転生したから世界一のサイドバック目指す   作:口の端にほっぺが!

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決意

ツカサと仲直りしたあと、彼女の部屋に招待された。悩みがあるという話なのだから、聞かせて欲しい、頼って欲しいとの事だった。

 

俺としても、酷くしてしまった分を取り戻したい気持ちがあるから気軽に乗った。なんだかんだツカサは頭がいいから、上手く俺の悩みの本質を見つけてくれるかもしれない。

 

30数年間で初めて女子の部屋に入った。鼻息が荒くなってないか不安なくらいにはいい匂いがする。内装は予想したとおりに簡素だったが、ベッドの枕元にはうさぎやペンギンのぬいぐるみが添えられていた。どんな女子でも枕元に人形があるという都市伝説は、やはり合ってるのかもしれない。

 

「......意外なものを見たって顔してるね」

 

「あー。まあな。でも、違和感は無い」

 

ほら、このうさぎとか可愛いじゃん、とどんな反応をすればいいかわからず適当にうさぎを撫でていると、ぽそりとツカサが呟いた。

 

「恥ずかしいから、あまり他の人には言わないでね......」

 

「そうか?俺はいいと思うけどな」

 

まあ、女心は秋の空。女経験が皆無の俺には逆上がりしたって分からないことだ。ツカサが用意してくれたクッションに腰を下ろし、ミニテーブルを挟んで向かい合う。

 

それで、とツカサが切り出した。

 

「パワプロが悩んでること、私に聞かせてよ」

 

少しつり目な目を優しく緩めて、聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は、悩んでいることを全て話した。時折言葉で表現しにくいものやツカサには言いにくいものも何とか工夫して伝えた。思ったよりスッキリした気がする。

 

海外でサッカーをやってみたいこと。それでも、どうにも踏ん切りがつかないこと。その理由がわからなくて困惑していること───。

 

ここまで言って思ったが、答えはもう出ているようなものだったな。

 

「ツカサは、どう思う?」

 

ツカサの方を見れば、思ったより迷っているようだった。しばらく無言で、彼女は考えをまとめている。

 

5分ほどたって、ツカサは口を開いた。

 

「いつ頃まで、海外にいるつもりなの?」

 

「いつ頃......」

 

そういえば、いつ頃までいればいいんだろう。少なくとも中学三年間は向こうにいることになるだろう。でも高校では?大学は?プロキャリアは?そんな問題がある。

 

「正直に言えば、日本に戻ってきたい。高校サッカーをやってみたいって思いがあるんだ」

 

これは、おそらく未練だ。

 

けれど、俺は高校サッカーをもう一度やってみたかった。1年生で怪我をしてそれっきりになってしまった過去を、克服したい思いがある。前世叶えられなかった高校日本一の夢を叶えたいという未練があるのだ。

 

「なら、高校になったら日本に戻ってくるの?」

 

「ああ。そうする。そうするよ。ここでやりたいことがあるんだ」

 

優柔不断にならないように、はっきりと言葉にする。高校で日本に戻る。それまでの中学三年間は、ヨーロッパでひたすら上を目指す。

 

「うん......うん!わかった、応援するよ。私たちの夢はプロサッカー選手だから。パワプロはヨーロッパで、私は日本で頑張る」

 

「ああ......それで、高校でまた一緒にサッカーをしよう」

 

その言葉に、ツカサは心底嬉しそうに頷いた。俺も、思わず笑みを浮かべてしまう。

 

なんのことは無い。俺は、自分が成功しなかった時のことが怖かったのだ。成功例を見つけても、その影には膨大な失敗例が隠れているのを知っている。挑戦とはリスクを伴うのだ。前世で挫折を経験した俺は、その失敗が怖かったのだ。一歩飛び出すのを恐れていたのだ。

 

俺に必要だったのは、俺を支えてくれる人の後押しだった。

 

ユウは、俺に「失敗した時のことを考えすぎ」だと話してくれた。ツカサと仲直りができた時点で、俺の悩みはほとんど払拭されていたのだ。

 

「ありがとう」

 

思わず言葉にする。ツカサは嬉しそうに

 

「どういたしまして」

 

と返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから俺は心機一転サッカーに邁進した。小4のうちはレギュラーは厳しいかもしれないが、小5のうちには評価を覆してやりたいところだ。そうすれば海外のスカウトの目にも付きやすいし、俺の経験にもなる。

 

同時に、両親に海外の下部組織でプレーしたい旨を伝えた。説得は長いものになると思っていた。何せ、海外の下部組織に入団するには向こうに住まないと行けないし、お金だって馬鹿にならないのだから。

 

しかし、思いのほかすんなりと話が通った。母は、あなたのやりたいことなんだからお金の心配はしなくていいわよ、と微笑んでいた。問題は父の方だと思っていたが、受かってからもう一度言えとのこと。それまで色々と調べたり用意してくれるらしいが、まずはそれだけの実力があるのか知ってから、だそうだ。思ったより理解を得られた。今までの努力は無駄じゃなかったわけだ。

 

ちなみに、塾の時間は変えられなかった。ガッデム。

 

話し合いの結果、俺は自分で下部組織のセレクションを探すことになった。

 

当たり前のことだが、俺の行きたいバルセ○ナのカンテラは、行きたくて行けるような場所では無い。落ちた時にどうするか用意も考えておくべきだ。

 

めぼしいものを見つけておいて、それを受けるというのが当面のタスクになるだろう。

 

ちょうど2ヶ月後の冬休みにバルセロナが日本で強化合宿を開く。カンテラのメンバーと共に、日本で募集したメンバーを練習させるというものだ。出来が良ければ入団の可能性もある。まずはそこで自分のレベルを確認しよう。

 

余談だが、ツカサとの仲が結構深まった。お互いに家に招くようになり、共に勉強したり戦術について理解を深めたりしている。

 

もしかして:幼なじみと交際

 

なんて検索エンジンの画面が頭に浮かんでくるが、あんまり浮かれないようにしている。可愛い子と距離が近いのは嬉しいことだが、まだ小学四年生だ。ナニも知らない年齢で、暇さえあればサッカーをしたいのは2人とも同じだ。

 

まあ、いずれ誰かと付き合いたいとは考えているが、距離の縮め方を俺は知らない。漠然といつか知ることになるのかなとは思っている。うつつを抜かしている暇などないのだ。

 

彼女も彼女で、結構な決意をしているから邪魔もできない。

 

母親───ツカサママが元々プロ選手だったらしく、ツカサも同じように活躍するのを目指しているという。俺と一緒に海外に行くのを断ったのは、ツカサママの母校であるサッカーの強豪校で経験を積みたいからだそう。

 

何となく、俺と近しいものを感じた。

 

それにしても、ツカサママが元々プロ選手だったことに驚いた。確かにすらっとしているし背が高いが、なんだかおっとりとしていて運動している格好が思い浮かばない。

 

まあ、体格的にスピードタイプとして通用しそうではあるから、あまり深く考えないようにした。

 

そういえば、ツカサの両親の出会いはサッカーの試合だったと聞いたことがある。

 

男女混合だと知らなかった当時はケースケホ○ダのようにマネージャーに一目惚れしたのかなと思っていたのだが、試合中に選手同士でノックアウトした可能性もあるのかもしれない。

 

俺は、プロの試合に興味が湧いた。

 

もちろん、不安要素の濃い興味だ。




現在、fifaは未成年の人身売買じみた移籍を無くすために、18歳以下の国際移籍を禁止しておりますわ。

ただ、例外もありますの。

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