偽・伏黒宿儺   作:二十口山椒

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虎杖が主人公をしていたらこれはもう書くしかない! とやる気になって書きました。


+松永燕VS九鬼③

「まさかクローンを出してくるとは」

「ホントだね。でももしかしたら項羽が勝手に出て来ていたりして」

 

 初っ端から領域を切り裂いてくれるとはやってくれるな。

 

「覇王先輩。いつ領域展開を破る技を身に着けたんですか?」

「百代の技を見て覚えた。誇るがいい、俺が真っ向から勝負しなかったのだからな」

 

 領域破りを回避するために何か縛りをかける必要があるな。

 

 宿儺が逃げ道を与えて範囲を広げたように、領域自体が壊されないように何か考えておこ。

 

「おっ」

 

 極東支部の屋上から矢が飛んできたことで俺は一歩引いて避ける。

 

「あのババア、クローンも戦わせる気なのか」

「そこまではしないと思ったんだけどね……」

 

 クローンはこういうことには関わらせないと思っていたが、何か思惑があるのか? 

 

「深夜、投降してくれ」

 

 与一先輩が出てくるということは義経先輩と弁慶先輩も出て来るよな。しかもさっき告白されて保留にしている弁慶先輩とこういう形で顔を合わせるのは気まずいんだけど……! 

 

「さっき私が告白したばかりなのにもう他の女に尻尾を振るなんてな」

「こ、ここ、告白!? 弁慶告白したのか!?」

「ついさっきね」

 

 クローン組が出てこなければ終わりそうだったのになぁ。しかも気まずくなることもなかったし。

 

「へぇ、弁慶ちゃんに告白されたんだ」

「……そうですよ」

 

 ニヤニヤとしながらそう言ってくる燕。うぜぇ。

 

「深夜。私の告白を断ってその女と付き合うってことでいいのか?」

「いやそれは全く違うんですけど……」

「全く違うってひどいなー」

「どこが?」

 

 どこが酷いのか全く分からない。

 

「清楚さん、義経。今深夜は術式を使えない」

「ちょっと弁慶先輩? 弱点を言わないでくれますか?」

 

 バッチリと敵側の言動をしてくるな。

 

「えっ、ホントなの?」

「ガチです。領域展開の後は術式が焼き切れるので使えません」

「へぇ……そんな弱点があるんだ」

「裏技もありますけどね」

 

 裏技はあまり使いたくはない。まあ百代先輩の時に使ったけど。

 

「俺を無視するな!」

「一番無視するわけがありませんよ」

 

 覇王先輩の方天画戟を避け燕と分かれる。

 

「燕、そっちを任せてもいいですか?」

「ちょっと厳しいかなー。でも負けることはないよん」

「では任せます」

 

 俺が覇王先輩、燕が源氏組を相手にすることになる。

 

「んはっ! 深夜! お前は俺の配下になってもらうぞ!」

「負けた分際で……」

「なんだと!?」

「でも俺は寛大だからいいですよ。俺に一度でも勝てれば配下になりましょう。何回でも負けていいですよ」

「ぐぬぬっ……! 俺を愚弄するか……!」

「勝てればいいですね?」

「どうやら二度と生意気な口を叩けないように仕置きが必要なようだなぁ……!」

 

 すっごく効いてる。清楚先輩の人格の方が絶対にやりにくいだろうな。

 

 俺と覇王先輩の戦闘は今日で二回目だが目覚めたばかりの覇王先輩と修行をずっと続けてきた俺とではやはり地力の差が出ている。

 

 それを差し引いても覇王先輩の潜在能力はすごいと言える。戦えば戦うほど強くなっているのが分かる。

 

 もしかしてこれを見越して俺に覇王先輩をぶつけたのか? 目覚めさせた責任をとれ的な? 

