東方空高下界 〜リキエルとヴェルサスが幻想入り〜   作:バームクーヘン

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どうも。 第2話です。
リキエルが幻想郷に来るまでの経緯は、完全に自分が考えた捏造となっています。ご了承ください。



第2話 再会、その記憶

ヴェルサスは確信した。この男を、確実に知っている。そして何より、自分と血のつながりがある者だということも掴んだ。

こちらが近付いてくる音に気が付いたのか、男は警戒するように振り向く。さっと確認すると、信じられない、というべきの、驚きの表情を浮かべた。

 

ヴェルサス「...リキエル!」

 

リキエル「ヴェルサス!」

 

腹違いの兄弟は、今ここで再会した。

リキエル「お前がどうしてここに!?神父はどうした!?きちんと守れたのか!?」

 

ヴェルサス「俺だって知らねぇよ!!神父には捨て駒にされた!そして気づいたらここに居たんだ!」

 

二人はお互いの顔を向けて、驚き合う。2人は《とある共通の1人の父親》の子供、異母兄弟である。元々全く違う人生を歩んでいたが、事故に巻き込まれた事により、神父の元に引き寄せられた。彼の目的の達成をサポートするため、空条徐倫達と戦っていた。

 

お互いに聞きたいことは大量にあるが、今は押さえ込み、これからに必要な事を聞こうとした。

 

ヴェルサス「お前は既に、この森に来ていたのか?」

リキエル「ああ。とはいえ、多分来てから1日も経ってない。」

 

焚き火を焚いていたのは、この森でサバイバルをしているためであった。

リキエルは自分と同じように突然ここに放り込まれ、自分が見つけるまでは一人過ごしていたのだろう。

 ヴェルサスは、少しだけリキエルの事が気の毒になった。

 

ヴェルサス「俺はついさっき、目覚めたらここにいたんだが、お前はここに来るまでの事を覚えていないのか?」

自分が死んだ人間であることは、とても信じられたものではないが、なんとか今は受け入れている。だが、生き返って知らない土地にいるのは、もう流石に受け入れられない。

 

リキエルは、ヴェルサスのことを真っ直ぐ見つめている。アイコンタクトを図ろうとしているのではない、自分の頭の中を整理し、それを伝えようとする準備である。ただ、その表情は固く、口に出すことを渋っているようだった。再度ヴェルサスを見つめ直し、口を開き、自分の記憶を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空条徐倫達との戦闘に敗北した後、次に目を覚ました場所は、病院のベッドの上だった。顔面にエルメェスの拳を叩き込まれ、自分はもう死んでいたのではないかと思ったが、誰かが発見してくれたのだろうか。

リキエルは、自分を救ってくれた誰かの心意気に敬意を表し、重傷を負っているが、自分を生かしてくれた天に感謝を送った。

 

「生き残ったのか...俺は..!」

胸にあったのは、ただひたすらの「希望」だった。

神父にはもちろん、自分の能力を目覚めさせ、精神成長のための、戦いの場を与えてくれた恩があり、感謝している。だが、骨の髄まで神父に忠誠を誓っているわけではない。自分の人生は自分で進めていく。神父の示した道に向かっていくのは、自分のプライドが許さず、御免だった。

自分は、晴れて《自由》になったと、確信した。

これからの人生には、自分の道のりを阻む障壁も、横から足を引っかけ、罵倒をしてくるような害悪なものもない。ごく一部の者だけがもつ特殊能力、スタンドも手に入れた。パニックの症状も、戦闘がきっかけで軽くなっている。

ここから、自分の人生はスタートする。最高のスタートダッシュで、最高のスピードで、どこへでも行ける。何でもできる。誰とでも問題なく話せる。

喜びが体中を駆け巡り、気分は空へ浮かび上がったように軽かった。

 

しかし、《世界》の方に異変が起きたのは、入院してから間もなくのことだった。

新月の日の夜だった。病室内の掛け時計が、少し進んでいるのに気が付いた

「ん…?時計が進んでるぜ。こりゃ、看護師に伝えなきゃな。」

リキエルは看護師を呼び、時計を正しい時刻に直してもらうように言った。

 

しかし、帰ってきたのは、自分の想定通りのものではなかった。

「あの時計は進んでいませんよ。定刻通り19時30分です。」

「いえ、そんなはずは…ほら、枕元の電波時計だって…」

その電波時計は、掛け時計と同じように、進み、ズレが生じていた。

(時計が2個もブッ壊れるなんてよ、、、、何か奇妙だぜ)

 

リキエルは程なくして、《異変》に気が付いた。電波時計の秒刻が、人がカウンターをカチカチと押すように、《はるかに速く進んでいた》。

(本当に時計が壊れたのか…?時計だけの問題ではないような気がする)

周囲を見渡してみると、次々と違和感を感じるものが現れた。

点滴の投薬のスピードが上がり、蛇口を捻ったみたいに流れていた。 ベッドのシーツがあっという間に汚れてボロボロになった。窓の外を見ると、雲が無理に押し出されるようにして、すごい速さで移動していた。

おかしい。何かがおかしい。異変が起きていることには気が付いていた。その正体をつかむことはできなかった。

戸惑っていると、建物にも変化が起きてきた。天井や壁が急速にボロボロになった。けがは治っていないのに、勝手に包帯が体から剥がれた。

そして、夜が明けていた。

 

