転生したから世界一のサイドバック目指す 作:口の端にほっぺが!
今回のセレクションは、パスゲームが中心だった。というか、去年のW杯が終わってからパスサッカーがトレンドになっている。今世も前世と同じくスペインの無敵艦隊が優勝したからだ。ロンドの人数を増やしていったり、逆足を使う、自分と同じ色のビブスを着ている人には返していけないなど、途中で様々な制限をかけたりした。
そして最後にはおなじみの試合練習。8人チームが6つできた。そのうち4つのチームが試合をして、残りの2つがラインを見たりボールを回収したりして回す。
「まずFWは確定でいいよね?。サイドどうしよっか」
8人の中で吉野がとり仕切る。一応各ポジションの人数が均等になるように調整されてはいるが、少し被りも出てくる。それぞれがどこでやりたいか話し合う必要があった。ちなみにGKは時間ごとに交代しながらすることになる。うちのチームには守護神がいないのだ。
今のポジションの内訳はCB、CFがそれぞれ二人。あとはサイドと中盤を決めるだけだ。2-3-2システムにするため、サイド2人に中1人といった感じだ。
「んじゃ、俺が左やるよ。左利きの神谷君が右やって、吉野君は真ん中かな。次の試合はまたポジション変えてみればいいし、良かったらこれでやってみようぜ。ニッシッシ」
青髪の切れ長の目をした少年が結論をまとめた。こいつも漫画キャラのようだが、矢部坂と同じでイケメンという訳では無い。が、笑い方が独特すぎた。
試合後半に誰がGKと変わるかを決めて、一度水分補給のために解散する。すると、先程じっと見ていたせいか青髪───
「さっきじっと見て来たけど、俺が仕切ったのが嫌だったか?」
「いや、そういうわけじゃねえさ」
「そっか、ニッヒッヒッヒ」
おもしれー笑い方。すると渡会はそそっと周りを見て、小声で話しかけてきた。
「でも、感謝した方がいいぜ、WGやれること」
「あん? なんでだ」
「そりゃ、今日きてるスペインの下部組織はWGの選手を1番に欲しいだからよ」
初耳だ。あのスペインだ。中盤は世界最強と言っても過言じゃないほどに才能に溢れている。WGよりも中盤を集めてより切磋琢磨するんじゃないのか?
「いや、逆だと思うぜ。スペインやドイツはWGが足りねえ。強いクラブを作るには海外からいいWGを呼んでくるしかないのさ」
「なるほど、中盤は飽和状態なのか......」
「ああ。吉野君には悪いが、MFじゃまず呼ばれない。得点に絡んだやつの方が選ばれやすい傾向にあるしな。DFも厳しいぜ。日本人は背が低いからな」
先程コーチ陣の会話を耳に挟んだのだという。耳ざといというか、機を見るに敏というか。まあ、いい情報を知れたことに感謝しておこう。
ただ、俺はあまりWGをやってことがない。できない訳では無いが、ボール保持時の1VS1に強い訳では無いのだ。
そろそろ試合が始まる。俺のマッチアップ相手は中学生のようだ。背が高いし体も大きい。
「神谷、サイドの守備頼んだよ」
「おう。任しとけ」
吉野と一言かわしてすぐに試合が始まる。味方ボールで始まった。
俺がすることといえば、サイドで張っておくことだろう。あるいはFWが詰まった時にサポートしたり、守備の時には自陣でSBの仕事に徹したり。
すぐに俺にボールが渡って来た。ボールを持てば、考える暇などない。すぐに突破を仕掛ける。が、向こうも流石で簡単には抜かしてくれない。あまり出てくることも無く、味方のサポートを待っていた。出てくれた方が楽なんだけどな。
左足の裏で相手から離れたところにボールを置いてキープする。中の状況を見れば、2人のFWが最終ラインでスタンバっていた。
まあ、一発目だ。バックパスも印象は悪くなる、と渡会は言っていたし簡単にクロスをあげてみよう。
半歩分ボールをずらし、インスイングのクロスをあげる。2人いるうちの奥のFW。彼が相手DFの手前でコースをずらせば入るボールだ。ただ、ディフェンスラインの前を通るボールなので、相手DFにとっては対応しやすいクロスだ。