 

 一発一発が必殺の攻撃を放ってくる覇王先輩。だが当たらなければどうということはない。

 

「避けるな!」

「なら当ててくださいよ」

「今に見ていろ!」

 

 おーおー、さすがは覇王。どんどんと強くなっている。一撃一撃が俺に当てるように速くなっている。

 

 俺もそろそろで攻勢に入るか。術式が冷却されるのを待とうかと思ったがこんな攻撃を見せられて逃げる武道家ではない。

 

 覇王先輩の攻撃を避けて腹に拳を打ち込む。

 

 〝黒閃〟

「んぐっ!」

 

 今日何度目か分からない黒閃が決まる。

 

 黒閃が決まれば俺のボルテージは上がっていく。ゾーンに入るわけだが黒閃は決まれば決まるほど強くなっていく。

 

 だが覇王先輩がその程度でやられるはずもなく懐に入り込んでいる俺に攻撃を仕掛けてくるが大技であるため再び避けてもう一発腹に打ち込む。

 

 〝黒閃〟

 

 当然のように黒閃が決まる。宿儺でもこんなことができるだろうか。いや宿儺のスペックなんだからできるか……? 

 

「ぐはっ……!」

 

 覇王先輩は黒閃を受け後方に飛ばされる。

 

 そんな隙を俺が見逃すわけもなく飛ばされている覇王先輩を追う。

 

「俺を……なめるなっ!」

 

 飛ばされている覇王先輩はすぐに体勢を整えて武器を薙ぎ払って俺が飛ばされる。

 

 これは……威力が上がっているな。いいね。やっぱり完成されているヒュームさんと戦うのは面白いけどそれ以上に未完成の百代先輩や覇王先輩と戦うのが面白い。

 

 戦いの中で成長している。

 

「今度はこちらの番だな!」

「最初から覇王先輩の番でしたよ」

「ぬかせ!」

 

 俺と覇王先輩の応酬が周囲に災害として広がる。

 

 しかもさっきまでの大味の攻めと違ってちゃんと精密さを覚えようとしている。

 

「ちょっと深夜くん! こっちまで来てるんだけど!」

「クレームは受け付けていません」

 

 源氏組と戦っている燕の方にまで広がっていく。

 

 ヒュームさんや揚羽さまの時はここまで被害が広がることはなかった。だが今回は百代先輩の時と同じで力の衝突だからな。

 

 幸いこれで周りにいた従者部隊は撤収している。倒れている人も回収しているから結果的に相手はクローンだけになった。

 

「ん?」

 

 俺と戦っている中で覇王先輩が簡易領域を使っていた。確かに簡易領域は領域であるからバフはかかる。でもどうして使っているのかは分からない。……いや、無意識か? 

 

「んはっ! 楽しいな!」

「百代先輩と同じことを言ってますよ」

 

 かく言う俺も楽しいんだけどね。やっぱり楽しまないと強くなれない。そして俺の術式も回復したところだ。やりたいことがあったんだ。

 

 覇王先輩を少し遠くに吹き飛ばして閻魔印を結ぶ。

 

「んはっ! それは無駄だぞ!」

「領域展開ではありませんから」

 

 おそらく宿儺が無限を突破する方法はこれなのだろうな。

 

「〝龍鱗〟〝反発〟〝番いの流星〟」

 

 さらにここで避けやすいように術式の指向性を手掌で設定する。これを縛りにすれば掌印か呪詞を省けるが今回はただそうしているだけだ。

 

「避けてくださいよ。さもなくば真っ二つになりますから」

 

 〝解〟

 

 覇王先輩に向けて世界を斬る〝解〟を放つ。さっきの魔虚羅がヒュームさんに向けてやっていたことを真似たわけだ。

 

「っ!」

 

 放たれた斬撃がヤバいと感じたのか覇王先輩は寸前のところで斬撃を避けた。髪が少しだけ間に合わずに切れていた。

 

「覇王先輩や百代先輩がいくら強くてもこれを受ければ防御が意味ないですよ」

 

 ヒュームさんも受けて無事ではなかったわけだ。でも殺傷能力がえぐすぎてまともには使えないな。捌と一緒だな。

 

「深夜、俺に本気で来ないとは何事だ! 本気のお前を完膚なきまでに打ち崩し俺の配下にする! すでにそう決まっているぞ!」

 

