偽・伏黒宿儺   作:二十口山椒

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呪具、出したいなぁ。

呪力で籠め続けることで術式がなくても呪具ができるのは分かるけど、能力があるってその術式を持っている人が術式を籠めたってこと?

伏黒パパが持っていた術式を強制解除する天逆鉾とか鎖が伸び続ける万里ノ鎖みたいな術式を持っている人がいたってことなのか?

作者には分からないことです。


07:川神百代。

 全校集会が終わり、1Sの教室にて紋様とヒュームさんと俺は前に立っていた。

 

「フハハハ、改めてよろしくな、皆の者!」

「ちょっと待ったーー! プレミアムターイム!」

「さっそく質問か。許す、申せ」

 

 何だこいつは。何だか立ち絵が個人ルートでしか登場しないようなキャラは。

 

「私は武蔵小杉! ここのプレミアムな委員長よ」

「よろしくな。愛称でムサコッスと呼んでやろう」

「そんなあだ名いらないわ! で、いくら九鬼であろうと、従ってほしいルールというものがあるの。それは私がリーダーであるということ」

「断る。九鬼は自分にしか従わぬ」

「なんとっ!?」

「フハハ、我は支配者! クラス一つぐらいは掌握せねばな」

「じゃあ決闘あるのみねぇ」

「受けてたとう。まずは能力を示さねばな」

 

 そういう感じでムサコッス以外からの生徒からも紋様への決闘申し込みが始まり、それらすべてに受けてたつ紋様。

 

 さすがは九鬼と言ったところか。出会って一ヶ月しか経っていないけど、これが九鬼なのだと理解してしまう。

 

 揚羽様と手合わせをしたことがあるが、そうして接触していても九鬼だと理解させられてしまうのが不思議だ。

 

「ヒュームさん。紋様が武道での決闘を受けた時はどっちが引き受けるんですか?」

「お前がいればお前がやれ」

「了解」

 

 そして早速ムサコッスが紋様に向けて飛びかかってきたから、俺が蹴りを入れて後方の壁に上半身だけが突き刺さった状態のムサコッス。

 

 何だか壁尻みたいな感じでエロいな。

 

 紋様の武道での決闘をヒュームさんがヒュームさんか俺が自動的に守るという説明をした。

 

 1Sはこれで掌握した紋様であった。

 

 

 

 紋様と話している時にロリコンであると察することができた井上準が来た以外に特に何事もなく放課後になった。

 

 さすがにお昼休みとかでは時間がないから、放課後に川神百代のところに行くことにした。

 

「ヒュームさん、行ってきてもいいですか?」

「フン、随分と楽しそうだな。本来なら紋様から離れるのは許されないことだが、いいだろう」

「紋様、少々用事で離れます」

「……川神百代か?」

「はい。本気ではしませんが、決闘を少々」

「うむ、お前の強さを周りに示してこい!」

「仰せのままに」

 

 紋様とヒュームさんの許可をもらい、川神百代がどこにいるのかを探ると、どうやら義経先輩の教室に向かっているようだ。

 

 俺もそれを追うように2Sの教室に向かった。

 

 その道中で赤髪に眼帯をした軍人さん? が検問をしていたが、俺は素早くその横を通って気付かれずに通り過ぎた。

 

 2Sの教室の中を覗き込むと、川神百代がいたり、色々と濃いメンツが揃っているようだった。今しがたクラウディオさんが義経先輩の決闘システムについて説明したようだ。

 

 あっ、俺のことに気が付いて微笑んでくれたクラウディオさん。

 

 そしてなぜか弁慶先輩と川神百代が胸を揉み合っているという意味が分からない状態を目撃する。

 

 まあ今この時に出て行こうか。

 

「失礼します」

「おっ、深夜じゃん」

「どうも、弁慶先輩」

「ここに来たということは、本当にやるつもりなんだ」

「はい、どれほどのものか知りたいので」

 

 弁慶先輩から目線を外して、川神百代に視線をやる。

 

「この子って一年S組に入ってきた従者の子よね」

「あぁ、そうだな。ご老人のせいでかなり印象は薄かったけど」

 

 色々な生徒から視線を向けられているが、構わず川神百代に声をかける。

 

「俺は撫子深夜です。あなたが川神百代先輩ですか?」

「あぁ、そうだぞ。何か用か?」

「あなたに、決闘を申し込みます」

 

 川神百代にそう言い放ったことで、クラス中がどよめいた。

 

「お姉さまに?」

「マジかよ。何だか弱そうだし、大丈夫かよ」

 

 色々と言われているが、まあ川神百代の方は獲物を見つけたような肉食獣の顔をしている。

 

「本気か?」

「ええ、本気ですよ。あなたとは前から戦ってみたかったんですよ」

「ちょうどうずうずしていたところだ。いいだろう、受けてたつ!」

「ちょっと待てい!」

 

 川神百代が決闘に応じたところで、学長が俺たちの横に来た。

 

「お前とモモが決闘をすれば大変なことになるわい」

「大丈夫です。本気ではしません」

「随分となめられているようだな。生意気な後輩には分からせてやらないとな……!」

 

 俺は武道家ではない。呪術師だ。

 

 だから武道家が強さを気で判断しても、俺が強いとは思えないのだ。そもそも呪力だし。

 

「もしもの時は止める。それでよいな?」

「はい」

 

 学長のその言葉で俺と川神百代の決闘が決まった。

 

 川神百代は俺の力を知らないから何を言っているのか分からないといった感じだ。

 

 

 

 グラウンドに向かえば、俺と川神百代の決闘は校内に残っていた生徒たちにすぐさま伝わった。

 

「九鬼の従者部隊の人か」

「相手は川神さんだぜ? 無理だろ」

「九鬼が威厳を示したいのか?」

 

