それとも三種類目を出すために術者が相手に攻撃を一切仕掛けられないみたいな縛りを作ることが可能なのか。
術式反転も分からないですし、独自に考えてやるということはないです。
原作で出て来ればたぶん使います。
はやく呪術廻戦の続きが見たい……。
「しんや~、何か作って~」
「はいはい……」
転入初日の夜。紋様の従者の仕事を終わらせて部屋に戻ったら弁慶先輩が甘えた声を出しながら訪ねてきてツマミを要求してきた。
飲み仲間というわけだから弁慶先輩と川神水を飲むのだが、ツマミがなかった時に俺が食べたかったから作ったところ弁慶先輩に好評だった。
そのため、飲みに来る時は高確率、いや百%の確率でツマミを要求してくるのだ。
何だかんだ俺も川神水の肴に欲しくなるから毎回作っては弁慶先輩と一緒に食べている。
仕事終わりの俺だろうが、弁慶先輩は考慮してくれないのだ。
厨房から許可を得ている食材をとりに行って部屋に戻ると、すでに弁慶先輩は飲んでいた。
「もう飲んでいるんですか」
「羨ましい?」
「それはもう」
こちとら早く飲みたいのにあっちは自由に飲んでいる。
でも怒りはない。弁慶先輩がこういうことをしたら、仕方がない人だと思ってしまう。
持ってきた食材を、調理器具を用意しつつ御厨子とフーガでの炎で調理していく。
「本当に便利だね、深夜の術式」
「これさえあれば武器もいらなくて、どこへ行っても調理ができますからね」
まあホームレスになった時とか無人島にいる時とかはこうして調理していたから、必然的に調理が上手になる。
しかも術式の使い方が上手くなるのだから、使わないということをしなかった。
「はいどうぞ」
「ん~、おいしそうだね」
「そりゃ丹精込めて作りましたから」
「愛情は?」
「有料オプションです。それか好感度がマックスになれば標準機能になります」
「今どのくらい?」
「マックスが100なら、30くらいですね」
「深夜への好感度はマックスなのに、しくしく。悲しみのあまり川神水を一気飲みする。ごくごく」
「それはいつものことですよ。ほら、冷めないうちに食べてください」
「いただきまーす」
川神水に合いそうな料理や俺が食べたい料理を並べ、弁慶先輩は美味しそうに食べて川神水をあおる。
「くぅぅぅぅぅっ! 川神水と合うっ!」
「それは良かった」
美味しそうに食べて美味しそうに飲む弁慶先輩を見て、俺ののどが鳴ってしまう。
だから早急に酒の肴を作り終えて弁慶先輩の隣に座って俺も食べることにした。
「ほら、美少女が酌してあげる」
「どーも。本当に美少女だから何もつっこめない」
「ありがたく飲むことだね」
「はいはい」
弁慶先輩から酌をしてもらった川神水を飲むと、これが仕事終わりの至極のひと時なのかなと実感してしまう。
前世ではお酒を飲むことがなかったからそういうことは感じたことがなかったのだが、まさか未成年でこれを実感してしまうとは思わなかった。
川神水を飲みながら肴を食べるという、最高の時間を過ごしつつ、弁慶先輩を見る。
「美味しいですか?」
「それはもちろん! お嫁に貰いたいくらいだね~」
こういう弁慶先輩の緩み切った顔を見るのが好きだ。
別に好意とかそういう話ではない。
というかたぶん俺は恋愛をしないと思うし、できないと思うが、こうして喜んでもらえるのは嬉しいことだ。
「どうした?」
「いえ、本当に美味しそうに食べて飲むなと思っているだけです」
「惚れた?」
「そういう感情はないですね。安心してください」
「フラれた……ごくごく」
変わらず川神水を飲んでいる弁慶先輩。
「俺がもし弁慶先輩に告白したら弁慶先輩はどうしますか?」
「んー。そもそもその問いは深夜が告白をするつもりがないから意味ないよ」
「そりゃごもっともで」
「でも深夜とのこの空間は好きだ」
「確かな感触。俺もこうしてのんびりと弁慶先輩と飲むのは好きです」
「義経とあんなに鍛錬をしているのに?」
「やっぱり何事にも緩急をつけないとやっていけませんから」
無人島で体験しているから間違いない。
