結局弁慶先輩の告白は書いていません。適当に脳内補完していただければ幸いです。
弁慶先輩に告白されたことが俺の思考を支配していた。
今まで匂わしていたのに全く気が付かなかった鈍感と言われたのが衝撃だったな。どこで匂わせていたのだろうか。
今は保留にしてもらっているが、深く考えている俺がおかしいのだろうか。
いや、ちょっと付き合ってダメだったら別れるとか、そういうのでいいのだと思う。
でもそういう関係になるのが怖いのか、理解できていないのか、メンドウなのか、全く分からない。
弁慶先輩と彼氏彼女関係になるのが嫌ではない。想像がつかないだけだ。
「はぁ……」
屋上で夜風に当たりながら頭を冷やす。
どうすればいいのかが全く分からない無茶苦茶な頭が冷えるのはいつなのだろうか。
「ん?」
極東本部の中で誰かがコソコソとしている気配がした。こんな化け物の巣窟で何を狙っているのか。
丁度頭がいっぱいいっぱいで体を動かしたかったところだから向かうか。
侵入者が向かっているのは、パンドラメモリがある部屋か。俺もあそこ気になるんだよな。パンドラメモリ、みたいなどう考えても罠ですよと言わんばかりの物が気になるんだよな。
見回りの様子をうかがっている全身マントの侵入者……松永先輩だよな。ホントにヤバいことをしているよ、この先輩。
「松永先輩」
「ッ!?」
コッソリと背後に立って松永先輩の肩を叩くと、松永先輩はビクついて手甲で攻撃しようとするが受け止めた。
「何してんですか?」
「……もうバレちゃったんだ」
観念して顔を見せた松永先輩。
「パンドラメモリを狙いに行っているんですか?」
「そうだよ。キミが強すぎるのがいけないんだよ」
「またそんな無茶を。松永先輩ってたまにアホですよね」
「失礼だなぁ」
「でも実際、本来の松永先輩ならしっかりと準備をしてくるはずですよ。ここにはヒュームさんやクラウディオさん、今はゾズマさんもいるんですよ? 俺もですけど。そんなところに狙いに来るとか正気の沙汰ではないですね」
「……何としても、松永の名を上げないといけないから。パンドラメモリがあれば、おかんも帰ってくる」
どうせ百代先輩に勝ったとしても調子に乗ってこれをやっていたのだろうな。この人自分の父親のことをとやかく言えないぞ。
「負けた原因は俺にあるわけですし、少しは罪悪感を持っているんですよ。だから手伝いますよ」
「えっ」
「パンドラメモリがどういうものか知りたいですし」
「い、いいの? ヒュームさんたちにバレたら深夜くんはクビになるかもしれないんだよ?」
「ハハッ、もう清楚先輩の件で怒られているんで大丈夫ですよ」
「それ大丈夫じゃないよね!?」
嘆かわしいババアがたらたら文句を言って来ていたが、聞き流してやった。そんなに言うんだったら言っておけよ。そっちの落ち度だよ! って言ったら火に油を注ぐことになるから黙っておいた。
「ほら、ここでやめるんですか?」
「……行く」
「なら行きましょう。武神を余裕で破ったこの俺が付いているんです。俺と戦うよりかはイージーですよ」
「それを比較対象にしたらダメだと思う」
俺は松永先輩の影の中に入り、松永先輩は少し緊張がほぐれたのかさっきよりもスムーズにパンドラメモリの部屋に侵入することができた。
松永先輩がパンドラメモリを手に取り、中のデータフォルダを開いた。
「やれやれ……俺の仕事を増やしてくれるなよ」
「ッ!?」
ヒュームさんの声を聞いた松永先輩が部屋から出たが、クラウディオさんがいたため逃げることができずマントもはがされてしまう松永先輩。
「松永先輩、罠だったみたいですね」
これは分が悪いと思って松永先輩の影から出る。
「どういうことだ、深夜」
「いや、パンドラメモリがどういうものか知りたかったので松永先輩に付いただけですよ」
「これは九鬼に対して重大な裏切り行為ですよ」
「あんな気になる言い方をされたら見に行かないわけにはいかないと思いますよ? それに、こうすればヒュームさんたちと全力で戦えますから」
俺は一気に闘気を放つ。
「フン、武神を倒していい気になっているのか?」
「まさか。ご老体たちに席を譲る言い訳を与えているだけですよ」
「ちょ、ちょっと深夜くん! 戦うつもり!?」
「はい。このジジイたちが逃がしてくれるわけがないですよ。もうバレたんですから腹くくってください」
「キミが戦いたいだけじゃないの!?」
「ま、それもありますね。こうして付き合っているんですから、一番やる気を出さないといけないのは松永先輩ですよ。逃げてもスポンサーがいなくなるでしょうねー」
「……あぁ! やればいいんでしょ!」
ようやくやる気になってくれた松永先輩。
「なぜ松永燕に味方する。それほど仲がいいわけではないだろ」