「なんだこれはッ!ここで何が起こっているんだ!?」

今度は日が落ちた。すると、息をつく暇もなく

再び太陽が昇ってきた。日が落ちた。日が昇ってきた。日が落ち、昇る。日が落ち、昇る。日が落ち、昇る…

何が起こっているのか、さっぱり分からなくなった。

 

「なんだかよく分からねえが、コイツはヤバいッ!!」

辺りが突然、宇宙空間のようになっている事に気付いた。

 

「ここは!?宇宙空間!?」

 

自分の置かれている状況が、どんどん現実離れしたものになり、ひどく混乱した。

服が剥げ、生まれたままの姿になり、宙に放り出されるような感じになった。

裸で宇宙空間を漂うという、常軌を逸した状況に置かれて、深い絶望を感じた。

 

「チクショオォォォ 俺の人生はこれからだったのに、無理やり終わらせられるのかよォォォ」

 

おもちゃを取り上げられた子供のように、半ばゴネるようにして怒っていた。

少し前に、渦を巻くブラックホールのようなものがあり、人々がそこに吸い込まれていく。その規模から見るに、世界中でこの現象が起こっていると確信した。

だが、自分はその大穴に入ることはなかった。突然進む軌道を変え、遠ざかり始めた。

自分が吸い込まれていったのは、模型のように小さく見える、絶海の孤島のような場所だった。」

 

「うわあああああああーッッッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リキエル「って訳だ。つまり、訳が分からねえままここに来た。」

「…そうか。それは災難だったな。」

ヴェルサスは嫉妬と同情の目を浮かべながら話を聞いていた。

 

自分が死んだ時は、最後まで幸福にしがみつこうとしていた。最後までそれを望み、掴もうとしたが、あと一歩のところで逃した。惨めで不幸な人生だったと思っている。しかし、腹違いの兄弟は、死の直前まで幸福を掴んでいられた。それは、客観的なものではなく、自分自身が決めた、()()()()であり、自分が見失っていた、一番欲していたものだった。ヴェルサスは、それを妬ましく思っていた。

 

だが一方で、すんでのところで幸せを取り上げられた、という境遇は同じだった。それに対しては同情していた。

 

ヴェルサス「お前、これからどうするんだ?このまま森の中でずっとサバイバルってわけにもいかないだろう。」

リキエル「それもそうだな。次の朝には、この森から出るつもりだ。」

「そして、俺は戦う。」

 

ヴェルサス「…戦う?」

妙に引っかかる一言だった。

 

リキエル「俺も、お前も、ここに来たのは運命だ。わざわざ神父の支配から逃してくれたのも、俺たちが今ここで再会できたのも、運命なんだ。これから、俺たちには、これからの道を阻むようなものが現れるかもしれない。もちろん、それも運命のうちの一つなんだ。俺は、運命との戦いに勝ち、また前に進み始めることで、《精神の成長》に繋がると思っている。」

 

リキエル独自の精神論を黙々と聞いていたヴェルサスは、自分の中に、何かが芽生えた気がした。今は説明することのできない、自分でも驚く、強大なものだ。

()()()()()()。今後の自分達に、深く関わってくるような気がした。

 

今の自分に必要なものは何か、考えてみた。

先へ進もうとする《意思》や、どんな事が待ち受けていようとも、それを乗り越えるための《覚悟》も要る。

そして何より、自分を支え、押し上げてくれる仲間が必要だった。今まで人に裏切られ続け、それで人から隠れるようにして生きてきた。だから、今の自分がこのような考えを持つのに驚いている。しかし同時に、自分自身の()()()()()を感じていた。リキエルの言っていたものは、これだったのか。かけがえのないもので、必死に追い求めようとするのが、理解できた。

一切躊躇わず、自分の思いを口にした。

 

「リキエル、これからここで過ごし、幸せを掴むためには、仲間が必要だと俺は思っている。

だから、お前が必要だ。二人で成長して、運命と戦って、幸せを掴むんだ。」

 

リキエルは、今まで見た事のない程、驚いている。しかしすぐに表情が柔らかくなり、安心して、嬉しそうな顔になった。

 

「二人で協力して生きるぞ。絶対に幸せになるんだ!」

 

リキエルは一息もつかせずに、返事を返した。

 

「もちろんだ、ヴェルサス。お前のその“上昇志向”、これから幸せを掴むために必要なものになるだろう。」

 

二人はそれ以上、お互いの事を褒めたり、固い握手をしようともしなかった。ただこうやって話しているだけで、互いの心が通じ合う気がした。

神父の元に集められた時はあまり感じていなかったが、腹違いだろうが、自分たちは、血の繋がった、確かな兄弟なのだ。今、それをこれまでで一番強く感じている。

2人は、共に幸せを掴むため、()()と戦っていくことを決めた。

 

 

お互いの顔が炎の光で照らされていた。はるか頭上からは、月明かりと星々の輝きが、二人を見守っているようだった。




口調や行動など、なるべく原作のに近づけられるように、後は文章のボリュームを増やせるよう、頑張りました。
次回、第3話「幻想郷の賢者」
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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