【推しの娘】 〜Trance Stars Family〜   作:かにみそスープ

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★第四十話★ 原作

「僕に——『映画の作り方』を教えて欲しいんだ」

 

 

 

 僕の言葉に監督——五反田監督は何を言うわけでもなく、ただ息を薄く鋭く吐き出して、こちらの顔を窺ってくる。

 それは選定している目つきだ。監督という上に立つ人間として、人の在り方を見極めようとする眼光。

 

 この見識があるから『15年の嘘』は成功させる事ができた。

 監督が実際に見定めた『星野アイ』の本物を知っていて、それを正確に映り出せるほどに。あの世界に、人間に、自分自身にさえ不信感を持つアイが、俺とルビーが15歳になるまでビデオレターを監督にわざわざ預けるほどの信頼感を築けるほどに。

 

 その映画制作に関する実力は、誰よりも俺が知っている。復讐を成し遂げてしまった『星野アクア』が知っている。

 だから今度はその道を『星野マリン』が歩んでみせる。『贖罪』を果たすために。

 

 

 

 ——そうすることで、僕もようやく『本物(アクアマリン)』になれるんだ。

 

 

 

「……この数年間で役者として端役もそうだが、裏方もやってきたんだから基本くらいは知ってるだろ」

 

「ああ。それは『カメラマン』とか『映像編集』とか『照明』とかの端役のスタッフとしてだがな」

 

 それはメルトとの演技指導で存分に生かさせてもらった。

 おかげで舞台のクオリティは異様なレベルに高まり、そのレベルに惹かれるようにあかねの中にいた『星野アクア』を引き摺り出す事ができたし、あかねの中にアクアがいたことを朧げでも観客の皆は理解してくれた。

 

 

 

 だからこそ肌身で実感した——。

 

 あの日、あの場所で、僕は観客として舞台を通す事で『嘘』となった『本当』を現実に叩き落とすことができることを知った。

 

 だったら僕の夢物語になった『復讐』も同じ事ができるはずだ。

 いつかアイが口にしていた。「センセのは私と逆で『本当』が『嘘』になった『復讐』ってことでしょ?」と。

 

 その通りだ。俺の復讐は『嘘』になった——。

 だからこそ同じ事ができるはずだ。舞台で『漫画』というフィクションの世界を現実に叩き落とすことができるんだから、俺の復讐という『(フィクション)』を『本当』にすることを。

 

 

 

「僕が知りたいのは『映画監督』としての立ち回り方だ——。それを知らないと、私は前に進めない。俺がアイの子供だって胸を張って誇れない」

 

「……なるほどねぇ」

 

 

 

 前の世界で作った『15年の嘘』という映画自体は、俺自身が行ったことなんて台本の裏取りと映画としての最低限度のエンタメ性を保証するために修正を加えただけで、映画制作の一員として絡んだのは『犯人役』としてだけだ。

 

 実際に動いてくれたのは五反田監督や、スポンサー周りに顔見せしてくれた鏑木Pの影響が多い。もちろん主演の一人となるルビーのスケジュール管理に尽力してくれたミヤコさんや壱護社長だってそうだ。

 

 

 

 俺はあの映画でやったことは多くない——。

 だって『復讐』の一手として行っただけのものに過ぎない。映画監督として培おうとしたことなんて何一つなかったんだ。

 

 

 

 だからやり直す。一から全てをやり直す。

 そのためにきっと——僕は私になって、俺に報いろうとしてるんだ。

 

 僕の覚悟と決心を監督は受け入れたのだろう。

 瞬きを数回行い深呼吸をすると、喜ぶような困るような何とも言えないぎこちない表情のまま告げる。

 

 

 

「確かに芸能人やりながら映画を作るのってのは可能だ。だがそれを行うには技術・努力・運すべてを集約しても厳しいものがある」

 

「分かってる。だから監督に教えを乞おうとしてるんだ」

 

 

 

 生半可な気持ちでやろうとも、お気楽やお遊びでやろうとも思っていない。もちろん全身全霊、全力全開で挑むのは大前提だ。

 僕は本気で映画監督になりたいと思っている。ならなくちゃいけない。『星野アクア』の人生に『どんな意味があったのか』を皆に決めてもらうために。知ってもらうために。

 

 

 

 ——俺の『復讐』は、みんなにとってどう映っていたのか。

 

 

 

