転生したから世界一のサイドバック目指す 作:口の端にほっぺが!
「パワくん、日焼け止めは塗り終わったかしら」
「うん。忘れ物もないよ、行こう」
夏休みに入った。今日は隣の県で開催されている合同練習に参加しにいく日だ。
ヨーロッパのいくつかのクラブ下部組織が共同して企画したものだ。日本のサッカー少年を集めて、優秀な子に声をかけるらしい。こっちの世界ではまだFifaの規制が緩く、欧州の下部組織にも数名の日本人が所属している。このトレーニングがきっかけで欧州にチャレンジしたものも少なくない。
もちろん俺もそれに参加する。ドイツ二部、スペイン一、二部、オランダ一部といった名門リーグからも視察に来ているらしい。正直ラ・マ〇ア*1に入りたいから、その辺の下部組織には魅力は感じない。が、腐っても欧州だ。受ける価値はある。それに、ヨーロッパを目指す選手の中で優秀選手に選ばれることに意味があるのだ。
「あら、見て見て! パワくん。お父さんから写真が届いてるわよ?」
「うん? あー。綺麗な川だね」
「でしょう? 今朝方送ってくれたのよ」
母がケータイで俺にみせたのは、のっぽな父が川の桟橋に寄りかかっている写真。誰かに取ってもらったのだろうが、父が大きすぎて頭が映りきっていない。赤い屋根の街並みに、大きな川に船が浮かんでいる。なんだかナーロッパで出てきそうな絵だ。
まあ、ここはポルトガルで、そこで撮った写真なのだ。実際にヨーロッパの景色の写真だ。
父がなぜここにいるのか。それは俺の海外下部組織の話とリンクしている。
俺が海外の下部組織に行きたいと父に伝えてからしばらく経ったある日、父はスペインへと旅立った。俺が下部組織に所属するとき、住む場所だったり通う学校だったりに色々申請したり書類を提出しに行くためらしい。その後も残って様々な調査をしてくれているようだった。
母曰く、俺が全国大会で奮闘しているのを見て、決心したとかいう。全く、ありがたい限りだ。
以上のこともあって、父は一年前からヨーロッパに行っている。今はポルトガルに拠点があるようで、母が寂しくならないように一週間ごとに写真を送ったり、動画を送ったりしている。
まあ、ほとんど毎晩電話しているのは知ってるんだけどね......。
ともあれ、父がここまでしてくれているのだ。俺も頑張らなくてはいけないし、バルサじゃなくてもどこか海外の下部組織に行かないと、父に申し訳が立たない。
かと言って下手なところには入団したくないのが本音なんだよなあ。その辺は、ご縁や運も絡んでくるのだ。どうしようもない。
今は、ただ目の前のことを百パーセントでこなすだけ。
電車を2回ほど乗り継いで、練習会場にやってきた。俺の他にも受けに来る子が多く、少なくとも30人は下回らないだろう。中学2年生まで参加出来るため、俺よりもでかいやつは割といた。
ちなみに、現在の俺の身長は150ピッタリくらい。低くはないが、高くもない。中盤のポジションなら、もう少し欲しいところだ。SBでやるとしても、空中戦に弱いのは好ましくない。
「......おい、あれ武蔵の神谷じゃね?」
「知ってる、キックがレベチなんだろ?」
「うわ、来てんのかよ......」
観客席に荷物を置いているさなかに、周りの選手からボソボソと囁き声が聞こえる。俺の噂だ。5月に全国優勝したからか、俺の名前はそれなりに広まっているらしい。ふふ、いい気分だ。
「ふふふ......」
「うふふ」
「......どうしたのさ、母さん」
「母さんは凄く嬉しいのよ。パワくんが頑張ってるって知ってるから」
「あ、そうだね」
どうにもこのくらいの年になってくると、母に対する返答の仕方に困る。赤子の頃と同じように脳死甘えができないのだ。まるで思春期のようにぶっきらぼうな返事をしてしまう。
母は嬉しそうにニコニコと笑顔を浮かべていた。
「よっし」
「いってらっしゃーい」
気恥ずかしくなって、マイボールを持ってピッチに駆け出した。選手たちは一緒に来た奴か、あるいはその辺にいたヤツに声をかけてアップを始めている。
準備体操を終えて、俺も誰かに声をかけることにした。
こういう時、やはり自分と同じ学年で同じガタイのやつと組みたい。そのほうが楽にプレーできるし、親近感も湧きやすいのだ。
