昨夜は東西交流戦最終日。敵将がスーパーサイヤ人みたいにパワーアップして危ないところだった男子生徒を助けに入るためにヘリから義経先輩がおりて終わった。
ちなみに俺は特に行く用事もなかったがクローン先輩たちに誘われてヘリに搭乗して東西交流戦を間近で観戦して少しばかり興奮してしまった。
そして武士道プランについて世間を騒がしている今日、俺はついに川神学園に転入することになった。
紋様は大層な登場をするために待機しており、俺は清楚先輩たちと一緒にいる。
直属の上司である李さんも川神学園に来ているが、俺は転入生だから清楚先輩たちと一緒だ。
「闇を祓ってー、闇を祓ってー、夜の帳が下りたら合図だ」
「またその歌を歌っているんだね、深夜くん」
俺はアニメでも呪術廻戦を見ていたし、何なら呪術廻戦のOPはすべて好きだからよく口ずさんでいる。
あぁ、アニメ二期が始まるのに俺はそれを見れない可能性があるのか……悲しいな。
「はい! 川神学園に転入することが楽しみなので」
「私もだよ。これからどんな人と出会えるかな」
「俺もです」
俺と清楚先輩では若干ニュアンスは違うと思う。
「それにしても、俺もそっちの方が良かったです」
俺も川神学園の制服を着れるのかと思ったら、この暑苦しい執事服を着ろって言われたんだが。
制服というものを着こなすためには時間制限がある。それを過ぎればコスプレになってしまうからな。だから着たいと思ったのだが。
「えっ、深夜は女子生徒の制服が着たいわけ?」
「着たら着たでそっちが困るでしょ」
弁慶先輩が意味不明なことを言ってきた。
「いや別に。私はそれを酒の肴にするから問題ないよ」
「問題大アリでしょ」
「あー、肴の話をしたら飲みたくなってきたー」
「べ、弁慶ダメだぞ!?」
「清楚先輩、俺が女子生徒の制服を着たら困りますよね?」
「それは困るけど……深夜くんが着たいのなら……」
「いや、そこはハッキリと拒否してください」
あぁ、こうして仲良くしていると俺がハーレムを築いていると錯覚できて気分がいいなぁ。
それにしても与一先輩は屋上で何をしているんだ? 俺もそれなりに気配を察知することに長けてきたから与一先輩がどこにいるのかも分かってしまう。
与一先輩をここに連れてきたとしても、素直に自己紹介をするとは思わないからこれは放置の方がいいだろう。
「皆も今朝の騒ぎで知っているじゃろう、武士道プラン」
なんやかんや話していると臨時の全校集会が始まった。
「この川神学園に、転入生が七人入ることになったぞい」
武士道プランの申し子は四人だから残りの三人が誰なんだみたいなことでざわついている。
ハァ、こんな中で俺が紋様とヒュームさんと並ぶとかすでに負けている。
「最初は清楚先輩ですね。頑張ってください」
「うん、行ってくるね」
学長に呼ばれていつも通り清楚な立ち振る舞いで壇上にあがっていく清楚先輩。
その姿を見ているだけで男子生徒たちからほーっというため息が漏れた。
清楚先輩が挨拶をすると、男子達から歓声が巻き起こった。
そして清楚先輩の正体について話に移った。
清楚先輩の口から、二十五歳くらいになれば教えてもらえて、それまでは学問に打ち込めということだった。
「義経先輩、清楚先輩の正体って知らないんですか?」
「義経も知らないぞ。だが清楚先輩は清楚先輩だ」
「本人がそう思っているのならいいですけどね」
義経先輩はハテナを浮かべている。
清楚先輩だけが自身の正体を知らないわけで、それをどう捉えているのかは分からないが、清楚先輩が九鬼が思っているようないい子ちゃんじゃなければ調べようと思いそうだ。
それに、学問に打ち込めっていうところが少し引っかかるが、もしかしたら本当に清少納言とかだったら納得がいくけれど、それで正体を秘密にしている意味が分からない。
ま、髪飾りとかで何となく正体は推測しているが、今は黙っておこう。
「緊張しないように、義経先輩」
「うん! 頑張るぞ!」
「私には何かないの?」
「一杯だけにしておいてくださいね、弁慶先輩」
「無理かもー」
学長に義経先輩と弁慶先輩が呼ばれ、ついに俺はこの場で一人になった。清楚先輩はあっちにいるから俺は一人だ。
男どもが武蔵坊弁慶が男性だと思ってガッカリとした雰囲気を出していたが弁慶先輩が出てきたことでそれがひっくり返った。
ひっくり返ると言えば、川神流に位置を移動する技があるとか。東堂の術式ができないのかな。
そんなことはどうでもいいんだ。
義経先輩と弁慶先輩の挨拶が終わり、ついに与一先輩が呼ばれているが、屋上にいるのだから出てくるわけがない。
こちらをルー先生とやらが確認しに来たが、いないことを確認したようだ。
それにしても、与一先輩はどうして毎回毎回弁慶先輩にしめられるのにくだらないことをするのだろうか。Mか?
