偽・伏黒宿儺   作:二十口山椒

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何だか急に伸びてきてビックリ。

そしてこんなのでいいかと思って投稿に躊躇っていたところです。


05:撫子深夜。

 俺の戦闘力の高さを九鬼の主要人物に見せることができ、俺は九鬼紋白付きの従者見習いとして働くことになった。

 

 その際に色々と丁度いい時期というものがどういうことか教えられた。

 

 これから川神で行われる武士道プランの概要。そのためのクローンたち。

 

 紋様も川神学園に転入されるため、俺も一緒に川神学園に転入することになった。

 

 まあ従者見習いだからヒュームさんも一緒に1Sに入るらしく、こんなジジイを同級生に持つことになる人たちが可哀想だと思おうとしたら言ってしまって蹴られた。

 

 でもこの人が同級生になって話が合うのかと思うと心配しかないが、まあそこら辺はヒュームさんのお手並みを拝見しようか……!

 

「玉犬」

「おぉ! 本当に出たぞ!」

 

 今現在、紋様と交流しており俺の術式を披露していた。

 

「見たことがないものだ……これは誰でもできるものなのか?」

「たぶんできないと思います。生得術式は生まれた時に刻まれるものなので、何でもできたり何でも真似をするチートじゃなければ無理だと思います」

「この犬は触っても大丈夫なのか?」

「はい、特に汚くはないので問題ありません」

「お、おぉ……! もふもふだぞ!」

「影からできているとは思えませんよね」

「これは……凄まじい触り心地だ……!」

 

 俺も玉犬の毛皮に何度お世話になったことか。

 

 ホームレスの時だったり、寒かったりした時は玉犬を呼び出して温かくしていた。

 

 紋様は玉犬・白をモフモフして楽しんでいる。

 

「もう一体いるので出しましょうか?」

「二体もいるのか!?」

「はい。玉犬」

 

 今度は玉犬・黒を出して、玉犬二体に紋様が挟まれていた。

 

「す、すごいぞ……これはすごいぞ深夜! これで寝たいくらいだ!」

「ご満足いただけて何よりです」

 

 玉犬二体はモフモフされても何とも思わないだろうし、撫でたら尻尾を振るくらいには普通の犬の感性を持っている。

 

 宿儺が万を十種影法術で殺す時に使っていた玉犬や、伏黒の体に移った際に出した鵺を今の俺でもやることができるけれど、あれはあれで少し品がないからやめている。

 

 でも満象は大きければ大きいほど威力が上がったり防御力が上がるが、屋内ならもちろん元の大きさにして使うつもりだ。

 

「他にもこういう動物がいるのか?」

「自分の術式は十種影法術。十種類の式神を出すことができる術式です。つまりはこの玉犬二体の他に九種類存在しています」

「他も見てみたいぞ!」

 

 他と言われても、魔虚羅は論外だよな。

 

 他の式神がこの魔虚羅です! とか言ったら玉犬からの落差が激しすぎだろ。

 

 この次に出せるとすれば、脱兎か。他は大きいとか通常時でも少し気味が悪いとか思う形相をしているからな。

 

「先に言っておきますが、この術式は二種類までしか式神を出すことができません。ですのでそれをモフモフしながら他の式神を出すことはできません」

「む、そうなのか」

「はい、なのでどちら一体をお選びください」

「分かったぞ。それではこちらの白い方を残しておいてくれ」

 

 黒の方を影に戻し、見た目が怖くないものを紹介していった。

 

 どうやって紋様と話せばいいのかと思ったが、こういうのでキッカケを作れるような気がした。

 

 

 

 俺は無人島でしばらく暮らしていた。本当に娯楽が何もなく、ただ鍛錬と勉強をする日々の中で生きてきた。

 

 それが意味すること、それは解放である。

 

 弁慶先輩に勧められた川神水にハマって飲み友達になったり、転生したという俺はある意味特異点であるからそれを自称している与一先輩と話が合って中二病談議に花を咲かせラノベを借りたり、ラノベを借りていたところを清楚先輩に見られて本を貸してもらったりした。

 

 色々とやりたいことがありすぎて困ってしまうというのが本音だな。

 

 前世ではそういう娯楽を楽しんでいた人だから、そういうものが無人島生活の日々で何度欲しいと思ったことか。だから同世代の人たちと接して、話していることも楽しくてクローン先輩たちに付き合ってしまう。

 

 まあただ娯楽だけではない。

 

「行くぞ!」

「はい! いつでも!」

 

 義経先輩とはこうして手合わせをお願いしている。

 

 義経先輩の刀と呪力で強化した俺の拳が幾度となくぶつかり合う。

 

 こうして刀を相手にするのは義経先輩が初めてだからいい経験を得ることができる。

 

