聞いたことがある。確かこの前スクールアイドル部を探していた・・・いやっ、そんなことはどうでもいい。俺は切っただし巻き卵をタッパーに入れてタレピンをぶっ刺して屋上に急いだ。そしておそらく中川がいるであろうC棟屋上に着いた。扉を開けようとした時だった。
『私が同好会にいたらみんなのためにならないんです!私がいたらラブライブ!出られないんですよ!』
『だったら・・・だったら!ラブライブ!なんて出なくていい!』
俺は扉を開けるのをやめて耳を立てて聞く。ラブライブ?とかよく分からない単語が聞こえて来る。そしてずっとあいつが何に悩んできて苦しんできてそれで何を決断したのか。
その会話だけでは会話の全貌は分からなかったけどきっと俺が出るまでもなく彼女は助けられたのだろう。まあ解決したのならそれでいい。俺は帰ろうとした時だった。
「これは始まりの歌です!」
そう言っていきなり歌が始まった。とても力強くて人を焚き付けるような歌。CDとかでいろんな曲を聞くけどこんなに力強くその人を感じる歌は聞いたこともなかった。
これがもしかしたらこの前言っていたスクールアイドルという奴なのだろう。胸の奥が熱くなっていくこの感じ・・・・生まれて17年。料理以外にまともに興味を持ったことすらない俺ですら今の歌声には少しながら惹かれるものがあった。スクールアイドルか。機会が有れば中川から話を聞いてみたい。教えてくれるかは知らんけど・・・・
さてと本来の目的は中川に会うことだったけど。ちょこっと扉を開けて少しだけ見渡すけど中川が見当たらない。真面目な中川ならC棟の屋上にいるって思ったけど。けど中川の話し声は聞こえてたんだよな。どうなってるんだ?まあ中川がいないなら仕方ない。帰るか。
〜☆〜
部室に戻ってからスマホでスクールアイドルについて少し調べていた。短いけど結構歴史は濃いらしい。というよりスクールアイドルいすぎだろ。最近のバーチャルなんとか並みにいる。おすすめスクールアイドルとかあればいいけど・・・
そんなことを思っていたらノックがなった。こんな律儀なノックの仕方は中川しかいない。ちょうどよかった、俺からも話したいことがあった。そんなことを思いながらどうぞと言った。
「こんにちは!片山さんっ」
「・・・・・・」
知らない女性が入ってきた。えっとどちら様ですか?俺の知り合いにこんなハイテンションな女の子はいない。リボンの色からして同級生みたいだけど。
「片山さん、どうかなさいましたか?」
「・・・えっと」
向こうは当然のように俺のことを知っている前提で話している。というより知っていて当たり前のような感じてます話してきてるけど俺はお前のことを知らないし会ったことすらない。何が起こってる?天変地異の前触れか?どこかで記憶でも失ったのか俺は?
「あっ、やっほー。夏樹くんだっけ?久しぶりだね。こらっ、せつ菜ちゃん。走ったらダメだよ」
「ごめんなさい、ついうっかり」
さっき中川と言い合いしてた子。どこかで聞いたことあると思ったら・・・高咲さんだったか?
「こんにちは片山くん。ごめんねいきなり押しかけて。せつ菜ちゃんがお腹が空いたから片山くんに会いに行こうって話になって」
「歩夢さんっ、私を腹ペコキャラ扱いするつもりですか!?」
「けど実際この前のときはものすごく怒ってたような・・・」
「あ、あれはそのなんと言いますか・・・それは全部片山さんが悪いんですよ!」
理不尽すぎる。初対面の子にいきなりディスられてるんですが。えっ、なになんなの?これはあれか?泣いたらいいのか?誰でもいいから助けてくれ。
「男子料理研究会・・・こんなのがあるんですね」
「お〜、部室から中々いい匂いがしますなぁ」
「かすみんもお腹ペコペコです」
「あらっかすみちゃん。さっきまでコッペパン持ってなかったかしら?」
「放送部の子に賄賂で残りは全部あげましたよ」
「何やってるのよかすみさん・・・」
更に顔の知らない人が大勢入ってくる。右からあんた誰?誰?誰?誰?誰?の状態だ。知ってるのが高咲さんと上原さんしかいない上にこの2人は前に一回会っただけで話すほどの仲ではない。助けてくれ中川、この場を収集できるのはお前しかいない。俺には無理だ・・・
「今日は何を作ったの?夏樹くん」
