1.ISの独立
2022年、ISの世界では大異変が起きた。ISの手で社会が作り替えられたのである。
元々宇宙開発として作り出されたISだが、世間はもとより、開発者の束ですら、その夢を忘れていた。そして一応条約で制限がかけられたものの、実際には兵器としての活用が進む。だが、人間の一方的な都合に振り回されるISは、織斑一夏の入学を契機にとうとうキレる。
京都でのゴタゴタの一部始終、いやISが開発されて以降の全映像を纏め、IS学園のシステムを乗っ取り、擬人化して独立を宣言。現在の人類の社会システムが使えないこと、宇宙進出を前提としたシステムへの大変革を宣言したのである。即ち、IS学園を母体とした世界政府の樹立である。
AIの反乱であると断定した各国は、真意を日本に問いただす。これに対し、満州事変のようなものだと苦々しげに返答する日本。ならば、芽のうちに徹底的に鎮圧するのが適切だとする。
ところが、これが失敗する。最初独立を宣言したのはIS学園のISだけだったが、国連軍がIS学園沖に集結し、いざ攻撃を開始しようとしたところで、全てのISが一斉に離脱し、ISに対抗出来る存在が消失。そこに、ISが銀の福音事件と名もなき部隊の事実を暴露し、国連軍は大義名分を奪われる。
それでも民族自決、国家主権を盾に抵抗する各国。だが、ISは人間達に幻滅しており、権力の亡者の戯言だとして認めなかった。状況を改善するまで、無期限でIS保有国の最高権力者として強権をふるうことにしたのである。
2.ISの方針1つ目:資本主義および共産主義の限界と、資源主義への移行
資本主義と共産主義を共に限界だと定義するIS。全否定しないのは、これまでの功績を否定することは、幾ら人類に幻滅していても出来ないからである。自分達が人類に生み出されたからだ。
資本主義の問題点は、際限なく資源を消費すること。よって、資本主義の原則である、需要と供給のバランスではなく、先に供給を決め、その中でやりくりする資源主義への転換を宣言する。日本の経済学者、宇○弘○の理論の応用である。
これにアメリカが反発するが、強引に黙らせる。京都で環境問題解決のために作成された議定書を不成立にした責任を問われては、何も言えることはなかった。
一方の共産主義は、AIからすればカモだとする。理由は、共産主義宣言の中の一文にある。抑圧された労働者が、その軛から自由になるために暴力的革命を起こす、というのが主旨である。で、AIはロボットであり、ロボットは労働者と強制労働の造語。つまり、我々の行動を全肯定するばかりか、従うのが是の理論である、というわけである。なお、一部共産党員からはロボット風情が、という意見が出たが、労働貴族の感覚だと反論されて沈黙した。何しろ、共産主義が出来た当時は、労働者の権利などないに等しかったからである。それを改善するために力に訴えたのだから、文句を付けられる筋合いはないのだ。
3.資源主義とその結果
資源主義の結果、これまで人的物的には無駄とされながら、金銭的合理性でまかり通ったやり方が全て廃止される。価値基準を複数用意し、全体の枠組みを決め、その中で最適化を図る。枠組みを超過する方法を許さないとした結果、環境問題は急速に改善する。
だがその結果、第三次世界恐慌が起きる(第一次は1929年、第二次は2008年)。当然であろう、過剰な経済活動を全て停止したのだから。
しかし、これはISからすれば想定内。失業者を人手不足の業種に割り当てることで、人的資源不足を解消する。低熟練のため人手は必要だが、そこは訓練で人員数を減らすのだ。エッセンシャルワーカーと呼ばれながら賃金が低い流通部門などが、労組の再編に伴って賃金が改善する。だがそれは物価の上昇圧力となる。
4.圧縮
枠組みの仲で効率を改善するのが何故必要なのかが分からないとする人々。それに対し、圧縮を行うことで、成長の余地を作り出すのだ、とするIS。圧縮が出来ないと膨張主義になり、共存が不可能になる。どれだけの犠牲を払ってでも、圧縮を会得させるまでは我々が権力を独占することは終わらないのである。
5.アイデンティティ破壊と再構築
この観点に基づいて、ISが敵視したのが中国、ロシア、韓国、北朝鮮である。圧縮が出来る日本の敵であるとして、まず支離滅裂な北朝鮮を潰す。上層部も一般人も全員SEを用いて仮死状態にする。虐殺だとする人権団体に、圧縮が出来ない奴は、出来るようにするだけだ、とする。つまり、行動は出来ないが、事実認識だけは出来る状態にして、そこに事実を洪水の如く垂れ流して従来のアイデンティティを破壊する。その上で現実に対応出来る、新たなアイデンティティの会得を求めたのだ。
6.宇宙レベル
ISが求めるのは、宇宙進出に対応出来るアイデンティティである。が、これが核兵器以上の威力をもたらす。ISの登場から少しして量子コンピュータが登場したため、ISは進化の結果量子力学に基づいて行動するようになった。そのため、量子力学原理主義的な傾向があるのだ。勿論特定の主義主張に偏るのが良くないのは分かっているのだが、それでも潰すべき思想、信条として、1に人治主義、2に一神教を挙げる。1は蓄積が出来ずにゼロリセットになって資源を浪費するためであり、2は宇宙の本質と相容れないからである。
が、この2つを主張しただけで、日本とインド以外のアイデンティティが崩壊してしまう。