 どうやらさっきの避けろ発言がお気に召さなかったようだ。

 

「覇王先輩」

「何だ?」

「そう言うのは俺にまともにダメージを与えてから言ってください。恥ずかしいですよ」

「ぐぬぬっ……今に見ていろ!」

「やる気なところ申し訳ないですけどもう終わらせます」

 

 源氏組と戦っている燕が厳しそうだ。

 

「んはっ、松永燕が気になるようだな。だがまだまだ終わらせんぞ!」

「いいや、終わらせます」

「くどい。俺が続けると言えば続ける!」

 

 覇王先輩の成長率は異常だが今までは少し楽しんでいたところはある。だからもう終わらせる。黒閃を何発も食らわせれば大人しくなるだろう。

 

「ふんっ!」

「これは……」

 

 さっきまで己の周りにだけあった簡易領域は俺を巻き込むように広がってきた。

 

 俺も簡易領域はできる。最初に使った時は領域展開を覚えてからだったから簡易領域を使うのは簡単だった。

 

 原作で三輪が両足をついていないとカウンターが発動しないというのが簡易領域の条件だと思っていた。だがあれは三輪が簡易領域を使うための縛りだったと分かった。

 

 だから簡易領域をゼロから使うのは難しいのだろう。それを俺の領域展開を経験して覚え、さらにはその範囲を広げてきた。

 

「この領域は使いやすいな!」

 

 だが広げただけでは意味がない。簡易領域の本領は対領域、対結界にある。仲間がいれば別だが今は覇王先輩一人だ。

 

 広げて意味を成すのはプログラムを組み込んだ時。三輪が使う簡易領域がそれだ。簡易領域を広げれば自動迎撃が即座に反応する。まあ両足は離れちゃうから意味ないか。

 

 もしかして日下部の簡易領域が三輪の縛りをなくしたプログラムなのか? 剣も持ってたし。

 

 要は簡易領域のプログラムを組み込めなければ領域を中和、術式を少しだけ中和、少しだけバフがかかるだけになる。それだけでもないよりかはマシか。

 

「んはっ! 行くぞ!」

「ッ!」

 

 覇王先輩の能力が明らかに上がっている。

 

 これは簡易領域のバフ以外の効果をすべて消してバフの効果を上げているのか。そんな簡単にできるはずがないんだが。

 

 簡易領域での異質だったのは死滅回遊の時の相撲河童だろうな。あの簡易領域は相撲をするためだけの領域で時間の流れが遅い。

 

 しかも差し引きでの考え方は呪力を持つ俺専用だと思っていたのにそのルールを作って差し引いている。

 

「いいね、覇王先輩」

「当然だ! 覇王なのだからな!」

「だからこそこの場ではお預けですね」

「なに?」

 

 まだまだ俺が勝たせてもらう。目覚めたばかりの相手に負けるわけにはいかないでしょ。

 

 俺と覇王先輩の近接戦になるがいくら覇王先輩が簡易領域でバフをかけたとしても黒閃によってボルテージが上がっている俺には足りない。

 

 精密さを覚えようとしている覇王先輩でも性格的に大技に行こうとしているから簡単に避け黒閃を連発させる。

 

 さらに呪力出力も上がったことで呪力と斬撃を混ぜ合わせた攻撃も放ち斬撃も存分に放つ。いつもより威力が上がった斬撃を前に血だらけになる覇王先輩。

 

「またやりましょう」

「んぐっ……勝ちは預けておく」

「えぇ預かっておきます。またのチャレンジお待ちしてます」

 

 鍛錬すればこれくらいでは勝てないようにはなるだろうな。楽しみだ。




領域展延ってバフかかるのかどうかを考えつつ書いていました。

摸擬戦再開! 撫子深夜はどこへ!?

  • 最強ライバルタッグ! 川神軍!
  • 暴威を振るう二人の鬼神! 覇王軍!
  • 主に勝利を! 九鬼軍!
  • 一年生の意地を見せろ! 武蔵軍!
  • 圧倒的な策略! 松永軍!
  • 平安の世をここに! 源氏軍!
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