俺は料理さえできればいい 作:サイリウムぶん回し隊
「さてとゆっくりお話ししましょうか。夏樹くんっ」
「もちろん、愛さんとせっつーが怒ってる理由分かるよね」
俺は全力でSOSコールをしていた。心配でついてきてくれたこの二人。俺のことを心配してるのかそれとも宮下と中川の方を心配してるか分からないけど現在この中で1番やばい状況なのはどう考えても俺だ。頼むそこの二人、俺を助けてくれ。
しかし一緒についてきてくれたこの二人も怒ってる二人を見てただ困惑してるだけだった。なんのためについてきたんだよこいつら使えねーなおい。とりあえず今この二人を変に刺激するのは得策ではない。
「あのっ・・・僭越ながら聞かせてもらいたいのですがわたくしめが何かをやらかしたのでしょうか?」
「まあそうなるね。愛さんもだけど特にせっつーはすごく怒ってるよ」
「そうですね、少なくとも私はスクールアイドル同好会の中では1番夏樹くんと付き合いが長いと思います。そうですよね・・・」
「そりゃあ・・・まあそうだな」
男子があまりにもいなさすぎて友達できなかったのは本当に予想外だった。というより栄養学と料理の科目取ってる男子見たことないし。かと言って女子と仲がいいかと言われたらそもそも話すらしないからありえないわけで・・・そうなると本当に去年友人と呼べるのは中川以外本気でいないのではと思う。
自分のコミュ力のなさと男子のエンカウント率の低さに泣けてくる。じゃあサッカー部にでも顔出せやと思うかもしれないが俺がしたいのは料理であってサッカーではないのよ。同性と一緒に料理をしたいだけで朝も夜もスポーツ漬けは嫌である。
だから体育の授業も限りなく手を抜いている。実は宮下とほぼ同等の運動神経はあるのだけどそのせいで中等部ロクな目にあってないから何があっても自分の運動神経の高さは他の人間に悟られてはいけないのだ。料理よりスポーツやれじゃないのよ。俺は料理が好きでやってるのだから。
というよりなんの話だっけ?運動神経の話だったか?
「さてと鈍い誰かさんに説明する前にまず確認しましょうか。夏樹くんっ、私や愛さんのことはなんて呼んでますか?」
「中川と宮下だな」
「じゃあカナちゃんとエマっちは?」
「パイセンとエマさんだな」
パイセンと話すときは彼方先輩とも呼ぶこともあるが基本はパイセンだ。エマさんに関してはヴェルデさんと呼んでたが国の文化を理由にしてファーストネームで呼べとゴリ押しされた。実はこれでも結構恥ずかしいんだぞ。しかもエマさんは上級生だし。あっ、パイセンは同じ学科で同じ専攻科目なので例外だ。あの人とは料理で色々話したいことあるし。
「・・・・ぷくーっ」
「なんで私と愛さんは名字で彼方さんとエマさんは名前呼びなんですか!」
「二人がそう呼べって言ってから・・・」
あとエマさんの圧が怖かったから。普段温厚な人ほど怒ると怖いと聞くけどあれって本当なんだな。つまりそこにいるお団子ちゃんも怒ったら怖いということに(糞偏見)
「少なくとも愛さんもナツと出会ったその日に言ったんだけどなぁ。ナツが恥ずかしがってるのかなと思って仕方なく名字で許してあげてたんだけどカナちゃんとエマっちを名前で呼んでるなら話は別だよね・・・」
『うんっ、あだ名だよ。夏樹だからナツ、あっ、そうだ。愛さんのことも名前でいいからねナツ』
『あーはいはい』
適当に流しちゃったから忘れてたけど確かにそんな話してたわ。少なくとも宮下の中では寛大な処置をしてくれてたらしい。というより中川に関しては名前で呼べなんて言われたことないしだいたい言われたとしてどっちで呼べばいいわけさ。
「ほらっ、愛さんのこと名前で呼んでみてよ」
「あのっ・・・それはちょっと恥ずかしいと言いますか・・・」
「ふーんっ、カナちゃんやエマっちのことは名前で呼べるのに愛さんのことは名前で呼べないんだぁ」
「はいっ・・・」
