ただ思った以上に游雲が人気なんだなぁと思っているところです。てっきり天逆鉾と万里の鎖が人気なのかと思っていました。
自分のお気に入り呪具は神武解です。
揚羽様は壁を超えている。だけど百代先輩レベルではない。百代先輩と比べれば壁超えの人たちは壁を超えている人と超えていない人くらいに差がある。
「九鬼雷神金剛拳!」
「川神流無双正拳突き!」
俺と揚羽様の拳が衝突して揚羽様は後方に飛ばされた。
「くっ! 百代ほどの練度とは……!」
「いい手本を見ているんです。真似は得意なんですよね」
これも宿儺ができる特技の一つなのだろう。それを分かったのは本格的にヒュームさんと鍛錬し始めている時だった。
「これは真剣勝負。この場では揚羽様に一切の容赦はしません」
「それで手を抜けば我は許さぬぞ!」
「でしょうね。それに俺は勝つ気でここにいるんです。戦いに勝つこと以外考えるつもりはありません」
「その意気はよし! もちろん我も負けるつもりはない!」
揚羽様と体術勝負をしているが、圧倒的に俺が優勢で今の俺は乗っている。
「かっ……!?」
揚羽様の腹部に黒閃を決めた。ここぞという時はやっぱり黒閃はいつも決まる。だからボルテージも上がる。
追撃しようとしたが上からの攻撃に足を止めて魔虚羅の方陣を出しつつ腕で受け止めた。
「この俺も適応するつもりか」
「百代先輩との会話を聞いていたんですね」
この場で一番厄介なのがヒュームさん。次に揚羽様と言ったところか。クラウディオさんも厄介ではあるが、そこまでではない。
「燕! この二人は抑えておきますから他を一旦お願いします!」
「なるはやでね!」
揚羽様ならともかく、ヒュームさんはそれが難しそうだ。
魔虚羅の術式対象はヒュームさんで、適応の肩代わりをしつつ揚羽様とヒュームさんの相手をする。できることなら揚羽様は落としておきたい。
ヒュームさんの適応はすでに始まっている。だけど経験値を稼がないと時間がかかる。
ま、それを考えるほどヒュームさんと揚羽様は甘くはないんだけどね。
さすがは師弟関係なだけはあって息は合っている。俺もヒュームさんと出会ってからは長いけど修行の時間はあまり長くはないからな。ここまで息は合わない。
ヒュームさんの適応にリソースを割いているから他の式神は出せない。つまりは術式なしでこの二人と戦うわけだ。
それはこの世界の人たちと同じで、俺は術式の鍛錬を主にしていたが他を疎かにしたつもりはない。こういう状況でこそ気の使い方がより洗練されるものだ。
ヒュームさんの強烈な蹴りを受け止め、揚羽様の拳を受け流しを続ける。
「我とヒュームの攻撃を捌くとはさすが従者部隊期待の星だ!」
「おいぼれのジジイと現役を引退した武道家なんですよ? 負ける要素はどこにもありません」
「おい口が過ぎるぞ。俺はまだまだ現役だ」
「俺は今九鬼に敵対しているわけですから色々と言いたいことを言っているだけですよ!」
ヒュームさんからの攻撃が苛烈になる。
でもそれだけ攻撃されればされるほど魔虚羅の適応は早まる。その前に倒してもいいんだけどな。
「むっ!」
「ハッ! 実戦で技を教えてくれているんですか?」
ヒュームさんの技を即座にマスターしてやり返す。しかも俺の方が気の総量と出力でヒュームさん以上で技を放つことができる。
たぶんこの世界で呪力を気で換算しても一番気を所有しているのは俺だ。だからこういう芸当も余裕でできる。
「ジェノサイド……」
ヒュームさんの必殺技が放たれる起こりを感じ取った。ギリギリ避けれなくもないが、あえて受けることを選択した。
「チェーンソー!!!」
とんでもない破壊力を受けて後方に飛ぶが問題ない。
これを受けたのは三度目だが、一度目は一撃で撃沈。二度目はまあまあなダメージ。そして三度目はそれほどダメージを負わなかった。
二度目からそんなに時間が経っていないが、これは俺が対人戦闘を行って確実にレベルアップしたおかげだ。やっぱり島籠りは良くないな。
これを受けたことで方陣が回った。術式を適応するのならまだ早かっただろうがその人の気から繰り出される技や技術、戦い方を適応するには少しだけ時間がかかる。
「ヒュームのジェノサイド・チェーンソーを受けてもあまりダメージが見られないとはな」
「老いぼれにいつまでもデカい顔をさせてられませんからね」
揚羽様とヒュームさんの猛攻を何とか捌くが、段々と俺のレベルが上がっているのが分かる。
こういう壁超え二人を相手にする状況はしてこなかった。でも今はそれを凌ぐうちに戦い方が何となく分かってくるし、感覚も研ぎ澄まされて行く。
「ハハッ!」
いい気分だ。黒閃が上手いように決まる。体が上手いように動かせる。
「布瑠部由良由良」
俺の影から適応を終えた魔虚羅が顕現した。
「適応を終えたか」
「適応が終わることはありません。ですが、ヒュームさんの技で魔虚羅が壊されることはありませんね」
「フン、どれほどのものか試してやろう」
魔虚羅にヒュームさんの強烈な蹴り技が放たれそうになるが、その前に魔虚羅がカウンターを喰らわせて後方に飛んで魔虚羅はそれを追いかけて行く。