辺りを見渡せば、まず1人と目が合った。170は超えるだろう背丈に、岩のようなガタイ。これみよがしにスピードのあるパスを出している。が、精度は低く相手は必死に走っていた。あれは無いな。
2人目。今度はチビ。ひとりでドリブル練習をしている。ボールタッチもよく、顔が常に上がっている。顔が上がってるから俺と目が合ったのだが、手持ち無沙汰な俺を見て口元を歪めてニヤついてきた。あからさまに挑発してやがる。どうせお前も相手いないだろうに......。
あいつはひとりぼっちにさせたいな。3人目。そいつは女の子にちょっかいをかけて回っていた。銀髪にイタズラ好きそうな笑みを浮かべて話しかけている。女の子たちの方はうざったそうにそっぽを向いたり、困ったようにオロオロしていた。ナンパな野郎だ。
これまで多くの人物にあってきたが、俺の対人センサーが言っている。あいつはモブじゃない。登場人物だ。
「お、金木くんここにいたかあ~。まーた女の子にちょっかいかけてる。俺のダチがごめんね?」
せっかくなので、相手をしてもらうことにした。わざとらしく頭をかきながら銀髪に声をかけ、女の子には頭を下げる。
「は? お前誰だし。っていうか名前金木でも───」
「ほら、君もこんなナンパ野郎じゃやだろ? あそこに一人の女の子いるし、あの子とペア組んでみなよ。暇そうだしさ」
「え、おい───」
その言葉に、オロオロしていた女の子はこくりとうなづいて駆け出していった。なにか言いたげな金木くんは、そこでガックリと肩を落とす。
「というわけで金木くん。一緒に練習しようぜ!」
「だあああああれがするかよっ! 今めっちゃいいとこだったじゃん、邪魔すんなよ!」
おっと、飛びかかってきた。ひらりとかわせば振り返って再び飛びかかってくる。どうどう、といさめてみるが、なんだか闘牛を相手にしている気分だ。オーレ!
「なんだよお前、俺に恨みでもあるの!?」
目元をピクピクさせながら怒気を吐き出した。確かにあの子は満更でもなさそうだったように見える。けどそんなの知らん。
「いやいや。ほら、君結構やれそうに見えるからさ。つい声掛けちゃったんだよね」
「......そう見える?」
「うん」
「そっか、はは。お前見る目あるなあ」
ニタニタしながら照れたように頭を搔く。チョロい。漫画キャラ並にチョロい。
いいよ、やろう! と気を持ち直して銀髪がボールをパスしてくる。そのボールタッチだけでも、技術は相当高いことがわかった。漫画キャラなだけあるな、ナンパ君。
名前は吉野
一方、向こうは俺の名前を知っていたらしい。5月の全国、彼のクラブは準決勝でコーベ・シティに負けたそうで、決勝はじっくりと見ていたのだという。
ともあれ、最初の悪印象は多少ぬぐえたようだ。俺も、こいつが単純なナンパ野郎じゃないことに気づいた。パスの精度は俺ほどではないが高く、派手では無いが基礎技術も高い。この集団の中なら俺と同じように頭一つ分飛び出ているだろう。
味方が最大のライバルになる可能性が高いが、共にプレーしていればクラブ関係者の目に留まる可能性も高くなる。
すぐに笛がなって、コーチらしき人物が集合をかける。全国大会とは違う、俺の戦いが始まる。
ちなみに、読者の皆様はスマホアプリのパワサカをやってらっしゃいますの?
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ほとんど毎日遊んでいますわ
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コラボとかだけですわ
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昔やってましたの
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パワサカ? それはどんな洋菓子ですの?
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知ってるけどプレイはしませんの
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パワプロに一途ですわ