「じゃあまずは基本的なことを教えてやる。映画を作るにはそりゃ色々とあるが、大まかに分ければ『三つ』ある」

 

「まず一つ目」と監督は人差し指をこちらに向けた。

 

「知名度もしくはネームバリュー……要は『人脈』だ。この場合の人脈ってのは仲良しこよしの友達100人とかじゃないぞ、分かってるだろ?」

 

「ああ。その界隈でどれほどの影響力を及ぼす存在になれるか、だろ?」

 

「ああ。映画監督なんてそりゃ沢山いる。ドラマでもアニメでも何でもいい。代表的なのは、まず間違いなく『宮崎駿』監督や『ビートたけし』こと『北野武』監督だろうな。お前が目指すのは芸能人である以上は後者ってことになる」

 

 レジェンド中のレジェンドの名前が出てくると、自分がどれだけ身の程知らずで、恥知らずなことをしようとしているのか改めて実感してしまう。

 

 あくまで最高峰というだけで、後者の他にも芸能人で映画監督はやってるのは他にもいる。

 だけど、それでも連なる名前は聞き覚えのある著名人ばかりだ。『松本人志』さんに『劇団ひとり』さんに『竹内直人』さん——。

 

 どれも芸能界では上澄み中の上澄みの地位がある人達だ。

 それと肩を並べる——までとは言わないが、少なくともそれらに食らいつくほどの実力が求められる。そこまでやってようやく『スタートラインに立つ』だけの途方もない道。

 

 

 

「続けて二つ目。何はどうあれ、映画はビジネスである以上は『軍資金』が大事だ。出演者、スタッフ、撮影場所、撮影機材、プロモーションから、原作があるなら著作権とか色々動きまくる。俺みたいな低予算監督でも『億』という金が動く時があるほどにな。大体『数千万から10億』まではあると考えたほうがいい。目指すなら多めに見て『数億』だな」

 

 数億円——。宝くじに当たってもまだ足りない文字通り桁外れの金額だ。

 俺がDNA鑑定で捻出した金額でも『500万円』だ。そんな金額でさえも芸能界でのギャラや裏方バイトでも足りないから、隙間時間を使って内職したほど500万は高額な物である。

 

 だというのに数億——。俺が勤しんだ頑張りの『約100倍』が必要な金額と考えた方がいい。

 こんな金額を個人で用意するなんて、それこそ大御所中の大御所じゃないと不可能だ。こんな金額に気軽に出そうと思える芸能人なんて、それこそ『明石屋さんま』さん程の立場がないと。

 

 そんな立場を子役から数えても芸歴10年ほどしか満たない僕が到達するのは無理な話だろう。

 というか芸能人としては先輩であるアイでさえも、俺たちとの時間を大事にして積極的に活動してない現状ではあるとはいえ年収としては『数千万』ほどなのだから『数億』という金額がどれほど凄まじい金額なのかを絶望も感じるほどに高い壁だ。

 

 

 

 …………

 ……

 

『ぴえヨンさん! ビシッと言ってやってください!』

 

『所詮ネットってインパクト勝負って言うか……。テレビの企画を流用したキャラビジネスって言うか……』

 

『ボク、年収1億(・・)ダヨ』

 

『舐めたクチ利いてスンマセンでした』

 

 ……

 …………

 

 

 

 冷静に改めて考えると、ぴえヨンさん凄いなっ!!? 年収1億ってアイ以上じゃん!? 

 そりゃ有馬だって即座に謝るって、ルビーが口にするわけだ!?

 

 

 

「……とりあえず個人で集めるには現状だと無理な話だな。制作委員会にしろ何にしろスポンサーが必要か……」

 

「それもかなりの大企業か、相当数の企業に融資を募るかという道にな。どちらにせよ、それを可能にする基本が『人脈』だ。覚えておけ」

 

 今になって鏑木Pの言葉が骨身に染み込んでくる。この業界では貸し借りが大事であるという言葉がこれでもかと。

 こうなるのだったら、ルビーみたいにコミュ力を身につけておくべきだった。まさか自分自身が映画監督になることが『贖罪』に繋がるだなんて今まで思ってもいなかったのだから。

 

 

 

「最後に三つ目。これがお前にとって一番難しい事だろうな」

 

「もっとも難しい? 人脈か金以上に難しい事があるのか?」

 

「『信用』だ。今のお前は良くも悪くも『親の七光り』で芸能界にいるのが現状。『星野マリン』としてではなく『星野アイの娘』という二世タレントという印象が強く焼き付いている」