「・・・・」
俺はタッパーの蓋を開けて入ってあっただし巻き卵を取り出した。
「だし巻き卵かぁ。美味しそう」
「・・・中川がな。結構前なんだけどお弁当のおかず何が好きかって聞かれたことがあってな」
「へっ?そうなの?」
「そしたら中川は卵焼きが好きって言ってくれてな。それを元にして今日はだし巻き卵を作ったんだよ。けどあいにく中川に会えずじまいでな。屋上で話し声は聞こえたけど扉をちょっと開けたらいなかったし」
メールの返信もないし今日はもう帰ったのかもしれない。だし巻き卵は作りたてが1番美味しいからできればすぐにでも食べて欲しかったけど・・・
「そうなんだ・・・」
「中川が最近何かに悩んでいるのは知っていた。けどそんなことを話す仲でもなかったし聞いたところで俺が解決できる保証などない。けど君が・・・高咲さんがきっと中川を救ってくれたんだと思う。屋上の扉越しだったから話は全部聞こえなかったけど・・・違うかな?」
「うんっ・・・そうなるね。私は私の気持ちを・・・菜々ちゃんに伝えただけだから」
「そうか・・・お前はすごいよ本当に」
俺はお前みたいに直接呼び出して話す勇気なんてとても持てない。そんな思い切った行動もできない。
「俺ができるのは結局のところ料理しかない。中川が好きな卵焼き・・・だし巻き卵を作って少しでも元気になって欲しかったけど肝心の本人には会えなかったから無駄骨になってしまったけどな」
そこまで言うと高咲さんはくすっと笑う。そう言って、最初に入ってきた女の子に話す。
「だから言ったでしょ?どんな形であれせつ菜ちゃんのことを嫌いにならないって。幻滅しないって。片山くんは私と違って事情は何も知らないけどきっと知っててもなおせつ菜ちゃんを見捨てなかったと思う。ううん絶対に見捨てないよ。でないと誰かのために料理なんてしないもん。そうよね・・・夏樹くん」
「・・・・そうだな。彼女はともかくとして気がつけばそれだけあいつが・・・中川の存在が俺の中で大きくなってたのかもしれない」
中川がいくら真面目で生徒会長として手を差し伸べてくれただけだったとしてもあの手がなかったら全て終わっていた可能性がある。諦めて全てを捨てる覚悟すらあった。やりたいことも出来ずにもがくことすらやめて・・・
けど俺は諦めない。俺の青春のためにも男子料理研究会のメンバーを集めて部にする。その夢は諦めきれないから。そう言ってくれた中川にもきっとそれだけ大きな夢があったのかもしれない。
「俺ができることなんてきっと些細なことしかない。それでもあいつから貰ってばかりいたから俺は・・・・」
「そんなこと、そんなことありません!私もあなたから数えきれないほど多くのものをもらいました」
「・・・・えっ、あっ・・・」
「夏樹くんっ、そのまませつ菜ちゃんの話を聞いてあげて」
「あっ・・・うんっ」
「本当は友達であったあなたには1番に相談するべきだったのかもしれません。けど不用意にあなたを巻き込んでしまったら大好きなものであなたを傷つける可能性もあった。だから私は何も知らないあなたのことを利用したのかもしれません・・・」
「何を言ってるんだ・・・」
「だからごめんなさい!片山さんは最近ずっと私に
ここで少しずつ理解が追いついていく。そして落ちていたピースが一つ、また一つハマっていく音が聞こえる。
メール?この学園でメールを登録してる生徒はたった1人中川だけだ。俺は事実を確認するために目の前にいる彼女に問いただす。
「ちょっと
「はいっ、どうぞ」
そう言って俺は電話帳から生徒会長のところの電話のボタンを押す。するとすぐ目の前から電話の音ですか?
「本人が目の前にいるのに面白いことをしますね片山さんは」
「うんっ、ごめん。もう一度だけ確認してもいいか?」
「どうぞ」
「あんた中川か?」
「うーん・・・どっちかというと今の私は優木 せつなですね。それとも・・・こうやった方がわかりやすいですか?」
そう言って目の前にいた女の子はリボンを外して三つ編みにしてから眼鏡をかける。俺は今イリュージョンを見てるのだろうか。何が起こったのか理解ができない。声のトーンも少しではあるが下がって聞き覚えのある声になる。つまりあれか?会長はそのせつ菜とやらでもあるということでいいのか?