「けどさそれってバイトの時困るよね。宮下って呼んだらお母さんもおばあちゃんも反応するよ」
「うっ・・・・」
それは確かにそうだな。けどそれなら宮下のお母さんとかおばあちゃんでいいのではと思ったが少なくとも宮下のお母さんも宮下みたいな性格なら通用しないよな。本当に・・・前々からずっと思ってるが・・・
女の子の扱いは料理よりも難しい。
二つ離れた妹と二つ離れた姉がいるがいたところでこの考えは今も変わらない。男相手だったら仲良くなったら気軽に呼べるけど異性相手だとは違うだろと思う。
「それはまあそうかもだが・・・丁度いい第三者の意見を聞こうではないか。お前たちはどう思うんだ?」
とりあえずこの二人に助けを求めよう。いくら宮下や中川が名前で呼んでほしいと思ってても女子全体の意見としてはそうじゃないと思うし。
「私は少なくとも仲良くなった相手には名前で呼んでほしいな。あっ、そもそも私は仲良くなりたい相手は積極的に名前で呼ぶようにしてるけど」
そうだった、すっかり忘れてたけどチャーハン食べさせたときになんか既にあの段階から名前で呼んでたわこの子。ダメだこの女は参考にしてはいけない。宮下(陽キャ)側の人間だ。
「じゃあキミはどう思う?名前呼びについて・・・」
「うーんっ、私は男の子に名前で呼ばれるのはちょっと恥ずかしいかも」
「ほらっ見てみろ。彼女みたいな考え人もいるんだぞ。俺だって女子に名前で呼ぶのは恥ずかしい。だから無理やり名前で呼ばせるとかそういうの良くないと思うのよ。せめてもっと仲良くなってからだと思うんだが・・・」
少なくとも味方が一人いて助かった。これで彼女も名前呼びに抵抗がなかったら詰んでいたところだろう。
「じゃあナツ的にはどこまで仲良くなればいいの?せっつーとは1番付き合い長いのに未だに名前で呼んでないよね。それにカナちゃんやエマっちのことは出会って間もないのに名前呼びだし。その理屈はちょっと通じないと思うよ」
少なくともあの二人に関しては特殊すぎるんだよ。例に出すと俺は天王寺にお弁当作ってやってるけど名字呼びだぞ。あれっ?お弁当作ってあげてる関係で名字呼びなのもそれはそれでおかしいな。けど天王寺は名前で呼ばれることに抵抗ありそうな方だと思うんだよな。お団子ちゃんと同じで。
「とにかくナツは諦めて大人しく愛さんとせっつーのことを名前で呼びなって」
「そうです!名前で呼んでください夏樹さん」
「名前呼んでください以前にお前はどっちで呼べばいいんだよ。せつ菜って呼べばいいのか!それとも菜々って呼べばいいのか!」
今はスクールアイドルの活動してるしせつ菜が正解なんだろうけど普段は中川 菜々として会うことの方がほとんどだ。けど同好会のみんなはせつ菜呼びだから正直どうすればいいか分からない。
だからそういう意味でも名字のままでいいと思うのよ。別に名前呼び一つで何も変わらな・・・
「おい、どうした中川?」
「あっ、いやぁ・・・そのっ。思ったより名前で呼ばれるの恥ずかしいですね。侑さんや歩夢さん、愛さんに呼ばれるのは平気なんですが・・・」
「これが同性と異性の差だよ。つまりお前らは平然と俺にそういうことしてるんだぞ。まあもう呼ばれなれたから今更だけどな・・・」
言い方は悪くなるが耐性がつくと同じ感覚だ。何事も積み重ねていけば慣れていくという考えで最初は戸惑っても慣れてしまえばどうってことないということだ。そんな慣れ方したくはなかったのだが・・・
「けど嬉しいです。やっと夏樹くんが私のことを名前で呼んでくれて。それでどっちで呼べばいいかという話ですがしばらくは上手く使い分けてください」
「・・・分かったよ中川」
「中川はなしでお願いします。もちろん優木もダメですからね」
「・・・じゃあ基本的には菜々で呼ぶ。けど今はせつ菜って呼んだ方がいいんだろ?正体云々もあるし」
「はいっ・・・ふふっ、ずっと名字で呼んでたけどある日を境にお互いに名前で呼ぶ。まるでアニメみたいな展開ですね」
