「武神・川神百代への挑戦権を与えられました優勝者たち! いよいよエキシビジョンマッチの始まりです!」
武舞台へと百代先輩が闘気むき出しで向かってきた。
「いよいよだな深夜!」
「弁慶先輩は離れていてください」
「最初からそのつもり。巻き込まれたくないし」
「あぁ、この舞台で私と深夜以外はいらない」
もう百代先輩は俺しか見ていない。
「頑張って」
「はい、ありがとうございます」
「……試合の後に話があるから」
「それやめてくれません? 死亡フラグなんですけど」
「深夜なら大丈夫だ」
「まあ死なないですから大丈夫ですけど」
「おい! 私を置いて二人でいちゃつくな!」
俺と弁慶先輩が話しているだけで怒っている百代先輩。待ちきれないのだろうな。
弁慶先輩が武舞台から降り、舞台には俺と百代先輩だけになった。
「深夜と真剣勝負するためにかなり待たされたんだ。今日は存分にやろう!」
「もちろんです。今日で俺と百代先輩の最初の決着がつきます」
俺と百代先輩の闘気は十分。それを察してか、マスタークラスの人たちの結界も強度を増したようだ。
「それでは、はじめーっ!」
開始の合図で俺と百代先輩の拳は衝突した。その衝撃で武舞台にヒビが入った。
組手の時とは違いお互いにアクセル全開で激突している。今はもう百代先輩のスロースターターの悪癖はない。
実況の人が何かを言っているようだがそんなことはもう聞こえない。
今は百代先輩しか見えない。百代先輩も一緒で俺のことしか見ていない。
己のすべてをぶつけることができる同世代の相手が目の前にいるんだ。相手もそれを望んでいて死力を尽くしている。
「ハハッ! 楽しいな深夜!」
「とてもいい笑顔ですね」
「お前は楽しくないのか!」
「そんなわけ」
ボルテージが松永先輩の戦いで上がっているから黒閃が何度も決まる。
だけど百代先輩は決まる瞬間にその部分により強く気の防御をしているから効いている感じがしない。ただ俺のボルテージはかなり上がっている。ゾーンが深くなっているという感覚か。
しかし相手は天賦の才を持つ武神・川神百代。あちらもボルテージをあげている。
結界がなければ間違いなく観客は消し飛んでいるくらいの戦いだ。もう戦争の域だろうがそれでも足りない。災害という言葉が適切か。
「解」
百代先輩にそこそこ強く斬撃を飛ばすが思ったよりもきかなかった。
「深夜、お前の術式は強力だがその対応策を考えたぞ」
「それは楽しみですね」
おいおい、まさか領域展延の真似事か? 松永先輩に使った領域展開を見ただけでそれを考えれたのならそれは凄まじい才能だ。
「かわかみ波!」
「かわかみ波!」
だが俺の才能も負けてはいない。川神流は何度も見たし、かわかみ波は百代先輩が俺を相手に使っていたから真似することは簡単だ。
お互いのかわかみ波が衝突して大爆発が起きるが、すぐに次の技を同時に放つ。
「致死蛍!」
「致死蛍!」
気弾を何発もぶつけあうことでまた爆発が起きているが気にせずに技を連発する。
「星砕き!」
「星砕き!」
武舞台のことなどお構いなしに大技を連発する。
やべぇ、超たのしー。こんなに何も気にすることなく戦えることはそうそうないんだからな。
「お前もいい笑顔になって来たじゃないか深夜!」
「百代先輩ほどではないですよ!」
楽しくなって本気になってしまうのは仕方がないことだ。
「領域展開」
「ッ! 来るか!」
「伏魔御廚子」
今度は閉じない領域を展開して俺はお堂の上に立つ。松永先輩の時と同じように観客にはすべてが見えている。
さっきの御厨子の攻撃を中和したように領域の攻撃も中和しようとする百代先輩。だが、この洗練された領域とさっきの攻撃を一緒にしてはいけない。
百代先輩の顔に傷が入り、全身に「捌」が降り注いだ。瞬間回復をかけ続けることで死なないようにはしているが、俺の手は空いている。
魔虚羅の方陣を頭上に出現させ百代先輩に攻撃する。
「対応策を考えているんじゃないんですか?」
百代先輩は覇王先輩の時のように斬撃を受けているのに俺の攻撃に対応しているが、それでも斬撃のせいで俺の方が圧倒的に有利に動いている。
ホントに領域は領域で対抗できなければほぼ勝ちなようなものだ。ここで終わってしまうのか? 百代先輩。
「──深夜、私を見ろ」
そう言った百代先輩に向けられている斬撃の必中効果が失われた。
「ふぅ、何とかできたな。こういう技を深夜以外に見たことがなかったが何となくこうしたらいいと思ったら意外とできたな」
「そりゃ何よりです」
「お前が成長するように、私も成長している。だから私から一切目を離すな!」
「目を離したつもりは一切ないですよ」
「いいや、した。私がいつもしているんだから分かるぞ」
