【完結】不知火フリルは【おもしれー女】   作:ロウシ

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時期ズレはわざとやってます
二次創作特有のアレです、粗です、申し訳ない


三日月ロック、その3

 

1.

 

 

「ストーカー役の人、この学校の生徒だった」

「マジで?」

「うん、クラスメイトのお兄さん」

「マジかー世間て狭えなぁ」

「ついでに有馬かなも生徒だよ。二年生」

「限界集落かよ! あとでサインもらおうかな……」

「……どうかな、彼女、結構気難しい人だよ」

「と言うと?」

「……観たまんま、かな?」

「公私混同タイプ? 性格的な意味で」

「だいぶ」

「それはそれですごいな」

「ストーカー役の人は普通科の人だから、レインくん知らない?」

「いやあ、見たことねえ。名前なんつーの?」

「星野愛久愛海」

「……ん? 芸名?」

「いや、本名」

「ぶっ飛びすぎでしょ!? アクアマリンて……すげーセンス」

「その反応は違うクラスだね」

「いやあ、同じクラスにそんな名前のヤツいたら、まず忘れられねーよ」

「ちなみに妹は星野瑠美衣」

「そっちもすげーな!? いや一度聞いたら忘れられないインパクトしかないが……」

「すごいよね、名前だけでキャラ立ちしてるもん」

「兄貴の方はそれであの演技できんのか……すげーや、全然名前負けしてねえ……ん? 普通科?」

「そうそう。あんなに良い演技できるのに普通科なの」

「妹さんは? その、るびいさん」

「ルビーは芸能科、というか私のクラスメイトだよ」

「ああ、すまん二度聞きになっちまったや」

「別にいいよ。私もどひゃーってなったし」

「それひっぱるねえ」

「なんか気に入ってる」

「なんか気に入ったかあ」

「アクアさんの方は『今日あま』効果で芸能科でもそこそこ名が通ってるよ」

「まああの演技できてりゃなあ。顔もイケメンだし」

「うん、私もそう思うし。『今日あま』の感想でもほら……」

「どらどら……『あのストーカー役演技めちゃキモくて嫌悪感しかないんだけど、よくよく観るとカオ良くて複雑……』。まあ素直な感想だわな」

「この文章にアクアさんの演技と顔の良さの評価が集約されてるよね」

「顔がいいってだけじゃ、主演陣もそうだもんな」

「いつか共演するかも」

「割と近いんじゃね? 有馬かなに負けない存在感て、プロデューサーとか監督とかが放って置かないんじゃないの? 知らんけど」

「ぶっちゃけ楽しみが増えた」

「そらよーござんしたね」

「でね、アクアさん今度『今ガチ』に出るそうなの」

「『今ガチ』?」

「『今からガチ恋始めます』だよ。ジャンルとしては恋愛リアリティーショーになるかな」

「なんてアタマの悪いタイトルなんだ……」

「そう? でも、番組の方向性はわかりやすいでしょ」

「確かに。あれでしょ? 歳の近い男女が集まって番組内でカップリング組む系」

「そうそれ。なんだ、知ってるのね」

「昔っからあるじゃん、その手の番組。むしろまだやってることにびっくりだよ」

「『今ガチ』はプロデューサーのセンスが良いの」

「ほーん、どういう方向で?」

「簡単に言うとイケメンと美女のパラダイスでめっちゃ目の保養になる」

「……不知火さんてさあ、意外とめんくいだよね」

「そう? 顔が良い人が嫌いな人なんていないでしょ?」

「顔がめちゃくちゃ良い人が言うと謎の説得力があるなあ、それ」

「とりあえず観るだけで視力回復するレベルなんだよね。全国の眼科の待合室で流すべきだと思う」

「言うこといちいち面白いなあほんと」

「と言うわけでレインくんも観てね、感想待ってるから」

「強制!? なんか宿題みたいに言われると観る気無くすなあ」

「まあまあ、夏休みの読書感想文だと思って」

「それ一番サボりたくなるやつじゃん!? はあ、わかりましたよ。とりあえず第一回は観てみるわ」

「わくわくしてる」

「番組にだよね……?」

「ふふ」

 

 

2.