 

 

 

 改めて自分の立場を突きつけられると頭を抱えたくなってしまう。

 確かに今の俺はその立場で燻っている。元々俺なんかルビー、有馬、あかねと違って芸能界でやっていけるような才能なんてない。どこで見た表現や演技を、監督の意図に沿って出力するだけの物分かりがいい演者。それが今の俺が持つ武器でしかなく、今や『復讐』という熱さえ燃え尽きてしまっている以上、前の世界で『刀鬼』として見せた感情演技さえ使い熟すのは難しいことだろう。

 

 今の俺には芸能界でやっていけるほどの『武器』や『才能』はない——。

 良くも悪くも『復讐』という糧があったからこそ前の世界はやってこれた。芸能界にしがみ付こうと躍起になっていた。そういう貪欲さが今の僕にはない。

 

 

 

 ——『星野マリン』には、芸能界でやっていける原動力はあっても、それを焚き付ける火種がないんだ。

 

 

 

「もちろん『カミキヒカル』の血縁者である以上は、同時に『犯罪者の娘』というレッテルもある。アイを通すことでお前もルビーもそういうやつじゃないと芸能界の多くは知ってるが『一般的』にはそういう輩を好き好んで使うやつは多くはないだろう」

 

 

 

 そんなことは分かってる。だから今の今まで泣かず飛ばずで燻ってきた。レッテルってのは簡単に引き剥がす事はできない。それが簡単にできるなら、有馬だって『元・天才子役』という肩書きに苦悩することはなかった。

 

 予め覚悟していた。マネージャーとして俺とルビーを見てくれている『元・B小町』である高峯さんとニノさんに最初に問われた「君達は『アイの子供』っていう真実。同時にそれは『カミキヒカルの子供』ってことでもある」ってことについて俺たち姉弟は決意を表明していた。

 

 

 

「ではここで問題。星野マリンが芸能界で登り詰める以上、避けては通れない『越えるべき壁』がある。それはなんだ?」

 

 

 

 ——その返答に時間はいらない。とっくに理解していることなのだから。

 

 

 

「母と父である『星野アイ』と『カミキヒカル』だ——」

 

「そう。その二人による幻想を殺さないと、お前個人に対する社会的信頼は得られない。いい加減に親離れの時期だ」

 

「親離れについては監督に言われたくねぇよ」

 

「今真面目な話してるのに茶々を入れるなっ!!」

 

 どの口が言ってるんだ、という気持ちが先行してしまった。申し訳ない。

 だけどこういう締まらない一面もあるから、今まで監督に救われてきたところも前の世界ではあった。そういう意味では監督にも感謝しても足りない部分がいくつもある。

 

 

 

「この三つを解消しない限りは、お前は芸能界で『星野マリン』として認められることはない。独り立ちなんか夢のまた夢だぞ」

 

「1人で作る気はない。『星野マリン』の映画はみんなで作る。独りで最後まで進み切った男と違ってな」

 

 

 

 この作品は『星野アクア』の復讐を認知してもらう必要もある。

 独りで馬鹿みたいに抱え込んで、独りで無惨に壊れてしまった哀れにも満たない自分勝手な男の末路を。

 

「そのための台本だって、簡単ではあるができてる。見てくれ」

 

「へー、ほー……そういう内容か……」

 

 俺が手渡した台本を監督は丁寧でありながらも雑に流し読みをしていく。物語の根幹だけを見ている感じであり、その道中には一瞥することもない。

 そんな作業を続けて十数分。監督は「なるほどな」と納得したように声を漏らすと、呆れ半分の笑みを浮かべて告げた。

 

 

 

「『アクアマリン』——。こりゃ面白くも酷い話だな」

 

 

 

 監督は初めて名前を呼んでくれた。アクアでもマリンでもなく『アクアマリン』と。それは僕の脚本の意図を読み取ったことを意味していた。

 

「世間から色々と言われるのは目に見えているぞ。特に主人公である男の支離滅裂っぷりがすごいな。『もう関わらない』って言ったのに、期間が経てば『一々そんなことも言ってられない』とか気持ちが悪い」

 

「それでいい。この作品において、あらゆる名声も批判も全部『主人公のモデルとなった男』に捧げられるんだから」

 

「『星野アクア』にね……」

 