特に意識していなかったのだが百代先輩がそう言うのならそうかもしれない。
「それなら、続きと行きましょうか」
「当然だ! この試合ではどちらかが勝つまで終わらないんだからな!」
俺の領域の中で第二ラウンドが始まるが、この領域が俺の領域であることは変わりないしバフもかかっていて百代先輩は俺の必中効果を中和しながら戦わないといけない。
「くぅ!」
「必中効果の中和は難しそうですね」
「こんなことをしてくるのは深夜しかいないからな!」
覇王先輩とは違い百代先輩の「簡易領域」の練度は高い。だがぶっつけ本番でやってみたような「簡易領域」と洗練された「領域展開」では対抗できるはずがない。
百代先輩の「簡易領域」は俺と戦っている時にふとした瞬間に破れ、全身にまた捌を受ける。
俺はその隙を見逃すことはせず、百代先輩に猛攻を仕掛ける。これで手を抜くのは百代先輩も望んでいない。
「瞬間回復、あと何回できますかね」
簡易領域がなければ常時ではないとは言え瞬間回復を使わないと死んでしまうから、気はガンガン減っているはずだ。
「はあぁっ!」
このジリ貧な状況で百代先輩は簡易領域ではなく、領域展開のように領域を広げようとした。
でも結果は失敗。俺の領域に押し負けて破壊された。
「くぅ! 空間を作るのはこんなにしんどいのか!」
「やったことがないのですから無駄もあるでしょうし、何より俺の領域に負けているんですから」
やっぱり領域展開はずるいか? 百代先輩ですらこの領域を攻略することができないのなら、本当に必殺の領域になってしまう。
俺のように見たら何でもできるわけではないのだから、俺と百代先輩の差が嫌でもついてしまう。
「言っただろ、私を見ろって」
百代先輩が再度その言葉を放つと、今度は俺の領域に対抗できる簡易領域を自身の周りに展開した。
「ようやくできたぞ! この結界術を体験したからこそ完成させることができた。これでこの結界術の斬撃は私にはきかない」
「確かに伏魔御廚子の必中斬撃は百代先輩に通用しません。ですがこの領域は俺の領域。俺にバフがかかっている状態なんですよ」
「だから強くなっているのか!」
必中斬撃が通用しないが俺の領域であることは変わりなく百代先輩との戦いは俺有利に進んでいる。
通常時の体術では互角な俺と百代先輩だろうが、領域展開のおかげで俺有利に進んでいる。
「突っ込まないでおいたがその頭の舵はなんだ?」
「それはお楽しみですよ」
「もしかして式神か何かか?」
「当たりです。誰にも見せたことがない式神の一体です」
「その舵がか?」
「これはその式神の一部ですよ。ま、今はそんなことを気にしなくてもいいですよ!」
「くっ!」
百代先輩と戦っていると方陣が回った。これは百代先輩の戦い方に適応しているな。
術式があればそれに適応するし、相手によって戦い方を変えることができるという最強の後だしジャンケンが魔虚羅だ。
でも百代先輩がこのまま領域展開を破らなければ、魔虚羅の出番はない。
「ふぅぅぅぅ……」
俺と距離を取った百代先輩の空気が変わる。今まさに百代先輩が進化しているのだと理解した。
この世界は呪術廻戦の世界ではないから、俺が知っている呪術廻戦の設定が通用しない。だから百代先輩が何をしでかして来ても驚かないことがこの戦いで大前提。
「行くぞ!」
「はい!」
百代先輩の気の流れが研ぎ澄まされており、俺の黒閃を決めた時のようなゾーンになっている。
「領域、破り!」
虚空をつかんだかと思えば、俺の領域が歪み領域が引き裂かれた。
「……すごっ」
こんなチートみたいなことを呪術廻戦のところでやられたら呪術廻戦はあんな残酷な世界にはなっていなさそう。
「やってやったぞ。こんなことができればいいなと思ったら、意外にできた」
「そんなことでできていいわけがないですよ。ま、それでこそ川神百代だと思いますけど」
領域のぶつかり合いなしで領域に対処するとか、百代先輩はチートだな。でも見たから俺もできるけど。
「さ、第三ラウンドだ!」
魔虚羅って、呪力に対しては適応しないんですかね。
呪術廻戦を履修済み?
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週刊ジャンプで追ってる。
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単行本で追ってる。
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アニメで見ている。
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見たことがない。