「戦いたいって理由もあります。でも松永先輩には色々とお世話になったんですよ。からかわれたり、面倒ごとに巻き込まれたり、打算があっても楽しく遊ぶことができた。友達が少ない俺にとってはそういう思い出が酷く突き刺さるんですよ。だから俺は松永先輩に味方します。友達が少なくて拗らせている男にとっては、こういう理由で十分です」
友達と呼べる人はマジで両手で数えれるからな……フッ、我ながら情けない。
「間違えを正すのが友としての役割ですよ」
「俺は人生経験をそこまで積んでいないので、一緒に間違えて怒られる方がアリだと思っただけです」
「そうか。それなら全力で応えるまでだ」
「やれやれ、若いですな」
ヒュームさんとクラウディオさんはやる気だが、ここでやるわけにはいかない。
「松永先輩、外に出ますよ」
松永先輩をつかんで外まで向かう。ヒュームさんが付いてきているがクラウディオさんはついて来てなかった。
あの人のことだ、何かしているのだろうが特に止めるつもりはない。
「……ねぇ、深夜くん」
「何ですか?」
「ありがとね、私の味方をしてくれて」
「構いませんよ。この状況を作り出した一端は俺にありますから」
「でも悪いのは私だから……深夜くんは勝つつもり?」
「もちろん。俺はいつでも本気で、勝つつもりで戦っています。最初から勝てないと思っていたら勝てませんよ」
「強い人が言いそうだね」
「ま、松永先輩には似合わない言葉ですね」
「九鬼を敵に回した者同士、燕って呼んでもいいよ?」
「じゃ、燕で」
「……今まで頑なに呼んでくれなかったのに。不意打ちだよ……」
「今までは打算的に動いていましたけど、今はそれが影も形もなく消え去っているので遠慮なく呼べます。イヤでしたか?」
「全然、もっと呼んで良いよん!」
俺と会話して緊張が解けているみたいな燕。
外の広い場所に出ると、ヒュームさんも止まる。
「今までは気にして本気を出せませんでしたけど、今回は違いますよ」
「これで俺に負けても言い訳はできないな」
「ハハッ、そっちは老いを言い訳にできていいですね」
「ねぇ、深夜くん。怖くないの?」
「あんな死にかけのジジイを怖がっていたら今後分からない人生も怖くなりますよ」
今の俺は九鬼に敵対しているから言いたい放題だ。
「どうやら串刺しにされたいようだな」
おぉ、かなりの闘気を向けて来るな。
「さ、燕。準備は良いですか?」
「いいよ。深夜くんとならできそうな気がしてきた」
「らしくない言葉ですが、たまにはそういう感じがいいですよ」
「キミといる時はそうするね」
「ヒュームさんだけではないですけどね」
極東本部から次々と九鬼従者部隊が出てきた。
「ありゃ、来てるね」
「それに」
「フハハハハハ! 九鬼揚羽降臨である!」
揚羽様が上空から派手に登場した。
「よもやその日の夜にやるとは思わなかったぞ、深夜」
「自分もですよ。それについての文句は燕が受け付けていますので」
「で、どういう了見で九鬼を裏切ったのだ?」
「九鬼を裏切ったのではありませんよ。燕に味方した結果、九鬼を裏切った形になっただけです。それに一度くらいは九鬼がどれくらい強いのか知りたくなったんですよ」
「百代に勝って浮かれているのか?」
「百代先輩に勝ったことがそんなに名誉なことなんですか? 俺は勝って当然だと思っているのでそんなことで浮かれてはいません。むしろそれを過大評価し過ぎなのでは?」
「あの戦いを見る前であれば、頭がおかしいと言っていただろう。だがお前はそれだけのことをした。そこは素直に称賛しよう」
「ありがとうございます」
「だがこの落とし前はどうつけるつもりだ。紋を裏切っているのだぞ?」
「そんなことを戦う前にするのは野暮というものですよ。戦いが終わって、考えます。それに一つだけ断言しておきます。俺は燕に味方していることを後悔していません」
これだけはハッキリと言えることだ。この人一人だと何するか分からないし。
「そこまで覚悟が決まっているのなら良し! ここからは拳のみで語り合うまで!」
俺と揚羽様の拳が衝突した。
早く御厨子の呪詞を使いたいです。
呪術廻戦、いつ終わるんだろ。
呪術廻戦の呪具で過程無視して出してほしいもの。
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游雲
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天逆鉾
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万里の鎖
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天逆鉾と万里の鎖
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神武解
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マジ恋の世界では必要ない。