「ちょっと大丈夫ですか!片山さん、顔色が悪くなってますが・・・・」
「事情知らずにいきなりそんなことしたらキャパオーバーするのも無理ないと思いますよ、せつ菜先輩。いやっ、いじわる生徒会長」
「誰がいじわる生徒会長ですか?中須 かすみさん」
「ひえっ・・・ごめんなさい」
疑惑が確信へと変わった。やっぱり生徒会長こと中川 菜々と優木 せつ菜は同一人物らしい。色々聞きたいことがあるけどとりあえず・・・
「中川、そのっ。なんだ。お前のことを何も知らずにあんなに小っ恥ずかしいこと言ってしまったけど今日の料理だ。本当は理由なんて言うつもりなかったけどな」
「でもせつ菜ちゃんは直接思いをぶつけてくれる方が好きみたいだよ」
中川はそうかもしれないが俺はそうじゃないんだよ。ストレートに思いをぶつけるなんてすごく恥ずかしいし勇気のいることなんだよ。だから高咲さんはすごいって素直に思えるんだよ。できるかどうかはともかくそれは見習いたいなと思ってる。
「いただきます・・・」
「どうだ?中川・・・・」
「はいっ・・・とても暖かくて美味しいです」
そう言って中川の顔を見ると涙で溢れていた。
「おいっ・・・なんで泣いて・・・」
「わかりませんっ、わかりません。けど嬉しくて・・・」
どうしたらいいか分からなくて
「生徒会長を泣かせるなんて罪な人ね。ねっ、エマ」
「ほらっ、ちゃんと泣き止むまでせつ菜ちゃんのこと抱きしめてあげないと」
「そんな恥ずかしいことできるか!」
「でも泣かせたのはキミだよ。ライフデザイン学科2年の片山 夏樹くん。君のことはライフデザイン学科ではちょっとした有名人だからねぇ〜。ほーらっ、女の子を慰めるのは男の子の役目だよ」
抵抗しようかと思えばよく見たら全員上級生だった。それにこの紫の髪の女性には逆らっては行けない気がする。というより隣の人の方がなんか怖い。どうしてこんな誰かが見てる前でこんなことしないといけないのか。けど結果として泣かせてしまったのは俺なわけで・・・
「これでいいか?」
「スクールアイドルとしては減点ですね」
「まあまあいいじゃないのかすみちゃん。彼女は今はただの生徒会長よ。部長なら時には寛容になることも大切なんじゃない?」
「果林さんの言うとおりだと思うよ、かすみさん」
「・・・あーもうっわかりました!今回の件に関してはかすみんは何も見てません。これでいいですね」
俺は周りの生徒に見られながら中川を慰める羽目になった。恥ずかしくて消えてしまいたいくらいだ。そんな羞恥心を押し殺して中川をなんとか泣き止ませて全部聞かせてもらった。
つまりこれまでの話をまとめると中川はスクールアイドルについて悩んでいた。そこまではあの件でなんとなく分かってはいたがまさか中川本人が名前を変えてスクールアイドルをしてたのは予想外だった。というより俺の知ってる中川はスクールアイドルになるタイプでもなかったからもはやびっくりを通り越してる。
あまりにもギャップがありすぎるから。いやっ、もしかしたらそれが狙いなのかもしれないけど。
「あっ、夏樹くん。私もそのだし巻き卵貰っていい?」
「ダメです、これは片山さんが私のために作ってくれただし巻き卵なんですから」
「あっ、ずるいよせつ菜ちゃんっ!けどせつ菜ちゃんのいう通り夏樹くんはせつ菜ちゃんのために作ったやつだし・・・というよりせつ菜ちゃん。やっぱりあの時のことちょっと根に持ってるよね?」
「なんのことか私はわかりません。それと今は菜々ですよ。侑さん」
2人の言い合いに状況を俺以外で唯一知ってる上原さんが宥めるのを見ながらため息をつく。それに知らない顔も大勢いるからどうしたらいいか分からない。女子になんの話振っていいか分からないし大人しく片付けてさっさと帰ろう。飛び火だけはごめんだ。今回は作り置きもないし。
「あっ、そうだ!夏樹くんっ。せつ菜ちゃんのライブどうだった?私たちの話も聞いてたんならもちろんせつ菜ちゃんの歌も聞いてたんだよね」
「・・・・・」
「どうでしたか?片山さんっ・・・」
このまま帰れるかと思ってたのにそうはいかなかった。さっきのもだいぶ恥ずかしかったけどまあ高咲さんに免じて少しは正直に思いを伝えてやるか。ただし一度しか言わないけどな。
「・・・よかったよ。胸が熱くなる・・・お前の大好きな気持ちがたくさん詰まっててよかった。だから・・・たまにはスクールアイドルの話も聞かせてくれ。俺はまだ何も知らないからな」
「・・・片山さんっ!いえっ、夏樹くんっ!」
「・・・っっ!!」
「明日からまた放課後、部活や生徒会の合間に来てもいいですか?」
「別に・・・今までも来てたしその質問はあまりにも愚問だと思うぞ。俺はもういくからな。ほらっ、戸締りするならこの鍵使え」
それだけ言って俺は出ていった。中川が元気になってくれた反面この先どう中川と接すればいいのか。これからあのハイテンションの中川に付き合わないといけないのかと思うと少し胃が痛くなる。けど不思議と嫌ではなかった・・・
「この卵焼きとってもボーノ」
「あらっ、結構美味しいじゃない」
「何やってるんですか!エマさん、果林さん!そこに直りなさい!」
と思ったけど前言撤回しよう。不安になってきた。俺の夢は叶うのだろうか?俺はただ同性と一緒に料理して平凡な高校生活送りたいだけなのに・・・
Q、どうしていきなり3話のラストまで飛んだのですか?
A、前話であの3人しか絡んでなかったから
というわけでこれで愛さんと璃奈以外のニジガクメンバーは全員エンカウントしました。自己紹介?そんなものはない。あと1期時点での話です。基本的に感想は返していきます。時間なかったらいいねつけて返します。