「まずは、揚羽様からです」
「甘く見られてものだな。ヒュームがいなければ我にすぐ勝てるとでも思っているのか?」
「そうですよ。九鬼の血筋でも二足のわらじは難しいですか?」
「ほぉ、言ってくれるな。その鼻っ柱を折ってやる」
揚羽様とタイマンで戦闘が開始されたが、さっきはヒュームさんと二人で俺に挑んでいたから負けていないだけで揚羽様一人だとどうということはない。
「くぅっ!」
「今の俺は最高にハイなんです。それにいい感じに最初の黒閃のダメージが入ってますから余裕です」
再び揚羽様に黒閃を決めたことで揚羽様は倒れた。
「深夜くーん! ちょっといい!?」
燕の近くにはクラウディオさんやゾズマさん、それにあずみさんもいる。
他にも従者部隊が俺ではなく燕の方に行っているから苦しそうだ。まあ俺の方にヒュームさんと揚羽様がいれば必要がないと思うか。
仕方がない。
「玉犬・渾」
十種影法術の中で一番バランスがいいのは玉犬だ。白と黒を組み合わせている渾を燕の元に向かわせる。
「がうっ!」
「くっ、玉犬ですか!」
クラウディオさんの糸を簡単に切り裂いた渾が燕のそばにつく。
「敵としてはおっかないけど味方だと頼もしいね」
「ワンッ!」
渾が付いているからあちらは大丈夫だろう。
先に解決しないといけない一番の相手は魔虚羅と戦っているヒュームさんだ。
適応している魔虚羅にとってヒュームさんの攻撃はあまり効果がないようだ。だがヒュームさんはジジイだけあって経験値で何とかカバーしているみたいだ。
ま、短期戦に特化しているヒュームさんにとってそれは厳しい状況であることに変わりはない。
今の魔虚羅はヒュームさんの攻撃に対して自身の呪力を変化させて攻撃を受けないようにしている状態だ。だが、俺が見たいのは魔虚羅がヒュームさんに対して有効打を与えられる適応だ。
「歳には敵いませんか?」
「フン、もう勝った気でいるのか?」
「この状況でそれを言えるのは老害ムーブをかましていたからですか?」
魔虚羅と一緒にヒュームさんを追い詰めていく。
原作の宿儺VS五条の時に絶対にこういう展開が出てくるとは思う。無下限に適応していたら絶対に勝てないだろ、五条先生。
十種影法術で殺されて、伏黒恵がまた深く沈んでいくのか? それはなさそうだな。十種影法術には勝ってそう。
大詰めをかけようとしたところで魔虚羅の方陣が回転した瞬間、魔虚羅が振るった退魔の剣が斬撃になりヒュームさんの足を斬り落とした。
「へぇ」
それを見てどういうことが起きたのかすぐに分かった。そしてヒュームさんが対応するよりも前に俺が技を決める。
「ジェノサイド、チェーンソーッ!」
ヒュームさんの必殺技を真似て完成度も高く決めることができた。
とりあえずヒュームさんの斬れた足を持ってヒュームさんに反転術式をかける。
あの無人島で俺一人だったから反転術式の修行が不十分だった。他者へのアウトプットは修行不足だがヒュームさんの足を難なくくっつけることができたのは宿儺の才能だろう。
「さて」
俺とヒュームさんの決着を見た九鬼の人たちは酷く驚いた表情をしていた。
渾と一緒に戦っていた燕の元へと魔虚羅と一緒に移動する。
「まさかヒュームさんに勝っちゃうとはね。さすがだよ深夜くん」
「老いぼれに負ける俺ではありませんよ」
「おぉ、頼もしいね」
九鬼従者部隊はすでに驚愕はなく俺と燕に攻撃を仕掛けようとしていた。
「数が多いですから、こちらも物量で行きますよ」
「私は落ちないために抱き着くよん」
「みなさん注意してください!」
俺が掌印を作ったことでクラウディオさんは従者部隊に声をかけるがその前に放つ。
「領域展開・嵌合暗翳庭」
俺から広がった影は周りにいた従者部隊の人たちの足元にも及び、気を使えない人はどんどんと影に落ちて行く。
閉じない領域展開であるため外に出ることは簡単だ。出ることができればの話だけど。
「ひっ、助けてくれ!」
「安心してください、殺しはしませんから」
落ちて行く従者の人は影から生み出した玉犬によって外へと放り出し、この場に立てている人には無尽蔵の式神が襲い掛かる。
「これは、まずいですね……!」
しかもそれは出る前から必中の攻撃であるため防ぐことは不可能。
そんな攻撃が無尽蔵に襲い掛かってくるわけだ。この嵌合暗翳庭は非常に強力な領域展開だ。
伏魔御廚子もそうだが、あれはこういう場では全員殺してしまうから強力だが微妙なところだ。
領域内での必中効果は術者以外の全員になっている。それを味方だけを必中効果を外して使うことは高等技術で難しい。
この宿儺の体を持っている俺だから少し数をこなせばできるとは思うが一度ではできなさそう。
「さぁ、大詰めだ――」
ここまで来れば誰も俺に勝てる人はいなくなる。これで俺の有用性を伝えてから燕の件をどうこうすればこの件は終わりだ。
「んはっ! 俺を抜きに宴とは何事だ!」
領域展開を切り裂いて降り立ったのはピンピンしている覇王先輩だった。
ぼちぼちヒロインアンケートの方もとって行こうかなと思います。