気分が良くなっている弁慶先輩は俺に寄りかかってきた。
……何だか、思った以上に弁慶先輩の好感度が稼げているようだ。
飲み友達になったり、料理を作ってあげたり、こうしてまったりとした時間を過ごしているだけなのにこうなるのは弁慶先輩がちょろいのではないか? 少し心配になってきた。
……弁慶先輩が撫でてほしそうな頭をしている。いや何を言っているんだ俺は。
でも撫でたいという欲求が生まれてきたから止められず、俺は徐に弁慶先輩の頭に手を持っていき、ナデナデする。
「むふー……」
心地の良さそうな声を出しているな。
どうやら嫌と言うわけではないようだ。人の頭を撫でるとか初めてだからどうなるかと思ったが、前世の飼い犬や今世での玉犬への撫でで鍛えられたのかもしれない。
でもまあ、こういう時間も悪くはない。弁慶先輩みたいな酔いどれ美人と一緒に過ごす夜とか、陽キャみたいだな。
すっかりと寝てしまっている弁慶先輩をそのまま寝かせるのはちょっとどうかと思ったから、お姫様抱っこをして部屋に送り届けることにした。
おんぶだとあの柔らかい部分を意識せざるを得ない気がするから、お姫様抱っこをすれば人の視線さえ気にしなければどうということはない。
「あっ、与一先輩」
「深夜と、あ、姉御!?」
俺の腕の中にいる弁慶先輩を見て酷く驚いている与一先輩と出会った。
「あ、姉御相手にそんなことをしているのか……!?」
「俺の部屋に来て酒の肴を要求してきた挙句に川神水で潰れたので部屋に送っている途中です」
「……ひどい目に合っているんだな。同情するぜ」
「そんなことはないですよ。弁慶先輩はどうしようもないくらいの飲んだくれですけど、何だか放っておけないですし飲み食べしている幸せそうな顔が可愛いですから」
「あ、姉御がかわいい!? しょ、正気か!?」
「正気ですよ。だからこうして運んでいても何も苦じゃないです」
「……そのまま姉御を引き取ってくれ。そうすれば俺に被害が及ばなくなる」
心底そう言っている与一先輩は本当に弁慶先輩が苦手なんだろうなぁ。
姉ということもあるのだろうし、中二病と弁慶先輩の性格が噛み合っていないのだろうな。中二病と性格が噛み合うのは中二病しかいないけど。
「そうしたいところですが……特異点は理解されないものです。そのカルマを背負って生きていくものたちでしか、分かり合えないものです」
「そうだな……俺たちは闇の存在。光のやつらを理解できないし理解されることもない」
俺が言うカルマは、宿儺の力を宿したことで世界に害悪をもたらしてしまうかもしれないということだ。
一時、この宿儺の力がいつか俺すらも飲み込んで世界を壊そうとするのではないかと思っていた。
今も、俺の中で宿儺の意識が宿っているのではないかと思ってしまう時はあるが、まあそれはないと断言できるから思っているだけだ。
「お前の中の宿儺、まだ抵抗を見せているのか?」
「少しだけですけどね。与一先輩はどうですか?」
「俺はたまに力が抑えられなくなるときがある。……その時は頼む」
「それは任せてください」
こうやって与一先輩と中二病の話をするのは楽しいものがある。
呪術廻戦のような残酷な世界の話をこの世界ですることはない。まあそれくらいにファンタジーな存在が色々と存在しているが。
だからこそこうして与一先輩と話すのは楽しいものだ。
「特異点である俺たちがひかれあうことは運命だ。俺たちが向かうべき終焉は、どこなんだろうな……」
「まあ、ろくでもない場所であることは間違いないですね。だからこそ、今を楽しむべきなんでしょうが」
「ふっ、違いない」
俺は中二病を理解してやっているけど、与一先輩が元に戻ったらどうなるんだろ。
中二病を患ったことがないからそこら辺は分からない。
「んぅ……」
「俺は弁慶先輩を連れていきますので。おやすみなさい」
「あぁ。俺は組織の奴らが動いていないか確認しておく」
ようは夜風に当たってくるということか。
この姉弟と接しているのは面白いけど、義経先輩はとんでもない家臣を持っているものだ。