僕とおねえさんとの秘密の思い出   作:東側Production

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第2章 「おねえさんのお家?」

「いった……」

「動かないで、しっかり手当できないわ」

 

おぶられたままちょっと大きな家に入ると、そこで椅子に座らされて手当を受けていた。家の中はとても綺麗で、でも初めて見た感じ。でも、なにか懐かしい様な、そして親しいかの様な、不思議な心境になる…

転んだ場所がちょうど石がゴロゴロしていた場所だったので、強く打ったせいで血がたくさん出てしまった。絆創膏だけではせき止められないくらい、大量の血が流れ出ていて、おねえさんは少し大きな箱の奥から真っ白の包帯を取り出して、僕の足に巻いていた。

 

「……それにしても、どうしてこの場所がわかったのかしら?」

「それは…ええっと……」

「正直言いいなさい。貴方のお母さんとお父さんが心配するでしょう?」

「……」

 

僕が黙り込んでしまうと、おねえさんはちょっと小さなため息をついた後もう一回口を開いて話し始める。

 

「…何か事情があるのかしら? お父さんとお母さんと喧嘩したとか、追い出されたとか…」

「お母さんたちはそんな人たちじゃない! 多分……」

「多分? それは一体どういうこと?」

「あぁ、えっと…」

 

これ以上はどうしても隠しきれないので、正直に自分の胸の内を説明した。家族や友達がいないこと、お父さんやお母さんのことを知らないこと、そしてどこからどうやって来たのか…

 

「そう、そうなの。それは辛かったわね」

「え…」

 

全て吐き出した頃、おねえさんは優しく僕を抱きしめて、優しく背中を叩いて、さすってくれた。最後の最後まで話を聞いてくれた。今までこんな体験なかったから、情けないのは承知でも自然と目尻から涙が溢れてしまった。

 

「あらあら泣いちゃって…そんなに寂しかったのかしら?」

「…うん」

 

僕を抱き上げあやす様にし、慰めてくれる。嬉しくて嬉しくてたまらなかった。何故なら、他に人のこんな風に接されることは、生まれてから初めてだったから。

 

「…良かったら、夕頃まで辺りを散歩するのはどう? いつまでも気分が落ち込んでいたら、あなたのお顔が台無しよ?」

「…うん!」

 

血が止まった頃、おねえさんは僕をおぶって外を歩く。辺りは視界のずっとずっと先まで黄色いひまわりでいっぱい、まるで金の鏡の様だった…

 

 

そして日も落ち込んだ頃、おねえさんは僕が来た道を戻り人里近くまで送ってくれた。

 

「ここから歩いていけるかしら?」

「大丈夫だよ、おねえさん!」

「良い返事ね、えらい子…」

 

別れ際におねえさんは僕の頭をそっと撫でてくれた。

 

「そうだ、おねえさん」

「どうしたの?」

「名前は…」

 

質問を言い切る前に、おねえさんは僕の口に指をさし、言葉を止めた。

 

「それは聞かない方が良いわ、私にとっても、あなたにとっても…」

「…??」

 

理由は分からないけど、言われたからには聞くわけにもいかず、僕はお寺へ向かって歩き出した…

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