「義経先輩は強いですね」

「撫子くんの方が強いではないか。ヒュームさんとあれほどの戦いを見せていたからな」

「ありがとうございます」

 

 義経先輩は壁越えをしているのだろう。

 

 何だかよく分からないが、一定のラインを超えた超越者たちのことを壁を超えた者、マスタークラスと言うらしい。

 

 ヒュームさんはもちろんのこと、ゾズマさんという人も超えているらしい。

 

 ヒュームさんには負ける俺だが、俺も壁を超えているようだ。

 

「義経先輩、式神を使っても大丈夫ですか?」

「紋白が言っていた動物を具現化する術か。義経も望むところだ!」

「では行きます!」

 

 対人で式神を使っての戦闘はヒュームさんに拾われた頃くらいにしかやったことがないから久しぶりだ。

 

「玉犬」

 

 形を安定させずに三体の玉犬を顕現させた。

 

「な、何だか紋白から聞いていたものとは違うな」

「俺の十種影法術の式神たちは完全に破壊されると二度と顕現させることができないんですよ」

「そうなのか!?」

「はい。ですがこうして形を安定させなければ、完全に破棄されることはなくなるわけです」

 

 その代わり自立して行動できず、攻撃力は下がるけれど呪力量と出力でカバーできている。

 

 今のところ破壊されている式神はいないから、他の式神に引き継いでいることはしていない。

 

「思う存分戦ってください」

「そう言うことならこちらも手加減はしない」

「行け」

 

 三体の玉犬を義経先輩に向かわせると、玉犬たちの攻撃を避けながら玉犬を切り裂く。

 

 やっぱり壁超えの人たちにはあまり形を安定させなかったら通用しないのか? でも相手が一人なら多対一という構図にはできるか。

 

 新たに出現させた玉犬が場をかき回している間に義経先輩に攻撃を仕掛ける。

 

 だが義経先輩は玉犬を凄まじい速さで斬ってから俺に攻撃しようとしてくるから腕で受け止めた。

 

「義経先輩との摸擬戦は本当にためになります」

「義経もだ! 撫子くんとの摸擬戦はいい経験になっている! それに義経は武士道プランの申し子だからそれは嬉しいことだ」

 

 こういうことを他の人でもしたいのだが、それができる壁超えの人が義経先輩しかいないからできないんだよなぁ。

 

 ヒュームさんは武士道プランで色々と忙しそうだし、桐山さんとかも忙しそうだ。

 

 休憩をしているところで、明日の話題に触れてみた。

 

「明日は東西交流戦の最終日ですね。義経先輩も行くんでしたっけ」

「あぁそうなんだ! 戦となれば義経は黙っていられない!」

 

 俺たちが転入する川神学園と西にある天神館が学年ごとに行なう東西交流戦。

 

 一年生の戦である第一夜は昨日行われ、見事に川神学園が負けていた。

 

 その中で義経先輩と同じくらいに強そうな刀を持った一年生がいたからちょっと話しかけてみたい。

 

 そして今夜は武神と呼ばれている川神百代が率いる三年生で、明日が二年生になっている。

 

 その二年生がやっている時に、義経先輩が参上するということになっているみたいだ。

 

 東西交流戦は二百人対二百人でやっているから、義経先輩が参加したら二百一人になるのではないかと思っているのだがそこら辺は九鬼が丸め込んだのだろう。

 

「明後日から、まあ明日から義経先輩たちは2Sの生徒なんでしょうけど、川神学園に転入ですね」

「そうだな! 義経は楽しみだ!」

「与一先輩が上手く溶け込めるかは微妙なところですけど、義経先輩と弁慶先輩と清楚先輩なら大丈夫そうですね」

「うっ、そうだな……撫子くんは与一と仲良くしているみたいだけど、どうやったんだ?」

「フッ、闇の住人たる俺たちが仲良くなるのは当然の帰結。光である義経先輩には無理な話だ」

「……撫子くんが与一みたいになっているぞ」

「いやこういう感じで仲良くなっているというだけですよ」

「へぇ、義経にはできないことだ」

 

 義経先輩が急に与一先輩みたいになったらそれはそれで面白いけどね。

 

「あと、野鳥の自由研究をしていたんですよね」

「あぁ! そうなんだ! 誰から聞いたんだ?」

「弁慶先輩」

 

 川神水で酔っているところで、義経先輩が自由研究をしていると聞いた。

 

 俺が聞いても何でそんなことをしているのかと思うんだが、それを黙っている弁慶先輩は悪い人だ。

 

 義経先輩のいい顔を見るのが目的なのだろう。ここで俺が止めてもいいが、弁慶先輩の矛先がこちらに向かないように黙っておこう。

 

「まあ、2Sの人たちに発表したら見せてください」

「分かった!」

 

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