 

 

「めっちゃ良かったわ」

「どや」

「いや、マジでイケメンと美女のパラダイスじゃん」

「誰か知ってる人いたり?」

「MEMちょしか知らん」

「ユーチューバーの? 目の付け所がいいね」

「いやあ、普段飯食う時ユーチューブは流すから……可愛いよねMEMちょ」

「わかる。普段は動画で何やっても飄々としてるから、めちゃくちゃ口説かれて乙女顔して欲しい。愛を浴びてボロ泣きとかしてくれたら最高だよね」

「あ、なんかこれおれより重いヤツやん」

「知らない人の中だと、誰が好みだった?」

「アクアくん抜き?」

「とりあえずアクアさん抜き」

「そうだなあ、男ならノブユキかなあ」

「なんかわかる……かも。サッパリしてて、話してて面白そうだもんね」

「ダンサーって言ってるし、スポーツマンタイプっぽいよな。この手の番組で爽やか系って珍しい印象あるわ」

「全員同じタイプだったらショーとして機能しにくいし、さすが鏑木Pの選抜だよね」

「あれ? 『今日あま』の人なの?」

「そうだよ。だから、たぶんそこ繋がりでアクアさん出てるんだと思う」

「出演者顔合わせのアレって、アクアくん素なんかね?」

「作ってると思うよ、メディア用に」

「……改めてなんで普通科通ってんだ?」

「まあ、色々事情があるんだろうね」

「とりま視聴は継続するわ、思ってたよりだいぶ面白い」

「ふふ、そう言ってくれると紹介した甲斐がある」

 

 

3.

 

 

「え? あれ台本ないの?」

「うん。ディレクターからの話や回ごとのお題はあるけど、出演者の会話ややってることは自由なはず」

「自由演技ってヤツ? ほぼアドリブなワケね」

「大筋自体は決まってるし、話が進まない時は番組側が盛り立てて意図してカップリングするけど、だいたいは出演者まかせになるよ」

「ほー……つまり、この程度のアドリブをやりきれなきゃ、どのみちあの業界で先はねえってことか」

「半分ぐらいはそう言うことかな?」

「いや、疑問系で答えられても困惑するんだが……」

「私は出たことないもん」

「出るまでもないってこと?」

「やれるならやってみたい気もする?」

「聞くな聞くな。おれに言われても知らんがな」

「でも、目の保養を通り越して、イケメン美女の過剰供給もつらいかな」

「そういう視点で辛いのね。てかそういう風に望むのって不純なのでは……?」

「そうでもないよ。実際、番組内でグループ分かれてきてるし」

「あー、確かにカメラがメインで追ってるの、だいぶ露骨だもんなあ」

「ゆきさんすごいよね、気づいたらするっと輪の中心に入っちゃうし。MEMちょはあえて一歩引いてる感ある」

「わかるわー。なんていうか品定め? してる感あるというか、MEMちょパス上手いんだけど、あえてメインになってない立ち回りしてるっていうか……」

「男性陣ももっとグイグイいけって思うよね。私だったらもう押し倒してる」

「それは流石にやりすぎだよぉ!? 仮にもショーなんだから視聴者じゃなくて事務所がびっくりしちゃう案件になっちゃうよ!?」

「でも、MEMちょが私に押し倒されてるの観たくない?」

「……観たい」

「……レインくんて割とえっちだよね」

「おれも健全な男子高校生ですからね。ってスター相手に何言ってんだおれは」

「いいんじゃない? 私も健全な女子高生だよ?」

「────え?」

「──ふふ、今"ドキッ!"としたでしょ」

「……うまいなぁ、不知火さんは。いや、ほんと、レベルがちげーや」

「そこそこいいセンいってるでしょ?」

「いやあ、いいセンどころか、強すぎて全員食っちまうよ、これじゃ」

「強すぎて出禁てこと? 待ちガイルみたいな……」

「普通の女子高生が待ちガイル知ってるかなあ?」

 

 

4.