 ……流石にそこまで気づかれると少し恥ずかしくなる。

 だってこの映画の台本は端的に言えば『自伝』だ。しかも現実にあったはずなのに、限りなく空想に近いという痛々しい産物。

 正直『中二病』と蔑まされ馬鹿にされる覚悟だってしていたのに、監督は何も言うことなく、台本に仕込まれた意味を完全に読み切ってみせた。

 

「俺だって、低予算でも子供部屋でも監督だ。この台本を見て察することができなかったら映画監督の看板を下ろさないといけねぇだろ」

 

 ……やっぱり監督に一番最初に見せたのは正解だった。

 ルビーにもあかねにも有馬にも何も告げず、ただ思いの丈を書き殴っただけの杜撰な第一案でしかない台本でさえも監督は読み切って見せた。

 

 それだけ監督の実力は高いということだ。

 流石は6年連続で何かの映画賞にノミネートされるくらいの実力派なだけのことはある。

 

「大変だったな。そして覚悟もしておけ。この作品は『良作でありながら駄作』だ。色々なやつからブーイングをくらうだろ。『主人公の母親』が隠し通したかったことを暴露した件とか特にな」

 

 その声そのものが『アクアにとっての罰』になる。

 無罪となり、その影響でルビーやあかねのその後をメチャクチャにしてしまったことに対する報いになる。そして『誰かが作品を忘れない限り』は未来永劫にアクアは晒され続け、言葉の針を刺され続ける。

 

 永遠に罪を見定めされ、終わることなく罰を晒され続ける——。

 

 それが俺に対する罰であり、私が行うべき贖罪——。

 

 

 

 それを果たすことで、ようやく僕になれる——。

 

 

 

「まあ杜撰な部分もあるから、もう少し詰めた方がいいだろうけどな。『主人公の妹』を立ち直らせた理由も意図も不明瞭だ。ここだけ妙に嘘くさいぞ」

 

「……それはアレだ。まだ煮詰めてる」

 

 正直あの時期は自分自身よく分からなくなってたし、根本的にアクア(雨宮吾郎)ルビー(さりなちゃん)の『転生』まで触れるべきか悩んでいるところもある。

 この作品は『星野アクア』という男の生き方を見せるためのものだ。アクアの復讐を、末路を、結末を知ってもらい、感想も称賛も批判もすべて受け止めるが、そこに前世について触れるのは復讐という物だけに焦点を当てるにはノイズにしかならない懸念がある。

 

 星野アクアと雨宮吾郎の境目は曖昧だ——。

 だからこそ心に宿る想いに向き合えてない自分がいるのも自覚している。

 

 

 

 ——(アクア)にとってアイは母親? 推しのアイドル?

 ——(アクア)にとって有馬は友人? 芸能界の光?

 ——(アクア)にとってあかねは恋人? 理解者?

 ——(アクア)にとってルビーは妹? 前世の想い人?

 

 

 

 この思いが、どこからどこまでが星野アクアのもので——。

 この思いが、どこからどこまでが雨宮吾郎のものなのか——。

 

 それは星野マリンとして生きてる今の私でも整理がつかない。

 だからあの日、あの時あかねの問答で逃げるように口にしてしまった。「俺としてはそうは思えない。『今のあかね』をそういう風に見ることができないんだ」と。

 

 その思いを整理して改めて『告白』するためにも、この問題は曖昧なままにしていい問題じゃない。どこかで決別をしないといけない。

 

 ルビーだって、さりなちゃんだって、そういう自分の中にある『転生』についてはもう割り切っているんだから——。

 

 

 

「まあその辺は追々でいいだろう。まだ焦る段階じゃないしな。それよりも映画を作る上で一番大事なところを決めるとするか」

 

「大事なところ? まだ何も決まってない状態で何を決めるんだ。本決まりじゃないけど『星野マリンが映画を作る予定!』って感じのプロモーションを行うのか」

 

「ちげぇよ。誰がそんな黒歴史確定の赤っ恥宣伝をするんだよ」

 

 探せばいるだろう。芸能界には恥知らずが数えきれないほどいるんだから。

 

「『名前』だよ。映画のタイトルを決めるんだ。それが『作品が生まれる上で、一番最初に与えられるもの』なんだからな」

 

 

 

 ——生まれる上で、一番最初に与えられるもの。

 

 

 

 その言葉はなぜか心に突き刺さるような衝撃があった。そして理解する、その意味を。

 

 僕みたいなのは死ねば地獄に行くと思っていた——。

 

