東方空高下界 〜リキエルとヴェルサスが幻想入り〜   作:バームクーヘン

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どうも、第8話です。
ほぼ日常回です。
分かりやすさ・作者の文章力欠如により、セリフの前に人名をつけています。試験的なものです。


紅霧異変
第8話 空が紅く染まる時


慧音に連れられて、ついに夢のマイホームに到着した。

人里からおよそ10分ほど。博麗神社からも近く、普通の人間が過ごしていくには、十分過ぎる好条件だった。

 

ヴェルサス「こいつか...俺たちの家ってのはよお...」

リキエル「....まさかここに来てようやくマイホームを手に入れられるなんて、思ってもみなかったぜ。」

 

人里のものと比べ、若干こぢんまりとしたものだが、タダ同然で家が手に入るのならば、十分である。

 

慧音「前に住んでいた住人が別の地域に越したので、空いたんです。」

  「では、ここで大丈夫ですね?定住地になります。」

 

ヴェルサス・リキエル「もちろん。」

 

「幸せを掴む」という願望を、少しずつ掴み始め、意気揚々とする2人。しかし、そんな2人の気持ちの高ぶりは、慧音の一言ですぐに鳴りを潜めた。

 

慧音「しかしながら、一つだけ言っておきますよ。私たちは、あなたたちの支援を、完全な慈悲の心で行っています。これをいつまでも続けていても、お互いに苦しいでしょう。」

「あなた達が自立していくため、後1か月ほどで、金銭・食料などの支援は、断ち切らせていただきますね。」

 

ヴェルサス「…は?」

リキエル「ちょっ、ちょっと待ってください慧音さん...。」

 

とたんに焦り、不安の感情が顔に浮き出てくる2人。忘れ物をしてきたまま、出かけてしまったことに気付いたような、冷えついた感触だった。

 

慧音「もちろん、私としては、あなた達がこの幻想郷で、末永く暮らしていけるように願っています。しかしながら、幻想郷は、あなた達が思っている以上に、残忍な側面も持ち合わせています。だからこそ、お2人には早くから自立し、幸せな生活を送ってほしいと思い、この方法をとりました。」

 

目先の事につられてしまったが故の、引き返せない決定。

 

リキエル「…分かりました」

ヴェルサス「はい。」

 

ぐうの音も出ない正論に押され、2人は、自立の宣言をした。2人で力を合わせ、何とかして生活を送っていくしかない。

 

慧音「お2人なら、力を合わせればきっとうまくやっていけると思いますよ。能力も持っているようだし...

  「それでは、また人里で会いましょう。」

 

爽やかな笑顔で、2人の住居を後にしていった。

    

 

 

 

ヴェルサス「で、どうするよ。1か月後にはきちんと稼いで行く必要があるが。」

リキエル「参ったな。手持ちの金も0だ。」

 

後先構わず返事をしてしまったが、冷静に考えてみると、何も持っていない状態で稼いでいくのは、かなりの悪条件だった。口車にうまく乗せられたのか、自分たちの判断の誤りだったのか、そんなのは考えてもどうしようもない。

 

リキエル「お前、あっちでの職業は?何か資格とか持ってなかったのか?」

 

ヴェルサス「特にこれといった職には就いてなかった。」

 

リキエル「嘘だろお前。」

 

ヴェルサス「じゃあそういうお前はどうなんだ?」

 

リキエル「何もしてない。暴走族に入って過ごしてたからな。」

 

ヴェルサス「…お前なあ。」

 

”2人の若者が成人を迎えていたのだとさ。

1人は定職に就かなかった。1人は希望を捨てていた。”

 

リキエル「俺たち、今の所家以外は何も無いのか。」

 

ヴェルサス「ある意味では無敵だな。」

 

この状況を打開すべく、顔なじみのある人物に会いに行った。

 

 

 

 

 

霊夢「…で、うちに何かしらの仕事を求めてきたわけね。」

 

2人が訪れたのは、博麗神社だった。

 

今から約80年前に、世界規模の恐慌が起きたらしい。自分たちがそれと同じ状況に陥るとは、まるで思っていなかったのだが。

 

ヴェルサス「頼む!この通りだ!何か仕事をくれ!なんでもする!そして報酬を俺たちに与えてくれ!」

リキエル「あと1か月もしたら、俺たちの家がなくなっちまうかもしれないんだぞ!?どうにかしてくれないのか!?」

 

