「思ったんですけど、俺の力って何なんですか?」
武術とやらをヒュームさんから学んでおり、その休憩中にヒュームさんに今まで疑問に思っていたことを聞いた。
「ヒュームさんが使う『気』とは違うとは感じているんですけど……」
「あぁ、違う。気でも闘気でもない、俺が初めて見た力だ」
「へぇ、珍しいんですか」
「貴様のような禍々しく、呪いと本能的に感じるものは初めてだ」
呪い……もしかして、俺の持っている力は呪力なのか?
「貴様があのままホームレスをしていれば、あの場は人が近寄れない場所になっていただろう」
「それはヤバかったですね。だから無人島に連れてこられたんですか?」
「そうだ。ここならば最悪捨てても誰も来ることはない。来ても自己責任だ」
この世界で唯一の呪力持ち、しかも宿儺の呪力だ。そりゃ禍々しいって言われるわ。
まあ呪術廻戦の世界に来なかっただけましだな。呪術廻戦の世界に生まれたら秘匿死刑決定だぞ。
「休憩は終わりだ。早く立て」
「はい」
このヒュームさんとの武術稽古は色々と得れるものがあるから楽しい。
術式や呪力を極めるだけが楽しいかと思っていたが、こういう戦い方も面白いな。
そう言えば、俺にも『気』はあるのだろうか?
あぁ、なるほど。そういうことか。
「気って、正のエネルギーなのか……!」
ふとした瞬間に反転術式が使えるようになった。
そして正のエネルギーがヒュームさんが持っている気と同じものだと理解できた。
だから俺には負のエネルギーである呪力もあるし、呪力を転じさせて正のエネルギーである気も使うことができるわけだ。
これで首ちょんぱされなければ死にかけでも回復することができる! これはデカい! しかも俺の呪力に底が未だに見えないから、本当に宿儺ほどの呪力を持っているんだ。
「ふっ……!」
使えるようになったらいいかなと思っていただけのものだったけど、いざ使えるようになれば楽しいものがある。
これを家入さんや乙骨みたいに他人を回復させることができればなお良しだ。宿儺ができていたんだからできるだろ、知らんけど。
これで調伏の儀がやりやすくなる。
十種影法術で調伏している式神は、鵺、蝦蟇、大蛇の三体。
使える式神は玉犬二体を合わせて五体。
調伏自体はあまり積極的にしてこなかったからこんな感じだが、そろそろ脱兎と満象を調伏するつもりだ。
脱兎はどれだけ破壊されても呼び出せるというメリットがあるからやっておきたい。
御厨子についてはそこそこ使いこなしているが、まだ時間がかかりそう。
そもそもこれについては俺一人で特訓するものであって、ヒュームさんには実戦と戦闘技術を学んでいるだけだ。
だから俺一人で、誰も助言をしてくれない状態でするわけか。まあ手本はマンガで見ているから余裕だけど。
「ぐっ……!」
「ぐへっ!」
ヒュームさんに一撃を与えることができたと思ったら反撃されて吹き飛んでしまった。
だが……あれは間違いなく、『黒閃』だった。呪力が黒く光る現象。
何だったか、打撃とめっちゃ短い時間以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪みだったか。そこら辺はよく覚えていないけど、東堂がそう説明していたような気がする。
威力は通常時の2.5乗だったか。だからあんなにヒュームさんにダメージが入ったのか。
確か、黒閃を経験した者としていない者には、呪力の核心との距離に大きな差が生じるだったか。
そしてそれを今俺も体験しているわけだ。これが、呪術師のゾーンの状態!
蹴られて折れた骨も反転術式で治した。まだいける。
「次、お願いします!」
「……意識的に治しているようだな」
「意識的?」
「貴様は寝ている時にすべての傷を無意識に瞬時に治していたぞ」
えっ、つまり俺は最初から反転術式を使えていたのか!
「まあ、はい。最近使えるようになりました。ですから俺の傷は大丈夫です! この状態で掴めそうなんです!」
「この俺を踏み台にするか。いいだろう」
ヒュームさんも何やら笑っているが、今の俺も笑っているだろう。
この状態でどれだけ黒閃を決めれるか、どれだけ呪力の核心に近づけるか。
「行きます!」
「来い!」
ヒュームさんに拾われて無人島で生活するようになって二年ほど経過した。
その間にこの無人島に九鬼財閥で一番偉い九鬼帝様が来て話したことで俺が九鬼に雇われているのだと実感した。
帝様に「お前の夢はなんだ?」と聞かれたから、「ヒュームさんを倒して最強になることです」って言ったら笑われた。
俺が今後どうなるかは帝様とヒュームさんが話し合っているそうだが、世界規模の企業で九鬼従者部隊とやらがあってヒュームさんがそのトップにいるとなれば、血生臭いことをすることになるのかな……?
それはそれで宿儺の術式が強いからいいのだが。
二年間で戦闘以外も詰め込まれたが、そこは前世で覚えたことが役に立って難なく突破した。
二年、二年か……ハァ、そろそろ女の子と話したいんだが。
いや女の子じゃなくてもいいんだよ? でも俺はこの無人島でたまに来る師と仰いでいる金髪ジジイとしか会っていないんだ。他にも会いたいんだけど。
前世では一人でいても何も感じなかったボッチとして完成されていたのだが、今世では人間強度が下がっている気がする。
あれだな、たぶん目の前で母親が衰弱していくのを見たからだ。
前世では特に不自由なく過ごしていたから、そのギャップでそこら辺がいかれたんだろ。
別にこの生活が楽しくないわけではない。楽しいし、呪術を極めているのは興奮する。
でもそれとこれとは話が別で、女の子と触れ合いたいと思うのは男の性だ。
まあまだまだ極めているわけではないからその感情を我慢して修行僧のごとき生活を続けてみようか。
それにヒュームさんから特に何も言われないから、ヒュームさんもそれを強要しているのだろう。
ここを出る時は、せめて領域展開はできるようになりたいな。
『伏魔御廚子』
『嵌合暗翳庭』
この二つを習得すれば、俺は呪術の極致に一応は足を踏み入れたことにはなるわけだ。
ていうかさ、強くなっても別にモテるわけじゃないのか……。もうこういうことは思わないようにしよう。
人がどうして無人島から脱出しようとしたのかがよく分かった。
俺の今できること。
十種影法術は玉犬二体、鵺、蝦蟇、大蛇、脱兎、満象、円鹿、貫牛が使えるようになった。
御厨子は『捌』と『解』をどうにかできるようにはなった。
炎を出す術式は海にやったら火柱をあげることができた。
反転術式。
ヒュームさん直伝の格闘術。
これくらいか。まだ未熟なところが多いな。
でもこれらすべてを使いこなせた時、俺は最強になれる……!
頑張るぞ!
もうこれで修行編は終わりかな。
アンケートの結果、たぶんこのままSが開始する時に飛びます。
ヒュームの強さを100として、撫子深夜の強さは?
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100(同じ強さ)
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200(余裕をもって倒せる)
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1000(無傷で勝利)
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10000(片手間に勝利)