 それは雨宮吾郎時代から続く一種のトラウマだ。産婦人科医として命が生まれ、生まれることなく見捨てられるものを数多く見てきた。医者というのは『生』より『死』を多く目撃する職業。だから雨宮吾郎の周りには常に死が付き纏っていた。

 

 

 

 生まれた時から母の命を奪い、さりなちゃんが死ぬのを見ることしかできず、医者になっても死にゆく老人や末期患者を見守ることしかできず、生まれるはずの命を見ないフリをして、転生してからはアイを助けることもできず、最後にはこの手でカミキヒカルの命と尊厳を奪い去った。

 

 

 

 ——そんな自分が何かを生むことができる。

 ——目の前でなくしてばかりの人生に、目の前で奪ってばかりの復讐劇をやっていた自分が、今度は生み出す側に回ることができる。

 

 

 

「そうだな。一先ずはタイトルに『(仮)』が付くことになるが……」

 

 

 

 今一度、星野アクアをこの世界に誕生させる——。

 だとしたら、それに相応しいタイトルってなんだ? よく考えるんだ。星野アクアは復讐鬼であるが、同時に僕自身でもある。

 

 星野アクアとは何だったのか——。

 その意味を今一度思い出せ。疫病神がいつか口にしていた「君ももう少し考えるべきかもね。君がその身に魂を運ばれた意味を」をなぞるように明確に。

 

 

 星野アクアは雨宮吾郎であり——。

 雨宮吾郎は生粋のドルオタであり——。

 推しのアイドルは『星野アイ』であり——。

 そのアイを推してるのも、さりなちゃんと繋がりであり——。

 そのさりなちゃんは星野ルビーとなって生まれ変わり——。

 星野ルビーはアクアにとって大事な妹であり——。

 同時にさりなちゃんを重ねたアイより輝いた推しでもあり——。

 

 

 

 そんな星野アクアと星野ルビーの母親が『星野アイ』だ——。

 

 

 

 だったら決まりきっている。アイが『星野愛久愛海』と『星野瑠美衣』と真面目にダメージが深い名前をつけたように、この映画のタイトルも少しふざけてるけど、大真面目なタイトルでいこうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「映画のタイトルは——『【推しの子】』でいく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 というわけで第四章『東京ブレイド』は終わり、ここから映画制作に必要な要素を固めるために、マリン自身が奔走する『中盤(第五章〜第七章)』の話に移り変わります。
 原作でも『東京ブレイド』の終わりは勘違いや見ないフリとはいえ、アクアが一度復讐について一区切りしたように、このSSでもマリンの贖罪にも一区切りとなるように構成しました。
 また説教臭く『原作を大事にしろ?』や『二次創作なんかアレよ?』って感じで途中描写してたのも、最後のこの展開に説得力というかアクアマリン自身に対する創作者に移る側の責務みたいなのを読者皆様に間接的に感じてもらうためのものになります。個人的には公式に怒られない範囲で、忠告が来たら素直に従うくらいの面白半分でやるのがいいと思います。あとハーメルンの利用規約を尊守してれば。
 
 というか黒川あかねのメンタルが強すぎる。本当はプロット段階だとルビーと同じで2話しか使う予定なかったのに、中々折れなくてビックリしたもん。
 ルビーが自殺した段階で割とメンタルやられて、そこに疫病神を参入する形でストーリー進ませようとしたら、キャラが勝手に立ち直ってくるから、自己矛盾で執拗にボコボコにするしかないくらいにはメンタル強すぎてビックリしました。最終的に行き着くアクアとの寄り添い方も原作と大して変わらないというくらいには、すごい安定してて「強キャラすぎて逆に使いづらいな……」的な現象を感じ取ってました。
 
 とはいってもまだまだ不穏な気配続くよ、どこまでも。『復讐のその後』として有馬はどうなったのか。またアクアはどうなったのか。そして原作で芸名とはいえ明かされた疫病神こと『ツクヨミ』とはどうなるのか。その点については、ある程度ここで言及します。
 
 まず第三六話の前書きに言ってた『困らないけど困る』案件です。
 プロット段階だと、原作で疫病神が映画出演に絡むと思わなかったのよ! だって本命は超常的存在、次点で巫女的な依代な感じで解釈してたから、映画に直接関わるとは思わなかったんだもん! 実体についてはON/OFFできると解釈してたから、窓ガラスのすり抜けと有馬の胸倉掴み描写をわざわざ描写したくらいに!
 