今はプライドも恥も捨て、たった1回顔を合わせただけの知人に仕事をもらう事だけに、全力を注いでいた。

 

霊夢「あなた達は、とにかく報酬を得るために仕事をしたい、って言ってるのよね。うちも立地が立地だから、中々参拝客が来なくてかなりギリギリの生活のなのよ。だから、報酬を払える余裕なんてないわ。」

 

ヴェルサス「そこをなんとかしてくれ!」

リキエル「頼む!」

 

それでも引くわけにはいかず、必死に頼み込む2人。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()

視線を感じる。前方の呆れと驚きが入り混じった視線ではなく、後ろの方からの、戸惑いしかない視線の方が強かった。

 

「男2人を土下座させてるのか…?霊夢...。お前にそんな趣味があったとは、これで初めて知ったぜ。」

 

霊夢「そんなもの無いわよ。こいつらが一方的に頼み込んできただけ。」

 

「良ければ、私も参加してやってもいいぜ!」

 

2人が振り向いた先に見たのは、ヴェルサスが、スタンド能力を見せた際に、「アンダー・ワールド」で掘り起こした、あの少女だった。

 

ヴェルサス「確か...霧雨魔理沙とか言ったか?」

 

魔理沙は目を丸くした。

 

魔理沙「私の名前を知ってるのか!話が早いな、助かるぜ!」

    「で、お前たちはどういう奴らだ?」

 

リキエル「リキエルだ。」

ヴェルサス「ヴェルサスだ。」

 

霊夢「牛柄の服着てるのがリキエル、金髪の方がヴェルサスね。」

 

魔理沙「なるほど、金髪に牛か。これからよろしくな!」

 

リキエル「認識がねじ曲がってないか?」

 

不本意なあだ名をつけられたことには若干戸惑いつつ、何も気にする事無く、魔理沙は話を切り出した。

 

「いや~、しばらく放っておいたら、最近はうちの周りが雑草とかでいっぱいになってさ、霊夢にも手伝ってもらおうと思ってたんだ!」

 

霊夢「いやいや、今の話聞いたら大体わかるでしょ。私はこいつらを追い払うことに忙しいの。1人でやるか、誰かを探してみたら?」

 

魔理沙「頼むぜ霊夢!お前にしかできない()事なんだよ!」

 

瞬間、魔理沙の言葉で、リキエルとヴェルサスの目の色が変わり、一直線に魔理沙に近づいた。

 

リキエル「仕事!?今仕事って言ったのか!?頼む!俺たちにやらせてくれ!」

 

魔理沙「よほど求職中なんだな…そこまで言うなら、そうしてやらんでもないぜ。」

 

あまりの貪欲さに、若干だが、魔理沙も引いていた。

 

 

 

 

魔理沙に連れられ、やってきたのは、「霧雨魔法店」の辺り周辺だった。

 

魔理沙「今から牛柄と金髪には、ここいら一帯の掃除をしてもらうぜ。雑草駆除とか、伸びた木の伐採とかな。」

 

ヴェルサス「金髪は俺で、牛柄はリキエルだ。いい加減に名前を覚えたらどうだ。」

 

魔理沙「細かいことはいいんだよ。こういう時は、”勢い”だぜ!」

 

リキエル「あのなぁ...。」

 

魔理沙の真面目なのかふざけているのか分からないテンションの中、3人は各々の作業を始めた。

 

ヴェルサス「まずは雑草駆除から行くか。俺の能力だって、ここで役立つ時だ。アンダー・ワールド!」

 

出現したアンダー・ワールドは、「地面を掘り起こす」動作を利用し、通常よりもはるかに速いスピードで雑草を抜いていく。パワーやスピードは、通常の人型スタンドに劣ってしまうが、穴を掘る動作は速い。

 

リキエル「あいつ、スタンドを使って作業してるのか。そんなのありかよ?」

    「俺も負けていられないぜ!スカイハイ!」

 

負けじと、リキエルもスタンドを発動し、ロッズを呼び出した。

 

リキエル「役に立つかは分からないが...!」

 

ロッズたちは雑草の方へ向かい雑草を通り抜け、辺りに散らした...かと思われたが、実際は1まとまりにしただけだった。

 