義経先輩が与一先輩のことを全校生徒の前で謝ったり、弁慶先輩が全校生徒の前で川神水を飲んで常に学年三位以内にしないとおさらばということを説明されたり、色々と起こったが、ついに紋様の出番となる。
「三人とも1ーSじゃ! さぁ、入ってくるが良い」
学長の合図でウィーン交響楽団が出てきて演奏を始めた。
もうこれだけで九鬼ということが分かるだろう。この学園には英雄様がおられるのだから。
そして従者部隊で紋様に踏まれたいという数多の希望者の中から選ばれた彼らの上を、紋様が歩いて登場した。
こういうのは九鬼の威厳を見せるために必要だと言っていたが、いつもはいい子過ぎると思っているところだ。
「我、顕現である」
紋様が悠々と壇上に上がったため、俺はヒュームさんに続いて壇上に上がった。
「我の名前は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい! 我は飛び級することになってな。武士道プランの受け皿になっている、川神学園を進学先に決めたのだ。そっちの方が、護衛どもの手が分散せんからな。我は退屈を良しとせぬ。一度きりの人生、互いに楽しくやろうではないか。フハハハハーーッ!」
俺、この後に自己紹介をするんだよな。李さんにならってギャグをかました方がいいのか? やめておこう。
「ほら、次は深夜だぞ」
「はい」
この中で無難を選んでおこ。ここで呪力を解放して武道家を挑発してもいいが、それはヒュームさんに怒られそうだからやめておこう。
「自分は紋様の従者をしている、撫子深夜です。よろしくお願いします」
とりはヒュームさんだからまあいいか。つぅかこれだけの人たちに見られるとか心臓いてぇ。
「おいじじい。もう一人の転入生はどこだ?」
黒髪ロングの美女が学長のことをじじいと呼んでそう聞いた。
まあ後ろで待機していた時から分かっていたが、あれが武神の川神百代か。
……強いな。この場でヒューム・ヘルシング、川神鉄心、川神百代という世界トップレベルの強さを誇るやつらがいると思うと、少しだけ興奮してしまう。
あっ、ヒュームさんが川神百代の背後に立った。何か話しているな。どうせ赤子って言ってんだろ。
どうして九鬼のジジババどもは決め台詞を作っているのだろうか。
「どうでしたか? ヒュームさん」
「あいつもまだまだ赤子だ」
「てか、俺は川神百代に挑戦してもいいんですか?」
「本気の決闘は誰も許可は出さないだろうが、手合わせくらいなら好きにしろ」
「了解です」
戻ってきたヒュームさんにそれを聞くことができて安心した。
俺は壇上からおりてクラウディオさんが武士道プランのために従者が川神学園に現れることを説明した。
もう早速川神百代に決闘を挑みたいところだ。義経先輩の挑戦者の件もあるだろうし、その前に手合わせはしておいた方がいいだろう。
だけど紋様が何やらヒュームさんやクラウディオさんたちと川神百代を倒す計画を立てているようだが、俺が勝ったらその人はどうするつもりなんだろうか。いや確実に勝てるとかは思っていないけどね。
でもあの状態の川神百代なら、勝てるかどうかは分からないけど負ける気はしない。