まあ堅物の生徒会長じゃなくてアニメやマンガ、スクールアイドルが大好きな面を知ったときからいつかはこうなるかもしれないとは思ってたけどな。けど付き合いが長いからこそ逆にハードルが高いんだよ。エマさんや彼方先輩はそういう面ではダメージ少ないけどずっと中川って呼んできただけにいきなりこれから菜々、せつ菜って呼ぶのはしばらく慣れないかもしれない。
「てなわけで色々思うところがあるがお前の言うことも一理ある。だからそのっ・・・これでいいか?愛・・・」
「・・・うんっ、不思議だね。男の子に名前で呼ばれるのって」
「宮下・・・じゃなくて愛って男子から名前で呼ばれ慣れてないのか?」
「名前で呼ぶことを許したのはキミが初めてなんだよね。実は、そもそも基本的に男子からは名前で呼ばれないし」
普通はそうなんだよ。距離感近いと色々勘違いされるから気をつけた方がいいぞ色んな意味で。特に異性との距離感はな。だからなんというか愛の反応がせつ菜に似ていたのはすごく意外だったというかそもそも笑顔で流してくれると思ってたから少し想定外だ。まあでもこれで一応は一件落着ってところかな。一緒についてきてくれた二人にだいぶ迷惑かけたけど。
「とりあえず無関係な二人を巻き込んだのはちゃんと謝っておけよ。二人とも」
「あはは・・・ごめんなさい歩夢さんっ。心配かけてしまって」
「ゆうゆもごめんね。わざわざついてきてもらってさ」
「気にしなくていいよ。ねっ、歩夢」
「うんっ・・・そうだね。侑ちゃん」
とりあえずこの二人いなかったらもっと拗れてたかもしれないしいてくれたことによって空気が悪化せずに済んだところはある。
「まあ少なからず俺も悪いところはあったしそのっ、変なことに巻き込んですまなかった。迷惑かけたしなんかお詫びしたいんだが・・・・」
「うーんっ・・・あっ、じゃあさ!何か作ってよ!この前のチャーハンもそうだけどさ。クッキーとかもとても美味しかったんだ。お詫びしてくれるならスクールアイドル同好会のみんなに何か作ってほしいの」
「そんなことでいいのか?」
「うんっ。あっ、もちろん私も手伝うよ。スクールアイドルアイドルのマネージャーだから同好会のみんなのことサポートするのが私の役割だから」
別に必要はないのだがまあ彼女がその役目を担ってくれるならそれはスクールアイドル同好会にとってはその方がいいのだろう。第三者である俺が介入するよりもな。
「ところで・・・・えーっと・・・・」
「どうかしたの?」
やばい名前なんだっけ?えーっとチャーハンの時確か自己紹介してたけど忘れてしまった。確かさっきこの子は侑って呼ばれてたよな。中川・・・せつ菜や愛のことを名前で呼ぶのも抵抗あるのに、誰もこの子の事を名字で呼ばないから名前で呼ぶしかないじゃん。まあ幸いこの子は仲良くなりたい相手には名前で呼ぶらしいし俺も名前で呼ばれてるから問題ないよな。
「いやっ、なんでもない。とりあえずよろしくな・・・・侑」
そう言ったら彼女は少し驚いた表情をした。流石にいきなりすぎたよな。やっぱり女の子との距離感は分からない・・・
「・・・ふふっ、そっか。なるほどね男の子に名前呼ばれるのってこんな感じなんだ。これは思ってたよりちょっと恥ずかしいね」
「なんかすまん・・・」
「ううん、気にしないで。別に嫌だったとかじゃないから。とりあえずこれからよろしくね夏樹くんっ」
「「・・・・・」」
なんかいい感じに話まとまったなと思ったらせつ菜と愛がこちらを睨んでくる。以前天王寺にもパイセンと話してる時に睨まれたことあるけどそういうことか。けどキミらのことはもう割り切って名前で呼ぶことにしたのだから睨まれるようなことしてないんだが・・・
「私と愛さんは躊躇ったのに侑さんのことはあっさり名前で呼ぶんですね」
「あー・・・そもそも名字忘れてて、キミらみんな名前で呼ぶからそうするしかなかったというか・・・」
「えーっ!この前ちゃんと自己紹介したよね!」