自分には見えない何かを操り、効率よく作業を進めていく2人に、魔理沙は興味を持っていた。

すぐさま作業中の2人に駆け寄り、声をかけた。

 

魔理沙「”スタンド”とか言ってたな。それが2人の能力なのか?」

 

リキエル「そういうことになるぜ。お前たちとはちょっぴり違うみたいだがな。」

 

リキエルは、簡潔にスタンドについて説明した。

 

魔理沙「なるほど…体温を奪う能力と、地面の記憶を掘り起こす能力だな。だが、私の能力の方が、華やかさと威力には優れていると思うぜ!」

   「なんせ、私の能力は、”魔法を扱う程度の能力”だからな!」

 

魔理沙が辺りを見回し、何かに気付いたような表情をした。

 

魔理沙「そうだ!この邪魔になってる木を、八卦炉でまとめて片付ければ良いんだ!」

 

ヴェルサス「…じゃあなんで俺たちはチマチマやってたんだよ。」

リキエル「俺たちがここに来た意味、あったのか?」

 

魔理沙の妙案に、自分たちの存在を疑わざるを得ない2人だった。

 

 

 

 

 

2人は距離を取り、魔理沙の魔法を見ようとしていた。

 

リキエル「準備できたか?魔理沙。」

ヴェルサス「ミスはするなよ。俺たちが危ないからな。」

 

魔理沙「分かってるって!だいぶパワーは抑えるつもりだぜ!」

 

既に八卦炉に魔力を貯め、撃つ姿勢に入っている。漫画やアニメで見たレーザー砲のように、青白い光が漏れ出ていた。

 

魔理沙「準備はできたぜ!!」

 

   「恋符 マスタースパーク!!!」

 

技名のようなものを叫んだ瞬間、そのあまりの勢いと威力に、辺り一帯が強い光に包まれた。

 

しばらくたった後に、目の前には、向こうの山が見えるほど、開けた景色が広がっていた。

 

リキエル「おい、こんな景色なんてここで見たか?」

ヴェルサス「くり貫かれたみたいに、円状に広がっているな。…あ。」

 

2人が察し、魔理沙の方をちらりと見た。

 

魔理沙「あ、あはは...まま、まあ、これが私の実力だぜ!思い知ったか!」

 

空元気のような言葉を発した魔理沙。明らかに表情に焦りが出ていた。

 

ヴェルサス「全く、頼りになるんだかならねえんだか。」

 

 

 

 

細かい箇所の清掃を終え、博麗神社に戻ってきた2人。

 

リキエル「お前、もうちょっと精密な魔法を勉強したらどうだ?」

 

魔理沙「余計なお世話だぜ!うちは火力一本でいくんだよ!」

 

たわいもない話を続けていた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()それは、霊夢が黙って空を見ていたことからも、はっきりと分かった。

 

霊夢のもとに、真っ先に駆け寄ったのは魔理沙だった。

 

魔理沙「霊夢、これって...!」

 

そのまま空を見つめながら、霊夢が言う。

 

霊夢「ええ。これは異変よ。こんなに空が紅くなることなんて、普通じゃありえないものね。」

 

3人は空を見つめた。

 

空は、赤い霧で覆われていて、真っ赤に染まっていた。

 

魔理沙と霊夢のもとに、すぐさま残った2人も続いた。

 

ヴェルサス「とにかく、俺たちも一緒について行って、異変解決をすればいいって話だよな?」

はっきり言って自信がある訳ではないが、もう行くしかないと覚悟を決めた男。

 

リキエル「この前の約束もあるしな。同行させてもらうぜ。」

仁義を守ろうとする、正義感の強い面を持った男。

 

魔理沙「私を忘れてくれるなよ。ちょうど試してみたいまほうがあったんだ。」

戦闘を楽しむことのできる。非常に稀有な努力家の少女。

 

霊夢とともに、異変を解決すべく動こうとしている3人。

 

霊夢「あんたら...よし、覚悟はできたわね。」

怠惰な面もあるが、博麗の巫女としての自覚を強く持つ少女。

 

4人は視線を交わし合い、深く頷いた。

 

霊夢「行くわよ!」

 

”紅い霧の異変”を解決すべく、4人は紅い屋敷へと向かっていくのだった。

 




異変発生です。
次回予告は、タイトルに縛られてしまう可能性が出てきたので、今回から無しです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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