 色々と言われているようだが俺はあまり気にせずに正面にいる川神百代を見る。

 

 腕を組んで余裕そうな川神百代に少しだけイラっとする。

 

 あっ、弁慶先輩もグラウンドに出て見に来てくれているし義経先輩と与一先輩もいる。それに清楚先輩もイケメンと一緒にいる。

 

「もう一度言っておくが、やりすぎないようにのう」

「それは分かっているって。早く始めろよー」

「うむ。それではこれより川神百代と撫子深夜の決闘を始める」

 

 紋様とヒュームさんも教室から見ているなと確認してから構える。

 

「始めい!」

「いきなり川神流無双正拳突きッ!」

 

 ただの正拳突きのようだが必殺技に昇華させた技が俺に向かってきた。

 

 それを紙一重で避け、川神百代の腹に向けて拳を突き刺した。

 

「くっ!?」

「あっ」

 

 その際に呪力が黒く光る現象、黒閃が起こってしまった。こういう時は絶対に起こってしまうなぁ。

 

 実は黒い火花に愛されている虎杖よりも黒閃率は高いのかもしれない。いや分からんが。

 

 川神百代は俺の黒閃を受けてふきとばされたがすぐに体勢を戻した。

 

「ハハッ、何だよお前……最ッ高じゃないかッ!」

「人を見かけで判断しないのがいいかと」

「それは悪かったな! じゃあやろうか!」

 

 瞬間回復でダメージをゼロにして再び俺に殴りかかってきた川神百代。

 

 そう言えばヒュームさんが瞬間回復を使っている川神百代に苦言を呈していたな。ま、そんなことはどうでもいいか。

 

 俺と川神百代の攻防が始まったが、ヒュームさんの言っていることが何となく分かった。

 

 スロースターターのところはまあいいとしても、川神百代の技の攻防が雑だ。能力的にはさすがは武神と呼ばれるだけのことはあって高いからそれで他の武道家は終わるだろう。

 

「いいぞいいぞ! 楽しいな!」

「ええ、それはまあ!」

 

 何だろうか、この感じは。

 

 無人島にいる時はヒュームさんしか鍛錬相手はいなかったし、九鬼に来てからは義経先輩が主に相手になっていたけれど、ここまで血沸き肉躍る感じは一切なかった。

 

 知らず知らずのうちに、楽しそうに笑っている川神先輩につられて俺は笑ってしまっていた。

 

 段々と川神先輩も乗ってきているが、俺もそれにつられているのか遅れをとっている感じが全くしない。

 

「ここまで戦えるのはお前が初めてだ!」

「そりゃどうも。楽しそうで何よりです」

「もっと楽しもう!」

「これ以上本気でやったら学長に止められますよ」

「それは困るな!」

「困りそうな顔をしてください」

 

 川神先輩と距離があくと、川神先輩が手のひらにエネルギーが収束してそれを放ってきた。

 

「川神流星殺し!」

「解」

 

 極大エネルギー砲を御厨子で切って再び川神先輩と距離をつめる。

 

 ああやってエネルギー砲とか俺も撃ちたいと思っているのだが、まだ俺にはできていない。そもそも俺が重きを置いていたのは術式の鍛練だからな。

 

「次行くぞ! 川神流人間爆弾!」

「いっ」

 

 川神先輩が俺の手をつかんで逃げないようにして爆発した。

 

 これは自爆技だな。自爆というくらいだから威力が高いし、逃げられないようにしてくるんだからタチが悪い。

 

 川神先輩から距離をとり、お互いに爆発でダメージを受けているが。

 

「瞬間回復!」

 

 川神先輩には瞬間回復があるから自爆技なのに何度も放てるということか。なおタチが悪い。

 

 ただ俺も同じことで、反転術式でダメージをゼロにする。

 

「お前も瞬間回復を使えるのか!?」

「瞬間回復という技ではないですけど、同じようなことはできますね」

「お前、最高だな! 思う存分やりあえる!」

 

 いやぁ、それは無理だろ。

 

「それまで! やめぃ!」

 

 川神先輩が向かってこようとしたが、それを学長が止めた。俺はすでに構えは解いていた。

 

「なんだよじじい! 今いいところなんだよ!」

「これ以上は学校が持たんわい! もう終わりじゃい!」

「あと少しだけ! あと少しだけ! さきっちょだけ!」

「ダメじゃ!」

 

 確かに、グラウンドはボコボコになっているし周りに被害が出ないようにマスタークラスとかそういう人たちが気遣ってくれていた。

 

 終わりだな。これ以上は本気になってしまう。

 

 本気になれば試したかった魔虚羅の方陣だけを顕現、先に適応させるという技をしてみたいところだ。

 

 ていうか川神先輩粘りすぎだろ。こんなになるまで戦う相手に飢えていたのか。

 

「川神先輩、手合わせありがとうございました。またやりましょう」

 

 さすがにこれで「はいさよなら」は可哀そうだ。

 

「あぁ! また明日やろうな!」

 

 かなりいい笑顔を返してくれた川神先輩。

 

「そんなに頻繁にできるわけがないじゃろう」

「えー、いいじゃないか。お前……名前は何だっけ?」

「撫子深夜です」

「深夜もいいよな?」

「俺は紋様の従者ですので九鬼の許可を貰わないとできませんよ」

「なら許可をもらってきてくれよー」

「無茶なことを言わないでください。とりあえず本気のバトルはともかく、手合わせができる時は連絡します。連絡先いいですか?」

「もちろんだ! 待ってるからな!」

 

 すごくいい笑顔の川神先輩と連絡先を交換できた。

 

 なお、グラウンドの整備を学長から言い渡された俺と川神先輩であった。

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