さすがに一発目と言うこともあり呼吸は合わなかった。一人目はスルーし、二人目も頭で押し込もうとするが反応が遅れて届かない。
だが、その奥には渡会が駆け込んでいた。滑り込んでボールを押し込む。ネットが揺れた。笛がなる。
「ゴール! 1-0。いいぞ、渡会! それに神谷!」
各々が渡会にタッチしに行く。俺も「ナイス」と声をかければ、ニヒルな笑みで「次もよろしく」と答えた。なるほど賢い選手だ。得点に絡めばコーチ陣の目も引き寄せられる。少し無理して飛び出していたが、相応のリターンを受け取っていた。
その後も試合が続く。基本的にこちらのポゼッションだ。中盤の吉野は適度にパスを散らし、カウンターの際はいち早くフィルターになる。クラブでの俺と役割が被るが、基礎技術が高く守備寄りで堅実なプレーをしている。
左WG、渡会の方は積極的と言うよりプレーが簡単すぎる。2CFのうちの片方に壁プレーをさせたり、鋭い横パスを入れたり、簡単にクロスをあげたり。送り先のことを考えないパスが多いが、彼自身が失うことは少なかった。
俺の方は、積極的に仕掛けようとしている。せっかく中に二人FWがいてスペースがあるのだ。仕掛けなくては損というもの。だが、なかなか思うようには抜けない。2CBであるため、味方のオーバーラップはない。相手2人に囲まれたら戻すか無理クロスかの選択肢しか無かった。
守備時間も少ないため、俺の守備能力が活かされることもない。クロスで決定機を演出するが、コースが絞られているためだんだん読まれてきている。
......うん、次はポジションを下げよう。高い位置だといつもより景色が違くて思うようにプレーができない。
その後は渡会の相手GK-DF間に入れたグラウンダーパスがオウンゴールに繋がり、2-0で10分が終了した。俺はほかのメンバーとも話し合い、次戦の後半からMFに代わってもらうことになった。前半はGKだ。
「結構上手にプレーしてたと思うけど、やりにくかったか?」
「ああ......。WGはやったことがあんま無いんだ。ドリブルで仕掛けるのだってあまり得意じゃない。後ろからクリティカルパスを狙っていくさ」
「そうかい? せっかくクロスも上手かったんだし、無理に仕掛けなくても良かったのにさ」
「かもな。けど、やっぱWGじゃねーわ」
「そっか」
次戦も左WGを任された渡会と言葉を交わしてゴールマウスに向かう。GKは久しぶりだ。一応ルールは知っているが、横っ飛びも飛び出しも一切できない。キャッチはできるので、ザルになることはないと思うが......。
二戦目が始まった。右WGに吉野が入っている。
一戦目と違って押される展開になった。相手は中盤に二人を割いていて、こちらは上手くポゼッションできない。俺の代わりに中盤に入っているのは本職がDFだ。低い位置で背負ってしまっている。
相手シュートの数も多い。勢いこそないが、枠の端っこに飛ばされた時は冷や汗をかいた。何とかかき出したが、GKは初見でなんとかなるポジションじゃない。
味方DFが体を入れて守ったボールを拾い、全体を見渡す。このまま下方からビルドアップしてもショートカウンターを喰らいかねない。WGの二人もFWのふたりも、背負って周りが見えていない中盤からボールを貰えばプレスの餌食になるのは分かりきっているのだ。サポートの動きは無い。フォアザチームではなく利己主義に見えるが、自分の評価を下げないためにはそれが正解だ。
だが、それではチーム全体の評価も下がる。
折角前線に人が残っているのだ。ロングボールを収めて高い位置で起点を作ってもらうことにした。
パントキックはできないので、一旦地面に置いて全員に上がれの指示を出す。相手FWは寄ってくるが、その前にロングフィードを送った。弾道の低い、スピードのあるボール。FWの片方がせって、こぼれ球をもうひとりが追いかける。そこでも再びお団子になった。
「へへっ、もーらい」
「渡会!」