「いやっ、あれからまともに君らと話してないから忘れちゃったよ」
正直もうあれから話すことないだろうと思ってなかったから軽く聞き流してたけどなんか知らんけど結構キミらと会うよね。ちゃんと話すのはこれでまあ二度目だけど。
「じゃあ改めて自己紹介するね。私の名前は高咲 侑。普通科の2年生でこっちが幼なじみの上原 歩夢だよ。ちゃんと覚えた?」
「覚えた・・・覚えたから近い・・・」
というより宮下並みに男女の距離感バグってるよこの子。というよりこれだけポテンシャル持っててマネージャーなのマジ?それが彼女の望みならまあいいんだけどさ。
「ところでせっつー」
「なんですか?愛さん」
「同好会のみんなには午後は自主練にするってせっつーそう言ってたんだけど・・・・」
「あっ・・・・」
そういえば連行されてる時に部長に伝えておけみたいなこと言ってた気がするわ。えっ?今更その状態で戻るつもりなの?というより自主練って言ってたよね?それなら解散して誰も残ってない可能性もあるのでは・・・
一度様子を見に部活に行ったが案の定予想通り解散していた。なんかSNSでは自主練という名の親睦会で一年生組はそのままジョイポリスへ遊びに行ったらしい。3年生組は部室に残っていたが彼方先輩の充電切れのため今日は自主練終了したらしい。
「どう?仲直りできた?その様子なら問題なさそうだけど」
「別にケンカはしてないんですけどね」
一応心配はしてくれてたらしい。心配してたのならその場で助けて欲しかったのよ。こうなる事をわかっていたから助けなかったのかもしれないが・・・・
「さてとこれからどうしましょうか・・・」
「じゃあアタシたちも親睦会しない?せっかく2年生組がちょうど揃ってるしさ。ところでナツはどこに行くのかな」
3年生のパイセンたちと話終えたのでこっそりフェードアウトしようとしたら愛に肩を掴まれた。スクールアイドル同好会の親睦会でしょ?勝手にやってくれ、俺は今から部室片付けて家に帰る。あっ、その前に本屋に寄るつもりだけど・・・
「えっと・・・用事済んだし帰っていいよね?」
「何言ってるの?言ったでしょ?ちょうど2年生組が揃ってるって」
確かに彼方先輩とエマさんはともかくそれ以外のメンバーは全員2年生だ。もちろん2年生なのは俺も同じだが・・・
「まさかとは思うんですが愛さんや。その親睦会・・・」
「もちろん、ナツも参加するんだよ?せっつーもゆうゆも歩夢もいいよね」
「うん、いいよー」
「私も大歓迎です」
そんななんて事言うんだお前ら。こんな料理以外趣味皆無な男連れて行っても楽しくないぞ。おいお団子・・・じゃなくて上原さんも何か言ってやってくれ。
「あのっ愛ちゃん・・・片山くん、すごく嫌がってるけど」
「・・・・コクコクコク」
「だーめっ。少なくともナツは料理以外に関してはあまりにも関心なさすぎるからたまには料理以外のこともしないと」
「そうですよ、なので今回は私がお勧めの漫画を紹介してあげます。夏樹くんは料理好きですし料理系の漫画とかいいですよね」
「とりあえず今からショッピングモール行こっか」
俺は有無言わさずショッピングモールへ連行された。これが多数決による数の暴力か。
この時点で歩夢以外2年生組の名前呼びを許しましたが歩夢はある特殊エピソード考えてますのでその時によろしくお願いします。料理メインの作品なのに今回初の料理描写なしの回だけど前回から日付動いてないし仕方ないよね。ちなみに料理描写ないと割とポンコツになります(書くのめっちゃ苦労した)
というわけで現在は6月なので(料理メインでの)ジューンブライドネタをやろうと考えてますがどうでしょうか。よければアンケートの回答お願いします。
ジューンブライドネタは?(19日跨いだら締め切ります)
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やらない(本編進めて)