 

 

「クソほど炎上してんだけど……」

「うん、びっくりしてる」

「え? これ大丈夫なん?」

「番組の方でフォローしてくれるとは思うけど……」

「確証はないのね」

「……うん」

「まいったなぁ、結構楽しく観てただけにショックがでけえや」

「……黒川さんの気持ちもわかるんだけどね」

「あれ、狙ってたワケじゃないでしょ、たぶん」

「狙ってやってるならもう降ろされてるよ。ファッションモデルの顔に傷は洒落になってない」

「不知火さんの視点でそれなら、マジで洒落になってないんだろうね」

「うん……でも、私たちにできることって、何もないから……」

「そうだなあ。今ネットなりに黒川さんの庇護意見でも書こうものならまとめて袋叩きだわ」

「…………」

「やるせねえよなあ、こういうの」

「……ごめん」

「なんで不知火さんが謝んのよ」

「勧めたの私だし」

「でも、観てハマったのはおれだし」

「……うん」

「まあ、なるようにしかならねえよ」

「なんか、実感こもってるね」

「……まあ、ね」

 

 

5.

 

 

「動画めっっっっちゃ良かったんだけど」

「私も右に同じ。ていうかレインくんSNSとかやってるんだ」

「ユーチューブに転載されたヤツ観たのよ」

「ああ、なるほど」

「いやメンバーめっっっちゃ仲いいじゃん!」

「レインくんて素直だよね」

「そう心掛けてるからね」

「ふうん」

「とにかく、これで黒川さん叩いてた人らもだいぶ溜飲下がったんじゃねえの?」

「どうかな? 振り上げた拳をおろせない人も結構いると思うし」

「ちんけなプライド持ってるヤツほどそうだよなあ」

「でも、本当に良かった」

「おれもそう思う。やっぱ色んな人が集まってんなら、わちゃわちゃ仲いい方が観てて楽しいしさ」

「結果的にだけど注目度すごい上がってるからね。視聴率もすごい取れてると思う。SNSのトレンドもしばらく『今ガチ』関連が総なめしてたし」

「…………」

「なに?」

「……いや、不知火さんて、やっぱプロだよなあって」

「うん。今回は大炎上しちゃったけど、恋愛リアリティーショーって視聴者がこういう乱高下を望んでる番組だし、一概に悪く言えないんだよね」

「でも、不知火フリル個人としては?」

「正直辛いからやめて欲しい」

「だよね」

 

 

6.

 

 

「黒川さんてバケモンか何かで?」

「手のひら返しの分類がおもしろ……おかしくない?」

「今面白いって言おうとしただろ! いや、なんか復帰直後からいきなり大スターになってんだけど、ロボトミーでもしたんかこれ?」

「洒落になってないよ、そのギャグは。この豹変は、黒川さんが本気で演技し始めたってこと」

「え? 元々すげー人なの?」

「うん。黒川さん元々テレビじゃなくて舞台の人なの。劇団ララライって一流どころの」

「あー、舞台の人が無理やりテレビに出ちゃってたのね。そら勝手が違って当然だわな」

「……わかるの?」

「まあ、なんとなくは。だってお客さんの距離からして違うし。テレビ映えと舞台映えって全然違うでしょ」

「……ねえ」

「うん? どしたん不知火さん」

「レインくんて、芸能界に知り合いがいたりする?」

「…………いや、いないよ。なんで?」

「その、時々すごく鋭い意見を出すから」

「……いないよ、今は」

「今は……?」

「それより『今ガチ』! ゆきユキ中心だったけど、こっから爆速でアクあか人気がぶち上がってくると思うんだけど、どうよ!?」

「それ、たぶん視聴者の一〇〇人に九九人が同じことを思ってるよ」

「ああーこりゃ完全にMEMちょは蚊帳の外かなあ」

「まあそう言うところも推せるんだけどね」

「わかるー! こう、端役だけどいなきゃダメ、ってポジションよね、MEMちょ」

「伊達にユーチューバーじゃないよね。その瞬間に自分が画面にどう映るべきか弁えてる」

「というか生き残って欲しいわ」

「推すよねーレインくん」

「いや、MEMちょ以外の人気になったおれの推しのユーチューバー、ことごとくネットで燃えカスにされてて残ってないんだよね……」

「……それは御愁傷様というか、うん、ごめん」

「謝るなよぉ、おれが推すと燃えるジンクスできてるみたいでイヤなんだよぉ!」

「……ちなみに私は推してる?」

「不知火フリルはおれ如きが推すまでもないでしょ」

「…………」

「……ん? どしたよ?」

「もう休み時間終わるね、それじゃまたね、レインくん」

「……んん? どういうこと?」

 

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