セカンドボールは渡会が拾う。すぐに顔をあげて、彼の名前を呼んだ吉野にパスを出した。裏抜けをしていた吉野に向けてのスルーパス。吉野がふわりと浮いたボールをゴール前にほうった。FWのひとりが触れてゴールに入る。
「0-1! 鴨井のゴール、吉野のアシスト。よくルーズボールを回収できたな」
「「ぅす!」」
戻ってきたDFたちとタッチを交わす。俺の正確なフィードに驚いたようで、「次から全部それでいいだろ」と言われた。
その後五分ほど試合が続いて、ようやく俺がFP*1として合流する。さっきまでMFをしていた選手がGKに入った。ほかのポジションは変わっていない。
変わって入ったGKは、俺の真似をして前線にボールを送る。残念ながら精度を欠き、相手GKに回収された。味方チームはハイプレスをかけずひいて守っているため、すぐに相手ボールがハーフラインを超える。
いつも通り、わざと相手MFをフリーにさせてみる。自分がカットできるギリギリの範囲だ。配給能力の高い方がボールを持って顔を上げた時の一瞬、なにかに気を取られたようにぼーっとしてみるのがコツだ。
パス能力に自信のあるCBは、迷わず付けた。チャンス───と飛び出すが、その直前に渡会がかっさらっている。いい反応だが、手柄を横取りされた気分だ。GKの時から見ていたが、こいつはあまり走らないくせに大事な場面ではちゃんと顔を出す。故に二試合目でも息が切れていなかった。小狡いやつだな。
そのまま俺にボールを落とす。吉野がボールウォッチャーになったDFの隙を見逃さずに背後を狙っていた。スルーパスを出す。尊史に出すよりもだいぶ優しいパスのつもりだ。
吉野はそのままゴール前に持ち込み、冷静に沈めた。すぐに戻ってきて、俺と度会にタッチをする。
「いいスルーパスだったね。サンキュ!」
「いや、こっちこそ。渡会もナイスな」
そういうと、渡会は少し驚いた顔をした。
「......わかってるよな? 俺が手柄横取りしたの」
「あ、無意識じゃねーんだ。じゃあ遠慮なく言うぞ」
その言葉に、渡会は少し身構えたようだった。
「お前は効率よくプレーして評価してもらってるかも知らないが、俺は俺の全力を、そのまま評価してもらう。そっちの方が、本当に俺を欲しいクラブがわかるだろ?」
お前のやり方は否定しないさ。と語末に付け足した。渡会はそれを聞いて可笑しそうに、ヒヒヒと笑う。
「不器用だねえ、数字さえ残せば目をつけられるのに。まあ、いいんじゃね? それでチームが勝ってくれるならさ」
それっきり渡会は離れていく。吉野の方はと言うと、至極納得した顔をしていた。
「勝とう、パワプロ。君が俺に言ったように、俺もパワプロがすごいやつだってのはもう気づいてる。ありのままで選ばれようよ」
「ああ。あいつの言ってることも正しいが、これが俺のプライドだ」
「いいね。好きだよそういうの」
お互いに背中を叩きあってポジションに戻る。試合が再開した。
日常会話よりサッカーの話の方が筆が進む不思議ですわ。
ちなみに、読者の皆様はスマホアプリのパワサカをやってらっしゃいますの?
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ほとんど毎日遊んでいますわ
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コラボとかだけですわ
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昔やってましたの
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パワサカ? それはどんな洋菓子ですの?
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知ってるけどプレイはしませんの
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パワプロに一途ですわ