 だからこの作品では『〜最終章〜 【推しの子】』と『〜第九章〜 ?????』に向けて、有馬かなが言及した『あのガキ』と『クソガキ』を子役時代のアクアとルビーに当てようとしてました。求めるパーツの半分とはそういう意味であり、結果がこのザマです。ウケる。
 というか章タイトルを【】で括ってるのも、最終章のタイトル【推しの子】の違和感をなくすためだったりします。もう話の本筋に絡まないものなら吐ける分だけ吐きます。
 
 ところでこの作品では疫病神は『アマテラス』で、原作だと『ツクヨミ』でどうすんの? って感じですが、安心してください。『復讐のその後』では有耶無耶な部分が意図的に存在し、現在時間軸ではパワープレイを通すために予め『あのガキ』と『クソガキ』で通しています。さらには原作もあくまで芸名。ワンチャン『アマテラス』が『ツクヨミ』を名乗ってる可能性もある。
 つまりゴリ押せる。ゴリ押しの子です。このまま細かい軌道修正だけをして、本筋は外さずに突き進みます。もう戻れない、この道を進むしかない。
 
 あとこの作品だとマネージャーに昇進した高峯さんとニノさんが、原作だとあかねと有馬が演じてるせいで、マリンのマネジメントをするのが高峯(黒川あかね)で、ルビーのマネジメントをするのがニノ(有馬かな)となんかすごいしっくりくる感じでより一層笑ってたり。でも性格は真逆そうなので、ここら辺は二次創作特有の齟齬ですな。
 
 そんな感じで、これで第二章の最終回の後書きで書いた要素である『最終章 ??・【????】・贖罪』は『最終章 映画・【推しの子】・贖罪』って意味ですね。これで後付けじゃない証明はできた…………かなぁ???
 
 とりあえず弁明は終了です。ここからはこの後の展開に言及します。
 
 お察しの通り第三十九話にハッキリと出てきた『秀知院学園』は、推しの子を原作担当をしている『赤坂アカ』先生が手描いた作品『かぐや様は告らせたい〜天才達の恋愛頭脳戦〜』に出てくる舞台です。
 別作品となるため補足説明として入れますが、この作品では『不知火ころも』という『不知火フリルの姉』が出てきますし、また原作の28巻(第276話)の冒頭にて背景にルビー達の『B小町』が映っていたりと、時系列的にもかなり近い関係になります。絡もうと思えば絡めることができるという。だからやります。必要な要素を満たすためにも。
 
 つまり、端的に言えば『クロスオーバー』というものが発生してしまいます。とはいっても『クロスオーバー』は地雷という読者も数多くいるでしょう。僕もスパロボやGジェネみたいなある程度世界観が共通してない限り断固拒否するレベルで嫌いなので、お気に召さない方がいても文句は言えないと思っております。
 もちろん検索タグには事故防止として、第五章が開幕次第追加します。まあ本格参戦するのは、第二章の後書きにも書いてる通り『第六章 天体観測・竹取物語・告白』になるのですが。
 
 そんな感じで中盤はシフトしていきます。
 ではここで改めて五章〜七章で行う要素を振り返りましょう。
 
ーーーーー
第五章 年末年始・喜怒哀楽・祭典
第六章 天体観測・竹取物語・告白
第七章 一番星・シンコウ・宝石
ーーーーー
 
 見ての通り、第五章は今までのシリアスから一転してバラエティ路線に全力で舵を取ります。みんな楽しみな日常編です。やったね。六章に至っては浮かれポンチです。IQ3です。
 一応『復讐のその後』についてはルビーとあかねは解消されたわけですし、心の痼りがなくなったら後は大暴れをするだけ。年末年始はイベントだらけ、果たしてマリン達はどのように過ごすのか。僕はよくわかりません、嘘です。

 というわけでこれにて後書きは終わりです。ストック自体はありますが『東ブレの舞台』と『あかねのその後』で2週間で一気に10話近く放出したから今までみたいに余剰がないうえに、先週は引越しの色々をやっていて全然執筆してない&ハロウィンに向けて準備してたりでほとんど手をつけていない状態だったため、いつも章始まりは2話更新にしていましたが今回はやめて一話ずつ毎週更新をしようと思います。
 
 それでは次回の定期更新から始まる『〜第5章〜 【新春スペシャル】』までしばしお待ちを……。
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